道議会第二定例会では、一般質問の後に行われる予算特別委員会でも質問の機会を得ました。
今定例会では、総務部、総合政策部、環境生活部、保健福祉部、選挙管理委員会、人事委員会、公安委員会、出納局、監査委員会、企業局に関する審査を担当する「第一分科会」の委員となり、総合政策部に対して質問しました。
質問項目は以下の二つです。
一 交通政策について
二 北海道の水資源について
交通政策については、経営に厳しさを増しているバス事業者に対する支援のあり方について問いました。留萌管内には、羽幌町に本社を置く沿岸バスと、小樽市に本社を置く中央バスが通っており、住民の足として非常に重要な役割を担ってくれていますが、コロナ禍により乗客が減っているものの、営業を休むこともできず、雇用調整助成金の対象にもならない中で頑張ってくれています。
また新たに改正された地域公共交通活性化再生法についても触れました。
北海道の土地水資源については、平成24年度につくられた、無秩序な売買がなされないよう定めた道条例を取り上げつつ、日本にとってもかけがえのない宝と言うべき北海道の土地水資源を今後いかにして守っていくか、道の見解を質しました。
(浅野)
一 交通政策について
(一)交通事業者利用促進支援事業について
最初に、我が会派が一般質問等で検討を求めてまいりました交通事業者への支援について、この度24日に提案された予算案の中で、交通事業者利用促進支援事業が提案されています。このことについて以下伺ってまいります。
1 事業概要と目的について
まず、当該事業の概要と目的について改めて伺います。
(交通政策局長)
事業概要等についてでございますが、本事業は、交通事業者が発行する乗り放題乗車券やプレミアム付き乗車回数券等につきまして、利用者が購入する際の費用の一部を道が負担し、その相当額等を交通事業者に対して補助するものでございます。道といたしましては、活動自粛で失われました交通需要を喚起するため、道民の道内周遊を促進いたしますとともに、「新北海道スタイル」による感染拡大の防止と社会経済活動の維持の両立を目指しながら、複数交通モードの連携や、公共交通の利用促進に向けた気運醸成が図られることを目的としているものでございます。
(浅野)
2 対象経費について
次に、支援事業の対象経費について伺いますが、この事業では、対象経費として、乗り放題乗車券やプレミアム付き乗車回数券などを示していますが、もっと幅広く対象経費を設定することができなかったのか。この点について、どのような考え方に基づいているのか伺います。
(鉄道支援担当課長)
事業の対象経費についてでございますが、道としては、様々な活動自粛により失われました交通需要を早急に回復させることが重要との認識のもと、道内における鉄道やバス等といった公共交通の需要を喚起するため、ビジネスや観光での公共交通機関を利用した広域移動や道内周遊の促進につながる乗車券等を交通事業者に企画していただくことを想定しているところでございます。対象経費となる乗車券等の内容については、各交通事業者において既存の割引乗車券等との調整のほか、他の支援制度との棲み分けや、各種法令との整合性なども考慮しなければならないことから、今後、道が一定の考え方を示した上で交通事業者からの声を聞きながら、利用しやすい制度としてまいります。
(浅野)
3 対象事業者について
交通事業者の皆様からの声を聞きながらより良い制度をこれから作っていくとのことでしたが、その対象事業者の範囲が必ずしも明確とはなっておりません。どの範囲までこの事業の対象となるのか伺うとともに、その中に航空事業者は含まれるのかどうか、この点も伺います。
(鉄道支援担当課長)
補助対象となる事業者等についてでありますが、本事業については、新型コロナウイルス感染拡大によるインバウンドをはじめとする観光客の減少や外出自粛に伴い、公共交通機関の利用者が大幅に減少する一方、安定的な運輸サービスの提供を求められている鉄道、バス、タクシー、フェリー、航空といった公共交通事業者を対象とするものでございます。また、周遊性や利便性を高めながら、道内における交通需要の回復を目指す観点から、道内の事業者を対象にすることが基本になると考えておりますが、航空については、道内の発着便を運航している大手の航空会社も対象とする考えでございます。
(浅野)
4 事業実施期間について
次に事業の実施期間について伺います。コロナとの付き合いは今後長きに渡ると誰もが想定しているところですが、この事業の実施期間は今年の7月から来年の1月までとなっております。より長期に設定する必要があるのではないかと考えますが、この点の認識を伺います。
