北海道結志会を代表し、質問を行いました。私の地元留萌管内はもちろん、全道的な課題について40分間、道の認識および今後の対応について質しました。新たに浮き彫りとなった課題については、今後更に深堀して参ります。
平成29年第2回 北海道議会定例会〔一般質問(代表格)〕開催状況
開催年月日 平成29年6月23日
質問者 北海道結志会 浅野貴博 議員
担当部課 総合政策部地域創生局地域戦略課
私は北海道結志会を代表して、道政執行に関する知事の基本姿勢と当面する諸課題について、順次質問してまいります。
知事の基本姿勢について
1.質問:北海道創生について
まず、北海道創生についてです。
5分野にわたる重点戦略プロジェクトの展開を通じ、究極的には「人口減少・危機突破」を目指す北海道創生総合戦略がスタートして1年半余りが過ぎました。その柱のひとつとなるのが、道外へ人や資金を逃さず、定着させるとともに、逆に道外からそれらを呼び込み、本道で増やすことで、北海道内に高付加価値化に資する力強い産業を創出することであります。
問題は、そのための競争力強化の手法や方向性、そしてその競争の行きつく先が、結果的に、掲げる理念とのズレを起こしていないかということです。
例えば、生産性の向上や収益力の強化を目指し進められてきた機械化、自動化は、現場での過重労働からその担い手を解放するなどの成果も見られた一方、終わりのない低価格化競争への端緒を開くものでもありました。その熾烈な競争が、生産財や製品の価値を高め、また、それを購入し、用いる方々の品物への愛着を増し、生産現場では、携わる職人の皆さんの誇りとともに、職業価値や技能向上、継承に繋がり、本道で暮らす人々の笑顔を増やす方向に作用しているかどうかが今、問われているのではないかと考えます。
国をはじめ本道でも、効率化・成長産業化促進のための投資を後押しする各種施策がありますが、総合戦略の推進にあたっては、それが最終消費財の価値や暮らしの質向上とともに、本道における人の育成、定着に資するものであるかどうかとの視点も必要と考えます。知事の所見を伺います。
答弁:知事
浅野議員の御質問にお答えをいたします。
最初に、私の基本姿勢に関し、まず、創生総合戦略についてでありますが、その取組の基本方向としては、将来にわたり安心して暮らし続けることのできる北海道を築いていくために、本道ならではの特性を活かした力強い産業を創出をし、多様な人材が自らの能力を十分に発揮しながら、生活の糧となる安定的な所得が得られる就業の場を確保することとしているところであります。
このため、農業分野でのICT導入をはじめとする省力化、効率化に加え、観光地域づくりの舵取り役であるDMOや食の販路拡大などを担う人材の確保・育成などにより、地域産業の付加価値向上を図るとともに、 U・Iターンの促進や企業の働き方改革を進め、地域創生推進の基本は人材であるとの考えのもと、人々が誇りとやりがいを持って働き、地域に定着できるよう官民の連携を一層強化をし、取組を進めてまいります。
指摘:
ただいま、知事などから御答弁をいただきましたが、再度、指摘を交えながら質問させていただきます。
知事から、「地域創生推進の基本は人材である」との御答弁がありました。
産業や企業の競争力アップに向けて、労働生産性向上の名の下に行われる機械化投資は、ややもすると生産性測定式の分子となる売上や付加価値の向上ではなく、分母となる人の削減に重点が置かれがちです。技術革新のスピードが著しく早いであるとか、より低賃金な労働力への切替圧力が、グローバル競争の中で極めて高いといった構造的な課題を抱える業種によっては、そうした取組が不可避的に重要とされることも理解はできますが、そのような視点での生産性向上合戦の先に待っているのは、終わりなき低価格競争であり、多くの場合、その行き着く先に人の姿や笑顔を見出すことは困難であります。
無論、私も、省力化、効率化投資を全て否定するものではありません。しかし、御答弁にあったとおり、省力化、効率化投資と合わせて、道としてより重きを置くべきは、生産性測定式の分子である売上や付加価値そのものの増大であり、言葉を換えるならば、生産される財貨等の付加価値上昇に繋がる取組であるべきです。
本道における北海道創生に向けた産業競争力強化の様々な取組が、本道で働く人々の誇りとやりがいを増し、この北海道への定着を確実なものとすることにつながることを心から願い、強く指摘をいたします。
開催年月日 平成29年6月23日(金)
質問者 北海道結志会 浅野貴博 議員
答弁者 知事、総務部長
知事の基本姿勢について
行財政改革について
1.質問:地方の基金増加をめぐる議論について
来年度の予算編成の方向性を決める「経済財政運営と改革の基本方針」いわゆる「骨太の方針」が今月9日閣議決定され、地方行財政をめぐっては、「2020年代を見据えた構造改革を推進し、財政資金の効率的配分を図ることを検討する」との基本的な考え方が示されました。また、地方公共団体の基金や地方単独事業の実態把握と「見える化」などを通じた、地方行財政改革の推進なども明記されております。
「骨太の方針」の決定に先立ち、経済財政諮問会議や財政制度等審議会では、地方公共団体の財政調整基金等の積立額が累増していることを問題視し、基金累増の背景・要因について実態把握や分析をし、更には国・地方を通じた財政資金の効率化配分に向けて地方財政計画への反映等の改善方策を検討すべきとの見解を示しております。「地財計画への反映」が何を意味するのか分かりませんが、地方交付税の圧縮を通じた赤字国債の発行抑制が狙いとの見方もあり、総務省では議論の前提として実態把握が必要との考え方から、全ての自治体を対象に基金造成の理由について調査を始めております。道全体の平成28年度末基金残高は2,437億円と10年前の2,653億円と比べ216億円ほど減少してはおりますが、調査対象は全ての自治体であります。
道の基金造成の考え方、及び経済財政諮問会議や財政制度等審議会の動きについて、知事はどのような見解をお持ちなのか伺います。
答弁:知事
地方の基金残高をめぐる議論についてでありますが、地方団体の基金は、災害等予期せぬ事態への対応や経済事情の変動に伴う歳入の減少などに備えるため、必要不可欠なものであり、道においても、長期的視野に立った計画的な財政運営を行うため、その積立てに努めることとしているところであります。
それぞれの地方団体においても、様々な地域の実情に応じ、財政支出の節減にも努めながら、自らの責任と判断により積立てを行っているものと考えているところであり、そうした実態を踏まえることなく、単に地方全体として基金残高が増加していることのみをもって、地方の財源を削減するようなことは、あってはならないものと考えるところであります。
道といたしましては、このような削減が行われることのないよう、全国知事会などとも連携をし、地方の意見を国に対してしっかりと主張してまいる考えであります。
2.質問:トップランナー方式について
「骨太の方針」では、民間委託など、自治体に歳出効率化を促す「トップランナー方式」について、その影響額の活用のあり方・地財計画上の取り扱いを明確化することが盛り込まれております。財政制度等審議会では、地財計画の歳出規模の抑制につなげるような議論もあり、来年度以降の地方交付税総額の減少が懸念されるところであります。
「トップランナー方式」は2016年度から導入されておりますが、昨年度の道の影響額はどうなっているのか、そして地財計画上どのように取り扱うべきと考えるのか伺います。
答弁:総務部長
行財政改革に関しまして、地方交付税制度についてでございますけれども、平成28年度から、民間委託等の業務改革を実施しております地方団体の経費水準、これを地方交付税算定に反映いたしますトップランナー方式が導入されまして、道路維持補修をはじめといたします16業務につきまして交付税算定上の経費水準が見直されたところでございますけれども、これによります道への影響額は約8億円の減少と試算されるところでございます。
しかしながら現状におきましては、こうしたトップランナー方式の導入に伴います影響額、これは地方交付税総額の縮減にはつながることなく、全て地方に還元される取扱いとなっているところでございます。
地方団体の行財政改革によって生み出されました財源、これは地域が直面する諸課題に対応する経費に振り替えるなど、確実に地方に還元されるべきものでありますことから、全国知事会とも連携しながら、現行の取扱いが継続されるよう、国に強く働きかけてまいる考えであります。
開催年月日 平成29年6月23日
質問者 北海道結志会 浅野貴博 議員
担当部課 総合政策部交通政策局交通企画課
当面する諸課題等について
交通ネットワークについて
1.質問:交通指針の策定について
知事の諮問機関である北海道運輸交通審議会は、JR北海道の事業範囲の見直しなどの動きを踏まえ、今年度中に道の交通政策の指針を策定するための議論を開始したと承知しております。新たな道内交通網の長期ビジョンを策定するわけですが、JR北海道をはじめ経営環境が厳しい各交通機関の連携や役割分担で、いかに実効性が確保できるかが問われると考えます。
知事は会議の席上で、「道の経済発展と地域活性化を支える交通ネットワークはどのような姿かといった観点から、交通の将来像を描きたい」旨、発言されたようですが、基幹交通の一つであるJR北海道の事業範囲の見直しはもとより会社の存続自体も先行きが見通せない中、知事は新たな交通政策の指針の策定にあたり、指針をどのように位置付け、本道の発展に資する実効性のある具体性を盛り込むつもりなのか、所見を伺います。
答弁:知事
