8月に主に北海道、東北を連続して襲った台風により甚大な被害が生じています。
中でも高齢者施設が濁流に飲み込まれ、入所者が命を奪われるという悲しい事態が生じました。
体力的に自ら迅速な非難をすることが困難な方々を災害時にどう守るか、日頃からどのような備えをするべきか、道に質しました。
また7月に発生した相模原市の障害者殺傷事件の教訓を汲んだ道の取組についても質しました。
平成28年9月 保健福祉委員会 開催状況
開催年月日 平成28年9月6日(火)
質問者 北海道結志会 浅野 貴博 委員
政策調整担当課長 花岡 祐志
看護政策担当課長 東 秀明
福祉局長 長野 幹広
台風被害に対する道の取組について
私からもこの度の台風被害について、道保健福祉部の皆様の対応について、以下、3点、伺いたいと思いますが、亡くなられた方々、避難されて大変不便な生活を強いられている方々、被災された方々にお見舞い申し上げますとともに、台風が発生してから、保健福祉部の皆様におかれましても、担当されている皆様は、不眠不休で対応に当たられていることと思います。ここに出てきた皆様のお顔を見ても大変疲労の色が濃くにじみ出ておられます。そんな中、議会対応に質問の機会をいただくことに大変感謝を申し上げながら、以下、3点伺いたいと思います。
被災自治体への道の協力等について
1.質問 : 市町村に対する道の協力について
まず、被災地帯、道内でも南富良野町、十勝の各市町村、大変な被害が出ておりますけれども、本年4月に発生した熊本地震に関しては、道としては、DMATを派遣するなどの協力をされまして、復旧復興に大きな貢献をされていると承知しておりますが、今回の台風により被害を受けた道内の市町村に対しては、道の保健福祉部としてどのような協力をしているのか、また今後どのような協力を考えているのか、説明いただきたいと思います。
答弁 : 政策調整担当課長
被災市町村に対する道の協力でございますが、道内では、8月中旬以降、台風の影響によりまして、土砂災害や河川の氾濫などが発生をし、広範囲に渡りまして、医療機関及び社会福祉施設を含む家屋の損壊や浸水、あるいは停電などのライフラインに被害が発生をいたしました。
被害のあった社会福祉施設では、入所者が、現時点で他の施設に約70名が避難をしており、また、今なお、95名の住民の方々が避難所で避難を続けております。
道といたしましては、医療機関や社会福祉施設の被害状況の把握を、毎日行いますとともに、保健所の保健師を避難所等に派遣をいたしまして、住民の健康状況の把握や健康相談を行っているほか、関係団体とも連携しながら、被害のあった社会福祉施設入所者の避難先施設の確保について、調整を行ってまいりました。
今後も、市町村からの要請に応えることはもとより、住民の方々に感染症などの健康被害が発生しないよう、積極的に市町村を支援してまいる考えでございます。
2.質問 : 被災者の健康管理について
今ご答弁いただいたように、多くの方々が避難生活を余儀なくされております。日常生活と大きく環境が異なる中で避難生活を送るというのは非常に心身ともに負担が大きいものと思います。その中でも特に体力の弱いお年寄りの方々、小さなお子さん、さらには出産を控えた女性など特段の配慮を要する方々へのケアが非常に重要であると考えますが、この点につき、道としてどのような対応をされているのか説明をいただきたいと思います。
答弁 : 看護政策担当課長
被災者の健康管理への対応についてでございますが、この度の台風で甚大な被害を受けた自治体を所管いたします帯広保健所及び富良野保健所におきましては、8月31日から順次、保健師が避難所等を巡回いたしまして、医療ニーズの高い高齢者等の状況を把握するとともに、感染症予防の助言や健康相談などの活動を行っているところでございます。
さらに、町からの支援要請を受けまして、9月1日から、保健師を芽室町に派遣し、町の保健師と協力して被災地区全戸訪問を行うとともに、9月2日からは、順次、保健師を新得町、南富良野町、清水町の避難所に派遣いたしまして、避難者の健康管理への協力を行っているところであり、道といたしましては、今後も引き続き、被災自治体と綿密に連携を図りながら、配慮を要する被災者の健康管理への支援を行ってまいる考えでございます。
意見 :
是非とも今後とも特段の配慮を、ケアをしていただきたいと思います。
3.質問 : 高齢者等災害弱者への支援について
