道議会第2定例会で一般質問に立たせて頂きました。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止を図りつつ、北海道経済の更なる落ち込みを防ぐという、二兎を追う難しい道を我々は歩んでいかねばなりません。その観点に立ち、以下の項目について質問しました。
一 新型コロナウイルス感染症対策について
(一)留萌市立病院をはじめとする感染症指定医療機関への支援等について
1 経営支援について
2 PCR検査実施体制の構築について
(二)保健所の体制強化等について
1 保健師の確保について
2 関係機関との連携について
(三)介護事業所への支援について
1 介護報酬の概算前払いについて
2 自衛隊との連携について
(四)道立羽幌病院の果たす役割等について
1 感染症指定医療機関との連携について
2 道立羽幌病院の体制強化について
二 本道の社会経済の回復について
(一)道内経済の回復について
1 中小企業への支援について
2 観光誘客促進道民割引事業費について
(二)本道水産業の振興について
1 ニシンの輸入並びにカズノコの生産確保について
2 漁協への支援について
(三)本道農業の振興について
1 労働力不足への対応について
2 全国和牛能力共進会の北海道への誘致等について
(四)本道における公共工事の促進について
1 建設工事の執行について
2 公共事業予算の確保について
三 本道の教育について
(一)教員の負担軽減について
(二)児童生徒の活動機会の確保について
一 新型コロナウイルス感染症対策について
(一)留萌市立病院をはじめとする感染症指定医療機関への支援等について
(浅野)
留萌市立病院は留萌医療圏において唯一緊急手術及び出産に対応できる基幹病院であり、第二種感染症指定医療機関として新型コロナウイルス感染症の各種対策に当たっています。
1 経営支援について
留萌市立病院においては陽性患者を受け入れる体制を当初の4床から増やし、現在までその体制を保っていますが、他の通常の診療を抑制せざるを得ない状況にあり、令和元年度で約8,860万円の赤字収支が生じている経営状況が更に厳しくなることへの強い危惧を関係者は抱いています。また同病院は市立病院でありながら、急病患者をはじめとする他町村からの患者を日常的に受け入れており、留萌市単独の財政負担では、感染症対策を充実させることは厳しいというのが現状であります。同病院をはじめ、感染症指定医療機関に指定されている医療機関の経営をどのように支え、新型コロナウイルス感染症に対応する病床を増やす取組をいつまで続けるべきか、病院独自の判断に委ねるのではなく、道として正式な要請、指導を行う考えはあるのか、道の認識並びに今後の取組について伺います。
(知事)
感染症指定医療機関への支援等についてでありますが、道では、これまで、新型コロナウイルス感染症患者の受入を行っている医療機関に対し、空床確保や院内感染防止対策に関する支援を行ってきているところでありますが、外来患者数の減少や病床の一部休止、不急の手術の延期などにより医療機関の経営環境は大変厳しい状況にあるものと承知をしております。このため、国に対し、全国知事会などあらゆる機会を通じて医療機関に対する財政支援を要望してきたところでありますが、今後、緊急包括支援交付金の大幅な増額が予定をされておりますことから、交付金を効果的に活用した支援策の充実を検討するとともに、更なる財政支援が図られるよう、国に強く要請をしてまいります。また、依然として道内で新規患者の発生が続いていることから、道といたしましては、当面の間、現在の確保病床数を維持することとし、その運営にあたっては、突発的な患者の増加等に対応できる即時受入可能な病床と、道からの要請により、一定期間後に患者受入可能な病床を明確に区別することとしており、現在、各圏域で今後の病床確保について検討を進めているところであります。
(浅野)
2 PCR検査実施体制の構築について
留萌医療圏で採取された検体は、通常、札幌市内にある道立衛生研究所に送られてから検査が実施されるものと承知しますが、仮に留萌市立病院で検査を実施し、陽性か陰性かを早期に判断できるようになれば、本人並びに濃厚接触者となり得る同居家族等の方々の心身の負担を減らし、地域の不安を解消することができます。これは自らの地域でPCR検査が実施できない事情を抱える他地域でも求められる措置と考えます。検体採取のみならず検査実施地域の拡大に向けた検査体制の構築に向けた道の認識並びに今後の取組について伺います。