(鉄道支援担当課長)
事業実施期間についてでありますが、本事業については、新型コロナウイルス感染症の影響による交通事業者の厳しい経営状況に鑑み、早急に交通需要を回復させることが重要であることから、緊急的な対策として、年度内に実施する必要があると考えており、利用者が乗車回数券等を購入した場合の使用方法等も考慮し、販売時期を翌年1月末までとしたものでございます。
(浅野)
5 補助率の格差について
次に補助率の格差について伺います。この事業、一社単独でしたら30%以内。複数の事業者にまたがる場合は50%以内と、交通モードによって補助率の差が出ております。なぜこうした格差を設ける必要があったのか伺うとともに、現実的に複数交通モードが連携して乗り放題乗車券や回数券を発行する動きはいま出てきているのかどうか、事業実施見込みをどのように考えているのかを伺います。
(鉄道支援担当課長)
割引率の考え方などについてでございますが、本事業では、過去のプレミアム商品券などのプレミア率や、現在、取組を進めている「どうみん割」の割引率などを勘案し、原則として30%以内を基本としていますが、より多くの交通需要の喚起が期待でき、道の交通政策総合指針の重点戦略であるシームレス交通の推進に資する複数交通モードの連携については、割引率を50%以内としております。なお、本事業の公表後、多くの交通事業者から複数交通モードの連携に向けた問い合わせが届いており、道としても、本事業を契機としたシームレス交通の推進に向けて、積極的に働きかけてまいります。
(浅野)
6 事業の実施時期について
ただいま複数交通モードについて、既に問い合わせがあるとのことで、一日も早い事業の開始が見込まれることが期待されていると思います。7月からと先ほどおっしゃっていましたけれども、これは一日も早くこの事業が始まって、プレミアム乗車券などが発売されるようになるには、どのような手続きが必要となるのか、そして実際の販売スタートはいつ頃と見込んでいるのか伺います。あくまでいま答弁にあったように、予算が通っての話でありますけれども、できる限り早く実施できるように頑張っていただきたいと思います。
(鉄道支援担当課長)
事業の実施時期についてでございますが、道では、本事業の予算議決後、補助要綱の策定等といった手続きを速やかに行うなど、7月中に対象事業者からの申請受付を開始できるように準備を進め、事業者等への事前の情報提供に努めながら、準備段階から相談に対応するなど、事業者等において、出来る限り早期に販売が行えるよう取り組んでまいります。
(浅野)
7 感染症の収束が見通せない中での利用促進について
次に、先ほど質問に立たれた小樽市選出の佐藤委員もおっしゃっていましたが、いま道内各地でクラスター感染が出ているところであります。道の皆様方が再び第三の波が来ないように一生懸命頑張っていただいているところですけれども、仮に公共交通機関の利用促進を積極的に呼びかけている中で、再び感染が拡大する事態が起きた時に、どのような対応をするのか、このことを伺います。
(交通政策局長)
事業実施に向けた考え方についてでございますが、道では、新型コロナウイルス感染症拡大防止対策に万全を尽くしながら、社会経済活動のレベルを拡大していく「新北海道スタイル」の展開を図るため、バスやタクシー業界における感染拡大防止ガイドラインの策定など、安全・安心な交通利用環境の実現に向けた取組を進めているところでございます。この度の事業展開につきましても、「新北海道スタイル」に沿った行動の実践が重要となりますことから、例えば、感染症が再び拡大し、その結果として、特定地域への移動制限等の措置が講じられた場合には、乗り放題乗車券等の販売の一時的な休止を検討するなど、各交通事業者の皆様と相談しながら、感染拡大の防止を最優先として、適切な運用を行っていく考えでございます。
(浅野)
8 今後の取組について
販売停止、一時的な休止とならないことを祈りながら、この事業について最後に伺いますが、一日でも早く事業者の元にこの事業の恩恵が届くように各種手続きを進めていただきたいと思うんですが、先般、予算提案のあった「どうみん割」。これも色々話題に挙がっておりますけれども、こうした事業との連携も重要と考えますが、これらも含めて、道は今後どのように取り組んでいくのか伺います。
(交通企画監)