中野委員、中川委員からも質問にありました今回大変痛ましい事態が生じました。岩手県の高齢者グループホーム、河の水位上昇をうけて濁流に呑み込まれて、9名の方が命を失うという事態が発生してしまいました。こういう災害時に自主的に迅速に非難することが難しい高齢者や障害をもった方々いわゆる災害弱者に対する配慮・サポートがきわめて重要となることは重ねて申し上げるまでもないのですが、本道においては今のところ同様の事態が生じ得ると懸念される場所に今のところ同様の事態は生じていないと思いますが、今後、同様の事態が生じうると懸念される場所に設置されている施設はないのか、もしあるなら、そのような施設に対し道として注意喚起を行う等の何らかの対応をしているのか、最後に伺います。
答弁 : 福祉局長
社会福祉施設に対する対応についてでございますが、水防法の規定によりまして、河川の増水により浸水する可能性がある区域につきましては、国及び都道府県が指定し、高齢者や障がいのある方々が利用する社会福祉施設などがこのような区域内にある場合には、市町村における防災計画で、その名称及び所在地について定めるとともに、施設の管理者は、避難に関する計画の策定などに努めることとされております。
道におきましては社会福祉施設に対し、集団指導や実地指導を通じて、災害に対処するための避難計画の策定や、訓練の実施について指導しているところでございまして、今般の岩手県でのグループホーム被害を受け、入所者の避難や職員間の連絡体制等に係る具体的な計画の策定状況について、改めて確認を行うよう、各社会福祉施設等の管理者と市町村長に対しまして注意喚起のための通知を行ったとことでございます。
障害者を狙った凶悪犯罪発生後の道の取組について
事件発生後から今日に至るまでの取組について
4.質問 : 防犯体制の強化について
事件発生から一か月半ほどが経過しようとしております、神奈川県相模原市で発生した障がい者施設の利用者の方々を殺害する事件について、私たちは風化させることなく、引き続き、本道においても取組を強化していかなければならないと考えております。この事件の発生を受けて、先月の一斉委員会で質問させていただきましたが、道内の各障がい者施設、そして同様に自ら迅速な避難が困難と思われる高齢者の方々の施設等における防犯体制や緊急時対応の体制は強化されているか、この間の道の取組などについて説明をいただきたいと思います。
答弁 : 施設運営指導課長
社会福祉施設の防犯体制についてでございますが、このたびの事件の発生を受け、施設の管理・防犯体制や職員間の連絡体制などの強化につきまして、各社会福祉施設に対し注意喚起を行いますとともに、各振興局が実施をいたします集団指導におきましても施設における安全の確保について改めて周知を図っております。
また、今後、各施設に対し実施をいたします実地指導におきましても、防犯対策に係る取組状況などについて確認を行いますとともに、必要に応じて助言するなど、社会福祉施設における緊急時の安全確保に努めてまいる考えでございます。
5.質問 : 道警との協力・連携方策について
前回の委員会でも触れられていましたが、警察機関との協力・連携方策についての検討、これは具体的にどのような取組がなされているのか説明願います。
答弁 : 福祉局長
道警察との連携についてでございますが、道におきましては、社会福祉施設に対し、警察等関係機関との連携体制の強化など、入所者等の安全確保に努めるよう注意喚起を行ったところでございまして、特に障害者支援施設につきましては、今後、道警察の協力を得て、各警察署による防犯指導を実施することとしております。
意見 :
各警察署による防犯指導というのを実施されるとのことなので、引き続き施設の皆様が、自らの防犯体制の強化の取組だけでなく、やはり防犯のプロの警察官の方々との連携が進むように取組を引き続きお願いしたいと思います。
各施設の防犯体制強化への協力について
6.質問 : 防犯対策への支援に対する国への要望について
次に、各施設の防犯体制強化への財政的な協力についてですが、財政的な面が一番ネックになるとの声が私のもとにも寄せられておりました。国の社会福祉施設等施設整備費補助金を活用する方法に加えて、全国知事会とも連携をして、防犯対策に対する国の支援について要望することを検討するとの答弁がなされておりましたが、全国知事会との連携によるこのような要望は、実際に国に対してなされているのか、説明を願います。
答弁 : 障がい者保健福祉課長
