留萌管内をはじめ全道的な課題を一般質問で取り上げました(2022年12月6日)

目次

一般質問の主な内容

 12月6日、本会議で一般質問に立たせて頂きました。現下の本道の情勢を踏まえ、特に地元選挙区の留萌管内の課題をベースに、道の認識と今後の取組について質問しました。

 主な質問項目は以下の通りです。


一 新たなコロナ対策の道民への周知について
 ➡9月末から始まった4類型のコロナ患者のみを保健所がフォローする新たな取り組みについて、道民への周知がまだ十分ではないのではないかという質問を行いました。
二 持続可能な本道交通網の整備について
 ➡JR留萌線配線後のバス路線維持に向けた道の取組を質しました。
三 世界を見据えた本道のあり方について
(一)北海道グローバル戦略について

 ➡今年度中の見直しが進められている当戦略におけるアフリカ地域の位置づけについて質問しました。2050年には世界の4人に1人がアフリカ地域の方々になることが推測されており、今のうちに道も当地域とのネットワークづくりに尽力すべきです。
(二)外国人技能実習制度について
 ➡政府において制度の見直しが進められている技能実習制度は、実習生が被害者となるケースが遥かに多いものの、ルールを順守しているのにもかかわらず突然実習生が失踪する等のケースもあり、受け入れ先の企業の中にも困っている方々がいるという視点にも立って議論がなされるべきであり、道の対応について質しました。
四 本道農業の振興について
(一)農業生産基盤の維持について

 ➡食料安全保障政策を推進するチームが道庁内で発足しておりますが、特に酪農業は多くの経営者が廃業の危機に迫れており、喫緊の課題として農業生産基盤の維持に向けて道はどのように取り組むのか質問しました。
(二)和牛振興について

 ➡10月に開催された第12回全国和牛能力共進会鹿児島大会に続き、次に開催県となる道として、5年後の大会に向けてどのように本道和牛の振興を進めるのか質問しました。
(三)HOKKAIDO酒アワードについて

 ➡本年で2回目の開催となった酒アワードにより、道産日本酒の出荷量や酒米の作付け、海外へのPRはどのようになっているのか質しました。
五 本道水産業の振興について
(一)ブルーカーボンについて

 ➡留萌市、増毛町でも具体的な取り組みが進んでいるブルーカーボンについて、掛け声だけではない具体的な事業化つまり経済効果をもたらすためにどのように取り組むのか質問しました。
(二)ニシン資源について

 ➡昨年以上に豊漁で資源回復が着実に進んでいるニシンについて、今後の見通しを質しました。
(三)水産加工業の振興について

 ➡カズノコを生産する留萌管内の水産加工会社にとってニシンの豊漁は喜ばしいことですが、業務用塩が値上がりし電気料金と並んで大幅なコスト増の要因となっていることを取り上げ、道の支援について伺いました。
六 地域の実情に即した森林整備のあり方について
(一)森林整備に関する補助金等について

 ➡本道の森林は地域によって事情が異なっており、地域事情に沿った森林整備補助金のあり方が必要だとする意見に対する道の認識を質しました。
(二)木材販売における運搬経費について
 ➡国が実施している原木の運搬経費助成事業の対象とならない木材事業への道の支援のあり方について質問しました。
七 本道の企業誘致について
 ➡本道への企業立地を促すための政策として「北海道産業振興条例」がありますが、該当条件が厳しい等の指摘があることについて道の認識を質しました。
八 本道教育が抱える課題について
(一)持続可能な学校給食のあり方について

 ➡留萌市が検討を進めているスクールランチ構想について質問しました。
(二)旧道立高校の校舎等の利活用について
 ➡旧留萌高校をはじめ閉校となった教育財産の利活用の状況と、来年3月いっぱいで閉校が決まっている南幌高校への対応について道教委の認識を問いました。

 それぞれ道からは真摯な答弁を得られました。今後も地域の声を踏まえ、議会で発言して参ります。

得られた主な答弁

 得られた答弁の中で特に私が注目したものの概要を以下お伝えします。


・この度廃線を受け入れた沿線自治体の決断は極めて重い。通学・通院などの利便性に最大限配慮しつつ、地域の持続的な地域交通の確保に向けて取り組む。
(JR留萌線廃線後の代替交通確保について)

・本年11月に設置された外国人技能実習制度に関する国の有識者会議には、都道府県では唯一自分(鈴木知事)が構成員として参画することから、企業と実習生の双方にとってより良い制度となるよう、道内外の実情を踏まえた提案を積極的に発信する。
(外国人技能実習制度について)


