一般質問を行いました。 (2024年9月25日)

目次

質問項目

 今定例会では一般質問の機会を得られました。項目は以下の通りです。

  • 北海道・札幌GX金融・資産運用特区について
    GXを進める上で最大の課題である送電網の強化等について質問しました。
  • ホタテ漁について
    ホタテ稚貝の採苗不振による影響と対応について質問しました。
  • 道内企業への経営支援について
    北海道産業振興条例の改正、商工会議所・商工会への道の支援等について質問しました。
  • 本道における経済安全保障等について
    北海道の水資源の保全、セキュリティクリアランス制度への対応、対中国リスクへの認識について質問しました。
  • 本道の強靭化について
    苫前小平線をはじめとする未開通区間がある道道の整備の進め方と、小平防災事業をはじめとする国道の強化に向けた道の取組について質問しました。
  • 道警への信頼回復について
    最近続出している道警の不祥事を受けた再発防止について質問しました。

質問と答弁

(浅野)
一 北海道・札幌GX金融・資産運用特区について
(一)特区の進め方について
 はじめに、北海道・札幌GX金融・資産運用特区に関し、特区の進め方について伺います。道と札幌市は今後、再生可能エネルギーを「作る」、「貯める」、「運ぶ」、「使う」といったGX産業を本道で振興し、それに対する莫大な資金ニーズに応え得る金融機能の集積を主に札幌市で進めるなどの施策を展開すると承知します。
 全道で洋上風力等の再生可能エネルギーを振興する上で最も大きなネックとして指摘されているのは、再エネを「運ぶ」ために必要な送電網の脆弱性であります。ある専門家の言葉によれば、「道路のないところに街を作れないのと同様に、電気を運べない中で新たな事業を興すことは考えられない」とのことであります。9月20日の本会議の場において、我が会派の今津寬史議員の質問に対し、道は再エネ電源の近くにデータセンターをはじめとするGX産業の立地を促進していくことの重要性について言及していますが、それを進めるためにも、まずは「運ぶ」ための課題の解消が急がれます。これに対する道の認識を伺います。

(ゼロカーボン推進監)
 はじめに、再生可能エネルギーの導入などについてでございますが、道では、ゼロカーボン北海道の実現に向けては、全国随一のポテンシャルを活かして、その導入拡大に取り組んでいます。
 こうした中、本道が再エネの供給拠点として、役割を果たしていくためには、本州と北海道間はもとより、道内の送電網を早期に増強することが重要と考えており、その際、日本全体の脱炭素化に貢献する電力インフラの整備への支援については、全国的な視点に立った費用負担の考え方を取り入れることが必要と考え、この旨を国に対し、要望・提案を行っているところでございます。

(浅野)
(二)ゼロカーボン北海道の目標達成と洋上風力の導入促進について
 道は2013年を基準にし、2030年までに本道の温室効果ガスを48%削減する目標を掲げ、その切り札となり得る洋上風力に関しては、現時点で石狩市沖など5つの区域が有望区域に位置付けられています。道として目標を達成する上で、本道における洋上風力導入の現状は十分に進捗していると考えているのかと伺うと共に、留萌市のように導入に意欲を示しているものの、漁業者をはじめとした関係者との調整等の課題が残されており、正式な手挙げには至っていない地域を支援し、有望な区域を増やしていくよう取り組む考えはあるのか伺います。
 また経産省とNEDOが進める浮体式洋上風力発電の実証事業の選定結果が6月11日公表され、有望視されていた本道の2候補区域は選ばれずに終わりましたが、当該実証事業に対する関係者の期待は大きく、現在道としても再度浮体式の実証事業を行うことを国に求めていると承知します。本道の2候補区域が今回選定されなかった理由について道はどのように認識しているのか伺います。

