6月13日の総務委員会で、道有財産を如何にして有効活用していくのかについて質問しました。
2018年以降、特段有効活用されずに遊休化した旧留萌高校の校舎の視察を5月20日に行いました。高校施設は道教委の管轄であり知事部局の担当ではありませんが、知事部局の所管範囲においても、かつて職員公宅として使われた施設が遊休化し、国や市町村、民間へ売却を進めているものがあります。
その協議の中で、道有財産を売却する際のルールや利活用を促したい道の姿勢が、検討をしてくれている方々に十分に伝わっていない現状があります。その点に関し、私が地元で様々伺ったご意見を基に質問させて頂きました。
答弁にありますが、道のより丁寧な姿勢を望むものです。
一 道有財産の有効活用について
(浅野)
私からは道有財産の有効活用について伺ってまいります。
私の地元で2004年に建てられた留萌高校が14年後の2018年に廃校となり、旧校舎がそれ以降遊休化しており、その有効活用をいかに進めるかが課題となっております。つい最近、私も地元市議会の皆さんと視察に行きました。
今申し上げたのは知事部局ではなくて道教委の案件になると承知します。道内各市町村に総合振興局や振興局等の出先機関が設置されていますが、本道が全国に先駆けて人口減少の局面に入り、また道財政も非常に厳しい局面をかつて迎えたことを受け、各出先機関を縮小せざるを得ない状況があったと思います。かつての職員公宅等の道有財産が遊休化し、それをいかに利活用するかということが市町村においても大きな関心のテーマの一つとなりつつあると考えます。この問題意識に立ち、以下質問させて頂きます。
(一)道内の現状について
まず現状について伺います。
私の地元留萌管内にも、かつての職員公宅をはじめとする道有財産を有効活用すべく、市町村と売却の協議を進めていただいている事例もあると伺っております。また老朽化が著しく、地域住民から治安面や景観面での不安を私も直接寄せられたこともあります。
道内各地でどれだけの道有財産が遊休化しているのか、また道としてこれまでどのようにしてそれらの有効活用を図ってきたのか、また遊休化している道有財産がここ数年どのように推移してきているのか、新たに遊休化したものと売却先などが見つかり有効活用されているものの推移についてまず伺います。
(財産課長)
道有財産についてでありますが、道自らが活用する予定のない、未利用地・低利用地は、令和4年3月末現在で、352件、敷地面積約113万㎡となっておりまして、このうち、建物付きの未利用地・低利用地は、160件となっているところです。
平成30年3月末現在と比較いたしますと件数は全体で11件増加していますが、敷地面積では約22万㎡の減となってございます。また、売却の実績については、平成29年度末から令和3年度末の5年間で285件、約112億55百万円となっているところです。
道では、「北海道ファシリティマネジメント推進方針」や「道有未利用地の管理及び有効活用に関する基本方針」などに基づきまして、新たな未利用地が生じた場合は、まずは庁内において利活用の検討を行い、道において使用しない場合には、国、市町村等公的機関に対して取得希望調査を行い、取得を希望する場合は、優先してこれらに売却を行っております。 それでもなお、利用又は取得する希望がない未利用地につきましては、民間への売却や貸付により、有効に活用されるよう努めているところでございます。
(二)市町村等への売却について
(浅野)
ただ今の答弁ありましたように、道有の未利用施設の有効活用を進める上で、「道有未利用地の管理及び有効活用に関する基本方針」に従って進めているとのことでありました、その中に「有効活用の原則」があり、まず最初に未利用地となったものは市町村等、国や市町村の公的機関が希望・取得をするかしないかそれを調査して希望がある場合は売却を行っていると。
それに従って私の地元市町村でも売却を検討し、地元議会にも説明がなされる。それを受けた地元議員さんから「道の提示する価格が地元の住宅事情等とは著しく乖離しているのではないか、この物件になぜこのような価格がつくんだ」、と疑問の声が寄せられました。
道としてどのような方法で売却を進めてきているのか伺います。またこれらの批判に対してどのような対応を取ってきたのかも合わせて伺います。
(財産課長)
市町村等への売却についてでありますが、道では公的活用が見込まれる未利用地で、所在市町村が取得を希望する場合は、入札によらず、随意契約での売却を行っているところでございます。
土地、建物の評価額につきましては、不動産鑑定士の意見や売買実例、社会情勢等の変化を参考に、庁内部局長等が任命した公有財産価格評定員が算定し、建物にあたっては、新築時の建築費を元に、評価時点において、同じ建物を建築するのに必要となる費用、いわゆる「再調達原価」を算定した上で、劣化や耐用年数に基づき減価し、算出しております。
なお、購入を希望する市町村等に対しては、これまで、建物の再調達原価を基準に算出した評価額により売却する道の算出方法などについて、ご理解いただけるよう説明しているところでございます。
(二)市町村等への売却について(再)
今、「再調達原価」という手法についてご説明をいただきました。
当時建てたものが今現在、様々な物価水準を踏まえて今建てるとしたらどれくらい費用がかかるかというもので、一般的に国の指針にも示されている評価方式だと伺っておりますが、例えば今、コロナ禍やウクライナ情勢などによって様々な建設に係る資材の価格が高騰しております。売却を進めようとしている物件を改めて今の状況で再調達原価を算出すると、そもそもの原価が高く上がってしまって、そこから劣化状況などを差し引いていったとしても最終的に示される価格というのはどうしても高くなってしまうのではないかと懸念を感じます。