・厳しい生産環境にある酪農経営に対しては、道産飼料の生産拡大に必要な機械導入への支援や配合飼料価格安定制度の生産者負担金の全額支援等の支援をしてきたが、今後とも生産者の皆様が意欲を持って営農に取り組めるよう強い危機感をもって更なる支援に努める。
(農業生産基盤の維持について)

・本道の水産加工業は道内食品工業出荷額の約3割を占め、地域の経済・雇用を支える重要な産業だが、長引くコロナ禍や、原材料価格、特に水産加工業に欠かせない業務用塩をはじめとした生産コストの高騰により厳しい経営環境にあり、原材料の安定供給に加え、新商品開発や生産性向上、マーケティング支援や商品の磨き上げ等の経営安定と体質強化への支援をして参る。
(水産加工会社への支援について)

・現在留萌市において、学校給食施設を民間事業者に売却し、その事業者が昼食の提供を行うという「スクールランチ」に移行しようとする構想が進められていることは承知しており、市の行財政改革の取組として効果があると考えられるが、栄養管理や食に関する指導の観点から慎重に検討することが必要と考える。
(持続可能な学校給食について)

質問と答弁

(浅野)
一 新たなコロナ対策の道民への周知について
 初めに新たなコロナ対策に関する道民への周知について伺います。本年9月末より、道内の各保健所では新型コロナウイルス感染症に陽性となった方々に関し、高齢者、妊婦、基礎疾患のある方、入院を必要とする方の4類型の方々のみを把握し、それ以外の方々に関しては陽性者登録センターへの登録を通じて道本庁が把握するという体制がとられています。
 一方で、報道では以前と変わらず全体の新規感染者が伝えられるスタイルが取られていることからしても、何が変わったのかが明確でなく、陽性となっても4類型に該当しない場合は、基本的に自宅療養となることなどが道民に十分にまた伝わっていない現状があるものと感じています。
 飲食店への時短要請や酒類提供停止の要請等の行動制限が求められることがない中で、コロナとともに共生する社会づくりを一層進めるには、医療資源が適切に利用され、リスクの高い方々の命が守られるよう現在のコロナ対策の基礎的なあり方の周知に、道はより一層、努めるとともに、ワクチン接種の推奨や、基礎的な感染防止策の徹底等改めて道民に求めていく必要があります。この点に対する道の認識並びに今後の取組について伺います。

(知事)
 最初に新型コロナウイルス感染症対策に関し、道民の皆様との認識の共有についてでありますが、道では、本年9月の全数届出の見直しに併せ、限りある医療資源の中でも、重症化リスクのある方に適切な医療を提供することが重要であるとの認識の下、自宅療養される方々の健康フォローアップ機能を整備するとともに、必要な支援の流れをチラシやホームページなどにより、分かりやすく周知するなどして、安心して療養できる体制づくりを進めてきたとこであります。
 こうした中、先月には、新規感染者数が感染拡大の局面を迎えたことから、即応病床フェーズを最大の3に引き上げるとともに、施設の集団感染対策の強化に加え、改めて、道民の皆様に・基本的な感染対策の徹底や、普段と異なる症状がある場合には、外出・登校等を控えること、オミクロン株対応ワクチンの速やかな接種の検討、さらには、食料品や解熱剤、検査キットの準備等、セルフケアの実践とともに、自己検査を行った方の陽性者登録センターの活用等について、呼びかけを強めてきているところであります。
 今後とも、多様な媒体を活用し、こうした取組の分かりやすい周知に努め、全道どこの地域でも、治療を必要とする方々が適切に医療を受けることができるよう、保健医療提供体制の充実・強化に向け、力を尽くしてまいります。

(浅野)
二 持続可能な本道交通網の整備について
 次に持続可能な本道交通網の整備について伺います。
 8月30日に開催されたJR留萌線の在り方を議論する第9回沿線自治体会議において、留萌線を【留萌―石狩沼田】間と【石狩沼田―深川】間の二つに分けて段階的に廃止する案を沿線自治体は受け入れ、留萌線の廃線が正式に決まりました。
 現在留萌市では、市民の考えを聞きながら廃線後のまちづくりの構想を練っているところでありますが、最大の懸案は代替交通となるバス路線の維持であり、JRの廃線を受け入れた自治体に関連する路線への重点的な支援が必要であることは論を俟ちません。
 道として、JR廃線を受け入れた地域におけるバス路線の維持、確保に向けてどのように取り組むのか伺います。