今後の取組などについてでありますが、道では、新型コロナウイルス感染症に関する緊急対策として、宿泊施設等を利用する旅行商品の割引に対して支援する「どうみん割」や、国の「Go Toキャンペーン」の利用に際し、本事業を活用した乗車券等を利用いただくことを積極的にPRするなど、他の取組との連携を図っていく考えであります。道としては、今後とも、感染症の影響などを見極めつつ、庁内関係部の施策との相乗効果を図りながら、公共交通の利用促進に繋げていくなど、持続的な地域交通の確保に向けて、交通事業者との連携を密にしながら、取組を進めてまいります。
(浅野)
(二)地域公共交通活性化再生法の改正について
1 法改正の内容と道内の計画作成状況について
続けて、地域公共交通活性化再生法の改正について伺います。先の国会で、この改正法が成立しまして、6月に公布されております。改正法においては、市町村や都道府県が「地域公共交通計画」を作成し、地域の移動手段の確保・充実を図ることを促進していくための規定がされております。まずは、その具体的な内容について伺います。それと同時に、これまでも同法において、地方公共団体がまちづくりと連携し、公共交通ネットワークを再構築するために、「地域公共交通網形成計画」を作成できるとされてきたところでありますけれども、道内の作成状況はどのようになっているのか伺います。
(交通・物流担当課長)
法改正などについてでありますが、国におきましては、6月3日に改正「地域公共交通活性化再生法」を公布し、地域の移動ニーズにきめ細かく対応していくため、従来の公共交通サービスに加え、地域のあらゆる交通手段を活用し、地方公共団体が自らデザインする「地域公共交通計画」を作成することが努力義務化されたほか、市町村区域を超えた広域的な計画が必要となる場合に、市町村は、都道府県に対し、その作成について要請できるとされたところでございます。また、道内における地域公共交通網形成計画は、全て市町村単独の計画であり、本年、余市町や八雲町など6件が作成され、5月末時点において全道の約2割の38市町村で作成されているところでございます。
(浅野)
2 広域的な計画の作成に関する考え方について
改正法においては、新たに、2つ以上の市町村が共同して都道府県に対して、地域公共交通計画を作成することが要請することができるとされております。法改正前における複数市町村による計画について、全国の作成状況はどうなっているのか伺います。また、今後、道内においても計画作成が必須とされる中、地域から広域的な計画の作成について要請があった場合、道として、どのように取り組むのか伺います。
(交通・物流担当課長)
広域的な計画の作成についてでありますが、法改正前における全国での複数市町村による計画は、本年5月末時点で53件あり、そのうち都府県と市町村との共同により作成した計画は、26件で約5割となっているところでございます。これまで、本道においては、複数市町村による計画策定はないものの、人口減少などによる公共交通利用者の減少が続くなど、地域交通を取り巻く環境は、一層厳しさを増しており、今後は、地域の実情に応じて広域的なエリアでの計画作成も必要となると考えられることから、道と市町村、交通事業者等が連携し、最適な交通体系の構築に向けて、検討を進めてまいります。なお、広域的な計画のエリア設定については、地域の公共交通として中心的な役割を担っている路線バスの運行エリアを参考とするなど、関係市町村や交通事業者と意見交換を行いながら、必要な調整を進めてまいります。
(浅野)
3 今後の取組について
ただ今、答弁いただいたように、大変厳しさを増している地域交通ですが、それだからこそ、持続的な交通ネットワークを維持していくことが必要だと思います。法の趣旨を踏まえて、広域的な観点から、地域の交通を守っていくことが重要でありますが、道においては、全道に14カ所ある振興局が十分な役割を果たすその機能を活用することが重要と考えますが、積極的に取り組むことについてどのように考えているのか、認識を伺います。
(交通・物流連携担当局長)
今後の取組についてでございますが、今般の法改正に関し、国では、今後、改正される政省令や計画策定に向けたガイドラインの公表が予定されており、道といたしましては、こうした国の動きを注視しながら、運輸局との連携のもと、地域の移動ニーズや公共交通の利用実態などについて、丁寧に把握していくため、まずは、市町村や交通事業者に対する説明会の開催に向け、振興局と鋭意準備を進めております。今後は、地域課題の解決に向け取り組んでいる振興局と本庁とが一層連携し、地域からの切実な声にしっかりと耳を傾け、議論を重ねながら、路線バスをはじめ、地域の輸送資源を最大限に活用した計画の作成を検討し、持続的な交通ネットワークの確保に向け取り組んでまいります。
