平成30年3月15日年第1定例議会予算特別委員会(北海道教育委員会)

グローバル人材の育成について (浅野)最初に、今年度4,097万6千円を計上されている「グローバル人材の育成」について、以下伺ってまいります。 これまでも道として、道教委としては、28年度、29年度もグローバル化する世界に対応できる人材をつくるという意味で、さまざまな政策を行っていただいておりますけども、来年度予算で計上されている予算額だけ見ても過去を遥かに凌ぐものでありますので、大いに期待をしております。しかし一方で、道内のどこの高校に通っていても等しくグローバル人材の育成の政策に関わることができるのかどうか。特に私の地元留萌管内は、面積は鳥取県と同じくらい広いのですけれども、人口、生徒の数は少ない地域です。学校の統廃合もあり、来年度4月から留萌高校と留萌千望高校が1つになります。地元の高校を残そうと一生懸命地域の人が頑張っています。そうした地域においても、グローバル人材の育成という政策がちゃんと自分たちにも行き届くのだろうか、人口の多い札幌や旭川、そうした都市部だけの話にならないかという懸念がよく聞かれますので、そのことを踏まえて、以下質問してまいります。

(一)各事業について

1 「北海道ふるさと・みらい創生推進事業」について

(浅野)この事業では、道立高校においてインターンシップ等のキャリア教育の充実、外国人留学生との交流促進を図るなどのことを行うとされておりますけれども、道立高校の所在地によっては、今申し上げたように、私の地元留萌管内を見ても、所在企業数、なにより外国人留学生がその地域にいるかどうか、地域によって事情に大きな差があると思います。そのことによって地域に住む子どもたちが、この事業に関われるチャンスに格差が生じてはならないと考えておりますが、地域によってこういう機会に差が付かないように十分に配慮していただきたい。その必要があると考えますが、道教委の考えを伺います。 (高校教育課長)北海道ふるさと・みらい創生推進事業についてでございますが、本事業で実施する、知事部局と道教委との連携によるインターンシップや道内で学ぶ留学生と道立高校の生徒との交流におきましては、施設の事情等から限られた場所で行う事業がある一方、農業や林業に関する職場見学会を全ての管内で開催いたしますとともに、学校の要望に応じて留学生が赴く交流会を実施するなど、生徒が体験できる学習機会の確保に努めることとしております。 また、道内一か所で実施することとなるインターンシップや留学生との交流プログラムにつきましては、参加する生徒の旅費の一部を補助することなどにつきましても現在検討しているところでありまして、今後、知事部局とも連携しながら、生徒がより参加しやすい事業となるよう取り組んでまいる考えでございます。 (浅野)今、全ての管内で実施する事業と道内一か所で実施する事業との話ありました。一か所については参加生徒の旅費の一部を補助することも検討している、との答弁いただきましたので、「検討はしたが、補助はできなかった」となることのないように、地方の学生さんに配慮した検討をしっかり行っていただきたいと思います。

2「小学校英語力向上支援事業」について

(浅野)小学校における英語の教科化に向けた取組として小学生が外国人との英会話に挑戦するモデル事業を実施するとされています。 まずはどの地域をモデル事業地として選定するのか、選定をした結果、いずれは全道各地で行う事業にしていただきたいと思うのですが、いつまでに全道のどの地域の小学生に対しても等しく機会が与えられる事業となるのか、道教委の考えを伺います。 (義務教育課長)小学校英語力向上支援事業についてでございますが、 道教委では、英会話に挑戦することの楽しさや自分の英語が伝わった達成感を感じることができるよう、ALTや英語に堪能な地域の方々の協力を得て、子どもが観光案内所や商店等に見立てたブースを回りながら、道案内や買い物など日常の生活場面で使用する英会話を繰り返し体験する事業を新たに実施することといたしまして、新年度において、市町村の意向や規模などに配慮しながら、6管内で試行し、平成31年度以降にその成果を全道に普及するなどして、いずれの地域に住んでいても、子どもたちが身近なところで、楽しく英語に親しむ機会を確保できるよう取り組んでまいります。 (浅野)まずは6管内で、そして31年度以降は全道にという答弁をいただきました。私の地元天塩町でも、副町長として外務省から来られている齊藤さんという非常に活動的な方がおりまして、外国人の方々、早稲田大学の英会話サークルの方々にきていただくという事業をやっている市町村もあります。是非とも道が力を発揮して、全道各地でそうしたことができるように、市町村の努力も助けていただきたいとお願い申し上げます。

3 「北海道グローバル人材育成キャンプ事業」について

道教委においては、英語力やコミュニケーション能力を備えた人材を育成するキャンプを来年度も計画していただいているところです。言うまでもなく北海道は広いですので、キャンプに参加するため長距離を移動することを余儀なくされており、身体的・経済的な負担が、子どもの住む地域によっては生じることも懸念されます。こうした居住する地域の格差を配慮して事業を行っていただきたいと考えます。同時に、例えば車椅子を利用している、視聴覚に何らかの障がいがある等のハンディキャップを負う子が、英語が大好きで是非参加したい、しかし参加するには、例えば誰か親族の介助を必要とする場合、「私には無理だ」と諦めの気持ちが生じないように、どんな状況を抱える子どもであっても参加できるような環境づくりに是非とも配慮していただきたいと思うんですが、道教委の考えを伺います。 (高校教育課長)北海道グローバル人材育成キャンプ事業についてでございますが、平成24年度から道教委が実施してきましたスーパーイングリッシュキャンプは、道内1会場、30人定員であったため、希望者が定員を超え、参加できなかった生徒がいたほか、会場が遠いため参加できないなどの意見もありましたことから、新年度におきましては、より多くの生徒が参加できるよう、会場を道内4か所に拡大することを計画しているところでございます。 また、本事業の実施に当たりましては、広大な本道の特性を踏まえ、参加する生徒の移動に係る負担等を軽減するよう、会場の場所や開催時期を工夫いたしますほか、障がいなどにより支援を必要とする生徒が参加を希望する場合には、事前に十分な相談を行ない、生徒との合意のもとで必要な配慮等を行うなどして、障がいのある生徒も参加しやすい環境づくりに取り組んでまいる考えでございます。 (浅野)是非とも、事前に十分な相談をしていただいて、どの様な事情を抱えていたとしても、能力と意欲があれば誰でも参加できる、そういう事業にしていただきたいと思います。