(保健福祉部長)
新型コロナウイルス感染症対策に関し、検査体制についてでありますが、道では、感染の拡大を防止するためには、感染の早期発見が重要であると考えていることから、帰国者・接触者外来の増加に取り組むとともに、各地域の医師会や市町村と検体採取に特化したPCR検査センターの設置に向けた協議を進めているところでございます。今後、これらの取り組みを進めるとともに、感染症指定医療機関等における検査機器導入への支援や、民間検査機関への働きかけなどによりまして、各地域における検査体制の整備に取り組んでまいります。
(浅野)
(二)保健所の体制強化等について
1 保健師の確保について
保健所は新型コロナウイルス感染症への対応に関し、極めて重要な役割を担い、職員の負担はこれまで極めて大きかったと考えます。特に感染者が確認された地域の職員は、土日祝日もなく業務に追われ、時に心無い誹謗中傷に対応する等、大変な激務を担ってきたと聞いております。改めて保健所という組織の重要性を社会が再認識し、組織強化を図る必要がありますが、中でも患者の相談対応をはじめ保健所内でキープレイヤーとなる保健師の確保が重要です。全道各地域の保健所における保健師の充足状況はどのようになっているのか伺うと共に、保健師の確保をはじめとする保健所の体制強化に、今度、道はどのように取組んでいくのか伺います。
(保健福祉部長)
保健所の体制強化等についてでございますが、保健所は、地域の感染症危機管理の拠点としての機能を担っており、今後も継続して感染症対策を的確に実施していくためには、保健師の確保をはじめとする体制の強化が重要と認識しているところでございます。しかしながら、道立保健所では、相談対応や積極的疫学調査、医療機関の調整等、感染症対策の中核的な業務を担当する保健師に多くの欠員が生じており、その採用に当たっては、この間、年齢要件の緩和や、年間を通じた採用募集を行うとともに、大学や養成校に対しては、道立保健所における保健師業務とやりがいや魅力を紹介する冊子を作成・配布するなどして、その確保対策を進めているところでございます。今後も、これらの取り組みを進めながら、保健師の確保に努めるとともに、新型コロナウイルス感染症対策の長期化も見据え、ICTを活用した業務の効率化や、一部業務の外部委託化などにより、道立保健所の体制強化に向け、検討してまいります。
(浅野)
2 関係機関との連携について
ある人の感染が疑われ、PCR検査を受けることとなったとき、ご本人は勿論、同居家族にも陰性が確認されるまで行動自粛が求められるケースがあります。検査を受ける方が高齢の場合、配偶者やお子さん等の親族に状況を説明し、適切なケアをお願いすることになりますが、いずれも難しい場合、例えばその方が利用している介護事業所のケアマネージャー等に情報を提供し、対応して頂くことが一つの有効な方策になり得ると考えます。
また高齢者と日常的に接する介護事業所のスタッフは、利用者がPCR検査を受け、仮に陽性となった場合、適切な情報提供がなされなければ、クラスター感染を引き起こすことにも繋がる恐れがあり、事業所そのものが存続できなくなる可能性があります。ある介護事業所では、利用者がPCR検査を受けていることを後に知り、念のための当該利用者に接していたスタッフを自宅待機としたうえで、地元の保健所に状況を問い合わせたところ「個人情報なので教えられない」との回答しか得られなかったそうです。結果として、その利用者は陰性でしたが、そうでなかった場合どうなっていたのか、しっかりと検証されなくてはいけません。高齢化率が他府県と比較して高い本道においてこそ、感染した場合、特に重篤化しやすい高齢者の方々を守るため、個人情報の取扱いに十二分に配慮した上で、介護事業所と介護事業の申請先となる市町村等の関係機関と保健所が適切な形で連携を取ることが重要であると考えます。この点に対する道の認識並びに今後の取組について伺います。
(知事)
