予算特別委員会で総合政策部に質問しました!

昨年11月、オホーツク管内滝上町で交通事故が発生した際、救急車の到着が遅れ、事故に遭った方がなくなるという痛ましい事態が生じました。この地域は携帯電話の電波が十分に届いていない地域であり、それが救助を遅らせたといわれています。広い北海道にはこの地域の他にも多く不感地帯が残されています。私の地元留萌管内にもあります。「不便」を超えて命に関わるこの事態を解消すべく、道が旗振り役となり、市町村、国、民間事業者を巻き込んだ協議の場をつくるべきです。

平成28年第1回北海道議会定例会

予算特別委員会(部審査)開催状況

開催年月日 平成28年3月17日(木)
質問者 北海道結志会 浅野貴博 委員
担当部課 総合政策部情報統計局情報政策課
        〃   人口減少問題対策局地域戦略課
     建設部建設政策局維持管理防災課

携帯電話不感地域への対応について

日本の総面積の22%を占める面積を誇る広大な北海道は、その広大さ、自然環境の豊かさなどで国内外の多くの観光客、ファンを魅了している地域でございますが、一方でその広域分散化が道民生活に際して多大な不便さ、時には危険さを与えている、そういう面もあることを否めません。

昨年11月13日、オホーツク管内滝上町の国道で男性が車にはねられて死亡するという痛ましい事故が起きました。事故現場に向けて救急車が出動するまでに、約40分もの遅れが生じたとされておりますが、その背景には、事故現場が携帯電話のつながりにくい地域であったことがあるとされております。この区域以外にも道内には各地に携帯電話の不感地域があり、そのことが道民生活の向上を妨げ、この事故のように守られたはずの貴重な命が守られないという事態を招くことにつながっているとも考えます。私の地元の留萌市、留萌管内にもそうした地域が多々ございます。このことを踏まえて、以下質問をいたします。

1.質問 : 道路における携帯電話不感地域の状況について

滝上町で生じた事故について報じた昨年11月22日付け北海道新聞によると、道内の各地にもある不感地域のある国道、滝上町の事例と同様に事故が生じることを懸念する声も出ているとのことであります。また、同じ新聞報道によりますと、全道の道道864路線のうち3割に当たる279路線でも不感地域があるとのことでありますが、改めて道内の国道並びに道道における携帯電話の不感地域の状況について説明を願います。

答弁 : 菰田地域情報化担当課長

道路におけます携帯電話の不感地域についてでございますが、北海道開発局に聞き取りをいたしましたところ、国道につきましては、携帯電話会社3社のホームページにおけるサービス提供エリアから判断しまして、国道延長の5、6%から12、13%が不感地域に該当しているとのことでございました。

また、道道につきましては、道路管理パトロールにあたりまして、携帯電話不感地域を把握するため、平成25年度に行いました調査では、道が管理する道道864路線のうち230路線279箇所で、携帯電話がつながらない箇所があったということでございます。

2.質問 : 不感地域における交通死亡事故について

ただ今、ご説明をいただきました道内各地の道道並びに国道の不感地域におきまして、昨年の滝上町と同様の事故が起きた事実はありますでしょうか。電波が届かないことにより救助が遅れてしまった、それにより命が助からなかった、そのような事例は他にもありますでしょうか。

答弁 : 菰田地域情報化担当課長

不感地域におけます交通死亡事故についてでございますが、携帯電話の不感地域で発生しました交通事故におきまして、救助要請が正確に伝わらず、救助が駆けつける時間が遅れまして人命が失われるという事例につきまして、関係部署に確認をしましたところ、そのような事例の有無については、把握していないということでございました。

3.質問 : 関係部署について

関係部署に確認をしたところ、把握をしていないとのことでありますが、関係部署とはどこに当たるのか説明願います。

答弁 : 菰田地域情報化担当課長

関係部署についてでございますが、交通安全を所掌する環境生活部、救急を所掌する総務部、交通事故を所掌する北海道警察に確認をしたところでございます。

4.質問 : 交通死亡事故の把握について

環境生活部、総務部、北海道警察の皆様でも把握をされていない。今後、この道内各地の不感地域を解消していくことが喫緊の課題だと思うのですが、過去に起きた各地の事故でその地域が携帯電波が届く所だったかどうだったか、そうした観点からも、事故の実態をそうした視点を持って把握に努めていただくことが解消に向けた必要な第一歩になると思いますので、今後、そのような視点で道内各地で起きてしまった事故の事実関係を把握するということに努めてにいただきたいのですがいかがでしょうか。

答弁 : 近藤情報統計局長

交通死亡事故の把握についてでございますが、携帯電話の不感地域で発生いたしました交通死亡事故と同様の事故の把握につきましては、今、委員からご指摘がございました点も踏まえまして、今後、関係部署に働きかけてまいりたいと考えているところでございます。

指摘 : 