4 「高校生交換留学促進事業」について

(浅野)大阪大学や京都外国語大学、また名城大学など、一般受験とは異なるAO入試等において、受験資格に一定期間の留学経験があること、そうした条件を付ける大学が今ありますし、今後もしかしたら増える傾向にあるのかなとも思います。留学経験の有無が大学進学にもある程度の影響を及ぼすことがあることを鑑みる時、この事業を進める上でも、やはり本道の高校生に、住む地域による機会の格差が生じないように配慮をしていただきたいと思います。この事業について、来年度は、従来のカナダ・アルバータ州に加えて、新たにアメリカ・ハワイ州の高校生の交換留学を行うとのことでありますけども、この事業に参画するための要件は何なのか、幅広く全道各地の高校生に門戸が開かれるものとなるのか伺います。 (高校教育課長)高校生交換留学促進事業についてでございますが、道教委では、平成6年度から、全道の道立高校等を対象に本事業を実施してきており、高校生が参加するに当たりましては、国際交流や国際理解などに積極的に取り組む1年生または2年生であることや基礎的な英会話の能力があり、その向上に意欲的であることなどを応募資格としております。 また、事業に参加する高校や家庭については、留学生の受入れに対して、交換留学の趣旨に沿った適切な対応が可能であることなどを要件としております。 これまで実施してきましたカナダ・アルバータ州との交換留学には、全ての管内から188名の高校生が参加しており、今後におきましても、新たに実施するハワイ州との交換留学も含め、居住する地域に関わらず参加できることを道内全ての道立高校等の生徒に対して広く周知し応募を呼び掛けてまいります。  

(二)異文化への理解促進について

1 国際理解教育について

(浅野)来年度予算案の中で、経済部の事業として「ムスリムフレンドリー推進事業費」として709万2千円が計上されています。これから道民にとって、それほど馴染み深いとは言えないムスリムの方々を北海道に呼び込む、そして、地域のマーケットを開拓していくことを北海道としても意欲を示していると思います。 今後本道を訪れる新たなインバウンドとして、イスラム圏との交流が増えていくことが期待されておりますが、一方で、交流するときに当たって、我々の日常生活と違う習慣をもつ方々に対しての理解を事前に深めておくことが欠かせないと考えます。 もともと国際理解教育は、単に英語を話すだけでなく、英語で自分たちのふるさと北海道を紹介したり、また英語で異文化を理解したりして共に協力していく、そうした考え方を育むことに他ならないと私は思いますが、異文化に対する理解促進に向けての教育をどのように進めていく考えなのか伺います。 (高校教育課長)国際理解教育についてでございますが、道教委では、これまで、高校生交換留学促進事業に参加する生徒や学校が、両国の文化などに関する相互理解を一層深めることができるよう取り組んできましたほか、高校に配置しているALTとの日常のコミュニケーションや、平成28年度から実施しておりますICTを活用してアジアやオーストラリアなどの高校生等と英語で交流を行う「U-18未来フォーラム事業」などの機会を通じて、それぞれの国の文化や生活を紹介し合う取組も行ってきているところでございます。 今後は、こうした取組の一層の充実を図るとともに、新たに、グローバル人材育成キャンプや、高校生と道内の大学等で学ぶ留学生とが交流する取組を進め、生徒の英語力の向上はもとより、国際社会の一員としての自覚を持ち、自国はもとより、諸外国の歴史や文化、伝統等について理解を深め、尊重し、様々な価値観を持つ人々と共に協調して生きていく態度や外国語を通じて積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度を身に付けさせる教育の充実に取り組んでまいる考えでございます。

2 教員の指導力について

(浅野)ただいま非常に素晴らしい答弁をいただいたのですが、こうした取組を進めていただく上で、一つの大きな鍵となるのが生徒を指導する英語の先生方の英語力・指導力をどのように高めるのかということに尽きると考えます。 道教委として、今後英語教員の英語力・指導力をどのように高めていくのか伺います。 (高校教育課長)教員の指導力についてでございますが、現在、高校の英語科の授業におきましては、生徒の英語力の向上を目指し、生徒が常に英語に触れ、教員と生徒との間で、また生徒同士で英語のコミュニケーションが日常的に行われるよう、「授業は英語で行うことを基本とする」ことが求められておりまして、道教委では、このような学習環境づくりに向け、英語教員の指導力や英語運用能力を強化することが重要であると考えております。 このため、道教委では、平成27年度から5年間の計画で実施しております、優れた指導力を有する教員を講師とした研修に、道内の全ての英語教員を順次参加させますとともに、本年度から実施している「高等学校英語力向上事業」におきまして、指定校や協力校の教員で構成する会議を設置し、効果的な指導方法や実践事例について情報共有するとともに、その導入拡大にも取り組んできておりまして、今後は、こうした取組を一層充実させながら、英語教員の指導力や英語運用能力の向上に取り組んでまいります。 (浅野)英語の先生方の客観的な力を測る指標として英検やTOEIC、TOEFLがあると思いますが、ある一定の点数を取れる先生を何%にするだとか、すでに取組を進めていただいていると思いますけれども、英語教員の方々の個人の努力はもちろんですが、道教委として、しっかり研修体制をさらに充実していただきたいと思います。