(浅野)
(三)バス路線の確保について
それでは、次にバス路線確保について伺ってまいります。私の地元羽幌町に本社がある沿岸バス、また留萌管内には沿岸バスとあと佐藤委員の地元の小樽市本社とする中央バス、二つのバス事業者があります。そこでこれまで縷々補助事業の中でも触れられてましたが、今回のコロナウイルスの影響により、活動を自粛せざるを得ない中で、バス事業者も大変厳しい状況に置かれており、乗合バス事業の運送収入は47%減、今年の3月に、そこまでに激減していると伺っております。今後もこれらの傾向が続くならば、路線の維持はもちろん、会社の存続そのものが大変危なくなってくるわけであります。
留萌管内においては、生活交通路線として、宗谷管内の幌延から留萌市を通りまして増毛までの区間を、沿岸バスさんが運行してくれております。これら生活交通路線に対しては、国、道、沿線自治体が路線維持のための財政支援を行っておりまして、経常費用と経常収益の差額の損失に対し、国と道が45%ずつ、残りを沿線自治体が均等割で20%、キロ割で80%負担していると承知します。先に述べたように大変バス事業者、収入が減り厳しい状況の中にありまして、運送収入の大幅な減少に伴い、沿線自治体の負担増が不可避な状況にあると考えます。
一方、圏域をまたぐ留萌旭川間の生活交通路線においては、これまで道や国の補助金で損失分について対応してきたが、令和2年度においては、コロナウイルス感染症の影響から、国、道だけでは補填しきれなく、おそらく、関係する自治体、留萌市、北竜町、秩父別町、深川市、旭川市への負担要請も予想されます。これら自治体の負担を回避するため、減収に対して財政支援を講じることが必要と考えますが、道の認識を伺います。私どもこういう機会を通じて、皆様方道に意見を伝えますが、地元の事業者の方々の声を踏まえて、適宜、適切に国に働きかけを今後も行っていただきたいと思います。
(交通政策局次長)
生活バス路線の確保についてでございますが、道では、地域住民の暮らしを支える上で、重要な役割を担っております生活バス路線を確保するため、国などと協調してバス運行費の赤字分の補助を実施いたしますとともに、バス事業者と連携を図りながら、定額乗車券の販売など収支改善に向けた利用促進の取組を進めてまいりました。また、こうした取組に加えまして、今般の新型コロナウイルスの感染拡大により、バス事業者の収支が大幅に悪化していることを踏まえまして、地方バス路線の維持に係る補助要件の緩和などにつきまして、今月11日に国に対し、緊急要請を行ったところでございます。道といたしましては、乗合バスの持続的な運行に必要な予算の確保はもとよりでございますが、地域の実情を踏まえた補助制度となるように、様々な機会を捉えまして、国に働きかけていくとともに、振興局を跨がる広域的な路線につきましては、関係する振興局が連携して、バスの運行に係る関係者間の調整を図るなど、生活バス路線の維持・確保に向けて取り組んでまいります。
(浅野)
(四)JR北海道について
交通政策について、最後JR北海道について、留萌線などについて伺ってまいります。コロナウイルスの影響を受けて、赤線区の中で特に経営が厳しいとされている留萌線などは乗車数が激減しておりますし、沿線自治体の協議もなかなかできない状況で今日まで来ておりますけれども、これまでの沿線自治体の積み重ねとはまた別に、コロナウイルスの影響をもって、なし崩し的に廃線の流れが作られることに対して、地元の留萌市の市長も含め、皆様方が危惧しているところであります。道としては、これまでもそうだと思いますが、今後もより一層JRの留萌線の存廃問題については、沿線自治体の意向に寄り添った対応をして欲しい、そのことを望む声が強くありますが、この点に対する道の認識を伺います。まさにいま次長おっしゃったように、将来のまちづくりを見据えた交通のあり方というのをいま地元の各皆様、一生懸命考えているところですので、引き続きその姿勢に寄り添っていただきたいと要請を申し上げます。今まで縷々、交通政策について伺ってまいりましたが、今後の新型コロナウイルスの後を見据えた道の政策を考える上でも、全て非常に重要ですので、改めて知事のお考えを伺いたいと思いますので、委員長におかれましては、お取りはからいをよろしくお願いいたします。