(知事)
 地域交通の確保についてでありますが、JR留萌線については、これまで沿線自治体や関係者の皆様が様々な観点から、幾度となく真摯に議論を積み重ねてこられた結果、廃線に合意されたものと承知をしており、道としても、その判断は、大変、重いものであると深く受け止めているところであります。 
 こうした地域のご判断を尊重した上で、現在、留萌線沿線地域では、廃線後における地域交通の確保方策として、利用者目線に立った早朝の通学・通勤と夜間の時間帯におけるデマンドタクシーの導入や高規格道路を活用した速達便バスの新設などといった地域の実情に応じた交通体系が構築できるよう、沿線自治体、JR北海道、関係交通事業者等による協議の場に道も参画しながら、様々な観点から検討を進めているところであります。
 道としては、新たな交通体系の構築はもとより、持続可能な地域交通を確保していくためには、地域の皆様に一層、寄り添いながら、丁寧に検討を進めていくことが重要と考えており、今後も引き続き、市町村や交通事業者など地域の皆様と連携し、沿線地域の実情や社会情勢の変化に応じた地域交通の最適化を図る観点から、通学・通院などの利便性に最大限配慮しつつ、持続的な地域交通の確保に向けて取り組んでまいります。

(浅野) 
三 世界を見据えた本道の在り方について
(一)北海道グローバル戦略について
 本道が国際社会の中で、今後どのように生きていくかを決める重要な指針となる北海道グローバル戦略について、我が会派の代表格質問に対し、「今年度中に見直す」旨の答弁を道はしています。
 見直しに際し、短期的には成果が見づらくとも、今後人口増が推計されている地域との連携など中長期の観点に立ち、新たな本道の国際戦略を練ることも重要と考えます。例えば、アフリカ地域に関して言えば、多くの国々が独立を果たした1960年代には人口が4億人余りだったものが、現在は世界人口約70億人のうち11億人を占めるに至り、世界人口が約97億人になると言われる2050年に同地域の人口は24億人となり、世界の4人に1人はアフリカ地域の方々となることが推計されています。アフリカ中部のウガンダを例にとると、同国の人口は現在4,400万人ほどですが、2050年には1億人と、日本の人口と並ぶことが予測されています。現時点で道は、グローバル戦略におけるアフリカ地域の位置づけについてどのように認識しているのかを、まず伺います。
 本年8月にチュニジアで開催されたTICAD8では、「チュニス宣言」が採択されました。岸田文雄総理は、「人への投資」、「成長の質」を重視し、今後3年間で官民総額300億ドル規模の資金を投入するなど、アフリカ地域への投資促進を図ることを表明されております。
 本道にとって地理的に近く、既に様々な分野での交流が進んでいる東アジアや東南アジア諸国を今後も重点地域として捉えるのは当然でありますが、政府の方針や人口動態等将来性を踏まえ、中長期を見据えて、道としてもアフリカ地域とのネットワーク構築を検討することも意義があると考えます。道の認識並びに今後の取組について伺います。

(総合政策部長)
 北海道グローバル戦略に関し、アフリカとの交流についてでございますが、道では、北海道グローバル戦略において、アフリカに対して、技術協力や国際貢献の取組を推進することとしており、JICAが実施する事業により、道内では、過去5年間に、オンラインを含め、アフリカから800名を超える研修員を受け入れたほか、道内出身者が海外協力隊としてルワンダやカメルーンといった国々に派遣されるなど、JICAと連携して、国際協力に取り組んできたところでございます。
 今後の人口増加が見込まれるアフリカをはじめ、将来の発展が期待される世界各地域との交流は重要でありますことから、道といたしましては、引き続き、HIECCなどとともに、アフリカ諸国を含む開発途上国からの研修員の受入れ等に協力するほか、本年2月にJICAとの間で締結した包括連携協定を活用しながら、本道から派遣される海外協力隊員による北海道のPRや、母国へ帰国した研修員に対する情報提供などを通じて、アフリカにおける北海道の認知度向上や、人的ネットワークの強化に取り組んでまいります。

(浅野)
(二)外国人技能実習制度について
 1993年から開始されたこの制度は、様々な課題が指摘されており、同制度に関し、本年11月22日、政府は有識者会議を設置し、特定技能制度との統合などを含めた制度改革の議論をスタートしています。
 出入国在留管理庁の統計によりますと、全国で2020年には7,167名、本道でも192名の失踪者が出ているとのことであります。
 実習生が失踪した受け入れ先からは、就労時間や給料、休日等の就労条件を遵守し、家族のように接していたのにも関わらず実習生がある日忽然といなくなり、現場の担い手確保に大変な苦労を強いられたとのお話を伺いました。実習生に過酷な労働を強いる質の悪い受け入れ先があることは事実でありますが、それはあくまでごく一部のことであり、受け入れ先すべてに問題があると看做されるのは公平ではないと考えます。
 実習生が失踪する背景には、実習生を甘言によって誘い出す悪徳ブローカーの存在等も指摘されております。 実習生の失踪原因について道はどう把握しているのか伺うとともに、まじめにルールを守っている受け入れ先企業等が困難に直面している現状に対してどのような認識を有しているのか伺います。
 技能実習制度については、制度設計と受け入れ側の実情が乖離しているとの声も多く、制度の在り方そのものを抜本的に見直す時期に来ていると考えます。その見直しに際しては、実習生の権利が守られることは当然でありますが、ルールを守っている真面目な受け入れ側にとってもより良いものとなるよう議論する必要があります。
 道として同制度の見直しに関し、今後どのように関与していく考えでいるのか伺います。