関係機関との連携についてでありますが、感染症法では、感染症の患者等に対し、いわれのない差別や偏見が生じないよう、人権の尊重や個人情報の保護等について規定されており、患者等に関する情報管理については、より慎重な対応が求められておりますが、事業所などとの情報共有は、介護事業所等における感染防止対策を進める上で、有効な方策の一つであると認識をしております。このため道では、患者が発生した場合には、速やかに市町村や事業所等と必要な情報を共有することとしており、今後さらに、事業所、市町村、医療機関及び関係団体等との連携を深めながら、これまでの感染症対応の経験を踏まえ、迅速かつ適確な対策に努めてまいります。
(浅野)
(三)介護事業所への支援について
1 介護報酬の概算前払について
厚生労働省は、新型コロナウイルス感染症の影響で収入が減少している保健医療機関等に、通常は二か月後に支払われる診療報酬を本年5月分は概算前払いとする特例措置を講じています。深刻な影響を受けているのは介護事業所も同様であり、介護報酬も同様に先払いされることを望む声もあります。介護報酬は診療報酬と同様に、道も構成員の一員となっている国民健康保険団体連合会において財政運営がなされていますが、介護事業所に対する先払いによる支援策について道はどのような認識を有し、どのような取組を行う考えでいるのかを伺います。
(知事)
介護事業所への支援についてでありますが、新型コロナウイルス感染症による利用自粛に伴う収入減少や施設内の消毒経費の増大等により、経営基盤の弱い事業所では、経営状況が厳しいところもあると考えられ、医療機関に対する診療報酬の一部概算前払は、福祉医療機構等の融資が実施されるまでの資金繰り対策として位置づけられ、介護事業所に対しても有効な手段であると認識をしているところであります。こうした中、新型コロナウイルス感染症によって影響を受ける介護事業所に対しては、福祉医療機構による無利子・無担保融資や介護報酬、人員基準等の柔軟な取扱いが行われており、道といたしましては、引き続き、これらの取組の周知徹底に取り組むとともに、医療機関に対して行われている報酬の一部概算前払と同様の措置が介護事業所でも適用されるよう、国に検討を要請してまいります。
(浅野)
2 自衛隊との連携について
介護事業者の運営する施設においてクラスター感染が発生した際、各施設のスタッフは自らが感染する危険性にさらされながら少人数での極めて過酷な対応を余儀なくされます。利用者の命を守り、更なる感染拡大を防止するという非常に難しい事態に対応できるのは、緊急支援能力を有している自衛隊しかいないと言われており、この観点から本年5月13日、水戸康智支部長をはじめとする全国介護事業者連盟北海道支部が道に対し、自衛隊派遣による支援を要望しております。自衛隊の本来任務は国防であることはもちろん承知しておりますが、道は、この点についてどのような認識を有し、どのような対応をする考えでいるのか伺います。
(保健福祉部長)
社会福祉施設等に対する支援等についてございますが、本道では、社会福祉施設等における集団感染が見られ、入所者への福祉サービスの提供を確保し、継続していく上でも、関係機関などと連携を図りながら感染防止対策に取組むことは、安定的な施設運営の観点から、重要であると認識しているところでございます。こうした中、道では、感染症対策本部の設置当初より、自衛隊などの関係機関や団体と情報共有を図りながら、緊密な連携体制を構築し、患者搬送や宿泊療養施設における従事職員への実地教育訓練などに支援をいただいているところでございます。道といたしましては、今後とも集団感染が発生した施設等に対しては、道の「広域支援チーム」を地元保健所に派遣し、初期対応に当たることに加えまして、関係団体からいただいたお話なども参考としながら、地元市町村や関係団体とも連携し、他施設からの応援派遣や専門家による指導・助言を進めるほか、国などの関係機関等とも十分連携を図るなどして、社会福祉施設等における感染防止対策や、その運営確保に、全道一丸となって取り組んでまいります。
(浅野)
(四)道立羽幌病院の果たす役割等について
1 感染症指定医療機関との連携について
広大な留萌医療圏の地域医療を守る上で、羽幌病院は日頃より、第二種感染症指定医療機関である留萌市立病院とともに重要な役割を果たしています。コロナ対策に関連し、道立羽幌病院と留萌市立病院は今後どのような連携をとっていく考えでいるのかを伺います。
