保健福祉委員会で質問しました!

8月に発生した台風により甚大な被害が生じた地域に、障がいのある方々が泥の撤去作業などのボランティア活動に従事したことが、十勝毎日新聞の記事になりました。

私の古くからの友人が実践した事例ですが、障がいのある方々の社会参画を進める上で、非常に意義深い取り組みだったと考えます。

一方で、このことを今後進めるにしても、様々な課題があります。現時点における道の認識などを質しました。

平成28年第3回北海道議会定例会 保健福祉委員会(最終日前日) 開催状況

開催年月日 平成28年10月6日(木)
質問者 北海道結志会 浅野貴博 委員
答弁者 福祉局長 長野幹広
    福祉援護課長 田村信之
    障がい者保健福祉課長 植村豊

障がい者の社会参画等について

障がい者の社会参画等について、以下、数点質問させていただきたいと思います。

7月の26日に神奈川県相模原市で、大変凄惨な障がい当事者を狙った集団殺害事件が発生いたしました。障がい当事者の存在を否定するかのような極端に偏った思想を持った人物による事件を受けて、自分たちの社会における存在意義と申しますか、そういうことに悩んでいる方々がいらっしゃるかと思います。

障がい者の自立、社会参画については、平成18年に障害者自立支援法、25年に障害者総合支援法が施行され、それらの法律に基づいて、本道においても保健福祉部の皆様中心に様々な社会参画に向けた取組がなされてきたものと承知をします。

このことを踏まえて、以下伺ってまいります。

障がい者の自立支援に向けた取組について

1.質問 : 「農福連携」の現状と課題について

道の取組の一つとして、いわゆる「農福連携」というものがあると承知しております。道の保健福祉部福祉局障がい者保健福祉課が一般社団法人北海道総合研究調査会に委託をして作成した「北海道内外における『農福連携』の概要と取り組み事例」というものを先日読ませていただきました。

担い手の確保や耕作放棄地の活用、地域貢献という農業側のニーズと、職業選択の多様化、工賃の向上、体力向上、機能低下の予防、生活習慣の改善、そして社会性の向上といった障がい当事者側のニーズが合致した取組であると思いますが、本道各地で実例があると承知します。本道における「農福連携」の現状、そしてこれまでの取組の中で浮き彫りとなった課題があれば、それについてご説明いただきたいと思います。

答弁 : 障がい者保健福祉課長

「農福連携」の現状と課題についてでございますが、平成26年度に実施した「障がい者就農ビジネス化人材育成事業」の成果報告によりますと、農業者が障がい福祉サービス事業所に農作業を委託し、野菜の出荷や選果作業を行っている取組や、民間事業者が就労継続支援事業所の指定を受け、地元の農家と連携し、規格外の野菜の加工や農作業により就労の場を確保するなど、道内でも地域ぐるみでの農福連携の取組が見られるところでございます。

また、この報告では、農福連携を実現するための課題として、農業側は作業の平準化が難しいことや障がいのある方に適した作業内容を選別しなければならないこと、一方で、福祉側は、農業に関する知識や技術の習得に時間がかかることや、安定的な雇用期間の確保が難しいことなどがあげられており、

道では、これまで福祉と農業を連携するためのノウハウに関するシンポジウムや障がい福祉サービス事業所を対象とする研修会を開催し、こうした課題の解決に向けた取組を進めてきているところでございます。

2.質問 : 農業以外の分野における福祉との連携について

様々な課題がある中で、更なる推進を進めていただいているところですけれども、農業以外でも、人手不足という点であれば、他の一次産業、漁業や林業でも同じような問題を抱えておりますし、更には建設業なども人手の確保という点では、大きな課題を抱えております。障がいのある方々の側のニーズを踏まえた連携の余地は、これらの産業でも少なくないと考えますが、農業以外の分野での障がい者側との連携は、現在どのような状況にあるのか、また道としてどのような認識を持って、今後どのような取組を進めていく考えでいるのか伺います。