3 大学入試センター試験について

(浅野)主に国公立大学の受験の第一段階として毎年1月に実施される大学入試センター試験について伺います。 本道におけるセンター試験の受験率を調べたところ、平成30年度で北海道は35.7%と、全国平均の44.6%を下回っています。さらに大学進学率を見てみますと、平成29年度で本道が44.5%、全国が54.7%となっております。 本道においてセンター試験が実施される自治体は13市のみとなっております。主に道央の石狩、空知、または後志の小樽などに偏っています。道東地域は、釧路、北見、帯広、道北は稚内、旭川であり、これだけ見ても地域に偏在があることが分かると思います。 センター試験を受験できる地域が振興局管内の中にない地域が4つあります。一つは私の地元の留萌管内であり、他には道南の檜山管内、道東の根室管内、そして日高管内であります。今「問題だ」と言う声を他の委員からいただきました。振興局管内別の大学進学率を調べてみますと、札幌のある石狩は54.7%と圧倒的に高く、全道平均を上回っています。一方で、4振興局管内だけが30%を下回っています。それは、今しがた申し上げたセンター試験を受験できる場所がない留萌、根室、檜山、日高の4つなのです。 センター試験の受験が自分の地域でできるかどうかだけをもって進学率の高低に結び付けることはできないのかもしれませんが、北海道は九州と四国の全部の県を足しても、まだ余るぐらいの広大な地域ですから、受験地が著しく偏っていると、受験のファーストステップで、もしかしたら尻込みする高校生、親御さんがいるかもしれないと私は考えています。 私の地元の留萌管内羽幌町には天売島、焼尻島という離島があります。1月の冬の時期に、天気が荒れたら、1週間くらいフェリーが動かないこともあります。そうなると、もし旭川まで出てセンター試験を受けようとするならば、天気がよければいいんですけれど、天気が読めないときは、フェリーが通るうちに本道側に出て、旭川に行かざるを得なくなります。受験地の先に親戚の家等があればいいのですが、無いときはホテルなどに宿泊せざるを得なくなります。 単純に考えても、前日入りして2泊の外泊が必要になるんですけど、そうした天候事情を考えたときに、さらなる外泊が必要となる場合も考えられます。受験生本人の身体的・精神的な負担はもちろん、お金を出す保護者の負担も大きいと思います。 こうしたことを考えたときに、センター試験の受験地を増やしていく、これも道教委としてしっかり考えて対応していただきたいと思うのですが、認識を伺います。 (高校教育課長)大学入試センター試験の受験地についてでございますが、今年度の試験会場数は、道内においては、13市25会場となっており、道教委といたしましては、試験会場のない地域に居住する生徒にとっては、受験地への移動や宿泊などに関して、時間的、経済的な負担があるものと考えております。 広域分散型の地域特性を有する本道において、大学受験に係る時間的・経済的な負担等の軽減は、受験者や保護者等にとって、重要な問題であると考えられますことから、道教委といたしましては、今後、高等学校長協会や高等学校PTA連合会などの意見も伺いながら、大学入試センター試験の会場の拡充等について、国に働きかけてまいる考えでございます。

3-再 大学入試センター試験について

(浅野)ちょっと確認させていただきます。今、高等学校長協会や高等学校PTA連合会などの意見も伺いながらとありましたが、こうした団体からセンター試験の受験地を増やしてほしいという要望は今まで道教委に上げられたことはないですか。 (高校教育課長)これまで高等学校長協会や高等学校PTA連合会から具体的な御要望はいただいておりません。 (浅野)要望が上がらない理由として、例えば、各家庭で見たときに、毎年自分の家の子供が、長男、次男、三男とか、長女、次女、三女がいたとしても、毎年センター試験を受ける家庭は、そんなに多くないと思います。年子の子が何人か続くことなどそれほどないでしょうし、家庭ごとで見たら、センター試験は、私の地元でしたら旭川まで行くのが当たり前だというふうに思っている方もいるかもしれません。そういうことから、明確な要望が今まで道教委に上がってないのかもしれませんが、できれば地元で受けられた方がいいなという思いは当然みなさんあると思います。そうした声をしっかり掘り起こしていただきたいと思います。 また、文科省の高等教育局大学振興課大学入試室に確認したところ、正式な地域の声が上がってくれば、当然受験地を増やすことも検討・協議の対象になるとのことです。ただその際に、受験を行う上で十分なスタッフをどのように確保するのか、学校の先生方に対応していただくことが可能なのか、もしくは情報がきちんと秘匿されるか、そうした条件はあるのですが、ぜひともそうしたことも含めて、各団体からの意見を聞きながら、できる限り等しく地域ごとにセンター試験を受験するに当たっての負担が減るような方策を考えていただきたい。 もちろん大学進学だけが人生ではありません。しかし、それを望みながらも、地理的要因から「受験は少し難しいかな」と思っているお子さんがいたとしたら、それを是非とも道教委の力で変えていただきたい。そのように申し上げます。

4 子どもの読書活動推進計画について

(浅野)次に、過去三次にわたる計画を踏まえ、この度示された「北海道子どもの読書活動推進計画第四次計画について伺ってまいります。

(一)過去の計画との比較について

(浅野)第四次となる、このたび示されている計画案は、第一次から第二次、第三次を引き継ぐものとされているが、過去の計画のどんなところを継続して、何を改善させたものであるのか、また過去の計画を実施した間、対象者の読書時間はどのように推移をして、「子どもの読書活動の推進に関する法律」に掲げられておりますが、「言葉を学び、感性を磨き、表現力を高め、創造力を豊かにする」ということに対して、どの様に貢献してきたと、道教委として考えているのか、伺います。 (生涯学習課長)過去の計画との比較についてでございますが、道教委ではこれまで、全ての子どもが自主的に読書活動を行うことができる環境整備を図るという基本理念のもと、子どもの「読書活動の推進」と「読書環境の整備」という2つを計画の大きな柱として、様々な施策を進めてきたところでありまして、第四次計画におきましても、この2つの方針を引き継ぐこととしたところです。 また、第三次計画におけます改善点についてでございますが、例えば、