(道立病院部長)
道では、これまで新型コロナウイルス感染症患者の増加に対応できるよう、受入病床の拡大に努めるとともに、各圏域で重症患者、中等症患者の受入体制の確保や医療機関の役割分担などについて、協議を進めているところでございます。こうした中、留萌圏域におきましては、第二種感染症指定医療機関であります留萌市立病院が新型コロナウイルス感染症患者の診療や受入等について中心的な役割を担うほか、羽幌病院におきましても、検体採取など、疑似症患者への診療等に対応をしているところでございます。道立病院局といたしましては、羽幌病院が、今後とも感染防止対策を講じた上で、適切な診療を行うとともに、留萌市立病院をはじめ圏域を越えた医療機関とも連携をしながら、地域センター病院として必要な医療が提供されるよう取り組んでまいります。
(浅野)
2 道立羽幌病院の体制強化について
感染症指定医療機関に指定されていない羽幌病院においても、役割を果たすことができるようにするためには、欠員が生じている医師並びに看護師をはじめとする医療スタッフの充足を図り、マスクや防護服等の各種感染防護具を確保することが必須であります。羽幌病院の体制強化に向け、道はどのように取り組むのかを伺います。
(病院事業管理者)
新型コロナウイルス感染症による院内感染を防止しながら、診療体制を維持していく上で、医師をはじめとした、医療従事者の確保はもとより、手袋やマスク、防護服など感染防護具の配備が重要と認識しております。羽幌病院では、これまで、医療従事者の確保に向けて、専門研修プログラムの整備や採用機会の拡大などに努めてきたところであり、また、感染防護具につきましては、道立病院局で一括購入するほか、他の道立病院からの提供や寄付などにより、必要量を確保しているところであります。道立病院局といたしましては、引き続き、医療従事者や必要な感染防護具の確保に取り組むほか、感染防止に向けた研修の実施や感染予防策の徹底など、院内の体制強化に努めながら感染症対策に万全を期してまいります。
(浅野)
二 社会経済活動の回復について
(一)道内経済の回復について
1 中小企業への支援について
次に、道内経済の回復に関し、中小企業への支援について伺います。深刻な経済への影響が生じている中でも、必死の営業努力により売り上げが50%以上の減少とまではならず、かつそもそも休業要請の対象となっていない事業者に対しては、政府、道の各種給付支援策は講じられておりません。これらの事業者に対しては、各市町村や商工会等の組織が独自の支援策を講じている事例もありますが、道としての支援を望む声もあります。このことに対する道の認識並びに今後の支援のあり方について伺います。
(経済部長)
本道の社会経済の回復に関しまして、中小企業への支援についてでありますが、感染症の拡大により大きな影響を受けております中小・小規模企業の事業活動の維持・継続を図るためには、企業がおかれている経営環境に応じた支援を適時に展開することが重要と認識しております。このため、道では、休業要請にご協力いただきました事業者の皆様に対する支援金以外にも、企業への専門家派遣による助言制度をはじめ、当初3年間は無利子となる融資制度や、国の施策と連動した経営の持続化に向けた支援、地域の商工団体等が実施します感染症拡大防止対策への支援など、様々な施策を展開しているところでございます。今後も、国の第2次補正予算などを踏まえまして、更なる対策を切れ目なく実施し、苦境に直面しております中小・小規模企業の方々が必要な支援策を効果的に活用できるよう、しっかり対応してまいります。
(浅野)
2 観光誘客促進道民割引事業費について
胆振東部地震の時に創設された「ふっこう割」事業についても、旅行会社を経由する事業であったため、旅行会社と提携をしていない中小零細宿泊業者等にその恩恵が行き届かない等の指摘がなされましたが、今回の事業に対しても同様のものとなるのではないかと懸念する声があります。それぞれの地域に根ざした事業者に事業の恩恵を行き渡らせるため、旅行会社経由ではなく自治体経由とする等の工夫をし、札幌市をはじめ独自に地元の観光需要を掘り起こすための事業を想定している市町村と連携を取ることが重要であります。また、事業の恩恵が全道各地域にあまねく広がるものとなり、予算が早い者勝ちのような形ではなく計画的に執行されるようにしなくてはなりません。さらにはこの事業を受けて宿泊事業者側が宿泊料金を値上げし、観光客にとってメリットの少ないものとならないように注意しつつ、事業期間が終わった後の観光需要の落ち込みを防ぐことも求められます。これらの点に関する道の認識並びに今後の取組について伺います。