(ゼロカーボン推進監)
 次に、洋上風力発電の導入促進についてでございますが、道内では、有望区域とされた5区域のうち、松前沖や檜山沖、岩宇・南後志地区沖では、促進区域の指定に向け、関係町村や漁協、学識経験者等による協議会を開催しており、このうち、松前沖協議会では、先般、構成員の合意を得たところでございます。
 また、石狩市沖、島牧沖においても、地元関係者と、協議会の開催に向けて調整を行っているなど、促進区域の指定を目指した取組を進めているところでございます。
 道といたしましては、さらなる案件形成に向けて、現在、有望区域となっております5区域以外におきましても、地元の方々への普及啓発を進め、全国随一のポテンシャルを活かした洋上風力発電の導入促進に努めてまいります。
 また、今回、本道2区域が選外となりましたNEDOの浮体式実証事業につきましては、不採択理由は公表されていないため、詳細は承知しておりませんが、道といたしましては、今後は着床式に加えて、浮体式の導入に向けた知見を蓄積していくことが重要と考えており、支援事業の創設につきまして、国に要望を行っているところでございます。

(浅野)
(三)既存産業への支援について
 留萌市内の、ある港湾荷役会社は、留萌港に運ばれた石炭を荷下ろしし、それが砂川市の火力発電所などで使用されてきたように、本道の電力供給を下支えする業務を担ってきました。
 砂川の火力発電所の廃止が2026年度に決まっている今、石炭に関わる企業は新たな業務を模索していますが、雇用を守りつつ業務転換をするにしても多額の資金が必要となるなど、そのハードルは高いのが現実です。  道としてこれらの企業に万全の支援をし、GXを進める上で誰一人取り残されることのないようにすべきと考えますが、道の認識と今後の取組について伺います。

(知事)
 地域企業への支援などについてでありますが、多様な再エネ資源が全道各地域に賦存する本道においては、今後は、金融・資産運用特区を推進力として活用することにより、GX関連の動きが加速され、企業の立地とそれによる雇用の創出などの効果が期待される一方で、地域の産業を取り巻く環境の変化に対応を迫られる事業者もおられるものと認識しております。
 このため、道としては、中小・小規模事業者の方々が情勢変化に柔軟に対応し、事業の継続や経営の多角化を図ることができるよう、伴走型の経営相談や専門家派遣などの支援に努めるとともに、中小・小規模事業者の方々にとって、新分野となるGX産業のサプライチェーンを構成する洋上風力発電施設のメンテナンスや、発電機器の部品・部材への参入を支援するなど、地域の実態を踏まえ、きめ細かな支援を行い、GX産業の集積効果を道内各地に広く波及させてまいります。

(浅野)
二 ホタテ漁について
(一)地域経済への影響について
 次に、ホタテ漁について伺います。道産食品の海外輸出の主力であるホタテの稚貝に関し、全道的に深刻な採苗不振が見受けられ、漁業者にとって大きな不安となっています。これを受けて道は、稚貝の生育状況等を把握し、道総研や水産技術普及指導所、水産林務部で情報を共有し、水産試験場が主体となって要因分析に取組んでいると承知をします。
 留萌管内では全道で生産されるものの約3割、漁業者同士で売買されるものの約6割のホタテ稚貝が生産されており、漁業者の不安は他地域と比較しても一層大きいと考えますが、道として、現在の採苗不振が地域経済に及ぼす影響について、どのように認識しているかをまず伺います。

 (森と海の未来づくり推進監)
 ホタテガイの採苗不振についてでありますが、ホタテガイは、長年にわたる栽培漁業の取組により本道を代表する魚種となっており、漁業はもとより、水産加工業など関連産業の裾野が広い資源となっていることから、今般の採苗不振などにより稚貝が不足する場合には、地域経済に影響を及ぼすことが懸念され、対策が必要と考えております。
  このため、道では、来年の種苗放流や養殖に必要となります稚貝の確保に向けて、日本海をはじめとする生産地域において、稚貝の生育状態を把握するとともに、道総研水産試験場と連携をし、今般の採苗不振の要因分析や、来季の採苗にあたり養殖技術の指導を強化するなど、稚貝生産の安定化に向けた取組を推進し、ホタテガイ漁業の振興を図ってまいります。