防犯対策支援に係る要望についてでございますが、障害者支援施設等の防犯対策に限定した整備については、現行の国の補助制度の対象となっていないため、国への要望を検討していたが、厚生労働省における新たな補助制度などの検討状況について確認し、防犯設備等の整備を対象とする補助制度について、第二次補正予算への計上に向けて作業をしているとの情報を得たところでございます。
7.質問 : 国の補正予算の詳細について
今、答弁いただいた厚生労働省による新たな補助制度について、8月24日、読売新聞だけだったと思うんですが、社会面に記事が出ておりました。施設の大規模改修に併せて行うのではなくて、防犯カメラやフェンスの設置などの防犯体制の強化に係る費用の2分の1を国が補助して、残りの2分の1を自治体と設置者が折半する形での新たな補助金を作ることを決めたと。118億円がこの第二次補正予算案に計上されるとの記事が掲載されておりましたが、これは道として詳細を把握していますでしょうか。
答弁 : 施設運営指導課長
国の補正予算についてでございますが、社会福祉施設の整備において、従来は補助対象とされませんでした非常通報装置や防犯カメラの設置など、防犯体制の強化に要する費用につきまして、国の第二次補正予算案に盛り込まれたものと承知をしておりますが、その詳細につきましては、国の予算成立後の要綱等の発出を待たなければなりませんが、引き続き、情報収集に努めてまいりたいと考えております。
8.質問 : 補助の早期実現に向けた道の見解並びに今後の取組について
この補助制度については、今月末から始まるとされている臨時国会において議論なされてからのものと思いますけれども、障がい者施設の方々からすれば一日も早く防犯体制を強化したいけれど、お金の面で厳しいんだと、それが一番の悩みだと伺っていますので、一日も早くこの補助制度が成立をして、成立をしたならば、すぐ道内各地の施設がすぐ使えるような形となるように、道としても国に要望して働きかけを強めるべきだと考えますが、このことについての見解を教えてください。
答弁 : 福祉局長
防犯対策に係る国の補助制度についてでございますが、社会福祉施設における防犯対策の強化には、各種の防犯装置等の整備が極めて有効であり、国の補助制度を早期に実現することは利用者の安全安心を確保する上で喫緊の課題と認識しております。
道といたしましては、引き続き、国の動向を注視するとともに、各施設が国の補助制度を活用し、速やかに整備要望が進むよう、的確な把握に努めてまいる考えでございます。
各施設の防犯マニュアル作成の指針策定について
9.質問 : 防犯マニュアル作成の指針策定について
国の動向について、的確に情報把握に努めていただくのと同時に、都道府県独自の取組というのも重要になると思います。福岡県では、各障がい者施設が防犯マニュアルを作成する際の参考となるような、不審者を見分けるポイントや対応手順などを明記した指針を県として策定し、県内の障がい者施設はじめ約500の施設にそれを示して、マニュアルの作成を要請したとの報道が先日ありました。
道は福岡県同様の指針を今日までに策定して、道内の各施設にそれを参考としたマニュアルの作成を依頼していますでしょうか。
答弁 : 施設運営指導課長
防犯マニュアルについてでございますが、道では、防犯マニュアル作成のための指針については、策定しておりませんが、今回の事件を踏まえ、道内の社会福祉施設に対しまして、施設の管理・防犯体制の強化など、入所者等の安全確保について注意喚起を行ったところでございます。
また、犯罪の予告や、不審者による施設内への侵入など、利用者等に危害や損失を与えるおそれのある場合の休日夜間も含めました連絡体制を新たに構築し、関係施設に対し周知するよう、各振興局に通知をいたしました。
質問 :
確認ですが、各振興局に通知をしたとされるのはいつでしょうか。
答弁 :
今月の2日でございます。
10.質問 : マニュアル作成の促進について
実際に、不審者が施設に入って、事件が起こる前に、それを未然に防ぐ新たな取組を道としても始められたとのことですが、この福岡県と同様のマニュアル作成の指針を策定するということをしていないとの答弁もありましたが、今後、福岡県と同様の対応をして、各施設における防犯マニュアルの作成を促し、防犯体制の強化を図っていく考えはあるのか伺いたいと思います。
答弁 : 施設運営指導課長
防犯体制の強化についてでございますが、国におきましては、現在、福祉・医療の専門家などからなります検討チームを設置し、今回の事件の検証や、社会福祉施設における防犯対策の検討を行い、秋頃を目処に再発防止対策が取りまとめられると承知をしております。