(知事)
どうみん割の運用についてでありますが、道では、道民の皆様の力で観光地に再び賑わいを取り戻す契機となるよう、夏の需要喚起に向けた支援策、いわゆる「どうみん割」を7月から実施することといたしました。事業の実施に当たっては、小規模事業者が参加しやすくなるよう、観光協会等を経由する仕組みのほか、直接予約についても対象とするとともに、事業効果が特定の地域に片寄らないよう、圏域ごとのバランスに配慮しながら、計画的に予算を執行することとしております。道といたしましては、小規模事業者を含む各地域の多くの方々が事業の趣旨をご理解の上、参加いただくことで、地域の飲食店や観光名所において、市町村が行う支援策の活用と相まって、道民の皆様の観光利用が促進されるとともに、今後実施される国のGo To キャンペーン事業と連携を図ることで、道外からの誘客を促していくなど、地域経済の好循環と段階的な観光需要の回復につなげられるよう、取組を進めてまいります。
(浅野)
(二)本道水産業の振興について
1 ニシンの輸入並びにカズノコの生産確保について
我が国の正月時期の食文化を代表する食べ物であるカズノコは、全道の約6割が生産される私の地元留萌管内や、村田憲俊議長のご地元の後志管内をはじめとする日本海側が主な生産地となっており、またそれを製造する食品加工会社は地域にとって非常に大きな雇用の受け皿となっています。
一方で、カズノコの原材料となるニシンは大部分が北米等の海外からの輸入に頼っているのが実情であり、コロナ禍の影響により、これらの加工会社が例年4月から5月にかけニシン漁が行われる時期に、米国本土やメキシコ等から集めている労働者が本年は確保できず、ニシン漁の操業を停止したため、我が国への輸出が激減しております。ロシア極東、オホーツク沿岸のニシンも今年は前年比約7割減で漁が終わりました。留萌管内の水産加工会社においては、1月から5月にかけニシンから卵を出し、9月から12月にかけてカズノコを生産するのが主な流れとなっていますが、今のままでは来年1月から卵を出す仕事をするための原材料が確保できず、同年末に販売するカズノコが生産できなくなり、2022年正月、私たちの食卓からカズノコが消えてしまい、多くの雇用が失われることが現実的に起こりうる段階となっております。
幸い本年は、日本海側各地で例年になくニシンが漁獲されたものの、例年必要とされる量には遠く及ばないのが実情であります。関連する水産加工会社は、原材料の確保がままならないのであれば、雇用調整助成金の拡充と期間の延長、最も経費割合の高い電気代への補助、更には固定資産税等の減免等の経営面での支援を望む声があります。
道としてこれらの声も踏まえ、カズノコの原材料となるニシンの我が国への輸入状況についてどのような認識を有し、地域の雇用並びに我が国の伝統的食文化を維持するため、国との連携を含めどの様に取り組む考えでいるのか伺います。
(食産業振興監)
本道水産業の振興に関し、カズノコの原料確保についてでございますが、日本の食文化に欠かすことのできない、正月を代表するカズノコは、ヘルシーDoにも認定される機能性の高い食品でありますが、原材料の大部分を海外からの輸入に依存しているところでございます。主な輸入元の一つであります米国アラスカ州では、ニシンの資源量は豊富であるものの、本年は、価格面で折合いがつかなかったことや、新型コロナウイルスの影響で大手供給事業者の休業が相次ぎ、漁獲量が大幅に減り、2022年正月用の原材料確保が難しい状況と承知しております。今後、地域経済や雇用への影響も懸念されることから、国や北海道水産物加工協同組合連合会等の関係団体と連携して情報収集を行うとともに、道内沿岸域でのニシンの資源量回復に努めてまいります。併せて、厳しい経営環境にある水産加工関連事業者が抱える様々な課題の解決に向けて、専門家を派遣し、適切な指導助言を行うとともに、国への要請を行うなどして、各般の施策を迅速かつ着実に進めてまいります。