(浅野)
(二)漁業経営安定対策について
 資源管理・収入安定対策とコスト対策を組み合わせ、漁業者の総合的な経営安定対策を講ずる枠組みとして、漁業経営安定対策がありますが、この制度を活用し、漁業共済と積立ぷらすによる減収補填を受けるには、漁場改善計画をつくり、漁獲量の削減に向けた取組が求められる等のルールがあります。そのため漁業者の中には、漁獲量が増えている令和の今でも、平成18年から22年度の漁獲量が基準とされているのはなぜか。また、漁獲量を増やすのではなく、削減を求められる中で、漁業を成長産業に出来るのか等の声があり、ホタテ漁を営む方々は、これらの理由から同制度の枠組みに入らずにいる方が多くいます。
 陸と異なり資源環境の変化を直に調査することが困難である海を舞台に操業する漁業者が、将来に向けて意欲を持ち、経営に臨むことが出来るようにするためには、現在の漁業経営安定対策に対する浜の声が反映され、漁業者にとってより使いやすい制度とするべく、道としても努めるべきであります。このことに対する道の認識と今後の取組について伺います。

(知事)
 ○  鈴木知事
 漁業経営安定対策についてでありますが、漁獲変動等による減収に対して所得を補償する国の漁業収入安定対策事業の中で、ホタテガイなどの養殖業については、漁場環境への負担を減らすため、適正養殖可能数量を設定した漁場改善計画の策定が加入要件とされております。
 こうした中、本道の漁業関係の方々からは、ホタテガイや、カキ、コンブなどの餌を与えない養殖は、環境への負荷がほとんどないことから、実態に即して加入要件を見直すべきとの声が寄せられているところであります。 
 道としても、より多くの方々が、漁業経営のセーフティーネットとして本事業を活用できるよう、加入要件の見直しが必要と考えており、漁業者の皆様が将来にわたり安心して漁業を営むことができるよう、今後とも、関係機関と連携して、国に対し働きかけてまいります。

(浅野)
 三 道内企業への経営支援について
(一)北海道産業振興条例について
 本道への企業立地の促進や中小企業の競争力強化を図る目的で制定された道の産業振興条例助成制度に関し、道は有識者からなる検討部会を設置し、半導体関連、データセンター、雇用要件をはじめとした論点について、検討を重ね、GX金融・資産運用特区の指定を踏まえた税の優遇措置の検討もあわせて進めていると承知をします。
 雇用要件に関しては、5人純増させるという条件は、人口減少が進む地方では特に厳しく、人数の緩和や出向者も雇用増として見なすなど見直しを求める声が私の地元からも寄せられています。 
 特に製造業においては、人口が減る中でいかに作業の効率化を図り、生産性を上げるかが問われており、同制度の雇用要件を満たせず補助を受けられない企業があるとすれば、地方の事業者の切り捨てに繋がることが懸念されます。  道として、これらの声を踏まえ、雇用要件をどのように見直す考えでいるのか伺います。

(経済部長)
 はじめに企業立地助成制度についてでございますが、道では、「GX金融・資産運用特区」指定を受け、道税の優遇措置の検討とあわせて、これまでの本制度に関する道議会でのご議論を踏まえ、現在、企業立地助成制度の内容や要件等の見直しに向けた検討を進めております。 設備投資に伴う雇用者増の要件につきましては、地域では人口減少などにより、人手不足が深刻化している中、企業におきましては生産の効率化や省力化に向けた設備投資が増加していることを踏まえ、他県の制度も参考にしながら、企業立地助成制度を効果的に活用いただけるよう雇用要件の見直しの検討を進めてまいります。

(浅野)
 (二)商工会・商工会議所への支援について
 各地域における小規模事業者数をベースに、道は人件費を補助する経営指導員等の人数を定めていますが、令和7年度以降、相当数の商工会議所が定数減となることが見込まれており、また直ちに定数減とはせずとも、現在の人員が退職等した場合には新たな補充をしない方針が示されている商工会議所もあります。このことを踏まえ、本年3月7日、一層重要な役割を求められる商工会議所、商工会に対し、小規模事業指導推進費補助金の金額並びに設置定数の拡充等の支援が必要であると質問しました。
 あれから半年、物価上昇基調は継続している中で日銀が従来のマイナス金利政策を見直し、また本道の最低賃金が来月1日から1,010円とされることが決まる等、地方の中小企業の経営環境は一層複雑化しており、地域の企業と強固な信頼関係を築いている商工会議所、商工会に寄せられる期待はより大きくなる中、道としても、小規模事業指導推進費補助金の金額並びに設置定数の拡充等の支援のあり方についてどのように考え、いつ頃までに具体的な方向性を示す考えでいるのか伺います。

