1970年代に熱帯雨林の減少が世界的な問題となり、森林保護の重要性に対する国際的な意識が高まったことを受け、持続可能な森林経営を支援する民間主体の制度である「森林認証制度」が確立されました。適正に管理された森林から生み出された木材等に認証マークを発行し、森林の知名度、信頼度を向上させ、持続可能な森林の利活用・保護を図るものです。
主に以下の三つが認証制度として普及しており、これまで北海道では7つの認証が実現しています。
①FSC(森林管理協議会)
②PEFC(PEFC森林認証プログラム)
③SGEC(一般社団法人 緑の循環認証会議)
上記の①、②はドイツなど欧州で発達した制度でありますが、③は2003年に設立された日本独自の認証制度で、2016年にPEFCと相互認証が認められました。これには、林業関係者のための「森林管理認証 FM」と、加工・流通業者のための「生産物認証 CoC」の2種類があります。
留萌管内では、管内8市町村と管内4つの森林組合が2015年から研究する組織を立ち上げ、十勝管内や上川管内等の先進地視察を行ってきました。
2019年5月、組合長会議の場で森林認証取得を目指すことで合意がなされ、宗谷管内幌延町が加わり、認証取得を目指す「るもい森林認証検討会」が2020年10月に設置されました。
この間、留萌振興局をはじめ道庁関係者の多大な協力を受け、2021年7月1日に「るもい森林認証協議会」が設立され、各審査を受け、本年6月2日にSGECのCoC認証(4団体)、同月27日にFM認証(14団体44,327ha)の取得が実現しました。
私もこの間、地元道議として2020年と本年、道議会で地元協議会の皆様のご努力を後押しする為、道議会で質問をし、本日の式典にお招きをいただくことができました。
式典の後は、道立総合研究機構北海道林産試験場の酒井明香さんの講演を拝聴しました。
酒井氏からは、
①留萌管内の森林の現状
②認証取得の意義
③認証取得後の留萌管内の課題
の主に3点に関し、お話がありました。
留萌管内は森林蓄積量は多いものの伐採量は少なく、高いポテンシャルを活かしきれていない現状があるとご指摘を頂きました。高性能機械を入れられるよう、林道の整備が課題です。
一方で、生産能力、運搬能力の高い地域(上川管内、空知管内)に隣接しており、それらとの連携によっては管内森林を大いに活かせるチャンスがあるとのことです。
また既に取得している他の7地域においても、「認証取得によって劇的に状況が変わっている訳ではない」ことを教えて頂きました。森林の認知度並びに信頼度の向上に資する同制度は、取得が目的ではなく、取得後のさらなる努力が重要ということです。
どこに、どのようにして出荷するか。留萌管内はトドマツが主材料です。それをどう活かすか、行政・民間、そして私たち議会議員の知恵と行動、連携が問われます。
農業、漁業の源となるのが林業です。同じ一次産業の中でも、林業の産出額は2014年で約4,500億円と、農業の約8兆3,600億円、漁業の約1兆円(いずれも2014年。『図解知識ゼロからの林業入門』、『図解知識ゼロからの現代漁業入門』家の光協会より)と、遥かに小さな規模でしかありませんが、山が荒れれば畑も海も荒れてしまいます。
るもい森林認証協議会の志子田一郎会長はじめ管内林業関係者の皆様の、これまでのご努力に心から敬意を表しながら、私も共に皆様と努めて行くことを誓いました。
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