外国人との共生社会づくりとWeb3技術の活用~人口減少問題・地方分権改革等調査特別委員会で質問しました~(2023年10月5日)

目次

質問の概要

(一)外国人との共生について
 総務省が7月26日に公表した住基人口及び令和4年度中の人口動態によると、本道の人口は513万9913人と昨年比で4万3,774人減少している一方で、道内在住の外国人は8,583人増えたとのことです。この傾向は、日本人と外国人を合わせた総計が現在の集計方法になった平成26年以降、初めてとのことであります。
 留萌管内の各市町村を見ても、技能実習生の方々の存在なくして各産業の現場は回らない状況にあり、外国人との共生社会を構築していくことは、地方にとって極めて重要な課題です。
 先日増毛町でも実習生を対象とした日本語教室が開催されましたが、このような市町村の取組を、広域自治体である道がサポートすることが一層求められます。この点に対する道の認識と今後の取組を質しました。

(二)Web3.0技術の活用等について
 インターネット上の情報を読み取るだけのWeb1.0、SNSによって情報の発信が普及し、読むと書くの双方向のやりとりができるようになったWeb2.0に続き、読み・書きに加えて、デジタル上のデータに経済的価値をもたせることができるWeb3.0の時代に入ったと言われております。
 バーチャル空間を用いるメタバースや、ブロックチェーン技術を用いてデジタルデータに資産的価値をもたらすことが可能となる技術を用いた地方創生の取組もすでに始まっています。道においても、NFTを用いて縄文文化をPRするスタンプラリーを開催し、更には主に若年層を対象としたバーチャル空間において本道の魅力を発信する「connect北海道推進事業」が11月から行います。
 全国に先駆けて人口減少局面に入り、広域分散化が著しい北海道においてこそ、Web3.0技術の活用が地方創生上大きな意義を持つと考えます。新潟県長岡市の山古志地区では、地域の特産品である錦鯉のデジタルアートをNFTとして販売し、それを所有する方々をデジタル村民として登録し、地域活性化に関わってもらう先進的な取り組みが進められています。
 これらの先進事例に対する道の認識と、今後の道の取組について伺いました。

●得られた主な答弁内容
(一) 外国人との共生について

  • 様々な言語や文化的背景を有する外国人の方々と交流することは、地域に多様性をもたらし、特に一定の専門性や技能を有する方々の受入れは、地域産業を支える担い手確保やコミュニティの維持・活性化などに効果をもたらす。
  • 道は、日本語指導者を活用した日本語教室をモデル事業として実施するなど、市町村やHIECC(北海道国際交流協力センター)と連携し、外国人が地域で安心して暮らせる環境づくりに取り組んでいく。

(二)Web3.0技術の活用等について

  • 新潟県長岡市山古志地区の名産である錦鯉にNFT技術を活用し、所有権を明確化したデジタルアートとして販売し、資金を調達するとともに、デジタルアートを電子住民票として発行することによって、人口を上回るデジタル村民を獲得するなど、関係人口を創出する先進的な取組は、今後、デジタル技術を活用し、関係人口の創出・拡大に向けて取り組む上で、有効な取組である。
  • 道としても、バーチャル空間での交流イベントの開催に加え、市町村や関係機関、事業者等と連携し、国の交付金の活用や、「Digi田甲子園」などの先進的な取組の情報共有を図るなど、Web3.0などの最新技術の動向も注視しつつ、デジタルを活用した地域創生の取組を進めていく。