  • 一斉読書の時間を全ての学校で実施する
  • 子ども読書活動推進計画を全ての市町村が策定する

などの目標指標は、いずれも9割程度の達成率となっております。 なお、全国学力・学習状況調査におきましては、家や図書館で普段10分以上読書をする小・中学生は、小学生で平成29年度は60.9%で4.6ポイント、中学生で平成29年度は53.3%で0.8ポイントと平成24年度と比べ、それぞれ増加しているところであり、読書時間の長い児童生徒は全国学力・学習状況調査における国語科の平均正答率が高い傾向にあるとの結果も出されておりますことから、読書が学力の向上に一定程度貢献しているものと考えております。

(二)基本目標1について

(浅野)計画案では、家庭、地域、学校この3つを通じた社会全体で子どもの読書活動を推進していくことを基本目標1で謳っています。そこで伺います。

1 家庭における読書時間について

(浅野)第四次計画案では、家庭での読書時間として一日10分以上としています。この時間が提示されている科学的根拠は一体何なのか、まず伺いたいと思います。また計画案では、子どもを年齢別に0歳から6歳の乳幼児期、6歳から12歳の小学生期、12歳から15歳の中学生期、15歳から18歳の高校生期の四つの期間に分けておりますけれど、それぞれにおける読書の持つ意味について説明がなされておりますが、目標時間は10分以上とする根拠は何か、お願いします。 (生涯学習課長)家庭における読書時間についてでございますが、読書を通じて子どもの読解力、想像力、表現力などを育むためには、本に親しみ、読書の楽しさを知り、読書習慣を身につけることが重要でございます。 このため、本計画においては、発達段階に応じて読書習慣の定着に向けた取組が的確に推進されるよう、計画の対象を乳幼児期から高校生期までの4つの期間に分け、各期における読書に関わる能力と望ましい読書活動を示したところです。 また、目標時間の根拠についてでございますが、家庭において全く読書をしない児童生徒も一定程度いる中で、朝の一斉読書の時間を10分程度に設定している学校が多いことや、全国学力・学習状況調査の質問項目における「10分以上読書をする」小・中学生の割合を最低限の目安として目標指標に設定したところでございます。 (浅野)今の御答弁でしたら、10分以上の根拠として、カリキュラムや日程上できる範囲で行っている時間が10分程度、学力が向上するために最低限必要な時間の根拠ではないんじゃないかなと思いますので、朝、学校で勉強が始まる前でしたら時間も限られていると思うんですが、家庭においては10分以上よりも、もうちょっと長くてもいいような気がするので、その点、しっかり今後も検討していただきたいと思います。

2 乳幼児期における読書について

(浅野)2000年にノーベル経済学賞を受賞されたジェームズ・ヘックマンさんという方の理論によりますと、幼少期における教育の投資、これが生涯年収を含む、その人間の人生に大きく影響するんだというそういう理論があります。子どもの人生をより良いものとする上で、特に乳幼児期における読書、特に保護者との関り合いを持った読書が極めて重要だと思うんですが、計画案の中にはそうした記述は、特段、私が見た限りでは見あたりませんでした。この点につき、道教委としてどのように認識しているのか、このノーベル経済学賞をとったヘックマン氏の理論に基づいた何らかの取組というものを今後行う考えはあるのか伺います。 (生涯学習課長)乳幼児期におけます読書についてでございますが、幼児期の教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであり、この時期には、絵本に興味を示すようになりますことから、保護者等周りにいる大人が一緒に絵本を読みながら、語りかけや言葉のやりとりを通じて、子どもと気持ちを通わせることにより、読書の楽しみを十分に感じてもらうことが大切であります。 このため、第四次計画案におきましては、こうした乳幼児期における読書の特徴や、「ブックスタート事業」など乳幼児期の子どもやその保護者に対する具体的な取組方策などについて、記載しているところです。 道教委としては、これまで、「ブックスタート事業」を運営する上で必要なマニュアルや市町村の取組事例をまとめた「ほっかいどうブックスタートサポートブック」を作成し、普及・啓発を図ってきたところであり、今後とも、市町村における実施状況の把握に努め、市町村教育委員会や教職員を対象とした研修会や各種会議等において働きかけるなどして、乳幼児期の読書活動の推進に、引き続き取り組んでいく考えでございます。

3 家庭における読書活動について

(浅野)第四次計画案では「家読」を推進し、読書に親しむ機会や雰囲気の創出をするなどとして、具体的な取組として7つの取組を挙げています。重点的な取組に「保護者による絵本や物語の読み聞かせ」をあげ、他には「食後や週末にお子さんと保護者が時間や日を決めて家族全員が読書をしたり、読んだ本について会話したりすること」、こうしたことが重要であるとされております。これらを進める上では、私も4歳の子どもがいる親なので、人のことは言えないのですけれども、子どもにとって読書がいかに重要であるかということを保護者にきちっと伝えていく、より啓発していくことが重要になると思うのですが、そのことに対する道教委の認識と今後の取組について伺います。 (生涯学習課長)家庭における読書活動についてでございますが、子どもの読書習慣は日常の生活を通して形成されるものであり、読書が生活の中に位置付けられ継続して行われるよう、保護者が子どもの読書活動の機会の充実や読書習慣の定着に向けて積極的に取り組む必要があると考えております。 道教委では、これまでも、子どもと一緒に本を読むなど、家庭での読書を通じて家族のコミュニケーションを図る「家読(うちどく)」を啓発するリーフレットを作成し、市町村教育委員会や小・中学校等に配付したり、地域の子ども会と連携し、読書体験活動を交えた講演会を行うなど、保護者を対象とした啓発等の取組を進めてきたところであり、今後とも、市町村教育委員会などと連携し、家庭における読書活動の推進に努めてまいります。