(交通政策局次長)
今後の対応についてでございますが、道では、JR北海道の事業範囲の見直しにおいて、これまでの間、JRに対し、地域と真摯な姿勢で対応するよう求めてきているとともに、地域における検討・協議に参画させていただきまして、必要な情報提供や助言を行ってきているところでございます。道といたしましては、今後とも、交通政策総合指針に基づきまして、活力ある地域づくりや観光振興などの観点に十分配慮しながら将来のまちづくりを見据えた地域交通の確保に向けて、沿線自治体の皆様方とともに、十分な議論を尽くしてまいる考えでございます。
(浅野)
二 北海道の土地水資源について
北海道の土地水資源について伺ってまいります。道は、全国に先駆けて平成24年度に、北海道水資源保全条例を制定しております。これまで、水資源周辺地域における適正な土地利用の確保に努め、現在では、62市町村、179の地域が水資源保全地域として指定されていると承知をいたします。この条例では、第19条で、土地を所有する者が、基本方針等の配慮がなされながら適切に水資源の土地が利用されることが規定されると。また第20条では、その所有者が、土地を売買する際に、三カ月前までに知事に届け出ること、そうしたことが義務づけられております。一方で、これらの土地水資源については、外国資本に買収されていること、これに対する懸念の声が、各地であげられておりますし、コロナウイルスの影響により、今後、さらに、北海道の地価などが下落した場合に、買収が進むのではないかと、そうした声も聞かれるところであります。北海道の水は北海道、日本、世界の宝であるとわたくし思いますので、今後適切な保全がなされるように、そのことについて道の認識と取り組みを以下伺ってまいります。
(一)現状認識について
まず、現状、日本の土地、水資源が外国資本に買収される事例は認められておりますが、本道における、このような状況は、現時点でどのようになっているのか、伺います。
(土地水対策課長)
水資源保全地域内での現状についてでありますが、北海道水資源保全条例が施行されました平成24年度から、令和元年度までの8年間におきまして、合計で、222件、3,180.89ヘクタールの土地取引の届出があり、このうち、外国資本によるものと思われるものは、22件、146.47ヘクタールであり、全体に占める面積の割合は4.6パーセントとなっております。また、水資源保全地域に指定されております面積、約12万2千ヘクタールのうち、外国資本による土地取引面積の割合は、0.1パーセントとなっております。
(浅野)
再質問―土地取得者の居住地について
ただいまの答弁で、外国資本によるものと思われる件は22件、146.47ヘクタールと、答弁ありましたが、それぞれ届出をした土地取引者の居住地の内訳はどのようになっているのか、伺います。
(土地水対策課長)
国外に住所のある土地取得者についてでございますが、香港が11件、タイとオーストラリアが、それぞれ3件、シンガポールが2件、中国本土、カナダ、スペインが、それぞれ1件、という内訳となっております。
(浅野)
再質問―事前届出の状況について
今、22件の内訳が示されましたが、令和元年10月31日に開催されている北海道水資源保全審議会では、平成29年、30年度において、先ほど述べた事前届出が充分になされていないことについての報告がされていました。現在までこのような状況は改善されているのか伺うと共に、今、ご答弁にあった、22件の外国資本によると思われる取引については、事前届出は適切になされていたのか、伺います。
(計画推進担当局長)
事前届出の状況についてでありますが、平成29年度と30年度におけます事前届出の割合はいずれも約20パーセント、令和元年度につきましては、7.7パーセントと低下傾向となっておりまして、更なる改善が必要というふうに考えてございます。また、外国資本による取引におきましても、年度によって変動はあるものの、全体と比べ、その状況に大きな違いは見られず、事前の届出が適切に行われるよう更なる徹底が必要と考えております。道では、このような状況を踏まえまして、平成29年度から、水資源保全地域に土地を所有している道内外の方々に対しまして、保全条例の趣旨や協力を依頼するダイレクトメールを送付しておりますほか、道内の関係団体を通じたリーフレットの配布に取り組んでおり、今後とも、適正な土地利用の確保に向けて、保全条例の趣旨の浸透に努めてまいります。
(浅野)