(浅野)
2 漁協への支援について
魚価の低迷により漁業者の経営は厳しさを増しておりますが、漁業協同組合の経営も同様です。浜の砦とも言うべき漁協の支援に道として今後どのように取り組んでいくのか伺います。
(知事)
漁業協同組合への支援についてでありますが、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う漁業生産の減少や魚価の低迷により、漁協の経営が悪化していることから、先般、関係団体から道に対し、支援策の強化について強く要望があったところでございます。このため、道では、振興局や水産技術普及指導所に設置した相談窓口において国や道の支援制度の周知や説明を丁寧に行うとともに、北海道信用漁業協同組合連合会が漁協へ融資する運転資金を、本定例会でご審議いただき、実質無利子化したところであります。今後、さらに、漁協が行う資源の維持や増加の取組を促し、水揚げの増大を図る対策について早急に取りまとめるなど漁協の経営安定に向けて適切に対応してまいる考えであります。
(浅野)
(三)本道農業の振興について
1 労働力不足への対応について
次に本道農業の振興に関連し、労働力不足への対応について伺います。深刻な労働力不足に悩んでいる農業等の分野と、コロナ禍により大打撃を受けている観光業等を繋ぐものとして、道は、「北海道短期おしごと情報サイト」を立ち上げています。札幌市南区にある合同会社定山渓ホテルインターナショナルで就労ビザを取得して働いていたバングラディシュ国籍の方2名が、この度、私の地元、苫前町の農協施設と畑作農家で受け入れられることが決まりました。この2人は、出入国在留管理庁の特例措置を活用し、農業分野での就労が認められたものであります。このような事例を増やすことが出来れば、本道農業の持続性が高まると同時に、本道における異文化交流・理解の促進という利点も得られると考えます。各振興局がそれぞれの地域の事情を把握し、マッチングを実現する上で主要な役割を果たすことが求められると考えますが、この点に対する道の認識並びに今後の取組みについて伺います。
(※苫前町に来られたバングラディシュ国籍のお二人と)
(農政部長)
本道農業の振興に関し、労働力の確保についてでございますが、新型コロナウイルス感染症の影響により、技能実習生が入国できず、営農での人手不足が懸念される一方で、ホテルなどの休業などにより、就労の継続が困難となり、新たな仕事を探している外国人材がいると承知をしております。こうした中、道では、農業団体や経済団体と連携しながら、休業中・失業中の方々と人手を必要としている農業者とのマッチングに向けた取組を行っているところでありますが、議員からお話のありました苫前町の事例は、単に労働力の確保としての取組のみならず、食材を提供する産地とホテルとの交流の契機となるなど、双方にとってメリットのある大変有意義な取組であると認識をしております。道といたしましても、こうした優良事例を地域に情報提供するとともに、振興局が中心となって、地域の関係者と連携しながら、労働力確保に向けたマッチングを、一層加速してまいります。
(浅野)
2 全国和牛能力共進会の北海道への誘致等について
全国の和牛生産者が一堂に会し、日頃の和牛改良の成果等を競い合う全国和牛能力共進会について、本道の和牛生産者団体等から、道に対し、令和9年に予定されている第13回大会の北海道での開催に向けて、協力要請があったと承知をします。「和牛のオリンピック」とも称される本大会を本道に誘致することは、生産技術の底上げにつながるとともに、コロナにより大幅な和牛価格の下落に苦しんだ道内各地の和牛生産者にとっては大変励みとなる、またとないチャンスになるものと考えます。現在道では、本道の酪農・畜産の10年後の目指すべき姿とも言える「酪農・肉用牛生産近代化計画」を本年度中に策定する予定と承知しておりますが、本計画の中に、本道の和牛の生産振興をどのように位置づけ、本道への共進会の誘致をどのように考えているのか、知事の見解を伺います。
(知事)