質問と答弁

 (浅野)
一 人口減少対策について
(一)外国人との共生について
 1 外国人の増加と地方創生について
 7月25日付けで総合政策部地域行政局市町村課並びに地域創生局地域戦略課から、住民基本台帳に基づく人口及び人口動態の資料を頂きました。それによりますと、総務省が7月26日に公表した住基人口及び令和4年度中の人口動態は、本道の人口が513万9913人であり、昨年比で4万3,774人減少しておりますが、その一方で、道内にお住いの外国人の方々は8,583人増えているとのことです。この傾向が日本人と外国人を合わせた総計が、現在の集計方法になった平成26年以降、初めてとのことであります。   
 そこでまず伺いますが、日本人と外国人を合わせた総計が初めて増加に転じた背景を、道はどのように捉えているのかを伺います。
 それと併せて、本道に外国人が増えることは、外国語や異文化に道民が触れる機会が増えて、社会の多様化に繋がり、道民の多文化への理解が増進されるなどの利点があると私は考えるのですが、道は外国人の増加が本道の地方創生にどのような効果をもたらすと認識しているのか伺います。

地域創生担当課長
 外国人の転入増についてでございますが、本道の社会増減については、2023年1月1日現在で日本人が、前年比でマイナスとなっている一方で、外国人と日本人とを合わせた総計は、現在の集計方法となった2014年以降、初めてプラスとなっており、その背景としては、コロナ禍による入国制限が緩和され、国外からの転入が大幅に増加したことによるものと考えてございます。
 また、様々な言語や文化的背景を有する外国人の方々と触れあい、交流することは、地域に多様性をもたらすほか、特に、一定の専門性や技能を有する方々の受入れは、様々な業種で人手不足が深刻化する中、地域産業を支える担い手確保やコミュニティの維持・活性化などに効果をもたらすものと認識してございます。

(浅野)
 私の地元もそうですけれども、来られている外国人のほとんどが技能実習生であります。地域経済、社会を維持する上では本当に欠かせない方々であります。
 先日の1日日曜日、留萌市国際交流協会主催の、留萌市内にお住いの技能実習生の方々と楽しく触れあい、懇親する場があり、私も伺ってまいりました。ベトナム、インドネシア、ミャンマーの方がいらっしゃって、私も長男を連れて行ったのですが、日本語と全く違う言語を使う方に文字を教えてもらったり、例えばインドネシアの女性の方が、髪を隠すヒジャブを着けているのはどういう意味があるのだろうか等、色んな価値観があるということ知る貴重な機会をいただけたと思っております。
 またこの場には、地域創生局長を務めていらっしゃった現留萌振興局の工藤公仁局長と、上坂勇人地域創生部長も来られて、一緒に交流をされ、非常に有意義だったと思います。その上で、次伺います。2 共同通信のアンケートについて
 本年9月17日付けの道新ですが、共同通信が全国の自治体首長を対象とした人口減少問題に関するアンケート結果を報じる記事が掲載されていました。それによると、鈴木直道知事も含め、道内の164市町村長が、外国人材受入れの推進を必要とするという回答をし、それが全体の96%に上り。また自治体が消滅する危機についても、90%の自治体が強く、またはある程度危機感を抱いているとの回答があったとのことです。
 道として、本道における外国人材活用の必要性と、自治体消滅の危機についてどのような認識を有しているのか改めて伺います。

(地域創生担当課長)
 外国人材の活用などについてでございますが、社会や経済のグローバル化が進展する中、人口減少が進行する本道では、外国人の方々を地域の一員として受け入れ、共に暮らしていくことは、地域の持続的な発展を図るため重要であると認識してございます。
 また、国による市町村別の人口推計では、2040年には、本道の102市町村で2015年の6割以下、そのうち39市町村で5割以下になると見込まれており、今後、多くの市町村におきまして、経済、暮らし、行政などの地域を支える重要な機能が危機的な状況に陥ることも危惧されるなど、人口減少問題は、本道における重要かつ喫緊の課題と認識してございます。