答弁 : 障がい者保健福祉課長

農業以外の分野との連携についてでありますが、障がいのある方々が地域で自立した生活を送ることができる社会を実現するためには、障がいのある方のニーズに応じた多様な就労の場の確保が必要と考えているところでございます。

道では、平成26年度から農業や商工業、観光業など異業種間の交流を進め、幅広い職種における雇用の場を掘り起こすモデル事業を行っており、引き続き幅広い分野における障がい者雇用の可能性を模索し、障がいのある方々の意欲と能力を最大限に活用できるよう、福祉と地場産業が連携した就労の場の創出に一層努めてまいりたいと考えているところでございます。

意見 : 

是非とも、更なる推進を進めていただきたいと思います。

障がい者の社会参画について

3.質問 : 災害ボランティアについて

次に障がい当事者の自立という観点から、障がい当事者の社会参画、特に災害ボランティアについて伺って参りたいと思います。

このたび8月、本道を連続して台風が襲いまして、道内各地大変な被害が生じまして、亡くなられた方々もいらっしゃいます。その中で先日このようなニュースを見ました。9月13日付けの、これはネットの記事ですが、十勝毎日新聞が報じております。被災各地に多くのボランティアの方々がおりますが、住宅内に入り込んだ泥の撤去作業など進められていると承知します。そこに障がいを持つ方々が、積極的に参画をしたという記事がありますが、この記事に触れる前に、被災地における各地のボランティアのニーズの把握やボランティア希望者のマッチング等、そうしたボランティアの総合的な調整に対して、道としてどのような協力をしているのかまずは、伺いたいと思います。

答弁 : 福祉援護課長

災害ボランティアの活動支援についてでございますが、このたびの台風災害の復旧に当たりまして
は、被災した自治体における住宅等での泥の撤去や家財道具の片付け作業、断水に伴う給水支援などに多くのボランティアの方々からご支援をいただいているところでございます。

道では、北海道社会福祉協議会が支援を行っております各自治体の災害ボランティアセンターの運営状況やボランティア活動の内容を随時、把握いたしますとともに、北海道災害対策本部への情報提供や連絡調整を行い、被災地におけるボランティア活動が円滑に実施できるよう努めてきたところでございます。

4.質問 : 障がい者のボランティア事例について

そこでこの十勝毎日新聞の記事に触れさせていただきますが、十勝管内の清水町に札幌市の就労支援施設「あぐりぱーく」という施設の利用者さんがボランティアに入り、早期復興に尽力をしている事例が報じられています。この施設は、先ほど触れた農福連携として利用者さんが農業に従事しながら社会参画に取り組んでいる施設でありまして、施設長の澗口剛士郎さん、私の古くからの知人なんですけれども、被災した方々が行っている泥出しなどの作業は、普段農作業をしている利用者の方々でも十分手伝えるものだとして、被災地へのボランティアを考えて実行したとのことでありますが、障がいのある方々、中でも体力的な問題のない方には、今回の台風で被災した地域へボランティアに入るという事例、ほかにはなかなかなかったと思うんですが、道として把握している限りのことを教えてください。

答弁 : 障がい者保健福祉課長

被災地域での障がいのある方のボランティア活動についてでございますが、このたびの災害復旧作業における、障がい者施設等からのボランティア派遣については、委員からご紹介のあった事例のほか、主に聴覚に障がいのある方が入所されている新得町の障害者支援施設の利用者と職員による被災住宅での泥の撤去作業などの活動があったと承知しているところでございます。

5.障がい者ボランティアの推進について

このような事例は、早期復旧を進める上で人手がどうしても足りないという被災地の皆さんの思いと、社会を構成する一員として自分たちの存在意義を再認識したい、社会参画を進めたい、そういう障がいのある方々の思いが合致する好事例であると思います。この十勝毎日新聞の記事の中では、この澗口施設長が、「障がい者は助けられる側とのイメージがあると思うが、それぞれの個性を理解すれば、自立して仕事ができる。障がいがあっても社会の力になれるんだと。」、そういうことを話しているとの記述があります。こうした好事例、今後も不幸にして災害等が発生し、ボランティアのニーズが生じた際には、積極的に進めるべきものと考えますが、道としての認識をお願いします。