和牛の生産振興についてでありますが、本道の和牛生産は、これまでは主に府県への子牛の供給基地としての役割を担ってまいりましたが、今後、本道がブランド牛の産地として発展をしていくためには、優良な雄牛の造成や雌牛の改良をはじめ、飼養頭数の増大、肥育を含む飼養管理技術の向上など、和牛の生産基盤の強化を図ることが重要であります。このため、道といたしましては、本年度策定予定の「北海道酪農・肉用牛生産近代化計画」の中で、北海道産和牛の増頭や肉質の向上など、和牛の生産振興方針を明確に位置付け、本道の和牛が全国から評価されるブランド牛として確固たる地位が確立されるよう取り組んでいく考えであり、その取組を加速する上でも、令和9年の全国共進会の本道への誘致に向けて、関係機関や団体とも連携しながら、積極的に対応してまいります。
(浅野)
(四)本道における公共工事の促進について
1 建設工事の執行について
「北海道新型コロナウイルス感染症対策の対処方針」においては、安心安全な暮らしのために社会基盤整備に必要な公共工事については、関係事業者である建設業者に対し、最低限の事業継続を要請するとしています。建設業は他産業に比較してまだコロナ禍の影響が少ない分野と言われておりますが、今後とも雇用や建設業の経営安定を確保していくためにも、感染症防止の取組の徹底や、建設現場において、感染が発生した場合の対応を的確に実施し、工事を円滑に進めていくことが重要であると考えます。道としてどのように対応していく考えか伺います。
(建設部長)
本道における公共工事の促進に関し、建設工事の円滑な執行についてでございますが、道では、これまでも道内の感染状況を踏まえ、国の「建設業における新型コロナウイルス感染症予防対策ガイドライン」などに基づき、感染拡大防止対策の徹底につきまして、受注者や関係団体に要請したところでございます。また、道発注の建設現場において、感染症の影響により施工の継続が困難な場合には、受注者と協議いたしまして、工事の一時中止や必要経費の計上などの対応を行ってきているところでございます。道においては、今後とも、関係団体などと連携いたしまして、建設業への影響の把握に努めながら、こうした感染防止の取組を着実に進め、地域の安全・安心に欠かせない建設業の経営の安定が図られるよう努めてまいります。
(浅野)
2 公共事業予算の確保について
道行政においては、今何よりもコロナ感染症への対応が最優先されるべきであることは当然でありますが、本道の社会経済を回復させるため、また今後各種自然災害が頻発する季節を迎えること等に鑑みても、道民生活の維持、安心安全の確保に欠かせない公共事業の予算は可能な限り確保されるべきであります。例えば私の地元で進められている旧開発道路の道道名寄遠別線の整備については、今年度で道州制特区制度による事業期間が満了となり、今後も変わらず予算が確保され、進められるべきと考えます。また、地域にとって待望久しい国道232号線の強靱化の一環として小平防災の事業化が決定しましたが、「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」は、今年度で期間を終えることとされており、道民の安全・安心に資するこうした事業に必要となる予算の縮減が懸念されるところであります。そこで、公共事業予算の確保についての道の認識並びに今後の取組について伺う。
(知事)
公共事業予算の確保についてでございますが、道路や河川などの社会資本は、頻発する災害から道民の命と生活を守るほか、地域における医療提供体制の確保や道内生産物の流通を支える交通ネットワークとして機能するなど、感染症対策や経済再生にも欠かせないものであると認識をしてございます。このため、防災・減災対策や名寄遠別線など幹線道路の整備を重点的に進めるために有効な「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」や道州制特区制度については、今後も継続されるよう国に働きかけていく必要があると考えているところであります。道といたしましては、こうした事業も含め感染拡大の防止と社会経済活動との両立を支える社会資本の必要性について、国に訴えながら、必要な予算の確保に努め、道民の皆様の安全・安心を支える社会資本の整備を着実に推進してまいります。
(浅野)
三 本道の教育について
(一)教員の負担軽減について