4 読書時間の目標設定等について

(浅野)全国学力、学習状況調査において、「家や図書館で普段、一日あたりどれくらいの時間読書をするのか」との設問に対して、10分以上していると答えた割合について、平成29年度の目標を70.0%としています。現状は小学生が60.9%、中学生が53.3%です。子どもの読書を推進するのであれば目標は高く100%にするべきだと思うのですが、なぜ控えめに70%となっているのか、その根拠を伺います。また、この調査によりますと、小学生の約2割、中学生の約3割が全く読書をしていないとのことでもありますけれども、道教委としてその要因をどのように分析しているか合わせて伺います。 (生涯学習課長)読書時間に係る目標設定等についてでございますが、第三次計画におきましては、家や図書館で月曜日から金曜日に、1日10分以上読書をする児童生徒の割合を目標指標として、全国平均を勘案し、小学校・中学校とも70%としたところでありますが、平成29年度は、小学生60.9%、中学生53.3%と数値の向上は見られたものの、目標値には達していない状況でございます。 こうしたことから、第四次計画におきましては、現状を踏まえた上で、小学生の全国平均である70%を目標値に設定したところです。 また、月曜日から金曜日に、家や図書館で全く読書をしない児童生徒の割合は、過去5年間におきましても、小学生は約2割、中学生は約3割で推移しており、そのような児童生徒は、スマートフォンやゲーム、スポーツや習い事をしたり、友達や家族と過ごしたりすることなどに、時間を充てていることが考えられますが、道教委といたしましては、今後、読書習慣も含め、望ましい生活習慣の確立に向けた取組に努めて参ります。 (浅野)第三次計画の目標が70%だった。それによって数は値の向上は見られたけれど、目標値に達していないから第四次も70%。わかるんですけれども、100を目指すからこそ結果として70に到達できたというそういうこともあると思うんです。高い目標を掲げるからこそ努力して、結果としてそこにいかなかったにしても当初よりもより改善幅が見られた、そういう効果も期待できると思います。仮に100だということに目標値を変えていただいたとして、この第四次計画の検証をする時期になったときに100いかなかったじゃないかと、そういう意見が道議会から出るかもしれませんけれども、是非、高い目標を掲げるからこそ7割が達成できる、そうした意識ももっていただきたいなと思います。

5 調査の正確性について

(浅野)調査の設問で「読書は好きか」というものがあります。小学生の74.4%、中学生の74.0%が好きであると答えていますが、その一方で読書は好きなのに10分以上本を読まない割合が小学生13.5%、中学生20.7%いることも明らかになっております。この調査が本当に小・中学生の読書の実態を正しく反映しているのかどうか疑問に思うのですが、道教委ではどのように考えますでしょうか。 (生涯学習課長)小・中学生の読書の実態についてでございますが、平成29年度の全国学力・学習状況調査において、「読書が好きか」という設問に対し、「読書が好き」又は「どちらかというと好き」と回答した割合は、小学生で74.4%、中学生で74.0%であったことに対し、「月曜日から金曜日に、1日当たりどれくらいの時間、読書をしますか」という設問に対し、「1日10分以上読書をする」と回答した割合は、小学生で60.9%、中学生で53.3%であり、読書が好きと回答した児童生徒であっても、平日に10分以上の読書をしていない児童生徒も存在するとなったところです。 道教委といたしましては、本道の児童生徒の読書が好きという気持ちが具体的な読書活動に現れることが望ましいと考えており、今後とも、子どもが読書の楽しさを知るきっかけづくりや読書への関心を高める取組を推進してまいります。

6 市町村との連携について

(浅野)市町村において子ども読書活動推進計画を策定している市町村数は、平成28年で127と伺っています。これを179全ての市町村に拡げていくためには、ただ「計画をつくったんだからやりなさい」というだけではなく、読書の効果を科学的に示す必要があると思います。それこそが市町村を補完する事務を担う道の役割であると考えますけれども、この点についてどのようにお考えになりますか。 (生涯学習課長)市町村計画策定に向けた道の役割等についてでございますが、子どもの読書活動を推進するためには、家庭・地域・学校等がそれぞれの役割を果たすことはもとより地域の実情に応じて、互いに連携しながら社会全体で進めていくことが必要であり、市町村において、子どもの読書活動推進計画の策定を通じ、地域の共通理解のもと、総合的・計画的に施策を進めていくことが重要であると認識しております。 このため、道教委では、これまで、全ての市町村において計画を策定することを目標に掲げ、計画の必要性はもとより、策定手順等をまとめた手引きの作成・配布や個別相談などの支援を行ってきたほか、子どもの読書活動の重要性の理解を促進するために、子どもの読書活動と生活スキルや学力の相関を示した資料を作成し、情報提供を行ってきたところでございます。 今後、第四次計画の取組を実効性あるものとするため、道の計画の趣旨、内容を説明するとともに、市町村における計画の策定に対し、きめ細かな支援に努めてまいる考えでございます。

(三)基本目標2について

(浅野)第四次計画案の基本目標2では、「子どもの読書活動を推進するための読書環境の整備」が謳われておりまして、地域や学校図書館等における読書環境の整備を進めるとされております。