(知事)
 外国人技能実習制度の現状などについてでありますが、国が管理監督体制の強化や実習生の保護等を図る中、依然として、実習生の失踪などが生じており、国はその原因について、主に、賃金の不払いなど実習実施側の不適切な取扱いのほか、実習生側の経済的な事情などを挙げており、ルールを遵守している受入企業においては、効果的な実習の実施に支障となっているものと認識をしております。
 こうした中、本年11月に設置された実習制度に関する国の有識者会議には、都道府県では唯一、私が構成員として参画することから、制度を利用する皆様の声をお聞きしながら、企業と実習生の双方にとって、より良い就労環境の整備につながる制度となるよう、道内外の実情を踏まえた提案を積極的に発信をしてまいります。

(浅野)
四 本道農業の振興について
(一)農業生産基盤の維持について
  本年11月30日付北海道新聞が報じているように、酪農生産者は生産抑制、子牛価格の暴落、飼料等のコスト増の「三重苦」に見舞われています。特にコスト増については、良質な生乳をつくる上で欠かせない牧草を生産するために行う草地更新の事業費も高騰するなど、あらゆる面で上昇しています。この傾向は当面続くと見られ、先行きの見えない中、早めに離農しようと考える生産者が、今後更に増えることが懸念されます。
 道はこれまで、「食料安全保障推進チーム」を庁内に発足させ、酪農業については、飼料の高騰対策等の支援を行い、さらには輸入チーズを国産へ置き換える等の中長期の視点に立ち、食料安全保障政策を進める考えでいると承知をします。しかし、今は生産者の離農を防ぎ、農業生産基盤を維持することが喫緊の課題であります。
 政府は第二次補正予算の中で、生乳需給改善対策を打ち出し、早期に経産牛をリタイアさせる生産者や乳製品の長期・計画的な販売に取り組む乳業者に対する補助を行うとしています。道は既に講じた支援策に加え、今後具体的にどのような生産者への支援を実施し、当面の危機を回避し、農業生産基盤を維持する考えでいるのかを伺います。

(知事)
 農業生産基盤の維持に向けた生産者への支援についてでありますが、ウクライナ情勢や円安の影響などにより、食料安全保障の重要性が改めて浮き彫りになる中、海外に依存する農産物や肥料、飼料といった生産資材の国産化を推進し、安定的な生産と供給体制を構築していくことが重要であり、道では、国に対し、農産物の増産や輸入代替への支援、輸出の促進などによる生産構造の転換について提案をしております。
 また、厳しい生産環境にある酪農経営に対しては、道産飼料の生産拡大に必要な機械導入への支援や配合飼料価格安定制度の生産者負担金の全額支援、生乳の需給安定を図るための道産チーズの需要拡大などの取組を実施してきたところであり、今後とも生産者の皆様が、意欲を持って営農に取り組めるよう強い危機感をもって、さらなる支援に努めてまいります。

(浅野)
(二)今後の和牛振興について
 10月に第12回全国和牛能力共進会鹿児島大会が開催されました。次期開催地は本道です。次期大会を見据え、意欲を燃やしている和牛生産者は多いと考えます。
 一方で、今大会では、開催地鹿児島県との現時点での差を感じた関係者も多いと思われます。和牛生産者の技術向上をどう図り、経営をいかに支えていくのか、また、ゼロカーボン北海道達成を見据えた新たな畜産のあり方をどう構築していくのか等、畜産業を取り巻く課題は山積しています。
 道は今回の大会を受け、現時点での本道の和牛の課題をどう捉え、5年後の本道での大会開催にどのように備える考えでいるのか伺います。

(知事)
 和牛の振興についてでありますが、本年10月に開催された全国和牛能力共進会鹿児島大会には、私も訪問したところありますが、道内から22頭が出場し、二つの部門で銅メダルである優等賞3席を獲得するなど好成績を収めた一方、鹿児島や宮崎など先進県に比べると、牛の体型や肉質などでまだ及ばないと実感をしたところでございます。
 このため、道としては、5年後の北海道大会に向けて、ゼロカーボン北海道の実現にも配慮しながら、遺伝的能力を評価するゲノミック技術を活用した和牛改良を加速化するとともに、本年7月に設立した実行委員会を主体とした、オール北海道での執行体制の整備や会場の選定などの準備を進め、北海道大会の成功を通じて、北海道和牛のブランド力の向上と我が国を代表する和牛産地となることを目指してまいります。