(経済部長)
 商工会議所や商工会への支援についてでございますが、 商工会議所や商工会は、地域の中小・小規模事業者等を支援する中核的支援機関として、経営相談や税務・金融指導といった事業に加え、近年の小規模事業者支援法の改正に基づき、新たに商品開発や販路開拓といった事業者の経営戦略に踏み込んだ伴走型支援のほか、最近では、キャッシュレス決済をはじめとした、デジタル社会の変化への対応など、支援業務が多岐にわたり、その役割は、これまで以上に重要になっているところでございます。
 一方で、人口減少や後継者不足などに伴い、商工業者数が減少するなど、商工会議所等を取り巻く環境は厳しさを増しているものと認識しており、また、こうした状況につきましては、これまでも団体から、道の支援について要望をいただいているところでございます。  道といたしましては、こうした実情を踏まえ、現在、商工会議所等への支援について、他都府県の状況を確認するとともに、商工団体との意見交換を進めるなどしており、今後とも、商工会議所や商工会の運営に支障を来すことがないよう、取り組んでまいります。

(浅野)
四 本道における経済安全保障等について
(一)経済安全保障について
 次に、本道における経済安全保障等について伺います。2022年5月11日にいわゆる経済安全保障推進法が成立し、また本年5月10日にはいわゆる重要経済安保情報保護活用法が成立し、経済安保上重要な機密情報にアクセスする必要がある人物に対して政府が適正評価を行い、適性が認められた場合のみアクセスが可能となるセキュリティクリアランス制度が整えられました。
 法律が成立した今、政府の経済安全保障政策に対する道の認識を改めて伺います。
 またセキュリティクリアランス制度に関し、「外部から行われる行為から重要経済基盤を保護するための措置又はこれに関する計画もしくは研究」が保護対象の情報とすることが想定されていますが、特定重要物資に指定されている半導体に関連し、国家プロジェクトとして道も推進しているラビダスによる次世代半導体の開発・生産を巡るこの制度が関係してくることも想定されます。
 道として同制度をどのように評価しているかを伺うと共に、同制度に期待される効果と、この制度に関係し得る本道企業の活動の自由とのバランスがとられるよう、どのように取組むのか伺います。

(経済部長)
 経済安全保障政策への対応についてでございますが、道内において、次世代半導体の製造拠点の立地や電力・通信インフラの増強など、経済安全保障に関連する産業活動が活発化する中、道といたしましては、一昨年に成立した「経済安全保障推進法」の趣旨に鑑み、事業者の方々の経済活動の自由と、国家及び国民の皆様の安全のバランスが取られることが重要と認識しております。
 また、本年5月に成立した「重要経済安保情報保護活用法」は、安全保障に資する国内の重要情報の保護につながる一方で、情報漏えいの防止を図るため、企業活動に一定の制約が課されることなどが懸念されると考えており、道といたしましては、引き続き、法律の運用基準の策定など国の検討状況を注視しますとともに、道民の皆様や関連事業者の方々に対する影響をはじめとした丁寧な情報提供を国に求めるなど、関係機関とも連携しながら、適切に対応してまいります。

(浅野)
五 本道の強靱化について
(一)道道整備について
 道が道道として認定をしつつも一部未開通区間が残されている道道は全道で40路線あり、その中の4路線では未開通区間の事業化が進み、その他36路線では事業化のめどが立っていないと承知します。
1 未開通区間について
 そもそも道として、そこに道路を通すことを大前提としてこれらの路線を道道に認定しているものと理解しますが、今日まで未開通区間のあるものが残され、事業化のめどが立たずにいることに対する道の認識をまず伺います。
 またこのことが、本道の強靭化を進める上でどのような影響を及ぼしていると道は認識しているのか伺います。