交通政策に関する新たな指針についてでありますが、道では、北海道新幹線の開業やインバウンドの大幅な増加、さらには、JR北海道による事業範囲の見直しなど、本道の交通を取り巻く環境変化に的確に対応するため、本年度、道民の皆様や観光客の方々が円滑に移動できる交通ネットワークの実現に向けて、交通政策に関する指針を策定することとし、
先般、開催した北海道運輸交通審議会に諮問したところであります。
新たな指針については、2030年頃を念頭に、
総合的な交通政策に関する基本的な考え方を示すものであり、策定にあたっては、鉄道網を含む持続可能な公共交通ネットワークの構築など、様々な観点から議論を深めていく必要があると考えているところであり、道としては、国や市町村、交通事業者と一層連携しながら地域における検討・協議の状況を踏まえつつ、将来を見据えた課題や方向性について情報共有に努め、地域の活性化と北海道の発展を支える総合的な交通ネットワークの形成に向けて全力で取り組んでまいります。JR北海道をめぐる諸問題について
2.質問:鉄路存続に向けた取り組みについて
昨年11月、JR北海道は単独では維持困難とする13線区を公表しました。それに対して高橋知事は、沿線自治体等地域の意向を無視した安易な廃線は認めないとし、廃線ありきの議論が進まないよう注意しつつ、利用促進や駅舎の利活用等の地域の取り組みに対して財政措置を含む支援を検討するとともに、国の支援を求めていると承知しています。
一方で、事業範囲の見直しの当事者たるJR北海道の島田修社長は、北海道新聞社のインタビューに対し、「国の支援とは国からの税金投入にほかならず、今後の利用者が減っていく地方の鉄道に保育園や年金の予算を削って回すべきなのか議論が必要」と述べ、更に今回の経営危機について「国の責任というより私たちの責任」と、国の責任を否定、経営危機の原因は分割民営化時のスキームがもはや成り立たなくなったことではないとしています。
国に支援を求めないとするJR北海道の姿勢は、この間、JR北海道の持続的な経営構造の確立等について、国に対し抜本的な対策を求めてきた知事の姿勢とは異なっており、今後の議論にも大きな影響を及ぼすものと危惧されます。我が会派としては、この問題に関しては、早期からJR北海道や関係自治体はもとより、オール北海道で意思を統一して取り組むべきと再三指摘をしてきたわけですが、足並みが揃っているとは言い難い状況の下、JR北海道を含めオール北海道での取組とするため、今後、どのように対応していくのか所見を伺います。
答弁:黒田交通企画監
国への要請についてでございますが、JR北海道の経営は、基金運用益の低迷に加え、利用者の減少や近年の安全投資の急増などにより、極めて厳しい状況にあり、持続的な経営構造の確立のためには、国の抜本的な支援が欠かせないと考えています。
国においては、これまでもJRに、数次にわたり支援を行ってきたところでありますが、「安全投資と修繕に関する5年間の計画」に対する支援が終了する平成31年度以降、JRの経営状況は一層厳しくなることが見込まれますことから、道では今後、国や道市長会、町村会、さらにはJRが参画する北海道運輸交通審議会の小委員会におきまして有識者などから助言を頂くとともに、国の抜本的な支援の必要性について認識を深めながら、実効ある支援が実施されるよう、オール北海道で国に強く求めてまいる考えでございます。
3.質問:個別線区への対応について
JR北海道の事業範囲の見直しについては、知事のリーダーシップを求める声が道民や道議会からも聞かれるところであります。
そのような中、知事は5月24日、留萌市にお入りいただき、その後、名寄市に向かいJR宗谷線に自ら乗車されています。知事として、JRが単独では維持困難とする13線区に該当する沿線自治体に初めて入られたことになると承知していますが、どのような考えで視察に臨み、その成果をどのように捉えているのか伺います。
また、知事は、JR北海道の経営再生と鉄道網の持続可能な維持に向けて、地域の取り組みが進むように自らが積極的・主体的な役割を果たしていく旨、述べられています。しかしながら、事業範囲の見直しを巡る沿線地域の動きは、自治体側の財政負担への懸念など、先の見えない不安があり足踏み状態が続いていると言わざるを得ません。
そこで、今後の地域での議論を進めていくためにも
知事自らが、対象となっている全ての沿線に、直接乗車する等の形で、現地視察や意見交換などを早期に行い、沿線自治体や関係者の声を丁寧に伺うとともに議論を進めていくべきと考えますが、所見を伺います。答弁:知事
地域における検討・協議についてでありますが、道では、JRとの協議入りに慎重な市町村が多い中これまで副知事をはじめとする幹部を地域に派遣をし、地域の実情に応じた検討・協議の開始に向けた働きかけを行ってきたところであり、現在、JRが見直し対象とした全ての線区において、議論が進みつつあるところと認識いたします。
こうした中、沿線の皆様から地域の実情などを直接お聞きしたいとの考えのもと、先般、名寄市を訪問し、商工業や医療、教育などの関係する皆様と意見交換を行い、通院や通学の利用実態などについて、伺うことができました。
今後とも、様々な機会を通じ、沿線自治体の皆様の声をお聞きしながら、地域における検討・協議が円滑に進むよう、主体的に取り組んでまいります。
指摘:鉄路存続へ向けた取組について
国の抜本的支援が実施されるようオール北海道で国に強く求めると述べられた知事には、是非、地域の声を背に受け、先頭に立ち、ご奮闘頂きたいと思いますが、JR北海道と地域の思いが大きくかけ離れていることは明らかであり、このことは遺憾であると言わざるを得ません。先ほども述べたとおり、JR北海道の島田社長は、国からの支援は、国からの税金投入に他ならず、地方の鉄道に、保育園や年金の予算を削って回すべきなのか議論が必要と述べ、経営危機については、国の責任ではないと、認識を示している一方で、地域には、上下分離方式などによる費用負担を求めているわけです。国であろうと地域であろうと、財源は税金であり、道内自治体の厳しい財政状況を踏まえたとき、地域に求める負担が、住民生活などに直接的な影響を及ぼすことは明白であり、国に支援を求めないが、地域には負担を求めるというJR北海道の姿勢は、全く理解できないわけであります。そのような姿勢が、地域との協議が停滞する大きな要因となり、さらなる不信感を招いていることについて、JR北海道には今一度、猛省を求めたいと考えます。
奇しくも昨日、JR北海道の株主総会が開催されました。唯一の株主である鉄道運輸機構の北村理事長は、企業価値を上げて、将来的に株の売却益を国に還元する、路線見直しは、価値が下がっている分を元に戻すことだと。
また、先日の記者会見において、国土交通大臣は、できる限り早期に、安定的な経営基盤を確立し、完全民営化できるよう求める旨、述べられております。一般論としては正論なのかもしれません。
しかし、本道における鉄道の歴史、意義を全く無視している上、経営危機の原因が、分割民営化時のスキームの崩壊であることを棚上げし、経済性のみを追い求めるような言葉は、現実から目を背け、地域で暮らす道民の姿を理解しているとは到底思えず、残念でなりません。当然ながら、JR北海道の道民軽視の姿勢の背景には、極力、負担を避けたいという国の思惑が存在しており、国もJR北海道も責任を放棄しているとしか言えず、この点知事は、国やJR北海道に対して、地域の実情に真摯に向き合い、持続可能な公共交通の姿、鉄路の維持、存続について、責任をもって取り組むことを強く求めるよう指摘いたします。
4.再質問:個別線区への対応について
知事は5月25日に名寄市を訪問し、JR宗谷線に自ら乗車しています。その成果をどのように捉えているのか、また今後地域での議論を進めていくためにも知事自らが全ての対象線区に直接乗車する等の形で現地視察や意見交換を早期に行い、沿線自治体や関係者の声を伺うべきではないかとの質問に対し、「商工業や医療、教育などの関係する皆様と意見交換を行い、通院や通学利用実態などについて伺うことができた」、「今後とも様々な機会を通じ、沿線自治体の皆様の声をお聞きしながら、地域における検討・協議が円滑に進むよう、主体的に取り組んでまいる」との答弁がありました。
既に述べたように、JR北海道の事業範囲の見直しについて知事のリーダーシップを求める声が聞かれます。沿線自治体の中には、廃線や自治体負担ありきの議論を懸念し、JRとの協議に踏み入ることに躊躇しているところがあります。だからこそ、知事自らがそうした懸念を払しょくすべく、全ての沿線自治体に入り、直接地域の声を聴くことが何よりも重要と考えます。
知事は名寄市を訪問して宗谷線を視察する前日には廃線が取り沙汰されている13線区の一つである留萌線を抱える私の地元の留萌市を訪問していますが、留萌線についての視察は行っていません。知事が、宗谷線を除く残り12線区全てについて、直接乗車する等の形で現地視察や意見交換を行うことは、先の答弁で知事がお示しになった「主体的に取り組む」という知事の姿勢を示すためにも、最優先に取り組むべきことであると考えますが、知事のお考えを改めて伺います。
答弁:知事
地域における検討・協議についてでありますが、今後とも、様々な機会を通じ、沿線自治体の皆様方の声をお聞きしながら、それぞれの地域の状況に応じて、関係自治体とともに、国やJRに対し、働きかけや調整を行うなど、地域住民や来道者の方々の交通手段の確保に向け主体的に取り組んでまいります。
開催年月日 平成29年6月23日
質問者 北海道結志会 浅野 貴博 議員
担当部課 総合政策部空港運営戦略推進室
当面する諸課題等について
交通ネットワークについて
空港民間委託について
1.質問:実施方針などの制度設計について
道内7空港の一括民間委託を巡り取組が加速する中、知事は6月7日、石井国土交通大臣と会談し、未来投資会議が求めた「空港民営化に関する5原則」に基づき民営化を進めることで合意が得られたと承知しております。