(浅野)
(三)HOKKAIDO酒アワードについて
 10月に第二回目となる大会が開催されましたが、二度の大会を経て、道産日本酒の出荷量の増加や酒米の振興、海外へのPR等、道は道産日本酒の振興にどのような手応えを得ているのか、そして今後どのように取り組むのかを伺います。

(農政部長)
 道産日本酒の振興についてでありますが、全国的に酒蔵が減少する中、本道は全国で唯一酒蔵が増加するなど、道産日本酒を取り巻く環境は活発化しており、道では、道産日本酒の需要を喚起し、こうした動きを一層加速させるため、昨年から日本酒アワードを開催しているところです。
 昨年度の開催以降、受賞した蔵での取引数量が拡大し、今年産の酒米作付面積が増加したほか、出品したお酒の中国での展示会への出展や道の海外事務所からの情報発信など、販路拡大に努めてきた結果、出荷量もコロナ禍前の水準に回復しつつあり、道産日本酒の需要拡大に大きな効果を発揮していると考えております。
 道といたしましては、今後、酒米生産者や酒蔵、流通関係者などで構成する「北海道日本酒懇談会」において、このアワードを活用した更なる需要喚起に向けた検討を重ねるとともに、新たな酒米の品種開発や生産技術の向上などに取り組み、道産の日本酒と酒米の一層の振興を図ってまいります。

(浅野)
五 本道水産業の振興について
(一)ブルーカーボンについて
 釧路総合振興局において本年9月に協議会が発足したのを皮切りに、11月15日には留萌振興局、17日には本庁においてブルーカーボンを推進する協議会が発足しています。私の地元の留萌市、増毛町でも民間企業と連携した取り組みが始まっております。 ブルーカーボンは長年磯焼けと呼ばれる海洋環境の劣化に悩んでいた漁業者からも大きな期待が寄せられております。
 これらの取組が実を結ぶには、機運醸成のための勉強会にとどまらず、実際の予算措置を伴う事業を実施することが必要ですが、道としてブルーカーボンの事業化に向けてどのように取り組むのか伺います。また、その推進は、道が進めている「ゼロカーボン北海道」の実現に向けた取組とどのように連携していくのか伺います。

(知事)
 ブルーカーボンについてでありますが、四方を海に囲まれた本道において、藻場の育成と吸収源対策の両立を図るブルーカーボンの取組は重要であり、これまで道では、国の事業を活用し、漁業者グループが行う藻場・干潟の保全活動を支援してきたほか、釧路、留萌管内において協議会を立ち上げ、地域と企業等が連携した藻場づくりの促進に努めているところであります。
 道としては、本年11月に設立したブルーカーボン推進協議会において、最新事例の紹介や本道における可能性などについて、有識者の方々からご意見をいただいたところであり、引き続き、地域特性を踏まえた取組の活性化策などについて、協議会のご助言をいただきながら、本道の優位性を活かした具体的な取組を検討し、関係部局や地域の協議会と情報共有を図るとともに、幅広い情報発信に努めるなど連携を強め、「ゼロカーボン北海道」の実現に向け取り組んでまいります。

(浅野)
(二)ニシン資源の回復について
 次にニシン資源の回復について伺います。
 近年漁獲量が順調に増えてきたニシンは、道をはじめとする関係者の資源回復の取組が功を奏し、本年は速報値で留萌管内では1,685トン、全道で20,185トンの漁獲がなされたといわれております。
 北米等からニシンを輸入しカズノコを生産している留萌管内をはじめとする道内の水産加工会社にとっても、コロナ禍等の要因により海外からの確保が難しくなり、さらには歴史的な円安が追い打ちをかけている今、近年の豊漁は、輸入から道産への代替が期待される好ましいものであります。
 道として来年以降のニシン資源の状況についてどのような認識を持ち、今後のさらなる回復に向けてどのように取り組むのかを伺います。

(水産林務部長)
 本道水産振興に関し、ニシン資源の増大についてでありますが、春告魚(はるつげうお)とも呼ばれるニシンは、日本海地域をはじめとする本道の重要な水産資源であり、道では、ニシン資源の増大を図るため、北海道栽培漁業振興公社などと連携し、平成8年度から種苗の大量放流を開始するとともに、漁業者の皆様による自主的な資源管理の取組を促進してきたところであります。
 こうした取組もあり、本年の日本海地域では、約6千トン、17億円と種苗放流開始以降、最高の水揚げを記録するなど近年のニシン資源量は、全道的に増加傾向にあると認識しております。
 道としては、引き続き、漁業関係団体と連携した種苗放流に努めるとともに、道総研水産試験場が行う資源評価等を踏まえた適切な資源管理や付加価値向上の取組を一層促進し、ニシン資源の増大と漁業経営の安定化を図ってまいります。