(建設部長)
 本道の強靱化に関し、はじめに道道の未開通区間についてですが、道では、道路法第7条の規定に基づき、市又は人口5千人以上の町同士を結ぶ路線やこうした市町と主要な飛行場や港湾、観光地、さらには高速自動車国道を連絡する道路など、必要な路線を道道として認定しているところでございます。
 また、道道の未開通区間のうち事業着手していない区間については、急峻な地形等により、いずれも大規模な事業となることが見込まれるなど、様々な課題があるため、事業化のめどが立っていないところでございます。
 一方、近年、豪雨などによる自然災害が激甚化・頻発化し、巨大地震の発生が懸念される中、国土強靱化の観点からは、災害時に集落の孤立を防ぎ、救急搬送や支援物資の輸送を可能とするためには、代替性が確保された道路ネットワークの構築は重要と認識をしております。

(浅野)
2 費用の算出について
 道は過去の議会議論を見ても、道道の未開通区間を事業化できない理由に「大規模事業となることが予想されるため、事業化に向けて慎重な検討が必要」との旨の答弁を繰り返していますが、これら道道の事業化に必要な費用は果たしていくらなのか、道はどのような算出をしているのか伺います。

(建設部長)
 道路事業費の算出についてですが、道道の未開通区間においては、地域から整備要望のある路線等について、事業化の可能性について検討するため、概算の費用を算出しております。
 費用につきましては、既存の地形図や航空写真を活用するほか、地質の資料などを参考とし、道路を新設する案や、既存の林道を活用する案などを比較検討した上でルートを選定し、必要となるトンネルや橋梁などの構造物も含め算出しているところでございます。

(浅野)
3 事業化への取組について
 未開通区間の事業化が実現していない路線の中にも、小平幌加内線、夕張新得線や夕張長沼線、苫前小平線のように沿線自治体、関係団体等により期成会などが結成され、事業化に向けた要望や研究活動などが熱心に実施されているものもあります。 しかし、これらはいずれも道が認定した道道であり、本来であれば道自らが事業化に向けて動くべきものであります。
 道はこれらの要望に対し、ただ「事業化は困難」と答えるのではなく、事業化に必要な費用を示してその低減に努め、沿線市町村とともに便益を算出してその上昇に向けて研究する等して、費用対効果が1.0を超えるように、事業化に向けた具体的な取組を行うべきと考えますが、道の認識を伺います。

(建設部長)
 事業化に向けた取組についてですが、道道の未開通区間については、急峻な地形などから多額の事業費が見込まれており事業化に向けては、費用対効果など課題が多いと考えているところでございます。
 こうした中、夕張新得線などについては、毎年、個別路線の期成会から要望をいただいているほか、苫前小平線については、地域の関係者の方々により未開通区間の事業化に向けた研究会が設置されており、道では、地域の議論が進むよう、必要な資料を提供してきたところでございます。
 道としては、今後とも要望等を踏まえ、必要に応じ、地域とともに未開通区間の整備のあり方について検討してまいります。

(浅野)
(二)新たな公共事業評価手法について
 国土交通省の中に学識経験者等から構成される「公共事業評価手法研究委員会」が設置され、その中では、費用対分析を含めた総合的な公共事業の評価をするために、交通量の増加等の貨幣に換算した従来の便益のみならず、環境への影響や災害時における輸送の確保等、貨幣換算が困難な効果項目も含めた事業の投資効果を分析する手法等について議論が交わされています。
 主要諸外国と比較しても、費用対効果分析が1.0を超えることを事業化の要件としている国は日本を除いてなく、同委員会の議論が深まることで、特に広域分散化が著しい本道において、既に述べた未開通区間の残された道道の整備をはじめ、費用対効果分析のみでは事業化が困難であっても、地域で必要とされる公共事業を今後進めることが可能となることが期待できます。
 道は同委員会の議論をどのように評価しているのかを伺うとともに、費用対効果分析を重視した従来の手法とは異なる新たな公共事業評価手法の確立に向け、今後どのように取り組むのかを伺います。