今の物価の高騰は好景気によるものというより、供給面の制限によって起きているスタグフレーションの状況に近いと感じます。このような状況で再調達原価で価格を設定しても、購入者側にブレーキをかけてしまうことに繋がり、道の未利用地の有効活用が上手く進まない状況をつくってしまうのではないかと考えるのですが、この点に対する認識を伺います。
(総務部次長兼行政局長)
建物の評価額についてでございますが、国におきましては、建設工事に係る費用の相場を示す指標であります建設工事費デフレーターというものを活用し建築物の評価額の算定をしてございます。
道におきましても、建築物の評価額を算定するにあたりましては、この指標を活用しまして、施設毎の「再調達原価」を算出の上、老朽化等の物理的要因や設備面での機能的要因など、実際の建物の状態により、減価、建物額を引き下げることを行いまして、さらに、耐用年数に基づき、割りおとしをし、建物評価額を算定してございます。
今後、購入を希望する市町村等に対しまして、道の財産処分についてより丁寧に説明を行い、ご理解いただけるよう努めてまいります。
(浅野) 私自身も不勉強だったのですが、再調達原価の方式というのを把握されている方というのはそう多くないと思います。 この物件が、なんでそんな値段になるのかという反発や疑問の声が上がるとすれば、残念ながら売却を進める側の説明がもっと求められているということだろうと思います。 今、次長のご答弁にありましたけれども、こういう方式で再評価して価格が決まっていますという丁寧な説明をしていただきたいと思います。道は購入をお願いし、有効活用をしてもらう側ですので、それを検討してくれている方への丁寧な対応というのをしっかりやっていただきたいと指摘を申し上げます。 (三)老朽化した施設への対応について 次に老朽化した施設への対応について伺いますが、私の住んでいる留萌市にも1階に板張りをして、老朽化が著しくて「おばけ屋敷」みたいになっている、かつての職員公宅がそのままおかれているものもありまして、何かと不安なので早く解体して欲しいという要望も受けました。 非常にこれは予算面での制約があって直ぐに出来ないという状況も伺っておりますけども、このような有効活用も出来ないようなものに対しては、道としてこれまでどのように対応してきたのかを伺います。 |
(財産課長)
老朽化した施設への対応についてでありますが、道有の未利用施設については、所管する部局等におきまして老朽化が著しい建物や敷地の売却が見込める建物など優先度を勘案し、限られた予算の中で、解体しているところでございます。
更地になった未利用地につきましては、総務部に移管の上、「ファシリティマネジメント推進方針」等に基づいて、有効活用を図ることとしておりまして、未利用地の情報を道のホームページに掲載するほか、一定の期間、入札書の提出が可能な、いわゆる「期間入札」や入札不落後の先着順による随意契約の実施などに加えて、不動産関係団体と連携した未利用地情報の発信など様々な手法により、売却や貸付に取り組んでいるところでございます。
(四)今後の取組について
(浅野)
最後に伺います。
道議会の直ぐ近くにある旧赤レンガ庁舎みたいに、新たに改修をして、観光名所として生かそうとする道の財産もあれば、これまで申し上げたように、人が住まなくなった職員公宅や有効活用の見込めない解体して更地にするしかない、そうしたものもありまして、いずれにしても道有財産をいかに有効に活用していくかということが非常に重要になってくると思います。
色々申し上げましたが、売却する側、購入をお願いする側としてのより丁寧な説明と、価格面での折り合いが重要と思います。少しでも高く売って道財産の収入にしたいという気持ちも分かりますけれども、売れないままで老朽化するよりは、安くとも売れて有効活用して持った方が地域の活力にも繋がり、結果として道の税収増に繋がると思います。 これまで以上に購入を検討してくれている市町村や民間団体に対して積極的かつ丁寧にPRし、地域住民の理解が進むようにやっていただきたいと思います。今後の道の取組について最後伺います。
(総務部長)
今後の取組についてでございますが、道有財産については、「ファシリティマネジメント推進方針」などに基づき、「施設経営」の視点に立ち、建築物の長寿命化をはじめ、脱炭素化などの社会的ニーズへの対応や過剰・遊休施設等を排除することなどにより、経費負担の軽減に努めているところでございます。未利用地の売却にあたりましては、利用価値のない建物については解体し、更地で売却することを基本としてございますが、建物付きでの売却や建物の解体を条件とした売却にも取り組んでいるところでございます。
道といたしましては、道有財産の有効活用にあたりましては、地域活性化の観点から、地域のニーズやまちづくり計画など、市町村の意向を丁寧に把握し、必要に応じ、意見交換を行うなど、地域との連携をより一層図りながら、今後とも、道民の皆様の貴重な財産の活用に努めてまいります。
(浅野)
ありがとうございます。しっかりそのように進めていただきたいと思います。
市町村によっては道が一切聞く耳を持ってくれず、この価格で買えないなら結構ですと、そういうスタンスでいると受け止めているところもあるかもしれません。
決して道はそのようなスタンスではないと思いますが、そのように受け止められている事例もあったのではないでしょうか。今部長が仰った姿勢で進めていただきたいと思います。以上で終わります。
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