フェアでない対応には毅然とした対応を。(2023年8月25日)

 昨日8月24日、東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出が始まりました。
 漁業者の懸念等を考えるとき、やらなくても済むのならやってほしくないことではありますが、同施設の廃炉を進める上で避けて通れない措置であります。歴代政権の中で初めて実際の放出を行った岸田総理の強い決断を、私は支持します。

 同施設から放出される処理水は、62種類の放射性物質を取り除く「多核種除去設備(ALPS)」等を用いて処理されます。ここで除去されないトリチウムは大量の海水で薄め、世界保健機関の基準である1㍑あたり1万ベクレル以下を遥かに下回る1㍑あたり1,500ベクレルまで下げられます。

 心理的な不安がゼロになるには時間がかかるでしょう。このことについては、懇切丁寧な科学的説明を、政府が繰り返し行っていくしかありません。

 気になるのは中国の対応です。日本産の水産物を全面輸入停止するという強硬手段に出てきました。

 中国は共産党一党が支配する独裁国家であり、共産党一党独裁国家における「科学」とは、「党の方針」と言っても過言ではありません。不動産大手恒大グループの倒産をはじめとする自国の経済不振に困る中、この度の放水は絶好の自国民の不満をそらす手段となっていることでしょう。

 中国の内部事情を冷静に見つめつつ、処理水を汚染水と言い、非科学的な根拠に基づいたデマを流す姿勢に対しては、毅然とした態度で強く抗議をしてもらわないといけません。

 日本としては、過去に安全基準を満たすトリチウムを含む冷却水を放出した実績があること、中国が自国の原発から流しているものは143兆ベクレルであり、この度の日本の処理水よりも遥かに高濃度のトリチウムを含んだものを自分たちが出していること等を中国に指摘するのみならず、世界中に発信しなくてはなりません。

 今日は午前中留萌管内を回り、夕方留萌振興局の山口知子副局長が事務所に来られ、処理水放出をめぐる現時点での道の対応等について説明をして下さいました。

 山口副局長は水産の専門家であり、留萌振興局に着任されて以降、熱心に管内の浜を回り、いつもタイムリーに情報提供をして下さっています。

 山口副局長によると、2022年における北海道の水産物の海外への輸出は総額833億円となり、対前年比215億円の増加となっています。そのうち中国向けは531.8億円であり、63.8%のシェアを占めています。

 833億円の内ホタテが618億円であり、その中で中国向けは447.5億円。北海道のホタテの72.4%が中国に輸出されており、2位のEUの73.1億円と比較しても、圧倒的に中国に集中している事実がわかります。

 中国の中にも冷静に事態を見つめている懸命な国民がいるのは確かでしょう。中国政府の非科学的な措置が未来永劫続くものでもないでしょう。しかし改めてこの度のチャイナリスクを認識し、輸出先の多角化を図らなくてはなりません。

 短期的には漁業者・水産加工会社等、直接の被害を受ける方々への支援を手厚く行い、処理水への不安を感じている方々に丁寧な説明を行い、中国に対しては毅然たる抗議を行う。

 中長期的には、新規輸出先の開拓を含め、ホタテの輸出先の多角化を図り、カントリーリスクの低減に努める。

 外務省をはじめとする日本政府の努力はもちろん、四方を海に囲まれ、漁業・水産業が基幹産業であり、中国やシンガポール、サハリン等に海外事務所を設置している道の対応も非常に重要です。

 私も留萌振興局と連携し、管内の漁業関係者と情報交換を密に行い、出来ることを最大限行って参ります。

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