(浅野)
(三)水産加工業の振興について
 ニシンの豊漁は好ましいことですが、水産加工に欠かせない業務用の塩の価格が高騰していることに注意しなくてはなりません。留萌管内のある事業者によると、業務用塩の1キロあたりの価格は本年5月時点で44円となり対前年同月比で約19パーセントも値上がりし、来年1月には56円程と、更に27パーセントほど上昇することが見込まれているとのことであります。一般的な水産加工会社でも毎月数十トンの塩を必要とすることから、本年5月時点でも塩代だけで前年同月比で月に百数十万円のコスト増となっており、数人分の人件費に相当するものとみられております。
 これは、業務用塩を生成する段階で必要とされる石炭の価格が上昇していることが主な要因と見られておりますが、塩の再値上げは、電気料金の高騰に加え、水産加工会社の経営にさらなる追い打ちをかけるものとなります。 水産加工業は多くの人手を必要とすることから、地域において大きな雇用の受け皿となっており、コロナ禍においても雇用調整助成金を活用し雇用の維持に努めてきた企業が多くあります。この状況が続けば、地域の雇用が不安に晒され、日本の伝統食品であるカズノコが供給されなくなるなど、日本の食文化が危機にさらされることが懸念されます。
 道として水産加工業を取り巻く状況をどのように認識し、今後どのような支援を行っていく考えでいるのか伺います。

(食産業振興監)
 水産加工業の振興についてでありますが、本道の水産加工業は、道内食品工業出荷額の約3割を占め、地域の経済・雇用を支える重要な産業でありますが、長引くコロナ禍や、原材料価格、特に水産加工業に欠かせない業務用塩をはじめとした生産コストの高騰により厳しい経営環境にあるものと認識しております。
  このため、道では、今後とも、資源管理などによる原材料の安定供給に加え、省エネ設備の導入支援に取り組むとともに、新商品開発や生産性向上など企業の実情や課題に応じた専門家派遣や資金供給の円滑化といった事業継続のための足下対策、さらには、どさんこプラザを活用したマーケティング支援や商品の磨き上げ、商談会の開催による販路拡大など、水産加工業をはじめとした道内食関連事業者の方々の経営安定と体質強化に向け幅広く取り組んでまいります。

(浅野)
六 地域の実情に即した森林整備の在り方について
 森林整備は、ゼロカーボン北海道実現のための柱であります。本道は、日本全国の森林面積の約22%を占める我が国最大の森林地域ですが、地域によって森林整備の実情も異なっており、地域事情に即したきめ細かな支援が必要です。
(一)森林整備に関する補助金等について
 森林整備を進めるには林業従事者が適正な利益を得られ、担い手の確保を可能とすることが必須であり、季節や地域による事情の違いに考慮した補助制度が必要です。例えば、造林や下刈、間伐等の整備事業は「森林環境保全直接支援事業」等の補助制度を活用した上でなされていますが、雪が降る冬季間は除雪作業が必要となり、その分の掛かりまし経費が発生します。私の地元の留萌管内の森林は、林道も狭く、原木等を大消費地や加工場のある地域に運搬する際の距離も長く、そもそも森林整備事業に関わる業者も少ない等、他と比較しても条件的に不利な地域であるといえます。
 このような季節や地域による違いを考慮した補助制度のあり方を望む声が私の下に寄せられていますが、これらの意見に対して道はどのような認識を有し、今後どのような対応を考えているのか伺います。

(知事)
 森林整備の促進についてでありますが、道では、公共事業を活用した森林整備の実施にあたり、国の通知に基づき、道内各地で作業工程などを調査の上、作業現場の傾斜や下草の種類、林業機械の利用状況などに応じて事業費の算定に必要な標準単価を設定しているところであり、今後とも、地域の皆様の声を伺いながら、適切な単価を設定してまいります。
 また、急傾斜地や市場から遠い森林など、条件が悪く、既存の事業では整備が進まない森林が存在することや公共事業の対象外である林道等の除雪への支援を求める声も伺っており、こうした森林の整備や除雪については、市町村が森林環境譲与税を活用して実施可能なことから、道としては、市町村に対し、道内外の取組事例を情報提供するほか、振興局職員による、きめ細かなサポートを行うなど、地域の実情に応じて森林整備を促進してまいります。