北海道発の提案の内容が反映されるよう、5原則と確認事項を基本的な考え方として、実施方針などの制度設計に取り組んでいくとの方針を示されておりますが、特に空港経営に地元の意見を反映させる仕組みが必要と考えます。
今後の手続きとして、マーケットサウンディングで出される民間からの意見等を踏まえることに加え、4原則の担保も含めて実施方針などの制度設計にあたり、道として、どのような点を重視して国などと今後の協議を進めていくのか伺います。
答弁:高橋知事
今後の制度設計についてでありますが、昨年度取りまとめた「北海道発の提案」において、国等がこれから制度設計等を行う上で、複数空港の一括民間委託を可能とする制度設計や、地域の意向が的確に反映される運営権者の選定、運営権者と地元経済界や自治体等との連携・協調などの点について、具体的な措置を講ずることが必要としたところであります。
道といたしましては、こうした提案内容も含め地元の意見が民間委託の枠組みや民間委託後の空港運営に確実に反映されるよう、5原則と確認事項を基本としつつ、今後の基本スキーム案や実施方針などの制度設計に関係者と一体となって取り組んでまいる考えであります。
2.質問:女満別空港におけるデューデリジェンス調査の結果について
民間委託が検討されている唯一の道管理の女満別空港に関し、資産査定と事業可能性に関する調査、いわゆるデューデリジェンス調査の結果について報告があり、空港ビルに滑走路等の基本設計を加えたトータルの収支の計算では大幅なマイナスとなっておりますが、知事はこの調査結果をどのように受け止め、コンセッションの成立に向けてどのような取組が必要と考えておられるのか伺います。
答弁:實國空港戦略推進監
女満別空港のデューデリジェンス調査についてでございますが、昨年度の調査事業における収支予測につきましては、複数空港運営による効率化や収益向上の取組は考慮しないという条件の下、コンセッション方式や指定管理者制度などについて検討した結果、いずれのケースでも収支はマイナスとなりましたが、入札参加を検討している事業者は、マーケットサウンディングで提示される資料等を分析し、独自のノウハウを生かしながら、プロジェクトの収益性などを検討していくと想定されるところでございます。
道といたしましては、道内航空ネットワーク全体の充実強化や複数空港連携による広域観光の実現などに向け、今後、マーケットサウンディングで出される事業者からの意見を考慮するとともに、関係自治体のご意見も伺いながら、道内空港の一括民間委託において女満別空港が果たす役割を踏まえ、今後の制度設計に取り組んでまいりたいと考えております。
3.質問:公費負担について
先の報告では2通りのコンセッション及び指定管理者制度ということで、併せて3つのスキームについて調査をされたわけでありますが、その中で、いわゆる「公費負担の在り方」について示されております。
これまで空港民間委託においては、設備投資を公費で負担した事例はないということですが、国内では先行事例のない7空港の一括民間委託を実現させるために、知事は、設備投資に対する公費負担の必要性をどのようにお考えか伺うとともに、今後どのように対応されるおつもりなのか所見を伺います。
答弁:實國空港戦略推進監
公費負担についてでありますが、昨年度実施した、女満別空港の事業可能性調査では、事業受託者より、民間事業者による女満別空港の運営スキームの一つの考え方として設備投資を公費で負担する案が示されたところでございます。
一方、地方管理空港である富士山静岡空港では、空港の運営管理に係る収支がマイナスである中で、民間委託に向けた手続を進めており、本年4月に公表された実施方針において、滑走路等に係る更新投資費用を公的に負担する案が示されているところでございます。
道といたしましては、このような先行例も研究しつつ、地元をはじめ関係者のご意見を伺いながら、女満別空港の民間委託について検討を深め、今後の制度設計に取り組んでまいる考えでございます。
(経済部観光局、雇用労政課)
開催年月日 平成29年6月23日
質問者 北海道結志会 浅野貴博 議員
答弁者 知事、観光振興監
当面する諸課題等について
観光振興について
1.質問:MICE誘致について
今年1月、「北海道MICE誘致推進協議会」では「北海道におけるMICE戦略」を策定しました。この「MICE戦略」は近年、国内外でのMICE誘致活動の激化や道内におけるインセンティブツアーの増加等の状況変化を踏まえ、今後、協議会が取り組んでいくMICE戦略の方向性を定め、事業の拡大・レベルアップ、MICE誘致の推進を図るものとされております。
MICE誘致については、知事も経済波及効果が期待されるとの認識の下、「国、市町村、教育機関、観光事業者等との連携強化や構成員の拡大に取り組むほか、アフターコンベンションの充実といった、北海道の特徴を活かしたプロモーションを展開するなど、関係者が一体となって、MICE誘致の取組を一層促進する」とお答えになっております。関係者が一体となって推進していくのは結構なことと考えますが、道はその中でどのような役割を担っていくのか伺います。
また、この度「第6回北海道観光産業経済効果調査」の結果を発表されましたが、ここでは生産誘発効果として推計2兆897億円あったとされております。それでは、このうちMICE誘致の経済効果はどの程度になっているのか、また、道では国際会議等の開催を平成26年の107回から平成37年には140回に増やす目標を立てておりますが、その場合の経済波及効果はどの程度と見込んでいるのか伺います。
答弁:観光振興監
観光振興に関しまして、MICEの誘致に向けた道の役割などについてでございますが、道内市町村においては、地域経済活性化への大きな効果を期待して、MICE誘致を推進しており、道といたしましては、こうした取組を支援するため、MICE関係機関などとのネットワークの構築や市町村と共同で懇談会・商談会を実施するなど、中核的な役割を担っているところでございます。
また、道が実施しております「観光産業経済効果調査」は、観光消費の実態や観光の経済効果を道民及び国内外の居住地別に把握するものでありまして、MICEといった旅行目的別での調査は対象としていないところでございます。
MICEは、その規模や形態が多様でありますが、誘致実績に関する経済効果の算出につきましては、今後のMICE誘致の取組の促進に効果が期待できますことから、協議会において関係自治体などと検討してまいります。
2.質問:宿泊税について
我が会派では、限られた財源の中、観光立国・北海道の名に恥じない魅力ある観光地づくりを進めるためには何としても必要であるとの観点から、再三にわたり宿泊税の導入を促した結果、知事もようやく第1回定例会で、我が会派の質問に「まずは、道に設置をしている各部横断的な組織である北海道政策税制活用検討委員会において、観光施策に必要な財源の確保という観点から、新税について検討する」と表明されました。では、政策税制活用検討委員会の現在の検討状況はどのようになっているのでしょうか。また、当然知事の任期中には結論を出すものと思いますが、いつ頃を目途に検討を進めているのか伺います。
また、知事が導入検討を表明された後、今や世界に知られるリゾート地であるニセコ地域を擁する倶知安、ニセコの両町が宿泊税の導入を検討していると伝えられました。両町が道に先駆け宿泊税を実施した場合、二重課税は好ましくないと考えますが、両町とはどのような話し合いをもたれているのか、もし先行実施された場合、どのように対処されようとするのか併せて伺います。
答弁:知事
観光振興に係る財源確保についてでありますが、道では、本年5月末に、政策税制活用検討委員会に設けている幹事会を開催をし、観光振興に関する課題や対策、その財源確保のほか、全国知事会の研究会における新たな税制度の検討状況について、情報の共有を図ったところであります。
新たな財源の確保に関する検討に当たっては、今後の施策展開の方向性のほか、さまざまな財源の選択肢やその使途について、理解を得る必要があるため、現在、ホテル、旅館をはじめとする観光関係者のご意見を幅広く伺っているところであります。
なお、急速に外国人観光客が増加しているニセコ町、倶知安町においては、新たな税財源の検討をはじめたことから、こうした検討状況を踏まえ、周辺も含めた地域の実情を把握をし、広く関係者とも協議を行い、引き続き、地域と連携して満足度の高い観光地づくりに取り組んでまいる考えであります。
3.質問:人手不足対策について
4月の全国の有効求人倍率は、1.48倍とバブル期を上回り、1974年2月以来43年2ヶ月ぶりの高水準を記録しました。求人倍率の上昇は、景気の改善を反映した面もありますが、少子化による人口減少という構造的な要因が大きいと指摘されております。特に本道は15歳から64歳の生産年齢人口の減少が全国を上回るペースで進行しており、人手不足はより深刻な状況となっております。道では、昨年度「ほっかいどう働き方改革支援センター」などを通じて、人手不足が深刻な宿泊業・IT業・運輸業の3業種の実態調査を実施し、この結果を基に改革案を作成し、今年度モデル企業の実践を経て改革プランを作成するほか、今年の秋を目途に働き方改革の推進方策を策定する予定と聞いておりますが、目先の人手不足に悩む現実に対し、悠長な取組だと感じます。
道内では自ら職業訓練校を立ち上げ若手の育成に乗り出したり、従業員確保のため保育施設を整備するなど、人手不足対策を進める企業も出ていますが、こうした動きを知事はどのように評価しているのか。また、AIや外国人労働者の活用についてはどのような見解を持ち、どう対処しようとしているのか伺います。
答弁:知事