1 目標指標について

(浅野)4つの目標が掲げられているんですね。「市町村における読書活動推進計画の策定」、「学校図書館図書標準を達成している学校」、「学校司書を配置している学校」、「学校図書館において様々な人材と連携している学校」、これらを基準年度から目標年度まで何パーセントにするのかという目標が掲げられておりますけれども、特に学校司書を配置している学校、現在小学校14.4%、中学校14.9%、高校5.6%、それを目標年度では小学校60、中学校60、高校70とすると。これに関しては大胆な目標を設定されているんですよね。これを達成する上で、そもそも、なぜ学校司書に関しても配置している学校の割合がこのように低いのか、学校図書館図書標準を達成している学校の割合がなぜこのように低いのか、道教委の認識をまず伺います。 (生涯学習課長)学校図書館に関する目標指標についてでございますが、平成28年度の学校図書館に対する道教委の調査によると、学校図書館図書標準を達成している学校の割合が低い状況につきましては、財政状況により新規の図書の購入が少ないことや、公立図書館からの貸出しを受けていることなどが理由としてと挙げられております。 また、学校司書を配置している学校の割合が低い状況についてであるが、小・中学校については、市町村における厳しい財政状況や専門的知識を有する人材の確保が難しいことなどが、配置が進まない理由として挙げられております。 なお、高等学校については、全日制12学級以上の道立高等学校に図書館担当事務職員を配置しておりますが、現状は、他の事務職員、司書教諭や実習助手など複数の職員が協力して学校図書館の業務に当たっており、専任職員としての位置付けをしてこなかったため、数値が低い状況となっております。

2 目標達成に向けた取組について

(浅野)今御答弁の中で、専任職員としての位置付けを司書に対してしてこなかったという答弁もありました。また、全日制12学級以上の道立高校と言いましたが、小さい学校は置き去りでないかという声も後ろの方から聞こえてきましたけれども、そうしたこれまでの課題を踏まえて、この目標達成に向けてどのように今後取り組むのか伺います。 (生涯学習推進局長)目標達成に向けた取組についてでございますが、小・中学校における図書資料の整備や学校司書の配置について、道教委では、これまでも、学校図書館図書の冊数が図書標準を著しく下回る市町村や、学校司書が未配置の市町村については職員が直接訪問し、適切な措置がなされるよう要請しているほか、各市町村教育委員会等に対し、学校図書館の運営に関する様々な情報提供や助言等による支援を行ってきたところでございまして、今後は、平成29年度からの「学校図書館図書等整備5か年計画」において、地方財政措置が拡充されたことなどを踏まえ、各学校における図書標準の達成や学校司書の配置など、学校図書館の機能の充実が図られるよう取り組んでまいります。 また、高等学校における学校司書の配置については、学校司書に求められる役割、業務内容を明確にするとともに、専門性の高い職員の活用や効率的な配置等を検討するなどして目標達成に向け、着実に取り組んでまいります。

(四)地域の書店との連携について
1 計画案における書店の位置付けについて

計画案では、基本目標1、2のいずれにおいても、地域をあげて読書環境を整備すること、読書が大事だという機運を醸成することを掲げておられます。その主な役割を果たす主体として図書館が挙げられておりますけれども、まちに図書館ではない、書店があるかないかということも、読書環境の充実にとって大きな要素であると考えます。計画案の中で書店の位置付けについてどのようになされているのか、道教委としてどのように認識しているのか伺います。 (生涯学習課長)書店の位置付けについてでございますが、本道においては、平成29年度現在、図書館法に基づく図書館を設置していない市町村が道教委の調査によると79市町村あり、また、書店がない市町村もあるなど、地域によって、子どもの読書環境に差がある状況にございますが、道教委といたしましては、子どもがどこに住んでいても、好きな本を手に取ったり、必要な資料を調べたりすることができるよう地域の実情に応じて、関係者が連携して望ましい環境づくりを進めることが重要と考えております。 このような中、「子どもの読書活動の推進に関する法律」におきましては、事業者の努力として、子どもの健やかな成長に資する書籍等の提供について定められており、地域における読書推進に関わる役割の一端を担っているものと考えまして、計画案においては、図書館と並び書店についても子どもの読書習慣の定着に向けた「家読(うちどく)」の取組例として記載したところでございます。