最後に、本道の教育について、まず、教員の負担軽減について伺います。道内の各小中学校、高校では、3密を避ける等の工夫を講じながら、授業や部活動が行われていますが、例えば一つの学級を二つに分ける等の措置を講じる事により、一人の教員に大きな負担が生じることになり、教員の増員が欠かせなくなります。私の地元留萌市では、特別支援教育支援員に欠員が生じており、継続募集をしているものの欠員が埋まらない状況が以前、続いております。教員の加配、学習指導員やスクール・サポート・スタッフを担える人材の確保が厳しい状況は、特に地方では共通しているものと思われます。道教委としてこのような状況に対してどのような認識を有しているのかを伺うと共に、教育現場でのクラスター感染の発生を避け、子どもたちの学ぶ権利を確保すると共に、現場に立つ教員の更なる負担増を避けるべく、今後どのような対応を取る考えでいるのか伺います。
(教育長)
はじめに、教員の負担軽減に係る人材の確保についてでありますが、学校再開にあたり、新型コロナウイルス感染症対策のため、3密を徹底的に避けるなど、感染リスクの低減に努めながら、学習の遅れを取り戻すための学習指導計画の見直しなど、教員の負担が課題となっており、これに対する各市町村や各学校の状況に応じた適切な人員配置が必要ではありますが、学校現場を支える人材の確保は、地域の事情によっては非常に厳しい状況にあることも認識しております。道教委といたしましては、これまで期限付教員等の確保においては、ハローワークやホームページを通じた募集や広報誌、ユーチューブを活用した人材の掘り起こしに努めてきたところであります。さらに、この度の新型コロナウイルス感染症に対応した持続的な学校運営のために必要な人材の確保に向けましては、各教育局が市町村教育委員会と一層連携を強め、教育を学ぶ学生や様々なノウハウを有する社会人などが登録されている「北海道教育委員会ボランティアバンク」なども活用するほか、地域の潜在的な人材情報を共有するなどして、人的体制を整備し、教職員の負担が過重とならないよう、指導体制の充実に努めてまいります。
(浅野)
(二)生徒の活動機会の確保について
文科系、体育会系の各種大会の多くが本年度は中止となり、児童生徒の各種課外活動の確保を今後どのように図っていくかが重要な課題となっております。私の地元を例に挙げると、吹奏楽に青春をかける高校生の支援と地域活性化を目的とした音楽合宿事業が2014年から始められ、留萌青年会議所を中心に地域を巻き込んだ取組が行われてきました。2019年は7校による8合宿が実施され、吹奏楽部員の技術向上、人格的成長の促進のみならず、合宿事業による飲食物の提供や合宿参加者の高校卒業後の留萌市への就職の実現等、地域経済にも確かな波及効果をもたらしています。政府は各種イベントの開催について、段階を踏んだ指針を公表しておりますが、地域を跨いだ人的交流を伴う音楽合宿のような事業については、実施の可否について、主催者側も判断できず、向上心に満ちた子どもたちの未来を守りたいという強い想いとの葛藤に悩んでいます。 このような事情を抱える教育現場、地元関係者は他にも多くあると思われます。道教委としても部活動が再開され、生徒の活動機会が確保されるよう、積極的な協力、助言を行うべきと考えますが、道教委の認識と今後の取組について伺います。
(教育長)
生徒の活動機会の確保についてでありますが、学校が地域の方々と連携をし、あるいは地域の教育資源を活用しながら、様々な教育活動を展開することは、大変意義のあるものと考えており、留萌市の音楽合宿の取組のように、これまでも、自治体や住民の方々の御協力をいただき、合同合宿や交流試合などが実施されてきておりますが、新型コロナウイルスの感染拡大による学校の臨時休業に伴い、そうした活動が自粛されてきたところであります。道教委といたしましては、各地域における部活動や様々な活動の再開に当たりまして、生徒の安全と健康を第一に、イベントや競技団体のガイドライン等に基づき、感染症対策を徹底するよう指導助言を行うとともに、部活動に熱心に取り組んできたにもかかわらず、その集大成の場を失った最終学年の生徒たちの躍動する姿と努力の軌跡を道民の皆さんと共有できる機会の創出についても検討を行ってまいります。
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