人手不足対策についてでありますが、道内では、民間企業による事業所内保育所の設置や職業訓練校の開設などの動きがあり、人手不足対策は、喫緊の課題として重点的に取り組む必要があると認識をいたします。
道では、昨年12月に「働き方改革支援センター」を開設をし、ワンストップ窓口として企業からの相談に対応しているところであり、本年度は、人手不足が課題となっているIT産業や運輸業、宿泊業について、働き方の改革プラン作成に取り組んでいるところであります。
さらに、人手不足の解消を図るためには、処遇など就業環境の改善に加え、女性、高齢者、障がいのある方、外国人材などの多様な人材の活用、AIやIoTの導入による生産性向上などが重要と考えるところであり、これらを含めた働き方改革の推進方策を策定をし、関係機関と連携しながら総合的な取組を進めてまいります。
再質問:宿泊税について
宿泊税についてであります。
北海道政策税制活用検討委員会における検討状況及び検討時期などについて質問しましたが、検討委員会では幹事会で情報の共有を図ったと、失礼ながら全くと言っていいほど検討が進んでいない実態を正直にお述べになるとともに、いつ頃を目途に検討を進めているのかとの問いにはお答えにならず、「今後の施策の方向性のほか、様々な財源の選択肢やその使途について、理解を得る必要があるため、現在、ホテル、旅館をはじめとする観光関係者のご意見を幅広く伺っているところ」と、これまでの議論がまるで活かされていないご答弁でした。それでは「様々な財源の選択肢」とは何を意味するのか、第1回定例会で知事が「観光施策に必要な新たな財源の確保という観点から、新税について検討していく」とのご答弁と整合性をどう考えているのか伺います。
また観光関係者の意見を聞くに当たって、道としての制度設計もない状態で何を聞くのか、聞かれた方も困るのではないかと考えますが、所見を伺います。
答弁:知事
観光に係る新たな財源確保に向けた検討についてでありますが、観光振興に係る財源確保については、急増する外国人観光客などの受入体制を早急に整備する必要がありますことから、道においては、東京都や大阪府が既に導入している、いわゆる宿泊税といった法定外目的税や企業・関係団体からの協力金、基金や寄付などといったさまざまな手法について、見込まれる財源の規模や実現性などを見極め、観光関係者や有識者などで組織されている北海道観光審議会に対して、7月にも諮問することとしているところであり、その意見を踏まえ、具体的な制度設計を行い、広く道民の理解を得るよう取り組んでまいります。
再々質問:宿泊税について
ただ今、知事から宿泊税について、7月にも北海道観光審議会に諮問し、その意見を踏まえ、具体的な制度設計を行うとのお答えがありましたが、その前提として、観光振興に係る財源確保は、宿泊税や協力金など様々な手法について、見込まれる財源の規模や実現性などを見極めるともお答えになりました。来週から、もう7月であります。既に規模・実現性などの見極めはついているのでしょうか、お示し下さい。
また、観光審議会委員は、現在、特別委員を含め16名いらっしゃいますが、地方税の専門家は1名も就任されていないと承知をしております。法定外目的税を含め検討を進めるのに、その専門家もいない場で、果たして本当にしっかりとした議論ができるのか、そのように考えていらっしゃるのか、見解を伺います。
さらに、観光審議会からの答申を踏まえ制度設計をするとのことですが、この過程における「政策税制活用検討委員会」の役割はどのようなものなのか、伺います。
最後に、観光立国北海道の名に恥じない、魅力ある観光地づくりにとって、必要な財源確保方策について、スピード感を持って結論を出していただくことを期待いたしまして、私の質問を終わります。
答弁:知事
観光振興に関し、新たな財源確保に向けた検討についてでありますが、急速に増加する外国人観光客などの対応のため、観光振興に関する財源確保の検討については、先ほど、御答弁申し上げましたとおり、観光審議会へ諮問することとしているところであり、必要に応じ専門家の意見など幅広くお聞きをし、見込まれる財源の規模や実現性などもご議論いただくことといたしているところでございます。
また、庁内に設置をしている「政策税制活用検討委員会」においては、知事会での検討状況などを把握することとしているところであり、そうした情報も審議会にご提供を申し上げてまいります。
開催年月日 平成29年6月23日(金)
質問者 北海道結志会 浅野 貴博議員
答弁者 知事 高橋はるみ
当面する諸課題等について
1.質問:医療・介護・福祉について
医療・介護費などの社会保障費は黙っていると年1兆円程度増えるとされており、社会保障費の抑制は国・地方を通じた喫緊の課題となっています。
道では昨年12月に「北海道地域医療構想」をまとめ、医療や介護の効率化を図ることとしておりますが、現状では都道府県の権限も限定的であり、地域医療構想の実現性に疑問の声も聞かれます。
こうしたことから厚生労働省では都道府県に企業の健保組合や市町村などの取組を統括する機能を持たせるなど、その権限を抜本的に強化する方針を固めたと承知しています。
また、高齢者一人当たりの医療費と介護費はともに大きな地域差が存在するとして、経済財政諮問会議では地域医療構想の推進とともに診療行為の地域差(SCR)を今年度中に見える化し、各都道府県において、自治体、保険者、医療関係者等からなる協議の場を設け、住民の受療行動や医療機関の診療行為の変化を促す体制を構築すべきだとしています。
市町村国保及び後期高齢者医療制度における本道の一人当たり実績医療費は、2014年度612千円と全国第10位で、一番低い千葉県の約1.4倍となっているなど、一人当たり医療費は全国平均より高く推移しておりますが、道ではこの原因をどう分析し、国や経済財政諮問会議の動向を見据えた医療・介護費の効率化にどう取り組んでいくのか伺います。
答弁:知事
医療費等についてでありますが、本道の一人当たり医療費が全国平均より高い理由としては、広域分散型の地域構造であることや、高齢化が全国に比べ進んでいることなどから、入院治療を受ける方が多く、また、入院期間が長いことなどが考えられるところ。
この度のいわゆる「骨太方針」では、都道府県が中心となって市町村、保険者、医療関係者等からなる協議体を構築し、様々な地域課題に取り組むこととしており、道としては、今後、国から示される方向性などを踏まえながら、本道の各地域における医療・介護費の実態を 「見える化」するなどして、今年度策定する、北海道医療費適正化計画や介護保険事業支援計画に基づき、医療費や介護費の適正化に取り組んでいく考え。
開催年月日 平成29年 6月23日(金)
質問者 北海道結志会 浅野貴博 議員
答弁者 病院事業管理者 鈴木信寛
医療・介護・福祉について
1.質問:道立病院について
道では、厳しい経営環境に置かれている道立病院事業について、人材確保、柔軟な組織運営が経営安定にとって不可避であるとして、新年度から地方公営企業法の全部適用に移行し、これまで道立子ども総合医療・療育センター長であった小児科医の鈴木信寛氏を初代病院事業管理者として任命しました。
道立病院はへき地の中核病院、精神科救急医療、高度な小児医療など民間が参入しづらい分野を担っており、やむを得ない面もありますが、累積欠損金は500億円を超えております。
我が会派では、全部適用を機に、債権放棄により未処理欠損金を解消すべきではと質問しましたが、「他府県でも累積欠損金を債権放棄で解消した例はない」「病院経営において生じた累積欠損金については、自らの経営努力により解消すべき」と前例踏襲の原則論に終始しておりました。
新病院管理者には、多額の債務を背負わされての船出であり、責任は重大であります。
総務省が示した「新公立病院改革ガイドライン」では、「地域において必要な医療提供体制の確保を図り、その中で公立病院が安定した経営の下で、へき地医療や不採算医療、高度・先進医療等を提供する重要な役割を継続的に担っていくことができるようにする」とされており、道では、病院事業管理者が就任する前に、ガイドラインに沿って「北海道病院事業改革推進プラン」を策定しております。こうした経緯を踏まえ、病院事業管理者に伺います。
まず、500億円を超える累積欠損金について、どのような認識をお持ちか伺います。また「病院事業改革推進プラン」では、計画最終年度の平成32年度には経常収支が黒字転換するとしておりますが、プランの進行管理において、管理者の考え方を反映させるとともに、日々刻々と変化する医療を巡る環境の変化に対応するため、プランをローリングするなどし、プランの実効性を確保していくべきと考えますが、所見を伺います。
答弁:病院事業管理者
累積欠損金に係る認識などについてでありますが、道立病院は、広域的な医療や精神医療など不採算医療を担っていること、医師など医療従事者の不足から、診療体制を十分に整備できず、目標とする収益を確保できなかったことなどにより、多年にわたり、純損失を計上し、多額の累積欠損金が生じているものであり、その縮減は課題であると認識しております。
このため、私としては、改革推進プランで設定した数値目標の達成に向け、職員一丸となって取組を着実に推進することが大切であると考えており、人材確保や患者サービスの向上、他の医療機関等との連携強化などについて、毎年度、各病院において、具体的な方策を定めて実践し、検証と見直しを重ねて、不断の経営改善を進めながら、累積欠損金の縮減に努めるとともに、地域において安定的に医療が提供できるよう、全力で取り組んでまいる所存であります。
開催年月日 平成29年6月23日(金)
質問者 北海道結志会 浅野貴博 議員
答弁者 知事 高橋はるみ
少子高齢化対策監 佐藤和彦
当面する諸課題等について
医療・介護・福祉について
子どもの貧困対策について