是非、総合政策部の皆様が中心となった働きかけをしていただきたいと思います。

5.質問 : 不感地域の解消に向けた動きについて

次に、広域分散という他の都府県にない事情を抱える本道におきましては、交通手段として車に頼らざるを得ないという事情がございます。また、道内各地を移動する中で、不感地域を避けて別の道を通るということもなかなかできません。このような不感地域を放置したままでは、滝上町と同様の事故が起きてしまう可能性は否定はできません。北海道における不感地域の存在、これは単なる不便を超えて、人の命を危機にさらすこともあるものだと考えます。道としてこの点についてどれだけの危機感を抱き、滝上町での事態が生じてから、このような不感地域の解消に向け、どのような取組を今日までしてこられたのか、具体的に説明を願います。

答弁 : 菰田地域情報化担当課長

滝上町の事故後の動きについてでございますが、携帯電話は、安全安心な暮らしや社会経済活動にとりまして欠かせないものとなってきており、不感地域の解消は、重要な課題と認識をしております。

このため、道では、滝上町の事故が生じた以降、西紋別地区総合開発期成会によります国道273号の携帯電話不感地域解消及び緊急通報体制の整備についての要請を受け、国をはじめ携帯電話事業者や北電などから整備に対する考えをお聞きするなどの情報収集に努めますとともに、国道・道道におけます緊急通報体制促進に向けた対応や、携帯電話不感地域解消に向けた対応につきまして、道の取組方向などについて、ご説明をしてきたところでございます。

6.質問 : 不感地域の解消における課題について

道としても全く何もしてこなかったわけではないとは思います。一方で、不感地帯に携帯電話の電波を通すためには、基地局の設置並びに伝送路の整備が必要であります。それにかかる費用をどうするかということが問題だと思います。国、道、市町村、そして事業者の負担割合をそれぞれ示した制度があると思いますが、例えば、島根県や新潟県、高知県も含まれるかと思います基地局設置については、市町村の負担を実質ゼロにする、そのために過疎債などを活用するという対応を取っておりまして、本道においてもそのような対応は既に取られているものと承知をいたします。しかし、それでも、道内の不感地域全てが未だ解消されるまでには至っておりません。こうした不感地域の解消を実現させる上で、どのような課題があるのか改めて説明を願います。

市町村の負担もさることながら、やはり事業者の初期投資のコスト並びにランニングコストがなかなか厳しい。採算性の問題が一番大きいのかなと思います。それでもその不感地域をそのまま野放しにするわけにはまいりません。

答弁 : 菰田地域情報化担当課長

不感地域の解消のための課題についてでございますが、携帯電話の整備につきましては、民間事業者による整備を基本としましてサービスエリアの拡大が進められておりますが、地理的条件が不利な地域におきましては、携帯電話の整備に必要となる伝送路施設の整備が遅れておりまして、また、居住者や入込客数、交通量も少ないことなどから、採算性の面から整備が進みにくい状況にあるものと認識をしております。

また、市町村が国の補助制度を活用しまして整備をしようとする場合におきましても、民間事業者にあっては、こうした課題のほか、無線通信機器保守などの維持管理費や伝送路の使用に多額の後年度負担を要しますことから、事業への参画を躊躇する場合もございまして、整備の障害となっているものと認識をしております。

7.質問 : 不感地域解消に向けた働きかけについて

その解消に向けて、まずはそうした地域を抱える市町村、事業者を巻き込んで、予算確保、負担分担のそれぞれのあり方、また直ちに解消がされない中でもどのような対応策があるかどうか、当面の対応のあり方などを協議していく必要があると私は考えます。そうした協議の場を作ることを、昨年11月に事故のあった滝上町の関係者の方々は強く望んでいると聞き及んでいるところでございます。3月10日の一般質問において、関係者による情報交換の場をなるべく早期に設けられるように働きかけをする旨の答弁、窪田部長からなされていたかと思います。このような情報交換の場は、道内のどこの市町村と、またどのような関係機関に参加を呼びかけるのか、道として現時点で想定しているものをご説明願います。

答弁 : 佐々木地域戦略課長

情報交換に向けた働きかけについてでございますが、国道や道道における携帯電話の不感地域の解消に向けては、国の機関として北海道の情報通信の状況などを把握し、不感地域解消支援事業の窓口でもある北海道総合通信局や国道を管理する北海道開発局そして、基地局の設置や伝送路の整備を行う携帯電話事業者など関係する機関が持つそれぞれの事情や課題などについて、まずは情報を共有する必要があると考えているところでございます。

8.質問 : 不感地域解消に向けた組織づくりについて

そのような場で、交換した情報を、不感地域解消に向けたより確かで力強い力へと変えるためにも、こうした関係団体と共に協議会のような場をつくり、何とか検討会議とかその名称はいろいろあるかと思うのですが、定期的な意見交換をしっかりと行って、国等への要望を共に行う強力な組織へとつくっていくことが必要かと思います。そのためには、道が先頭に立ち、提唱していくべきと考えますがいかがでしょうか。

答弁 : 渡辺人口減少問題対策局長

携帯電話の不感地域解消に向けた方向性についてでございますけれども、国道や道道におけます不感地域の実態ですとか、基地局の設置に対する携帯電話事業者の考え方など、関係機関がそれぞれ持つ情報や課題を共有することがまず必要だというふうに考えてございます。