2 書店の誘致、維持に向けた取組への関与について

(浅野)書店がいかに大事か。去年8月の朝日新聞ですけれども、書店ゼロの自治体が全国で2割を越していると。420市町村・行政区で書店が無くなってしまっている。今アマゾンなどのネットで販売するのも発達していますので、そうした影響もあると思います。人口減少が最も大きいと思います。ただ、書店がなくなると、文化拠点が無くなるとも言われております。 その一方で、私の地元の取組を紹介させていただきたいのですが、留萌市で、三省堂書店を何とか地元の熱意で呼び戻したという例があります。 平成22年にまちから書店が無くなってしまった。これは大変だということで、「三省堂書店を留萌に呼び隊」という団体を、塾を経営している武良千春さんという方が中心になり立ち上げられ、その後、「三省堂を応援し隊」という隊をつくり、平成23年7月に留萌ブックセンターby三省堂書店が開店しました。2万人ちょっとのまちとしては異例の、毎月一千万円位の売り上げをあげていますが、その背景には、ボランティアの方が人件費・報酬を受け取ることなく梱包作業をしたりだとか、まちが一体となって何とか書店を維持していこう、書店を守ろうという熱い想いに溢れた取組があります。 その結果、平成29年度、北海道の第25回地域文化選奨特別賞をこの方々が受賞されています。すばらしい文化を守る取組として、道からも評価をいただいております。 すべての自治体でこのようなことをしても、マーケットを取り合うという意味ではうまくいかないかもしれませんが、道内で書店が無い地域には、こういう頑張りによって書店を復活させて守っている地域もあることの紹介も含めて、なるべく地域において書店の誘致、維持に協力することも道教委として考えていただきたいし、この計画の中に位置付けることも重要ではないかなと思うのですが、道教委の認識と今後の取組について伺います。 (生涯学習推進局長)書店の誘致等についてでございますが、読書活動は、すべての子どもがあらゆる機会と場所において自主的に読書活動を行うことができるよう、積極的に環境整備が推進されることが必要でありまして、道教委においては、これまで、書店や図書館がない地域の小・中学校において、手書きPOP作成やビブリオバトル等の体験教室の実施を通じて児童生徒の読書に対する興味・関心を高めるなど、地域における読書推進を図る取組を行ってきたところでございます。 留萌市においては、平成23年に地域の方々の熱意で書店の誘致が実現して以来、ボランティア等との連携により青少年の健全育成や市民の心豊かな生活に寄与しながら運営されているものと承知しており、道教委としては、こうした事例を参考にしながら地域における、読書を通じた人づくりやまちづくりが進められるよう、市町村や学校、地域の関係団体と、より一層連携を深めながら、第四次計画の着実な推進を図ってまいる考えでございます。 (浅野)是非、道教委の皆様方にも留萌ブックセンターをご訪問いただきたいと思います。 このセンターでは、定期的に読み聞かせのイベントをしてくれていますし、地域の子どもたちの参考書も充実しています。小さな子どもがちょっと遊ぶスペースもつくったりと、店内スペースも充実しています。なにより素晴らしいのが、一生懸命ブックセンターを守るために活動している方々がいることです。市立病院等外にも出て行って販売をしている、そういう努力、地域の文化拠点を守るために努力している方々の姿を道教委の皆様も是非見ていただきたいと思います。 昨年、NHKの特集番組でも放送されています。ご覧になった方もいらっしゃるのではないかと思うんですが、こうした取組をできれば堂々と計画案の中に、留萌ブックセンターはすばらしいと書いていただければありがたいんですが、こうした取組が全道に広がるように尽力していただきたいと思います。

四 これからの高校づくりに関する指針について

(一)配置計画の策定について
1 配置計画の考えについて

(浅野)次に、これからの高校づくりに関する指針について伺います。旧指針の検証を踏まえて、このたび示された「これからの高校づくりに関する指針案」について伺ってまいります。指針案の中で示されているとおり、北海道における中学生の数というのは、昭和63年の92,222人をピークに、現在、平成29年は45,689人、そして平成37年には4万人を切って、39,731人まで減ると予測されています。こうした中で、高校の再編整備を考えていくことは避けられないことかと思いますが、このたびの指針案について、どういう考えのもと、これからの配置計画を道教委として考えているのか、改めて基本的な認識を伺います。 (参事(高校配置))高校配置についてでございますが、道教委では、これまで、高校進学希望者数に見合った定員を確保するとともに、教育水準の維持向上と教育の機会均等を図るため、適切な高校配置に努めてきたところであり、今後も、こうした考え方に基づき、中学校卒業者数の減少などを踏まえた定員調整を行うとともに、一定規模の生徒及び教職員の集団を維持し、活力ある教育活動を展開する観点から、可能な限り第1学年4ないし8学級の望ましい規模の高校が維持できるよう再編整備を進めていく考えでございます。 一方、人口減少社会への対応や地域を担う人材の育成などの観点から、地域における教育の機会を確保することがこれまで以上に重要となっており、第1学年3学級以下の高校であっても、地理的状況から再編が困難な場合などには、地域連携特例校などとして存続を図ることといたしまして、地域における高校の教育機能の維持向上に向けた取組等を勘案した上で再編基準を緩和することとしております。

2 地域連携特例校について

(浅野)指針案の中では、従来「地域キャンパス校」とされていたものが「地域連携特例校」へと名称が変わっておりますが、内容はどのように変わったのか伺います。 (参事(改革推進))地域連携特例校についてでございますが、第1学年1学級の高校のうち、地理的状況から再編が困難であり、かつ地元からの進学率が高い高校については、これまで以上に、地域と連携した特色づくりや魅力化を推進していく必要があることなどから、このたび作成することといたしました「これからの高校づくりに関する指針」におきまして、「地域キャンパス校」の名称を改め、「地域連携特例校」としてお示ししたところです。 地域連携特例校においては、地域連携協力校からの出張授業や遠隔授業、合同の学校行事や部活動はもとより、教職員の研修などにも連携して取り組むほか、新たに、地域連携特例校間の遠隔授業や、協力校以外の都市部の高校からの遠隔授業等の実施についても検討するなどして、教育環境の充実を図る考えでございます。

3 関係市町村との協議について

(浅野)次に、関係市町村との協議について伺います。指針案の中では、「2 公立高校の配置」の中で、「(1) 現状と課題」では、道立高校の現状と課題を述べて、「配置の基本的な考え方」の中では、全日制・定時制に高校を分けたうえで、細やかな配置の基準を示しています。その一方で、「複数学科設置校の取扱い」、「配置計画の決定」の項の中では、「地域の実情や学校・学科の特性等を考慮しながら」、または「関係市町村とも十分に協議します。」と記述があります。これは、ある公立高校が再編整備の対象になったとしても、地域の実情や、市町村との協議の結果次第では、本来再編整備をしなければならなくても、方針を転換することを示しているのか確認します。 (参事(高校配置))地域との協議などについてでございますが、道教委といたしましては、高校配置のあり方などについて、地域の保護者や関係者の方々の理解を深めていただくことが大切であると考えており、これまでも、高校の再編整備が課題となる地域において、指針の考え方や中学校卒業者の状況等について、情報を提供し、協議を行ってきたところでございます。 今後も中学校卒業者数の減少が見込まれる中、教育水準の維持向上に向けて、教育環境の充実を図るためには、高校の再編整備は避けて通れない課題であると考えており、その際におきましては、今後の中学校卒業者数の状況を踏まえた上で、本道の広域性、都市部と郡部の違い、地域の実情や学校・学科の特性、さらには高校に対する地域の取組などを考慮するとともに、地域の方々の御意見を丁寧に伺いながら再編整備の検討を進めていく考えでございます。