1.質問:子どもの生活実態調査について
道では昨年10月から11月にかけ北大と共同で実施した「北海道子どもの生活実態調査」の集計結果を公表しております。我が会派では第1回定例会の代表質問で、この調査結果をどのように子どもの貧困対策に活かしていくのか伺いましたが、「子どもの貧困対策推進会議において庁内関係部局連携のもと、各分野の施策展開に適時的確に反映をしていく」とのお答えでした。
道と共同で調査を行った北大大学院教育学研究院の松本教授は「生活が苦しい世帯には経済だけでなく医療、教育、住宅、就労など多岐にわたる支援が必要」と語っていると聞いております。また、全国知事会では先月、「子どもたちは、生活の困窮という経済的要因のみならず、家庭における教育力の低下や地域社会の見守り機能の低下などを背景に、本人の努力の及ばぬ中で、その有為な将来が閉ざされてしまいかねない大変厳しい状況にある」との認識を示し、子どもの貧困対策の抜本的強化に向けた緊急提言を行っております。道では今回の調査結果や松本教授の見解、全国知事会の緊急提言などを踏まえ「子どもの貧困対策推進会議」においてどのような議論を交わし、今後どのように施策の展開を図っていくのか伺います。
答弁:知事
子どもの貧困対策に係る今後の施策の展開についてでありますが、このたびの生活実態調査では、子どもの日常生活や教育などと家庭の経済状況等の関係が明らかになったものであり、貧困の状況の早期把握やきめ細やかな各般の施策の連携が重要と改めて認識いたしました。
道では、この調査結果を踏まえ、貧困対策推進会議により教育、労働、福祉部局が横断的に連携した子どもの学習支援や母子世帯の就労支援施策の効果的な推進方策について協議するとともに、福祉や就学支援等に関する総合的な情報発信や家庭の経済状況の早期把握から支援までの仕組みなどを早急に検討し、施策に反映することとしたところであります。
今後とも、施策間連携を一層強化をし、次代を担う子どもたちが健やかに成長できる地域社会づくりに取り組んでまいります。
2.質問:「子ども食堂」について
知事は以前、子どもの貧困対策と子ども食堂等の取組に対する質問に対し「様々な困難や課題を抱える子どもたちは地域で孤立しやすいことから、安心していられる場所において、食事や学習などを通じて周囲とのつながりを深めていくことが大切であり、地域でこうした取組を行う支援団体などとの連携は不可欠であると考えている」とし「道としては、計画に位置づけた各般の施策を着実に進めるとともに、支援団体の皆様にも参画してもらい、官民を挙げたネットワークを構築するなど、地域の実情に合った子どもの貧困対策に取り組んでいく」とお答えになっております。そこで伺います。道内に50カ所以上あるとみられている「子ども食堂」の実態についてはどの程度把握され、支援団体とのネットワークはできているのか、また、家庭、学校に次ぐ第三の居場所となる「子ども食堂」については、全国知事会の緊急提言でも財政面を含めた包括的な支援が謳われておりますが、道の「子ども食堂」に対する支援状況及び今後の方針について伺います。
答弁:少子高齢化対策監
子どもの貧困対策に関し、子どもの居場所づくりについてでありますが、道では、子どもの貧困対策として、子どもが地域とのつながりを持ち、安心して集い、学習や食事の支援が受けられる居場所づくりを主要な施策のひとつに位置づけており、平成28年度に整備や運営を支援する事業を創設いたしました。
さらに、こうした取組を加速するため、昨年、支援団体等で構成するネットワーク会議を設置するとともに、道内58か所で食事を提供する居場所の実施頻度や利用料などについて調査を実施したところでございます。
今後、道といたしましては、調査結果も踏まえ、各地域で取組が広がるよう、年内にマニュアルを作成するとともに、フォーラムやセミナー等を開催し、子どもの貧困への理解や取組の支援を行うなど、居場所づくりが促進されるよう取り組んでまいります。
再質問:子どもの貧困対策について
知事は、この度の生活実態調査を受け「貧困の早期把握やきめ細やかな各般の施策の連携が重要と改めて認識した」と述べました。調査結果を早急に施策に反映するとのことですので、是非そうしていただきたいと思います。
また、「子どもの貧困対策として学習や食事の支援が受けられる居場所づくり推進のための事業を創設した」とお答えになりましたが、事業費は今年度予算ではたった13百万円であります。道の調査によると現在道内には58カ所の「子ども食堂」があるそうですが、単純に1カ所当たりにすると22万円程度にしかなりません。「子ども食堂」がボランティア活動等の地域の善意から自発的に始まったことは非常に尊いことであります。だからこそ道による公的な支援を拡充し、現在の取組の幅を広げていくことが重要だと考えます。
京都府では今年度「子ども食堂」や子どもの居場所づくりを目的とした施設を「きょうとこどもの城」と位置づけ、その支援のため1億4,500万円を予算計上しております。支援のための基金を創設している県もあります。
ただ、今のお答えでは、道としては年内にマニュアルを作成するとともにフォーラムやセミナーなどを開催するとのことですが、運営団体が必要としているのは、こうしたフォーラムやセミナーより強力な財政支援ではないでしょうか。幼少時に過ごす時間は、成年以降のそれとは比較にならないほど生涯全体に影響を与える、重いものであります。
道の支援のあり方如何によっては一人の子どもの一生に正負どちらの影響も与えうることを十分考慮すべきと考えます。先ほども申し上げたように、全国知事会の緊急提言でも財政面を含めた包括的な支援の必要性を謳っております。
この点について再度知事の答弁を求めます。
答弁:知事
子どもの居場所づくりについてでありますが、食事の提供や学習支援を行う子どもの居場所は、ここ数年、子どもの貧困に関する地域理解の浸透とともに、取組が増えてきており、その多くは、地域住民の方々によるボランティア活動や地元の業者からの食材提供などにより、地域の中で共に支えあう取組として広まっているところであります。
こうした中、道では、子どもの居場所づくりを道内で幅広く推進するため、昨年度から、事業の立ち上げや運営支援を行っているところであり、知事会とも連携をし、財政支援の充実について国に提案するなど、居場所づくりの取組の更なる広がりに努めてまいる考えであります。
開催年月日 平成29年6月23日
質問者 北海道結志会 浅野 貴博 議員
担当部課 総合政策部政策局
当面する諸課題について
1.質問:持続可能な開発目標について
先日、2017年度版の環境白書が閣議決定されました。ここで、環境に配慮しながら貧困や飢餓を終わらせる方針を定めた国連のSDGs(エスディージーズ)とも呼ばれる「持続可能な開発目標」が大きく取り上げられました。SDGsは持続可能な開発のため17の目標と169の達成基準からなっており、2030年までの達成を目指しております。SDGsの実施に向けては、国際社会の関心が高まっており、我が国においてもグローバル企業をはじめとしてSDGsへの注目が集まり、政府は昨年12月、SDGs実施方針を定めています。今月初め、SDGsを担当する国連経済社会局のトーマス・ガス事務次長補は大津市で開かれたシンポジウムで講演し、「国だけでは不十分で、市民に身近な自治体の取組が重要」と述べられています。環境省は自治体がSDGsを地域の状況を把握するツールとして活用すれば、環境・経済・社会のあらゆる面から地域の強みと弱みを読み取ることができると強調しています。
こうした中、今年3月には民間の機関において自治体レベルでSDGsに取り組むためのガイドラインも策定されていると承知しておりますが、道では、これまでSDGsにどのように取り組み、また、今後、どのように取り組んでいくのか伺います。
答弁:総合政策部長
国連の持続可能な開発目標についてでありますが、国際社会全体の行動計画として2030年までの目標を掲げた国連のアジェンダに基づき、国においては、昨年12月に実施指針を定め、あらゆる人々の活躍の推進や健康・長寿の達成、気候変動対策や循環型社会など、持続可能な発展に必要な8つの優先課題を示し、総合的に取り組むとしているところであります。
道においては、総合計画をはじめとする各種計画や取組方針などにおいて、女性活躍や再生可能エネルギー導入の推進など、この指針と方向性を同じくする施策に取り組んできているところでありますが、今後とも、本道が持つ環境や食資源などの優位性を活かし、持続可能な地域社会の形成に向けて、関連する施策の一体的かつ重点的な推進に努めてまいる考えであります。
開催年月日 平成29年6月23日(金)
質問者 北海道結志会 浅野貴博 議員
答弁者 知事 高橋はるみ
食の安全推進監 森田 良二
当面する諸課題等について
農業振興について
農業生産工程管理(GAP)について
1.質問:GAPの概念等について
本年3月、2020年東京オリンピック・パラリンピックの大会準備委員会では、大会で提供される食材の調達基準を示し、農畜産物においては、GAPの取得を条件としたと承知しております。
道では、産地の農協職員などを対象に研修会を開催し、GAPの導入を推進するとともに関係団体による協議会を立ち上げるなどオリパラ食材供給体制の構築を進めております。
GAPとはそもそも食品安全や環境保全などの法令等を遵守し、生産過程でしっかり記録管理などを行う取組であり、自主的な経営改善行動である「GAPをする」ことと国際的な第三者の認証を受けてお墨付きをもらう行為を意味する「GAPを取る」こととは全然違う概念であり、どちらも重要であるが区別して考えなければいけないと指摘されているところです。
道の対応は「GAPを取る」ことで「GAPをする」ことへの対応が抜け落ちていると考えますが今後の対処方針を含め見解を伺います。