こうしたことから、道といたしましては、国や携帯電話事業者など関係機関による情報共有の場を設置できるよう働きかけを行ってまいりたいとこのように考えております。

9.質問 : 市町村への働きかけについて

課題の共有が必要であり、そうした情報共有の場を設置できるような働きかけを行って参りたいとのことですが、先ほどご答弁にあった関係機関、北海道総合通信局、北海道開発局並びに携帯電話事業者、市町村というのが入っておりませんが、市町村にこの情報交換の場、参加を呼びかける考えはないのでしょうか。

答弁 : 渡辺人口減少問題対策局長

市町村への働きかけということでございますけれども、人が居住する地帯で不感地域がある市町村は、現在、私どもが把握しているところでは、全道で約60市町村ございます。一方で、今回の事例のような国道・道道におきます不感地域の詳細につきましては、なかなか把握できない面もございますことから、まずは先ほど申し上げましたように、行政機関や民間事業者を対象としたものにしていきたいというふうに考えております。

指摘 : 

不感地域を抱える市町村は全道で約60あると、道として把握されておられますけれど、その60市町村の具体的にどこの地域が不感地域であるかということはなかなか把握できていないということだと思うんです。一方で、滝上町のように現実に事故が起こった地域は一日も早くそういう協議の場を作って欲しいという思いを持っているところもあるかと思います。一方でそういう不感地域を抱える市町村の中でもその解消に向けた思いの強さと申しますか、そうしたものも若干の違いもあると思いますし、道においても、道のどの組織がそうした旗振り役をやるのか、いろんな今後まとめていく課題もあるかと思います。そうしたものを一日も早く、まずは情報交換、その協議会づくりの下地となる場を早く作っていただいて、やはりいずれは不感地域を抱える市町村の具体的な声を聞いて共に活動していくという場づくりに一日も早く繋げていただきたいと思いますので、しっかりとした働きかけを行っていただくことをこの場で要請をしたいと思います。

10.質問 : 不感地域解消に向けた今後の取り組みについて

続きまして、不感地域、この解消に向けた今後の取り組みを伺いたいのですが。先ほど私申し上げました、この問題はただ不便だという問題を超えて、不便さを超えて命に関わる問題であると。それもあるのですけれど、いま高橋知事が人口減少危機突破、これを最重要課題として掲げられておられます。人口をいかに減少をとどめていくかそのためには交流人口を増やさなくてはいけない、力強い本道経済をつくらなくてはいけない、その一つとして本道に外国からの観光客300万人を2020年までに増やすことを達成すると言っておりますが、今、爆買いと言われる外国人観光客の現象がありますけれど、いずれはそうした一時的なブームも去って北海道の隅々いろんなところを知りたいと、より深い北海道通になりたいという外国人の方が増えると思うのです。そうした方々が道央圏のみならず不感地域を抱えるような地方にどんどん来てもらうことがこれから必要ですが、その際に携帯電波が届かなかった、情報をなかなか得ることができなかった、事故があったときに危険な目に遭った、外国の方のみならず道外から来たお客様にもそういう不便な思いをさせることは、知事が掲げる道の皆さまが進めている目標達成には大きな足かせなると思うのです。こうした思いを込めてですね、不感地域の解消というものを実現させる上でも、一つでも多くの不感地域を解消して、来道者に命の危機に繋がりかねないような不便さを感じさせることのないようにしなくてはいけない。この観点を含めて、不感地域の解消に向けて今後道はどのように取り組んでいくのかこの問題について最後お伺いをしたいと思います。

是非、情報交換の場をまずはつくって、しっかりとした解消に向けての取り組みを進めていただきたいと思います。

答弁 : 窪田総合政策部長

携帯電話の不感地域解消に向けた今後の取組ということで受け止めさせていただきます。携帯電話は、ただ今、委員からご指摘がございましたとおり、安全安心な暮らしや社会経済活動、さらには本道の地域振興にとって欠かせないものとなってきておりまして、道内のどの地域におきましても利活用できるよう環境整備を図っていくことが重要と考えているところでございます。

このため道といたしましては、毎年度市町村に対しまして、不感地域の現状ですとか整備希望エリアの調査を行い、その結果を基に、国や携帯電話事業者との意見交換を実施をいたしまして、国の補助制度を活用した不感地域解消に向けた取り組みなどを進めてきているというところでございます。

また、引き続き国に対しまして、民間事業者への助成制度の創設など支援策の充実でございますとか、現在、固定電話や緊急通報など電話サービスを対象としているいわゆる「ユニバーサルサービス制度」がございますけれども、この制度をを見直して、携帯電話も対象とするよう、他都府県とも連携しながら働きかけるとともに、人の居住していない不感地域につきましても、主要道路等にあっては、防災上の観点からも解消を図ることが必要というふうに考えてございまして、国や携帯電話事業者などと連携をいたしまして、関係者による情報交換の場を設置できるよう働きかけをして参りたいと考えているところでございます。

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