(浅野)
(二)木材販売における運搬経費の助成について
 国が創設した令和4年度国産材転換支援緊急対策事業では、原木販売に際して出荷先が木材加工場であることなどが条件とされています。私の地元留萌管内では、主に生産されるトドマツ材は、海岸に近いという地理的条件もあり、用材となる率が低く、全体の約6割がパルプ・バイオ材に仕向けられています。そのため、当事業の対象外となり、運搬経費の補助が受けられないケースが多く、道独自の運搬経費の補助を望む声が強くあります。道としてこれらの声を、どう認識し、今後どのように対応する考えでいるのか伺います。

(水産林務部長)
 森林整備に関し、原木の運搬についてでありますが、本道では、トドマツなどの人工林が利用期を迎え、今後、伐採量の増加が見込まれる中、製材工場が近隣になく、原木の運搬が長距離となる地域におきましても、森林の整備や木材の生産活動を持続的に行っていくためには、原木運搬の効率化を進め、低コスト化を図ることが必要と考えております。
 このため、道といたしましては、国の事業を活用し、幹線となる林道や、木材を搬出するトラックが走行できる林業専用道といった路網の整備のほか、クレーン付きトラックなどの導入に支援するとともに、地域に原木の一時保管場所を設置し、一定量を集積した上で、大型トレーラーで効率的に運搬する事例を普及するなど、原木運搬の効率化を進め、林業・木材産業の振興につなげてまいります。

(浅野)
七 本道における企業誘致について
 本道への企業誘致を促進する道の北海道産業振興条例に基づく立地企業への支援について伺います。
 ‏この措置については、支援企業の業種、事業内容が限定されていることや、親会社もしくは子会社における雇用増が条件で、出向者は一部のみ制度の対象とされていることなどから、企業が活用するにはハードルが高いとの声があります。
 まずは道内企業の立地助成の過去5年間の実績並びにその効果について伺うとともに、相談はあったものの実際の助成に至らなかった要因について伺います。
 ‏現在留萌市では、企業誘致の一環として、学校給食センターを民間企業に売却し、地元業者と連携し、幼稚園や保育園、高校、さらには、高齢者施設への配食を行おうとするスクールランチ構想が検討されています。
 しかし、それを担う民間企業の業種は同制度の対象外とされている配達飲食サービスに分類されることと、新たに雇用される人が出向者とされる場合も想定されることから、同制度の助成対象外となるのではないかと懸念されています。
 立地条件に恵まれているとは言えない留萌管内のような地域に投資を呼び込むには、地元市町村の努力はもちろんですが、それに加え、道の支援が重要であります。
 企業立地助成の道の要件が厳しすぎるという声を踏まえ、その要件を弾力的に運用するなどの見直しをし、道が積極的に支援することが重要と考えますが、道の認識と今後の取組について伺います。

(知事)
 企業立地補助金についてでありますが、道では、北海道産業振興条例に基づき、経済波及効果や雇用創出効果が大きく、高い成長が期待される、自動車関連や食関連の製造業といった業種を対象とし、一定の設備投資と雇用を行う事業者に対して補助を行っているところでございまして、過去5年間では、全体で89件の補助を行い、投資額約1,314億円、雇用増約1,590名、そのうち道内企業分は42件の補助、投資額約641億円、雇用増約560名となっております。
 また、相談はございましたが補助に至らなかったものにつきましては、投資額や雇用人数が要件に満たなかったことや、企業の投資計画が途中で変更されたことなどが要因となっているところでございます。 産業振興条例につきましては、社会経済情勢の変化等を踏まえ、北海道商工業振興審議会でのご議論、市町村や経済団体、企業等のご意見を踏まえながら、定期的に施行状況の点検を行い、今年度も、脱炭素化やデジタル化、人材確保といった観点から制度の拡充を図ったところでございまして、引き続き、企業のニーズを踏まえながら、地域への立地の促進に取り組んでまいります。

(浅野)
八 本道教育が抱える課題について
(一)持続可能な学校給食の在り方について

 主に義務教育課程で実施されている学校給食を民間企業に担わせるスクールランチ構想が、現在留萌市で検討されています。 
 これは留萌市が所有する給食センターを民間企業に売却することで、学校給食に対する自治体の財政負担を減らすとともに、共働きが当たり前になった社会における保護者の負担軽減を図り、さらには学校給食の維持管理に活用されてきた予算で給食費の軽減を目指すなどのメリットが期待される、全国で他にまだ事例のない取組みと言われております。
 私は、今後劇的な増加傾向にもっていくことは極めて難しい少子化の趨勢と地方自治体の厳しい財政事情を見据えた時、留萌市の構想は一つの方策として有効であると考えます。最も懸念される、地元事業者の仕事が大手にさらわれてしまうのではないかという点については、地元事業者を優先する約束を市が関わる中で交わすこと等で払拭でき、さらに市内からこれまで要望がなされてきたように、幼稚園や高齢者施設への配食を行うこともできるなど、事業者の仕事と通年雇用を増やすことも可能となります。
 他にもアレルギーを持つ児童生徒への対応や食育をより充実させられることなど、何よりも子どもたちにとってもメリットの大きいものとなると考えます。
 道教委として、留萌市のスクールランチ構想についてどのように認識しているのかを伺うとともに、市がこの構想を進めることにどのように関与する考えでいるのか伺います。