4 再編整備の考え方について

(浅野)要するに、地域の声によって、再編整備を本来しなければいけないものが、進められる地域と進めない地域があるとすれば、道教委の対応として、ダブルスタンダードの結論に至ることもあり得るということなのか、もう一度伺います。 (参事(高校配置))再編整備の考え方についてでございますが、本道は広域で多様な地域から形成され、それぞれの地域事情も大きく異なり、都市部と郡部の高校では、学校・学科の配置状況、通学事情、地域との関わりなどの面で相違があると認識しており、このたびの「これからの高校づくりに関する指針」におきましては、第1学年3学級以下の高校であっても、地理的状況から再編が困難な場合などには、地域連携特例校などとして存続を図ることとし、地域における高校の教育機能の維持向上に向けた取組等を勘案した上で再編基準を緩和することとしたところであり、こうした地域の実情も考慮しながら、再編整備を検討することとしております。

5 関係市町村の意向について

(浅野)生徒数が多くて、複数の高校があって、それを一緒にするかどうかという事情のある地域と、地域に高校が1つしかなくて、これがなくなれば高校が全てなくなってしまう地域と、それぞれの市町村の高校に対する思いなどは全く異なるでしょう。地域に高校があるかないか、また、特定の学科がちゃんと残されているかどうかというのは、町にとっては、未来の地域づくりに向けて、決定的に重要な問題であり、地元にある高校をしっかり守っていくということは、地域にとって死活的に重要な問題であると考えます。 指針案の中で事細かに再編整備の基準が書かれておりますけれども、条件を設定して、最後に関係市町村と十分協議をすることを謳うのも一つの方法かもしれませんけれども、先ほど答弁でありましたように、地域における高校存続に向けた具体的な取組等を前提とする、この町ではこの高校を残すために一生懸命頑張っている、そういった取組が見られるということを条件にした上で、「関係市町村との合意が得られない限り、いかなる再編整備も進めない」と明記した方がよりわかりやすく、地域にとっての安心にもつながるのではないでしょうか。私の地元でも、例えば苫前商業高校、遠別には遠別農業高校と、首長さん方も、地域の高校がなくなれば大変だと考え、頑張っている地域があります。そうした人々にとっては、安心を得た上でもっと頑張ろうと、そういう思いを持てることに繋がると思いますが、この点についての道教委の認識を伺います。 (教育長)これからの高校づくりに当たっての、地域の意向への配慮についてでございますが、中学校卒業者数の減少が続く中、教育水準の維持向上を図り、活力ある教育活動を展開するためには、高校の再編整備は避けて通れない課題であると認識しておりますが、再編整備の検討に当たっては、地域の実情や教育的観点からの望ましい学校規模の考え方などを丁寧に説明するとともに、地域の方々から御意見を伺うことが何よりも大切であると考えているところでございます。 道教委といたしましては、人口減少社会を迎える中、地域の教育機能を維持向上させることは極めて重要な課題であると認識しており、高校の配置が地域に与える影響、高校に対する地域の取組などに十分意を用いて、適切な高校配置に努める必要があると考えております。 (浅野)教育長おっしゃったように、高校の配置が地域に与える影響、地域に住む人たちの気持ちにどのような影響を与えるか、しっかり踏まえた上で、十二分にこれからもそれぞれの地域の意向を聞いた再編整備、これからの配置の在り方を考えていただきたいと思います。

五 飲酒運転の根絶について

(浅野)最後に、飲酒運転の根絶について伺います。先月、釧路総合振興局職員が飲酒運転をしてしまったことを受け、道教委も含め、道庁全体で改めて飲酒運転を絶対してはいけない、させてはならない、許してはいけないという取組を進めていたと思いますが、大変残念なことに、今月3日、道立高校教諭による飲酒運転が発生しました。非常に残念であります。高校の先生という生徒を導いていく立場にある方が、これだけ社会的に深刻な問題になっている飲酒運転を引き起こしてしまったことは、柴田教育長をはじめ、道教委の皆さんも大変残念な思いでいると思いますが、道教委として、今後の再発防止に向けて、どのような取り組みをしていくか、最後に伺います。 (教育長)飲酒運転の根絶についてでございますが、先月、知事部局職員が酒気帯び運転により逮捕される事案が発生いたしましたことから、このことを組織全体として重く受け止め、飲酒運転根絶に向けた取組の徹底を通知した直後に、道立高校教諭による飲酒運転が発生したことは、学校教育に対する保護者や地域の皆様の信頼を損なうものでありまして、誠に遺憾であり、大変申し訳なく思っております。 道教委といたしましては、今月5日に臨時教育局長会議を開催いたしまして、全ての管内で、速やかに市町村教育長会議や校長会議を開催するなどいたしまして、改めて職員に対する研修において、全ての職員が絶対に「飲酒運転をしない、させない、許さない」という条例の理念を周知徹底するよう、私から直接指示いたしたところでありまして、今後、職員と同居するご家族の協力も頂きながら、飲酒運転根絶に向けた取組を一層強化してまいります。 (浅野)今、同居するご家族の協力もいただきながら、と答弁いただきました。非常に残念な事態でありますけれども、改めて、私たち道議会議員を含めて、飲酒運転を絶対にさせないという意志を、私自身も強く持って行動していくことを誓い申し上げて、私の質問を終わります。]]>

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