条例ができてからもう、平成24年ですから10年近くなるわけですが、29年、30年は20パーセント、去年にあっては7.7パーセントと、外国資本によるものについても同様の傾向だということですので、適切な、強制力がないにせよ、事前届出はちゃんとなされるように、さらなる周知に取り組んでいただきたいと思います。
(二)コロナ禍の影響に対する認識について
次に、コロナ禍の影響、状況を受けた、認識について伺いますが、コロナの影響により深刻な経済が落ち込みを見せている中、たとえば、不動産とか、企業などの買収が進むのではないかと、それに対して、ちゃんと対応をとろうということが、自民党の国会議員の中で議員連盟ができたりとか、そういう動きもでておりますが、この土地水資源について、さらなる買収が進むのではないかと、こういう声もありますが、このことに対する認識を伺います。
(計画推進担当局長)
外国資本による土地の買収への認識についてでありますが、道では水資源周辺におきまして、利用目的が明らかでない大規模な土地取引が認められたことを背景に、平成24年度に「北海道水資源保全条例」を定め、この条例に基づき、水資源保全地域の指定や土地取引の事前届出、市町村における公有地化の取組への支援を行うなど、本道の森林や水資源を将来にわたって引き継いでいくため、適正な土地利用の確保に努めてきたところでございます。道といたしましては、海外資本による土地の取得が、環境と調和が図られながら、地域との協力関係のもとになされる場合におきましては、地域経済の活性化につながるものと認識しているところでございます。
(浅野)
(三)土地利用の状況の把握について
ただいま、「海外資本による土地の取引が、環境と調和が図られながら、地域との協力のもとになされる場合には」との答弁がありましたけれども、冒頭の質問に対する答弁の中で明らかにされましたが、22件の外国資本により取引された水資源、これらの土地は、現在の条例の趣旨がきちんと踏まえた、環境との調和が図られ、かつ地域との協力のもとに適切に利用されているかどうか、道として、きちんと把握はされてますでしょうか。道として22件の隅々まで把握することはなかなか大変かとは思います。外国資本に限った話じゃありませんけども、適切な活用がなされるように、今後しっかりと、注視をしていただきたいと思います。
(計画推進担当局長)
土地の利用状況の把握についてでありますが、道では、これまで、届出における土地の利用目的を踏まえ、例えば、胆振管内における太陽光発電を目的とした土地取得では、ソーラーパネルが設置されている状況を現地で確認しているほか、後志管内におけますホテル建設を目的とした土地取得では、ホテル建設の着工予定や取得された土地の現況を確認するなど、土地の利用状況の把握に努めてきているところであります。
(浅野)
(四)今後の取組について
最後に伺いますが、経済のグローバリゼーションというのは誰もが否定するどころではありませんけども、道民の生活、生命に関わるものが外国資本の強い支配下に置かれるということに対する懸念は、しっかり持っていかなきゃいけない、警戒を怠ってはいけないと考えます。特に、政府でも、安全保障上の懸念がある土地が外国資本に取得されることを制限できる法制度の創設を今検討していると。このことについては、近々纏められる経済財政運営と改革の基本方針において方向性を示すとも言われております。究極的には、道の条例ではなく、国の法律が必要になってくると思いますのが、道として、本道のかけがえのない宝である水資源の適切な保全に向けて、今後どのように取り組んでいくのか、最後に伺います。
(総合政策部長)
北海道の土地水資源に関しまして、今後の取り組みについてでございますが、道では、これまで、全国に先がけて水資源の保全に関する条例を策定をし、市町村の協力を得て、水資源保全地域の指定を進め、適正な土地利用に努めてきたところであります。今後とも、この条例の趣旨をより多くに市町村にご理解いただき、新たな地域指定に向けて必要な助言や調整を行うとともに、水資源保全地域における土地の市町村による公有地化を進めるため、今年度新たに、企業版ふるさと納税の活用による、市町村、企業、道が連携協働した取組を進めるなど、水資源保全地域の着実な拡大に取り組んでまいる考えであります。
(※第一分科会では副委員長の任を務め、委員長に代わって議事進行の役割も果たしました)
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