答弁 : 障がい者保健福祉課長

障がいのある方のボランティア活動についてでございますが、災害時に障がい者自らがその知識や経験、能力を生かして参加するボランティア活動は、障がい特性により、誰もが参加することができるものではございませんが、その善意を最大限に発揮し、被災された方々や被災地の役に立っていることを実感していただくことは、障がいのある方の社会参加を図る上で大変意義があるものと考えております。

6.質問 : 障がい者のボランティアに係る課題について

ただ今ご答弁いただいたように、大変意義があるものだと思いますが、一方で障がいのある方々が、災害時におけるボランティア活動に参画する上では、様々な課題がある、ハードルがあることも事実だと思います。障がいのある方が単独で被災地に向かうことは、まず難しい。施設の職員さんが同行しなくてはいけない。その際には、様々な費用面でも、お金の面でも課題があると思います。そうしたことを考えれば、いわゆる通常のボランティアと比較して、実施に際して様々な課題がある。こうした課題を解決するために、道としてどのような尽力が可能でしょうか。道としての認識を示していただきたいと思います。

答弁 : 障がい者保健福祉課長

障がいのある方のボランティア活動の課題などについてでございますが、被災地のボランティアに対するニーズについては、災害の規模や被災地の状況によって異なることから、派遣に当たっては、被災地のニーズを適切に把握した上で、ボランティアを希望する障がい者の能力や特性を踏まえた調整を図るとともに、施設職員の同行などによる安全の確保を行う必要があると認識しております。

道といたしましては、今後、災害時における障がいのある方によるボランティア活動について、障がい者団体などのご意見を伺いながら検討してまいりたいと考えております。

意見 : 

どのような障がいか、その内容種別によって様々な課題があると思うんですが、関係団体との意見交換をしながら、検討していくとの答弁をいただきましたので、積極的な検討をして、こうしたボランティアの面での障がいのある方々の社会参画を進める役割をしっかり担っていただきたいと思います。

7.質問 : 各種大会における障がい者のボランティア活動について

最後に伺います。

災害のボランティアとは全く話が変わりますが、今年ブラジルのリオデジャネイロで開催されたオリンピック・パラリンピックでは、障がいのある方々がボランティアとして活躍をして、大会を支えたと報じられているところです。オリンピックでは全体で約5万人のうち障がいのある方々は315人、パラリンピックでは約1万5,000人のうち278人と、特にパラリンピックにおいて障がいのある方々のボランティアとしての活躍が際立っていたとされています。

本道においては、例えば来年2017年に冬季アジア札幌大会が控えておりますし、4年後には東京においてオリンピック・パラリンピックが開かれる予定です。これらの大会に障がいのある方々がボランティアとして参加をして、大会を支える側に立てる環境づくり、それがまた障がいのある方々の社会参画に大きく資するものだと思いますが、この点に関する現時点での道の認識と今後の取組を伺いまして、私の質問を終わります。

答弁 : 福祉局長

国際的なスポーツ大会における障がいのある方のボランティア活動についてでございますが、平成29年2月に札幌市と帯広市で開催されます第8回冬季アジア大会におきましては、障がいのある方もボランティアスタッフとして登録されており、また、平成32年に開催されます東京オリンピック・パラリンピックでは、平成27年11月に閣議決定されました基本方針や、今年7月に組織委員会が、東京2020年大会に1人でも多くの方に参加していただき、本大会をきっかけにした成果を未来につなげるための取り組みをまとめております「アクション&レガシープラン」に基づきまして、障がいのある方もない方もボランティアに参加しやすい環境づくりが進められるものと考えております。

道といたしましては、今後、大会組織委員会の取組に合わせ、必要に応じて障がい者団体などに対して、ボランティア募集などの情報を提供し、障がいのある方の社会参加に対する意欲の向上に努めてまいりたいと考えております。

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