9月第三定例会予算特別委員会(水産林務部)

漁業資源管理の観点から、留萌管内をはじめ道内のクロマグロ漁に対して厳しい制限が科されています。その一方で、何の規制も科されず、報告義務も負っていないレジャー船が大量にクロマグロを釣っているという事態が各地で見られます。資源管理の観点からも、漁業者の意欲を守る観点からも、道として何らかの対策を講ずるべきです。また近年増加する一方の密漁に対しても、対策を強化する考えについて質問しました。

目次

令和元年9月27日 第三定例会予算特別委員会 水産林務部

漁業振興について

浅野:私からは漁業振興に関しまして主に以下の三点について伺って参ります。

漁業資源の減少など様々な課題を抱える本道の水産業でありますけれども、漁師の方々、特に若手の方々は意欲をもって、地域のため頑張っておられます。
その方々の意欲を守ること、これが漁業振興を図る上で非常に重要な課題であると考えます。その視点に立って以下質問させていただきます。

レジャー船への規制について

浅野:まずレジャー船への規制について伺って参ります。 ご案内のとおり太平洋クロマグロの漁獲量が本道においては前期の第3期管理期間において小型魚の漁獲状況が上限を大幅に超えて、今の管理期間の間、大幅に制限をされている、ほとんど割当がない状況となっております。

このことを踏まえて以下伺います。

1.レジャー船による漁獲について

浅野:漁協に所属して、知事許可を得てクロマグロ漁に従事している漁業者が今、極めて厳しい制限下に置かれている中で、遊漁者を含めたいわゆるレジャー船によるクロマグロ釣りが行われております。

それに対する規制は特段行われておらず、報告義務も科されていないものと承知します。

道としてレジャー船によるクロマグロ漁の現状をどう認識し、どのように把握をしているのか伺います。

サケマス・内水面担当課長:レジャー船による漁獲についてでありますが、遊漁者は、海面において自由に釣りを行うことができるため、クロマグロの採捕を目的とする対象者を特定することが難しく、また、国や道に採捕数量を報告する義務はなく、数量を管理する仕組みがないため、遊漁者による採捕状況を把握することは困難でありますが、漁業者からは、道に対し、遊漁者によるクロマグロの採捕が多いとの声が寄せられているところであります。

TAC法は、漁業者と遊漁者の区別なく、クロマグロの採捕の総量を規制しておりますが、遊漁者には報告義務がないことから、道といたしましては、クロマグロの数量を管理するうえで、課題があると認識しているところであります。

2.レジャー船への規制について

浅野:今、道としても課題があると認識している旨の答弁をいただきました。 9月はじめに私も地元の天売島に行きました。非常に天気が良くて、漁船とはまた違うレジャー船が動いているのを見ました。

レジャーとして釣りを楽しんでいただくのは素晴らしいことだと思うんですけれども、厳しい制限下に置かれているクロマグロをバンバン釣り上げてそれをSNSに載せて、今日は何十本釣ったということを誇らしげに語っておられる方もいると聞いております。

私の地元の留萌管内には、今期11.1トンのクロマグロの小型魚の割当が認められております。

私が親しくしている焼尻島にいるある若手漁師の方の話によると、その方個人には、漁獲前の約20分の1の約88キロの割当がされているとのことです。
単純計算によると一本あたり約15キロですから、6本釣るともう枠がいっぱいになってしまう。1キロあたりの価格が1,200円程度とのことで、漁獲枠一杯獲ったとしてもせいぜい10万円ほど、これで生計が成り立つとは到底言えないのですが、その一方で、レジャー船に乗っている方が10本、20本、二日間、三日間で100本以上釣っている現状があるとのことです。

真偽を確かめている訳ではありませんが、飲食店に横流しをしている例もあるとも聞いております。

それに対しては報告義務もありません。何よりも資源管理が厳しい中、資源が減って大変な中、知事許可を得て報告義務を負っている漁業者の方が我慢して、回復を待っている一方で、制限を受けない方が自由に獲ってしまっては、資源管理や資源回復等は、全く成り立たない訳であります。
このようなレジャー船によるクロマグロ漁に対する規制が必要であると考えますけれども、この点に対する道の認識を伺うと共に、今後どのような取組をするのか伺います。

水産局長:レジャー船への規制についてでありますが、マグロ漁業を営む漁業者は、TAC法のもと、資源の回復を図るため、漁獲の制限などに取り組んでおりますことから、道は、クロマグロの採捕を自粛するよう、釣具店やマリーナへのポスター掲示、チラシの配布、ホームページや釣り新聞への掲載などにより、遊漁者に対して協力を求めているところであります。

道では、国から配分されたクロマグロの数量を管内ごと、漁法ごとに割当しており、釣りとはえなわ合計の採捕量が割当を超過するおそれがある場合、北海道公報に告示して採捕停止命令を出すこととなりますが、命令は遊漁者にも適用されることから、クロマグロの採捕の停止について、様々な方法で、周知・指導に取り組んでまいる考えでございます。

浅野:採捕停止命令が出されれば遊漁者にも適用されるとのことでしたが、その命令が出る前段階でこれは是非自粛していただきたいと考えます。

漁業者の意欲を守る上でも、厳しい状況にある資源を回復させる、この目的を果たす上でも是非とも何らかの手段を考えて、講じていただきたい、そのことを申し上げて次の質問に移ります。 

密漁防止について

浅野:平成30年度からスタートした「第4期の北海道水産業・漁村振興計画」においては、密漁防止に向けた道の取り組みの強化が記載されております。しかし残念ながら密漁事案は減ることなく増加している一方でありまして、漁港内に防犯灯や監視カメラを漁協が設置するなどの対策をとっている地域もありますけども、やはり防犯灯やカメラの更なる増設、広い港に比較してやはり数が足りないと言う声が聞いております。または、取締船を用いた取締の強化を求める声が大きいと、私も承知をしております。若い漁業者の大事な資源を守る為に、道の更なる取組の強化が必要であると考えますが、この点に対する認識と取組を最後に伺います。

水産林務部長:密漁の防止対策についてでありますが、道内における密漁事案は、近年、増加傾向にあり、特に留萌管内をはじめ日本海では、高価なナマコを対象とした悪質で組織的な密漁が横行しておりますことから、道では、海上保安部や警察と合同で取締や夜間パトロールなどを行うなど密漁対策に取り組んでおりますが、依然として後を絶たないため、より効果的な対策が必要と考えております。

国においては、ナマコやアワビなどの悪質な密漁の抑止を目的に、漁業法を改正し、個人に対する罰金の最高額を2百万円から3千万円まで引上げるなど、罰則を大幅に強化したことから、密漁への抑止効果が期待されるところです。

このため道といたしましては、漁業団体と連携し、罰則強化の周知を図るとともに、民間が行う防犯カメラやレーダーなど密漁監視機器の整備へ支援するほか、今後とも関係機関と連携を強化し、密漁が多発する日本海に漁業取締船を重点的かつ機動的に配置のうえ、効率的な取締を行うなど、密漁防止対策にしっかり取り組んでまいる考えです。

浅野:まじめに頑張っている方々の意欲を守る観点からの漁業振興を是非ともお願い申し上げます。

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