(浅野)
 今後多くの市町村において、人口が2040年時点で、今ご答弁あったように2015年と比較して6割以下または5割以下になると推定される市町村が多くあり、人口減少問題は本道における重要かつ喫緊の課題だというご答弁をいただきました。
 一方で、少子化、人口減少が劇的に上昇に転じることは極めて難しく、はっきり申して、無理だと思います。となれば、外国人の方々が住みやすい地域社会を作っていくことで市町村を維持していくことが有効な方策なのではないかと思います。
3 外国人との共生について
 その上で、外国人との共生について最後に伺います。これも私の地元の事例を紹介させていただきますが、増毛町で道が実施する日本語教育等による多文化共生事業を活用した日本語教室が開催されました。全道的に外国人が必要とされている今、外国人の皆さんにとって暮らしやすい社会を作る上で最大のハードルは言葉の壁だと思います。
 ただそれを市町村が担うにしても、市町村の中で国際課なる部署が設置されていたり、日本語教育の技術を専門的に習得した人材を抱えている市町村はほとんどないと思いわれます。ここは広域自治体である道の尽力が一層求められると考えます。
 道が所管する北海道国際交流協力センターによる一層の支援を望む声があります。外国人との共生がもたらす地方創生の効果をより確かなものとするために、道として今後どのような取り組みをするのか伺います。

(地域創生局長
 外国人との共生についてでございますが、道では、外国人の方々が、本道で安心して暮らし、働き、学べるよう、「北海道外国人相談センター」を設置いたしまして、全道を対象に多言語により相談対応を行うとともに、外国人の方々が、職場や学校、そして生活の場で、円滑なコミュニケーションがとれるよう、各地域での日本語指導者の育成を行ってきたところでございます。
 今後、道では、日本語指導者を活用した日本語教室をモデル事業として実施するなど、市町村やHIECCなどと連携をして、外国人の方々が地域で安心して暮らせる環境づくりに取り組んでまいります。

(浅野)
 一層の取組を今後も加速していただきたいと思います。つい先ほど、円相場が150円になり、今後も円安傾向が続くと見られていると言われております。経済的な利点を求めて日本に来る方々が今後少なくなっていくだろうと。
 となれば、我々が何で勝負するかというと、経済政策は政府にお願いするとしても、地方の我々は住みやすい地域づくりをし、他の国に行くよりも、日本の方が住みやすいし働きやすいと評価される環境を作らなければ、外国人材も来てくれなくなると思います。 道の取組が極めて重要性をこれから増すと思いますので、今後ともしっかり取り組んでいただくことを指摘申し上げます。

(二)Web3.0技術の活用等について
 1 道の取組について
 続きまして、Web3.0技術の活用について伺います。
 インターネットの技術革新が著しいと言われています。私もまだ十分に理解できていないのですが、当初、インターネットが始まった時代のWeb1.0はインターネット上の情報をただ読み取るだけでした。そこから今、私ども議員の多くの皆さん使ってらっしゃると思いますが、SNSによって情報を発信し、読むと書くの双方向のやりとりができるWeb2.0に入りました。そして今は読み・書きに加えて、デジタル上のデータに経済的価値をもたせることができるWeb3.0の時代に入ったと言われております。
 バーチャル空間を用いるメタバースやブロックチェーン技術を用いてデジタルデータに資産的価値をもたらすことが可能となる技術を用いた地方創生の取組もすでに様々な地域で始まっていると承知します。
 まず一点目、道の取組について伺います。
 道においても、これは環境生活部の所管であると承知しておりますが、デジタルデータに資産的価値を付与する技術であるNFTを用いて、縄文文化をPRするスタンプラリーを開催する予定と伺っております。これに加え、主に若年層を対象としたバーチャル空間において本道の魅力を発信するconnect北海道推進事業等の取組を進めていると伺っております。
 このように仮想空間を活用した取組やWeb3.0などが本道の地方創生にどのような効果をもたらすと認識しているのか伺います。

(移住交流担当課長)
 Connect北海道推進事業などの取組についてでございますが、道では、今年度、北海道に興味・関心を持ち、思いを寄せる道内外の若年層を中心に、食やアクティビィティ、歴史・文化などの北海道の魅力をテーマとして、バーチャル空間における交流イベントを開催した上で、参加者の属性や傾向などを分析・検証し、次の取組に反映していくなど、メタバース等も活用しながら北海道と様々な形でつながり、応援してくださる方々を増やしていく取組を展開することとしております。
 道といたしましては、コロナ禍におきまして人々の意識や行動が変容する中で、参加する場所を問わずにパソコンやスマートフォンなどから参加可能なメタバースなどを活用し、多様な形で交流できる取組を進めていくことは、本道の地域創生や関係人口の創出・拡大に向けまして、有効な取組であると認識しているところでございます。