(教育長)
 学校給食のあり方についてでありますが、学校給食は、児童生徒の心身の健全な発達に資し、かつ、児童生徒の食に関する正しい理解と適切な判断力を養う上で重要な役割を果たすものであり、学校教育活動として実施をするものです。
 現在、留萌市において、学校給食施設を民間事業者に売却をし、その事業者が昼食の提供を行う、いわゆる「スクールランチ」に移行しようとする構想が進められていることは承知をしており、市の行財政改革の取組として効果があると考えられる一方で、栄養管理や食に関する指導の観点から慎重に検討することが必要です。
 このため、道教委では留萌市に対し、学校給食法に基づいて学校給食を実施する場合は、設置者が条例により教育機関として共同調理場等を設置をし、栄養教諭が献立を作成すること、食育基本法を踏まえた各学校における食に関する指導を充実させることなどについて、指導助言を行ってきたところであります。
 道教委といたしましては、今後も留萌市からの相談  に丁寧に対応するとともに、国にも情報を提供しながら、引き続き、必要な指導助言を行ってまいります。

(浅野)
(二)旧道立学校の校舎等の利活用について
1 既に廃校となっている道立高校の校舎等の利活用について

 平成30年に廃校となった旧留萌高校の利活用について、道教委留萌教育局が行っている、幅広く地域のアイデアを募る取り組みが功を奏し、来春以降、地元企業の協力の下、地元の少年少女野球団体がグラウンドを利用する案が進められております。旧留萌高校の他にも現在道教委が利活用を模索している教育関連施設が道内各地にありますが、それらはどのような状況にあり、今後道教委はどのようにその利活用を進めていく考えでいるのか伺います。

(教育長)
 旧道立学校校舎等の利活用についてでありますが、道教委では、道立学校が廃校となった際には、道や市町村における利活用を検討し、その見込みがない場合、学校法人や企業など民間事業者の方に広く購入希望を募っております。 
 こうした中、現在公表している廃校舎は4件ありますが、現時点で、校舎について利活用の実績はないものの、グラウンドについては、民間事業者による太陽光パネル設置の事例や、旧留萌高校では、地域や団体の皆様の御意見を踏まえまして、地元住民の方々の活動に利活用する検討も進めております。
 道教委では、本年度新たに、文部科学省や国土交通省が主催する民間需要を把握するためのサウンディング型市場調査に参加をし、道立学校廃校舎の活用を事業者にPRをしたところであり、今後も引き続き、こうした新たな手法を積極的に取り入れるとともに、知事部局や地元市町村とも、より一層連携しながら、様々なニーズの把握に努め、廃校舎等の利活用を図ってまいります。

(浅野)
2 今後廃校が決まっている道立高校の校舎等の利活用について
 令和5年3月をもって道立南幌高校が閉校となることが決まっております。南幌町としては、来年度以降2学級の増加が決まっている南幌養護学校の高等部の機能を現在の南幌高校に移すこと、それが叶わないにせよ、すぐにでも民間企業が利活用できるよう最低限のメンテナンスをしっかり施すことを道教委に要望していると伺っております。旧留萌高校が閉校後わずか4年で大規模修繕工事が必要となったことを反省材料とするならば、南幌町の要望は道民の税金で建てられた財産を有効活用し、道民に還元していく観点からも非常に重要なものであり、道教委としても真摯に応えるべきと考えます。
 道として、南幌高校のように既に廃校が決まった道立高校の校舎をはじめとする教育施設の有効活用に向けて、今後どのように取り組む考えでいるのかを伺います。

(教育長)
 閉校予定の校舎等の利活用についてでありますが、道教委では、これまで、函館稜北高校校舎を函館高等支援学校に、また、滝上高校校舎を滝上町立滝上中学校に、旭川東栄高校校舎を学校法人旭川龍谷学園旭川龍谷高校に転用するなど、閉校した高校を各学校種へと活用してきた実績があり、道立での活用はもとより、地元市町村等の御意向もお伺いしつつ、その対応に努めてまいりました。
 今後は、南幌高校校舎の利活用をはじめとし、地元市町村や関係者の皆様のお考えを踏まえつつ、閉校決定段階から検討を行うことが必要と考えており、廃校舎利活用に向けた、道、市町村、民間事業者等による検討のプロセスを適切に講じながら、より良い利活用について検討してまいります。

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