また、GAP取得は食の輸出にとってますます重要となると考えますが、GAPについては「北海道総合計画」や「北海道創生総合戦略」はおろか「北海道食の輸出拡大戦略」にも何の位置付けもされておりません。その理由は何なのか、また、位置付けもされないまま施策を進めていくおつもりなのか、知事の見解を伺います。
答弁:知事
GAPについてでありますが、欧米では、食品安全等の観点から、第三者が認証するGAPなどの制度が運用されておりますが、本道においては、農業の持続可能性を確保する取組として、平成18年から「北海道農業・農村振興推進計画」にGAPを位置付け、農協独自のGAPなどの導入を推進をしてきたところであります。
こうした中、本年3月に、東京オリンピック・パラリンピック競技大会の食材調達基準として、第三者認証によるGAPの取得が要件とされたことから、その取得に向けた動きが急速に広がったと認識しているところであります。
道としては、これまでの取組を踏まえ、第三者認証GAPの取得を促進するため、農協職員等の指導者の育成や産地への働きかけを強化をし、安全・安心な農産物の生産を推進するとともに、これを活用し、輸出など販路の拡大にも取り組んでまいる考えであります。
2.質問:農業高校のGAP取得について
国際的な取引で通用するものとしてドイツ発祥の「グローバルGAP」と日本発の「JGAP」がありますが、農水省では将来を担う人材に早い段階から経営力や国際感覚を養うことを目的として、農業高校に認証取得の審査費用の一部を補助する制度を設けており、他府県では既に「グローバルGAP」や「JGAP」を取得している農業高校もあると承知しております。
道内には現在農業高校が学科併設を含め24校ありますが、取得している高校は1校もありません。 農業高校のGAP取得についてどのような見解を持っているのか、今後の方針を含め伺います。
答弁:食の安全推進監
農業高校におけるGAPについてでありますが、国では、東京オリンピック・パラリンピック競技大会の食材調達基準として、第三者認証によるGAPの取得が要件とされ、その取得に向けた動きが急速に広がったことを踏まえ、本年5月、文部科学省と農林水産省が連携をし、持続可能な力強い農業を実現していくため、農業高校において、生産技術の習得に加え、経営感覚を兼ね備えた人材の育成に向け、GAPに関する学習を推進するほか、農場でのGAP認証の取得を促進することとしたところでございます。
道といたしましては、我が国最大の食料供給地域として本道農業が将来にわたり持続的に発展していけるよう、農業を学ぶ高校生の就農や就業に向けた人材育成のため、教育委員会とも連携を図りながら、GAPの導入促進に向けた取組を進めてまいる考えでございます。
再質問:
平成18年から「北海道農業・農村振興推進計画」に位置付け、農協独自のGAPなどの導入を推進してきたが、今年の3月になり、オリパラの食材調達基準として、第三者認証によるGAP取得が要件とされたことにより、初めてGAP認証取得の重要性に気づいたため、総合計画など各種計画には特段位置付けはしていなかったとの答弁であったと理解しておりますが、知事公約に基づき、道では食の輸出1000億円をめざし、「北海道食の輸出拡大戦略」を策定しております。
この中で、農畜産物のウェイトは1割とそれほど大きくはなく、輸出対象国も重点はシンガポールや中国などアジア諸国であり、グローバルGAPの取得の必要性をそれ程感じていないのかもしれません。しかし、当面のオリパラへの食材供給参入のためには勿論、既に欧州の一部流通業者は取引条件にGAP取得を求めていることなどを考慮すると、今後の食の輸出拡大や販路拡大に当たってGAP認証取得の重要性が増していくものと考えます。
こうしたことから、GAP認証取得促進を少なくとも「食の輸出拡大戦略」には明記をし、取得支援施策を進めるべきと考えますが、見解を伺います。
答弁:知事
GAPについてでありますが、国では、本年5月、東京オリンピック・パラリンピックを契機に、今後の輸出拡大に向け、国際的に通用するGAPを農業者が戦略的に活用できる環境を整備することとし、日本のGAP認証の仕組みである JGAPについて、国際規格化に向けて取り組むこととしたところであります。
道といたしましては、東京オリパラへの食材供給や輸出拡大に向け、あらためてGAPの必要性の周知を図り、農協職員等の指導者の育成や認証に係る経費を支援する国の事業の活用を促すなどして、JGAP等の取得を促進し、安全・安心な農産物の生産を推進するとともに、こうした国の動きを注視しながら、輸出などの拡大に向けて対応してまいる考えであります。
3.質問:夕張メロン産地の支援について
次に、夕張メロン産地の支援について伺います。
北海道の夏の味覚であり、我が国を代表するトップブランドとして、国内初の地理的表示保護制度、GIを取得している「夕張メロン」ですが、近年、担い手や労働力不足により生産体制の弱体化が懸念され、地域の経済・社会にも大きな影響が危惧されております。こうしたことから、道と夕張市・夕張市農協の三者は、「夕張メロン産地再興戦略」を策定し、今後三者連携の下で担い手・労働力確保対策と生産拡大対策に取り組んでいくこととしたと承知しております。知事も先日の記者会見で「道としても、夕張メロンの生産力強化とブランド力向上に向け地域の皆さま方と力を合わせて取り組んでいきたい」と述べられるなど、地元に対する支援を表明されております。市では今年度、労働環境の課題把握を行うとともにビニールハウスや土壌整備に対し、農協による既存の3分の1補助に加え、市の「ふるさと納税」を原資に3分の1を助成すると聞いておりますが、「再興戦略」を見ても、記者会見を聞いても道がどのような支援を行うのかよく分かりません。知事は夕張メロンの生産力強化とブランド力向上について具体的にどのような支援を考えているのでしょうか、見解を伺います。
答弁:知事
次に、夕張メロン産地に対する支援についてでありますが、昨年5月、夕張市長と夕張市農協組合長から、産地の生産拡大に向けた支援の要請があったことから、直ちに農政部に指示をし、農業改良普及センターや市、農協などからなるプロジェクトチームを設置をいたしたところであります。
その後、現地調査も含めて検討を重ね、本年3月には、「担い手と労働力確保」と「生産拡大」を対策の2本柱とする「夕張メロン産地再興戦略」を策定をし、先般私と、市長、組合長とで対策に連携して取り組むことを確認する趣意書を交わしたところであります。
今後、道といたしましては、プロジェクトチームを効果的に運営しながら、地域のニーズを的確に捉え、新規参入希望者の受入体制の構築や施設整備のための補助事業の活用に向けた指導と助言、さらには、普及センターによる加工用原料の安定供給に向けた新たな技術支援などを進め、我が国農産物のトップランナーである夕張メロンを活かした地域の再興に努めてまいる考えであります。
再質問:
次に、夕張メロン産地の支援についてであります。
確かに「夕張メロン産地再興戦略」では、「担い手・労働力確保」と「生産拡大」の対策を2本柱として課題は羅列しているものの、課題を克服し夕張メロンを核として地域を再興していく具体的な方策もビジョンも判然としません。
生産現場における就業環境の改善を図らなければ、担い手の確保、定着は困難であり、早急に対策を講じなければ生産体制の弱体化は深刻さを増すばかりであります。
今後、労働力問題解決に向けた実態調査などを行うようですが、取組に対する具体的な数値目標を設定した上で施策を推進していかなければ、現状の問題を解決して産地再興、夕張地域の活性化を図ることは困難と考えます。
例えば、夕張メロン農家の育成とともに、生産から販売までの一体的な支援プログラムを構築して計画的に担い手の確保や生産体制の強化を図る必要があると考えますが、知事として、夕張メロン産地再興に具体的にどのように取り組まれるのか、再度、所見を伺います。
答弁:知事
最後に、夕張メロン産地再興の取組についてでありますが、私といたしましては、農業改良普及センターや担い手育成センターなど道の関係機関も総動員をし、産地の皆様方とともに、スケジュールや役割分担を明確にして、プロジェクトチームを効果的に運営をし、生産戸数や作付面積、生産額などの向上に向け、技術指導や担い手の確保、また必要な施設整備などを積極的に進め、高いブランド力を持つ夕張メロンが将来に向けて持続的に発展していけるよう、力を尽くしてまいります。
開催年月日平成29年6月23日(金)
質問者 北海道結志会 浅野貴博 議員
答弁者 高橋知事
当面する諸課題等について
水産・林業振興について
1.質問:水産業・漁村推進計画について
道では第3期「北海道水産業・漁村振興推進計画」に基づき各般の施策に取り組まれておりますが、この計画も今年度が最終年度で、現在は次期計画策定に向け検討を進めているものと承知しております。
国では今年4月に新たな水産基本計画を閣議決定し、我が国周辺の豊かな水産資源を持続可能な形でフル活用するとともに、国民に対する水産物の安定的な供給と漁村地域の維持発展に向けて、産業としての生産性の向上と所得の増大による成長産業化など、施策を総合的・計画的に講ずるとしております。
道では次期計画策定に当たり、第3期計画をどう総括し、国の新たな水産基本計画との整合性はどう図っていくのか伺います。
答弁:高橋知事
水産業・漁村振興推進計画についてでありますが、道では、平成25年3月に策定をした現行の計画に基づき、栽培漁業を柱とする資源づくりや 道産水産物の安全・安心の確保に取り組み、ウニやカキ養殖の生産増大や輸出拡大などが図られているところであります。