(浅野)

  2 関係人口の創出について  
 次に、関係人口の創出について伺います。
 本道に定住しなくても旅行や交流も加えていろんな面で北海道に関わってくれる関係人口を増やすことが特に重要だと考えます。
 ここで一つの事例をご紹介したいと思います。つい先日、総務大臣賞を受賞されたのですが、Web3.0の技術を用いて関係人口を増やすことに成功した好事例として、新潟県長岡市旧山古志地区の皆さんの取組が挙げられます。限界集落となりコミュニティ存続の危機に立たされた状況を打開するため、山古志地区の特産品である錦鯉のデジタルアートにNFTを発行して販売して、それを電子住民票として取り扱い、購入した方々にデジタル住民として登録をして、山古志地区の課題解決に関わってもらう、そういう取り組みをされています。 山古志住民会議という組織は長岡市の公認の下、ブロックチェーン技術によって生み出されたDAOという組織形態をとっており、参加者の自律的な取り組みによって運営されているとも聞いております。外国からの参加者もいて、デジタル村民の人数は同地区に居住している800人をはるかに超え、将来的には1万人を目指すと、意欲的な取り組みをされているということであります。  道は山古志地区におけるこの取組をどのように評価しているのか伺います。

(移住交流担当課長)
 長岡市山古志地区の取組についてでございますが、新潟県長岡市山古志地区の名産である錦鯉につきましてNFT技術を活用し、所有権を明確化したデジタルアートとして販売し、資金を調達するとともに、デジタルアートを電子住民票として発行することによって、人口を上回るデジタル村民を獲得するなど、関係人口を創出する先進的な取組を行っているものと承知しており、今後、デジタル技術を活用し、関係人口の創出・拡大に向けて取り組む上で、有効な取組であるものと認識しております。

(浅野)

3 今後の取組について
 最後に、今後の取組について伺います。先ほど申し上げたように、今後人口が急激に増えることは見込めない本道においては、定住人口を奪い合うのではなくて、デジタルであっても地域に関わってくれる関係人口を増やしていくことが極めて重要だと考えます。
 また他地域の事例を見ても、教育や建設の現場等、様々な現場でこれが使えると思います。道庁横断的にWeb3.0を用いた取組が普及するよう、地域創生局の皆様方に頑張っていただきたいと思います。
 経済効果と地域の賑わい創出をもたらし、リアルな地域の課題解決に繋げていくこの山古志住民会議の取り組みは、今後非常に本道にとっても参考になりうると考えますが、道としてこの地区の取組などを参考にして、Web3.0をはじめとしたデジタル技術を本道の地方創生にどのように活かしていくのか、今後の考えを伺って私の質問を終わります。

(地域振興監)
 本道の地域創生についてでございますが、広大な面積を有し、人口減少や少子高齢化が進む本道におきまして、持続可能な地域づくりを進めるためには、幅広い分野で、デジタルを活用していくことが重要でございます。
 道では、これまで、遠隔医療や遠隔授業の促進、スマート農林水産業の普及など、本道の特性や課題を踏まえた取組に加えまして、デジタル人材の育成や各種相談体制の強化、さらには、ドローンなどの実証にも取り組んでいるところでございます。
  今後は、バーチャル空間での交流イベントの開催に加えまして、市町村や関係機関、事業者等と連携しながら、国の交付金の活用や、「Digi田甲子園」などの先進的な取組の情報共有を図るなど、Web3.0などの最新技術の動向も注視しつつ、デジタルを活用した地域創生の取組を進めてまいります。



 

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