道といたしましては、今後、国から示される再発防止対策を踏まえ、速やかに防犯体制の強化について指導してまいる考えでございます。
措置入院後のフォローについて
11.質問 : 措置入院後のフォローについて
最後に、措置入院後のフォローについて伺ってまいります。今回の7月の事件の容疑者は、精神保健福祉法に基づく措置入院を受けていたものの、退院後にこのような犯行に及んでしまいました。また、各報道によれば、措置入院中に反省したかのような態度を見せて医師をだましてやったなどという話をしていたとの報道もあります。措置入院を終えた後のフォローについてのあり方を考えなければならないと思いますが、先の一斉委員会で、そのことについて質問したところ、地元の医療機関や市町村などとの連携を図り、精神障がいを抱えている人への地域での支援体制の充実に取り組むと答弁をいただきましたが、その委員会から今日に至るまで、具体的に何か措置入院後のフォローのあり方について、新たな検討など進んでいるものがあるのか伺います。
答弁 : 福祉局長
措置入院後の支援についてでございますが、道では、これまでも、退院時における主治医の訪問指導等に関する意見などに基づき、医療機関、市町村等の関係者で構成する精神障がい者のケア会議等におきまして、退院後の地域での支援方策について協議を行ってきておりますが、今般の事件を受け、各保健所に対し、障がいのある方やご家族に対する心のケアについて、地域の実情に応じた相談支援を行うとともに、複雑、困難な事例につきましては、精神保健福祉センターのより専門的な支援を得ながら、対応するよう通知したところでございます。
また、現在、国におきまして、措置入院後のフォローアップについて検討していると承知をしており、道といたしましては、その検討状況を注視し、適切に対応するとともに、これまでの地域での取組や関係機関との連携を一層強化し、精神障がいのある方の支援体制の充実に取り組んでまいる考えでございます。
12.質問 : 精神保健指定医について
再発防止の検討チームにおける検討状況も参考としながらも、ぜひ、道としても、市町村とともに、措置入院後の支援体制の充実を引き続き図っていただきたいと思います。この措置入院に関する精神保健指定医について、気になる記事が先日ありました。9月3日付け朝日新聞の1面に出ておりましたが、「措置入院関与医師指定医不正取得か」と、この7月に起きた事件の容疑者の措置入院を担当した指定医がその資格を不正に受給していたのではないかとの疑いが、厚生労働省への取材で分かったとの記事がありました。これは全国にも、他にも同様の事例がないか、厚生労働省が調査している中で浮かび上がったものとのことですが、不正取得の疑義の有無について、道としても、道内にそのような事例がないか、今、何らかの調査をしてますでしょうか。
答弁 : 精神保健担当課長
精神保健指定医の資格についてでございますが、精神保健指定医は、「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」に基づき、医師からの申請により厚生労働大臣が指定する資格でありまして、措置入院の判定や解除等の職務を行うこととされ、その指定要件は、医師として5年以上の医療実務経験や3年以上の精神科実務経験と一定症例のケースレポートの提出などとなっておりまして、国の医道審議会への諮問、答申を経て、指定されます。
なお、指定医が法に違反し、不当な行為があった場合、厚生労働大臣は、医道審議会の意見を聴いて、指定の取消しをすることができるとされておりまして、資格の不正取得に疑義等があった場合については、国が調査を行うこととなっております。
道内の不正取得の事例について
13.質問 : 今後の取組について
あくまで、国が調査を行うとの答弁でしたけども、本道において、精神保健指定医の資格が不正に取得されている事例は、現時点まで確認されているでしょうか。もし、仮に不正な取得があれば、それに対して道としてどのような対応を取るのか、また、不正取得が今日までなかったにせよ、今後そのような事例が起きないように、どのような取組をしていくのか、最後に伺って質問を終わります。
答弁 : 福祉局長
医師の資格の不正取得についてでございますが、これまで、道内に居住し、道を経由して申請したケースにつきまして、不正に取得した事例はなかったものと承知しております。
今般の不正に関し、現在、国において個別に調査が行われていると承知しておりまして、今後、国からの指示に基づき、適切に対応してまいりたいと考えております。