(建設部長)
 公共事業の評価手法についてでありますが、道ではこれまで、国に対し、道路事業の評価について、従来の走行時間の短縮といった効率性の面だけでなく救急医療や観光への貢献など、多様な効果を考慮した手法となるよう求めてきたところでございます。
 また、現在、国の社会資本整備審議会道路分科会事業評価部会において、現行の道路事業の費用便益分析では、走行時間短縮便益、走行経費減少便益、交通事故減少便益の3つの便益のみを貨幣換算しておりますが、この手法では、災害時の代替路確保や救急救命率の向上など、十分評価ができていない効果もありますことから、これらも含めて総合的に評価する手法が検討されていると承知をしております。
 こうした事業評価手法の見直しにより、道路事業による多様な効果が便益に計上され、貨幣換算が困難な効果も含めて総合的に評価されることは、比較的交通量が少ない地方部における道路事業の必要性や整備効果についても的確に事業評価に反映できるものと期待をしており、今後も、国の事業評価手法の検討状況を注視するとともに、地域の実情を踏まえた内容となるよう、国へ働きかけてまいります。

(浅野)
(三)国道の強化について
 現在の国土強靭化計画の中で「高規格道路のミッシングリンク解消及び4車線化、高規格道路と直轄国道とのダブルネットワーク化等による道路ネットワークの機能強化対策」が謳われている通り、本道における強靭化を進める上では、国道の強化が極めて重要です。留萌管内では国道232号線が管内を貫く大動脈の役割を果たしており、令和2年度より小平防災事業が進められています。
 道としても同事業をはじめとする国道の強化に必要な予算確保等について、沿線市町村とともに国に要望する必要があると考えますが、道の認識と今後の取組について伺います。

(知事)
 国道の強靱化についてでありますが、国道などの幹線道路は、市町村間の交流拡大をはじめ、物流や観光振興など本道の経済活動を支えるほか、通勤や通学、救急医療を支援するなど道民の安全、安心な暮らしを守る上で重要な役割を担っております。
 また、近年では、豪雨などによる自然災害が激甚化・頻発化しておりますほか、巨大地震やそれに伴う津波の発生が懸念されることなどから、災害に強い道路ネットワークの整備がますます重要であると認識しております。
 こうした中、「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」により、道路ネットワークの機能強化に向けた取組が進められているほか、国においては、昨年6月に改正された国土強靱化基本法に基づき、計画期間や施策の内容・事業規模などを定める実施中期計画の策定に向けた検討が進められております。
 道としては、国土強靱化の取組が着実に進むよう、実施中期計画の早期策定や国道の整備に必要な予算の確保などについて、市町村や関係団体等と一体となって国に要望するなど、北海道の一層の強靱化に向けて取り組んでまいります。

(浅野)
六 道警への信頼回復について
 最後に、道警への信頼回復について伺います。
 本年4月以降、警察官による大麻譲り受け、不適切飲酒、不適切交際、盗撮行為等の非違行為が続発し、道民の警察に対する信頼を損なう事態となっています。
 しかし、道警は近所トラブルや交通事故への対応、特殊詐欺の防止などの道民の日常的な困りごとに対処すると同時に、危険を伴う重大事件の捜査や要人警護、更には暴力主義的破壊活動を行う危険性のある団体等への調査をはじめとする治安維持やテロ防止等、非常に多岐に渡る重大な業務を担っており、道民の安全安心を確保するには絶対に欠かすことの出来ない最も重要な組織であります。
 道警は道民が抱いている不安を払拭し、道民の信頼を回復させ、治安責任を果たす必要があると考えますが、道警は今後どのように再発防止に取り組み、道民の信頼を回復していく考えでいるのか伺います。

(道警本部長)  
 道警察の信頼回復に向けた取組についてでありますが、本年に入ってから、職員による麻薬特例法違反、北海道青少年健全育成条例違反、不適切交際事案等の非違事案が相次ぎ、道民の道警察に対する信頼を著しく損なう事態となっていることを、重く受け止めているところであります。道民の皆様に深くお詫び申し上げます。
 道警察では、再発防止に向け、警察本部長名で、私生活における適切な部外交際及び飲酒の在り方を含めた警察職員としての規律の振粛について各所属長に通達したほか、各所属の副署長等を対象とした緊急のブロック別会議を開催して問題点の共有を図り、人事管理の在り方等を協議するなど、取組の強化を進めているところであります。
 道警察といたしましては、引き続き、取り得る施策をきめ細やかに実施し、道民の信頼回復に努めてまいります。

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