一方、海洋環境の変化や度重なる自然災害による漁業生産量の減少に加え、就業者の高齢化や減少が進むほか、水揚げが低迷する日本海と他地域との海域間格差が拡大しており、生産の早期回復や漁業経営の改善などが課題と考えるところであります。
このため、次期計画の策定にあたっては、国の新たな水産基本計画も踏まえつつ、地域自らが漁業所得の向上を目指して策定・実践する「浜の活力再生プラン」の着実な推進や資源管理の充実、さらには、ホタテガイや秋サケの資源回復などの取組を計画に位置づけ、国や関係団体と連携をし、施策の実現に向け取り組んでまいる考えであります。
2.質問:林業大学校について
次に、林業大学校について伺います。
知事は第1回定例会で我が会派の質問に、林業大学校について「専門的な知識と技術を有する担い手の育成や、事業体の経営力の強化を図る上で、重要な役割を担いうるものと考えており、事業体のニーズの把握・他府県の取組の調査分析を行い、林業大学校などの人材育成機関の設立に向けて、検討を進める」とお答えになっております。あれから未だ3ヶ月程度なのであまり進んでいないのかもしれませんが、調査・検討はいつ頃を目途に進めているのか、また、その後の設立スケジュールについては、どうお考えになっているのか所見を伺います。
答弁:高橋知事
次に、林業大学校など人材育成機関についてでありますが、本道では、カラマツなど森林資源が充実をし、林業の成長産業化に対する期待が高まりつつある中で、森林づくりを担う人材の不足が懸念されていることから、道では、新規就業者の確保に向けた対策を推進するとともに、 担い手育成のあり方などについて、4月に庁内横断的な検討に着手したところであります。
道といたしましては、今後、林業事業体のニーズや他府県の取組を詳細に把握するための調査を行うとともに、有識者による検討会を早急に設置をし、育成すべき人材像や教育課程など、担い手育成のあり方について検討を進め、林業大学校など人材育成機関の設立に関し、基本的な考え方を本年中に取りまとめてまいる考えであります。
指摘:
最後に、林業大学校についてであります。
知事から、本道林業が直面する最大の課題について、森林づくりの担い手不足である旨の認識が示されました。まさしく、その通りであろうと思います。
ただ、担い手不足は、人口減少を背景に、近年、急に持ち上がった問題では決してありません。そこには、生産される木材の価値が低迷し、産業として持続性を担保できるだけの収益を確保できなかった
という構造的な課題が、長く横たわってきた訳であります。
これからの林業、林産業にとりわけ必要とされるのは、何よりも生産される木材そのものの付加価値を、いかに向上させるかについての幅広い知見やノウハウであると考えます。
その意味において、従来型の、大型機械化、集約化を前提とした大規模、短伐期、皆伐型施業による、経費節減をより重視した経営スタイルの一層の高度化とともに、小規模、長伐期、択伐型施業による、木材の価値そのものの上昇をより重視した経営を実践できる人材の確保、育成が、大量の資源が、まさに伐期を迎えている今だからこそ、極めて重要な局面に来ていると考えるところであります。
育成すべき人材像についてはこれからとのご答弁でした。この点、しっかりと検討頂きたく、強く指摘しておきたいと思います。
開催年月日 平成29年6月23日
質問者 北海道結志会 浅野貴博 議員
答弁者 知事
道政の諸課題について
1.質問:北方領土問題について
次に北方領土問題について伺います。
昨年12月の日露首脳会談において、日露両国の法的立場を害さない形で、北方四島で日露の共同経済活動を行うことが首脳間で合意されました。本年4月の首脳会談では、共同経済活動の実施に向けた協議を加速させることに加え、今回は天候不良により残念ながら実現しなかったものの、従来の墓参に航空機を用いることなどの合意がなされております。
共同経済活動の具体的な制度設計については、両国政府間の交渉によって進められることは勿論でありますが、道が参加者リストを作成した官民合同現地調査団が今月27日から7月1日までの間派遣され、道から辻副知事が参加されることなどをはじめ、その過程で元島民や根室市をはじめとする北方領土隣接地域に居住する方々の想いを集約し、反映させていくことも求められます。
北方領土問題に関し、道は交渉を下支えし、後押しする民意の啓発、世論喚起をこれまで主たる役割としてきました。
しかし、今後はこれらだけでは不十分であり、共同経済活動の制度設計並びに、それが領土問題の解決につながるという点を幅広く周知、広報するという重要な役割を新たに担うこととなり、これまで以上に問題解決に向けた主体的な取組が求められると考えます。この点に対する道のトップリーダーたる知事の所見と今後の取り組みについて伺います。
答弁:知事
北方領土問題への取組についてでありますが、北方四島における共同経済活動は、日露双方の信頼関係の醸成に資するものであり、平和条約の締結、領土返還に向けた重要な一歩となりうるものと認識をするところであります。
こうした共同経済活動の意義を幅広く周知することは、地域住民やビジネス関係者などが北方領土問題への関心を高めていくことにもつながるものであり、道内複数箇所でセミナーを開催するなど、更なる取組を進めてまいる考えであります。
道といたしましては、今後とも、国民世論、道民世論の一層の喚起に向け、粘り強く取り組んでいくとともに、日露両国の協議の進展などを踏まえながら、隣接地域などとの検討、協議を重ね、共同経済活動が双方にとって有益なものとなるよう、国に対して必要な働きかけを行ってまいります。
開催年月日 平成29年6月23日
質問者 北海道結志会 浅野貴博 議員
担当部課 総合政策部地域主権・行政局市町村課
当面する諸課題等について
1.質問:18歳選挙権について
次に18歳選挙権について伺います。
昨年、70年ぶりに選挙権年齢が引き下げられ、同年7月の参議院議員通常選挙より新たに18歳、19歳の日本国民が有権者として国政選挙の投票に臨んでいます。
昨年の参院選に際しては、投票率については全国平均と全道平均、市部と町村部に差があったなどの結果が示され、また、常に課題とされてきた学校現場における主権者教育のあり方についても、改善すべき点が残りました。更に、長期の漁業実習に出ている水産高校の学生が選挙権を行使できない問題や、不在者投票制度の告知、高校や大学等へ進学していない新有権者への呼びかけ、重度の障害を持ち、施設等に入所され、自ら投票に行くことが困難である、または長期の入院を余儀なくされているといった特段の配慮を要する新有権者への配慮をどのようにするか等の課題が見えました。
長期の漁業実習生の投票問題については、道としても国に対してしかるべき措置を講ずるよう求める申し入れを行う等の対応をされ、その結果、公職選挙法の改正が行われたものと承知しております。
一方で、道内から道外へ、また道外から道内へ大学等に進学している学生の中には、住民票を実家においたまま進学している者もおり、昨年の参院選では、その学生の中で各市町村の判断により「生活の実態がない」とされ、選挙人名簿に登録されず、投票権を行使できない学生が、道内10町において283名いたという問題が生じており、昨年9月の第3回定例道議会における私の一般質問に対し、当時の道選挙管理委員会の高橋委員長は、「選挙人名簿の登録は住民基本台帳を基に行われており、選挙権を確実に行使するためには転居先の正しい住所の届出を行う必要があること、よって道選管として、道の住民基本台帳法を所管する部局とともに、市町村や教育関係機関を通じて、住民、特に学生に対して、住所変更の届出の周知啓発に努めてきた」との答弁をされています。
衆議院総選挙については、いつ解散されるかわからないことから、昨年明らかになった課題を着実に解決し、一人でも多くの18歳、19歳の新有権者が一票を投じ、自らの意思を政治に反映させる機会を確保する取り組みが一層求められると考えます。昨年同様の事例が生じず、新有権者が確実に権利を行使できる環境の整備に向け、この間どの様な取り組みをされてきたのか知事並びに選挙管理委員長に伺います。
答弁:総合政策部長
18歳選挙権に関し、住所変更の届出の啓発についてでありますが、住民にとって、適切な行政サービスを受けることや、投票などの権利を行使するためには、正確な住所の届出は、欠かすことのできないものであり、転居した際には、住所変更の手続きを確実に行っていただく必要があるところです。
道では、道選管と連携し、高校を卒業する生徒に対し、進学や就職などにより転居する際には、住所変更の届出が必要なことを周知するリーフレットを配付するとともに、市町村に対しても、改めて、その周知啓発について要請しているところであります。
道といたしましては、今後とも、あらゆる機会を捉え、道選管をはじめ、道教委や市町村などとも連携し、住民票の異動の必要性について周知を図ってまいります。
開催年月日 平成29年6月23日
質問者 北海道結志会 浅野貴博 議員
担当部課 選挙管理委員会事務局
当面する諸課題等について
1.質問:18歳選挙権について
次に18歳選挙権について伺います。
昨年、70年ぶりに選挙権年齢が引き下げられ、同年7月の参議院議員通常選挙より新たに18歳、19歳の日本国民が有権者として国政選挙の投票に臨んでいます。
昨年の参院選に際しては、投票率については全国平均と全道平均、市部と町村部に差があったなどの結果が示され、また、常に課題とされてきた学校現場における主権者教育のあり方についても、改善すべき点が残りました。更に、長期の漁業実習に出ている水産高校の学生が選挙権を行使できない問題や、不在者投票制度の告知、高校や大学等へ進学していない新有権者への呼びかけ、重度の障害を持ち、施設等に入所され、自ら投票に行くことが困難である、または長期の入院を余儀なくされているといった特段の配慮を要する新有権者への配慮をどのようにするか等の課題が見えました。
長期の漁業実習生の投票問題については、道としても国に対してしかるべき措置を講ずるよう求める申し入れを行う等の対応をされ、その結果、公職選挙法の改正が行われたものと承知しております。
一方で、道内から道外へ、また道外から道内への大学等に進学している学生の中には、住民票を実家においたまま進学している者もおり、昨年の参院選では、その学生の中で各市町村の判断により「生活の実態がない」とされ、選挙人名簿に登録されず、投票権を行使できない学生が、道内10町において283名いたという問題が生じており、昨年9月の第3回定例道議会における私の一般質問に対し、当時の道選挙管理委員会の高橋委員長は、「選挙人名簿の登録は住民基本台帳を基に行われており、選挙権を確実に行使するためには転居先の正しい住所の届出を行う必要があること、よって道選管として、道の住民基本台帳法を所管する部局とともに、市町村や教育関係機関を通じて、住民、特に学生に対して、住所変更の届出の周知啓発に努めてきた」との答弁をされています。
衆議院総選挙については、いつ解散されるかわからないことから、昨年明らかになった課題を着実に解決し、一人でも多くの18歳、19歳の新有権者が一票を投じ、自らの意思を政治に反映させる機会を確保する取り組みが一層求められると考えます。昨年同様の事例が生じず、新有権者が確実に権利を行使できる環境の整備に向け、この間どの様な取り組みをされてきたのか知事並びに選挙管理委員長に伺います。
答弁:水城選挙管理委員長
浅野議員のご質問にお答えいたします。
新有権者の選挙参加についてでありますが、先の参議院議員選挙において、10代の投票率が、全国より全道が、また、都市部より町村部が低い傾向にあり、その大きな要因の一つとして進学や就職などで親元を離れても、住民票の異動がなされなかったことがあるものと認識しております。
道選管としては、こうした状況を踏まえ知事部局と連携し、本年、高校を卒業する生徒に進学や就職などにより転居する際には、住所変更の届出が必要なことを周知をするためのリーフレットを2月に配付したところであります。
また、この春の卒業式には、道内すべての高校に、道選管委員長からのメッセージを贈り、投票参加と住所変更の手続きについて改めて呼びかけるなどしたところであり、この取組みは毎年継続していく考えでございます。
さらに、市町村選管と連携し、「選挙啓発出前講座」を充実するとともに、大学に住民票の届出窓口を設置するなど、一部の市の先進的な事例を全道に普及するよう取り組んでいるところでもあります。
今後とも、様々な機会をとらえ、知事部局と協力し、正確な住所変更の届出について啓発に努めるとともに、市町村選管や教育委員会との連携により、学生など若年層の投票参加の重要性を積極的に啓発してまいる考えでございます。
以上でございます。
開催年月日 平成29年6月23日
質問者 北海道結志会 浅野貴博 議員
担当部課 総合政策部政策局
教育行政について
1.質問:高校生の冬山登山について
今年3月、栃木県那須町のスキー場付近で高校生ら8名が死亡した雪崩事故を受け、スポーツ庁では事故の起きた当日、各都道府県知事及び教育長などにあてて高校生以下の冬山登山を原則として行わないよう緊急通知を出し、改めてその徹底を求めております。しかし、同趣旨の通知は2006年から毎年出されておりますが、各学校にどの程度浸透しているのか把握していないことから、スポーツ庁では急遽、全国の国公私立高校などを対象に、冬山・春山登山の実態調査を行うこととしたと承知しております。そこでまず、道内の状況はどのようになっているのか、さらにスポーツ庁からの通知があるにもかかわらず、高校生による冬山・春山登山が行われていた現実を教育長はどう認識されているのか伺います。
また、全面的に禁止することについては賛否があろうかと思いますが、高校生などの冬山・春山登山についてはどのような見解をお持ちなのか、知事並びに教育長に伺います。
答弁:知事
高校生の冬山・春山登山についてでありますが、本年3月に栃木県で起きた雪崩事故については、将来のある高校生と教員が命を失うという、大変痛ましく、あってはならないものと受け止めているところであります。
特に冬山登山は、自然現象の影響を受けやすく、しばしば悲惨な事故を招いているところであり、高校生などについては、原則として行うべきではなく、春山登山についても、天候の急変などがあることから、経験豊かで判断力のあるリーダーのもと、各自の体力と経験に応じて判断するべきものと認識をいたします。
道といたしましては、引き続き、道教委と連携のもと、山岳部をもつ学校をはじめ、市町村や関係団体等に対し、安全に十分配慮した活動が行われるよう、注意喚起を徹底をしていく考えであります。
開催年月日 平成29年6月23日
質問者 浅野貴博 議員 北海道結志会(留萌地域)
担当課 健康・体育課
教育行政について
1.質問:高校生の冬山登山について
次に、教育行政に関し、高校生の冬山登山について伺います。
今年3月、栃木県那須町のスキー場付近で高校生ら8人が死亡した雪崩事故を受け、スポーツ庁では事故の起きた当日、各都道府県知事及び教育長などにあてて高校生以下の冬山登山を原則として行わないよう緊急通知を出し、改めてその徹底を求めております。しかし、同趣旨の通知は2006年から毎年出されておりますが、各学校にどの程度浸透しているのか把握していないことから、スポーツ庁では急遽、全国の国公私立高等学校などを対象に、冬山・春山登山の実態調査を行うこととしたと承知しております。
そこでまず、道内の状況はどのようになっているのか、さらにスポーツ庁からの通知があるにもかかわらず、高校生による冬山・春山登山が行われていた現実を教育長はどう認識されているのか伺います。
また、全面的に禁止することについては賛否があろうかと思いますが、高校生などの冬山・春山登山についてはどのような見解をお持ちなのか、知事並びに教育長に伺います。
答弁:教育長
高校生等の冬山・春山登山についてでございますが、本年3月に実施されたスポーツ庁の調査によりますと、本道においては、「高校生等以下については、原則として冬山登山は行わないよう指導する」という国からの通知の内容につきましては、すべての公立高校等が理解していると回答しており、平成28年度は、17の公立高校で気象状況や残雪の有無など、安全を十分に確認した上で春山登山を実施しているところでございます。
道教委では、これまでも、国の通知に基づき、高校生等以下については、原則として冬山登山は行わないこと、春山登山においても、気象状況の変化に常に気を配り、各自の体力と経験に応じた山に登ることなどを順守し、事故防止に万全を期するよう、道立学校及び市町村教育委員会に指導を行ってきているところでございますが、今後は、校長会や北海道高体連等との連携を強化しながら、高校生等の登山が、より一層安全に十分配慮して行われるよう指導の徹底に努めてまいる考えでございます。
開催年月日 平成29年6月23日
質問者 浅野貴博 議員 北海道結志会(留萌地域)
答弁者 警察本部
公安問題について
1.質問:児童の性的搾取等に係る対策について
我が国では児童ポルノ事犯の検挙件数、検挙人員及び被害児童数がいずれも最多を更新し続け、児童買春等の被害に遭う児童の数も増加し続けております。
こうしたことから政府では、国民意識の向上はもとより、児童、児童の保護者、加害者、性的搾取等に用いられるツールや場所等のそれぞれに着目した多角的かつ包括的な対策を総合的に進めることにより、家庭、職域、地域等あらゆる場において性的搾取等から児童が守られる社会の実現を目指し、この度「児童の性的搾取等に係る対策の基本計画」を決定したと承知しています。
最近、大都会の繁華街を中心に、いわゆる「JKビジネス」と呼ばれる、女子高校生等によるマッサージ、会話やゲームを楽しませるなどの接客サービスを売り物とする営業が見られ、女子高校生等が客から児童買春等の被害に遭うなどのケースが目立っていると言われております。
道内においても少年の福祉を害する犯罪、いわゆる福祉犯の被害児童数を見ますと、今年4月では前年同月と比べ総数で45.7%増え、中でも児童買春・児童ポルノ禁止法違反が34人と一番多くなっております。
道警察としては、「基本計画」などを踏まえ、児童を性的搾取等から守るためどのような対策を講じていくのか伺います。
答弁:警察本部長
児童の性的搾取等に係る対策についてでありますが、
全国の児童ポルノ事犯の検挙件数や被害児童数が過去最多を更新し、加えて、児童の性に着目した新たな形態の営業、いわゆる「JKビジネス」などが次々に出現している状況にあります。
こうした情勢を踏まえ、本年4月、政府において、「児童の性的搾取等に係る対策の基本計画」が取りまとめられたところであります。
道警察においても、昨年、過去最多134件の児童ポルノ事犯を検挙したところであり、基本計画などを踏まえ、被害実態・端緒情報の把握と取締りの強化、児童の保護及び支援の推進、被害を防止するための広報・啓発活動の推進などに取り組んでいるところであります。
具体的には、悪質な児童ポルノ事犯などの取締りを強化するとともに、援助交際等を求める書き込みを発見した際のサイバー補導の実施、保護者によるスマートフォン等の適切な管理の呼び掛けなどに取り組んでいるほか、本年6月からは、小中学校の校内放送を活用した非行防止教室により、インターネットに潜む危険性等の周知に努めているところであります。
道警察といたしましては、関係機関・団体等との連携も進めながら、引き続き、児童の性的搾取等に係る被害防止対策に取り組んでまいりたいと考えております。
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