密漁対策について質問しました。(2020年10月1日総務委員会)

密漁対策について道警に質問しました。

 留萌管内の漁業者にとって最も頭の痛い問題が密漁です。

 道警は決して十分とは言えない人員体制の中で必死に取り締まりに当たってくれています。一方で、地元漁業者からは、日常的に情報を共有する等の連携をもっと深めたいとの意見も聞かれます。

 密漁の定義、通報を受けた後の対応、海上保安部や漁業者はじめ関係機関との連携、今後の取組の強化等について質問をさせて頂きました。

 最後に、「漁業協同組合や漁業者の方々をはじめ、道や自治体等の関係機関・団体との連携をより一層強化するため、留萌地域におきましては、本年10月を目途に緊急密漁対策会議を開催する」との答弁を得ることができました。

 留萌管内を皮切りに、より実効的な密漁防止のための取組が始まることがありがたい限りです。

 今後は、この「緊急対策会議」について、

 ・漁業者と道警の連絡、通報体制

 ・定期的な年間開催計画

 ・緊急時の対応体制

 ・振興局との連携

 ・広報

等、それぞれのあり方について細やかな協議がなされ、より実効的な体制がつくられるよう、協議の推移を私もしっかりウオッチして参ります。

 以下、質問のやりとりをご覧下さい。

 

(浅野)

一 密漁対策について

 道警の皆様におかれましては、日常的な治安維持から来年の東京オリンピックの開催に向けて様々な協力、幅広い役割を担っていただきまして、道民の安心安全の確保のために御尽力いただきまして、心より敬意を表したいと存じます。

 新型コロナウイルス感染症の影響により様々な影響が出ておりますけども、私の地元留萌管内も海がある地域でして、漁業者の方は魚価の低迷で本当に経営が厳しい状況におかれています。

 その中でも近年特に皆様が困っている問題に密漁があります。

 一生懸命育てた養殖したナマコなどの宝が奪われていく。命をかけて漁に出ている漁業者からすれば、これはどうしても許せない行為なのです。そのことを踏まえて、以下、皆様方に道警の取組について伺ってまいります。

(一)密漁の定義について

 漁業は、漁獲が許される魚種や、実施が可能となる漁法、並びに漁業権が免許される方々を規定する法律や規則、具体的には「水産資源保護法」、「漁業法」、「海面漁業調整規則」、また河川については「内水面漁業調整規則」などが根拠法となっていると思います。 それに反する行為が、いわゆる密漁と定義されると思いますが、まずは改めて密漁の定義について伺います。

(生活経済課長)

 密漁の定義についてでありますが、 道警察では、「漁業法」、「水産資源保護法」、「北海道海面漁業調整規則」及び「北海道内水面漁業調整規則」等の規定に違反する水産動植物の採捕に係る行為と認識しております。

(浅野)

(二)密漁の現状について

 2年前の12月にいわゆる改正漁業法が成立して、密漁に対しては最大で3,000万円の罰金という、これまでにない厳しい罰則が規定されていますが、それが施行されるのが今年の年末と見込まれています。同法が密漁を抑止するどころか、厳罰化が実際に行われる前に密漁を行ってしまおうという動きを誘発している面もあるのではないかと考えます。

 近年の密漁の手法並びに密漁者の素性、そして検挙数等、私の地元の留萌管内をはじめ、全道的にどのような傾向があるのか、伺います。

(生活経済課長)

 密漁事犯の現状についてでありますが、 道警察による検挙件数は、平成27年は98件、28年は108件、29年は72件、30年は61件、令和元年は58件と減少傾向で推移しており、留萌振興局管内におきましても、同様の傾向が見られるところであります。

 その犯行手口等については、組織によらない単純な手口が大部分を占めておりますが、一方では、警察の取締りを逃れるため、犯行場所を変えながら、夜間、見張り役を配置して組織的に敢行するなど、悪質・巧妙化しているものもあります。

(浅野)

(三)通報等への対応について

 今、減少傾向がみられると御答弁いただきましたが、留萌海上保安部に問い合わせたところ、この平成27年から令和元年の5年間で79件の密漁があり、54名が逮捕されたとのことでした。本年、つまり令和2年はまだ年の途中なので詳しい数字は確定していないようですが、直近で言うと平成29年が13件、30年が12件、31年が26件と、海上保安部と道警の皆様の担当が違うので一概に言えませんし、同様に論じることはできないですが、増加傾向にみられるデータもあります。

 それに対する対応をこれからどう強化していくのか、以下、伺っていきたいと思います。

 まず、通報を受けた時の対応について伺います。

 一般に密漁者と思しき者が漁業者をはじめ、地元の人間が見掛けた際に、110番などの通報がなされると承知をしております。

 そのような通報がなされた場合に、各地の警察署、更には駐在所等でどのような対応がされるのか、伺います。また、道警として、各地の警察署や駐在所等に対し、密漁の通報を受けてからどのように対応するのか、そのあり方についてどのような指導をしているのか、伺います。

(生活経済課長)

 通報等への対応についてでありますが、密漁者等に関する通報がなされた場合は、警察官が現場へ臨場し、不審者等を認めた時には、法に基づき、不審者等への職務質問や所持品検査を実施しております。

 現場へ臨場する警察官に対しては、密漁の主な違反態様等について教養し、不審点を解明するよう指導しており、あわせて、不意の反撃を想定した受傷事故防止等についても指導しているところであります。

(浅野)

 この現場の地元の漁業者の方からよく聞くのですが、通報した際に地元の警察官の方が2名くらいのチームで現場に駆け付けると。先ほど答弁があったように密漁する人間も素人ではないので、地元の警察官が少人数で向かっても、なかなか対応ができない場合もあると思います。

各地域の警察署も人員が決して多いわけではない中で一生懸命対応していただいていると思うのですが、例えば通報があった時に小さなパトカー2名くらいで向かわせるだけでなく、それに加えて本署からも応援態勢を取るだとか、通報に対する万全な対応体制の構築をこれからも検討していただきたいことを指摘致します。

(四)関係機関との連携について

 1 漁業関係者との連携について

 密漁を取り締まる役割は陸であれば道警、海であれば海保になっていると思いますが、両者の連携はもちろんですが、地元の市町村、道の知事部局であれば振興局の関係部局、そして何よりも漁協、漁業者との連携、これは欠かせないと考えます。

 私の地元の漁業者からは、密漁の実情について日常的に道警の皆さんと地元の警察署と情報交換、意見交換をして、様々な情報を共有できる体制を構築してほしいという強い声を、つい先日も伺いました。

 道警は日頃、漁業関係者とどのような連携を取っているのかを伺うとともに、このような声を踏まえて、今後どのように連携を強化していくのか、伺います。

(生活経済課長)

 漁業関係者との連携についてでありますが、これまでも漁業関係者との合同パトロールや広報啓発活動を行うなどしており、今後も漁業関係者との情報交換を緊密に行うなど、効果的な連携に配意してまいります。

(浅野)

2 海上保安部との連携について

 自ら夜に浜を回って、怪しい人間、集団を見張る等の活動を自主的に行っている漁業者が私の地元にもいますが、その方からや漁協の担当者からたまに伺うのですが、陸の取り締まりを行う道警と、海の取り締まりを担う海上保安部が更に連携を深めてほしいという声を聞きます。

 例えば、ある地点で怪しげな集団を見掛け、漁業者が道警に連絡をしても、海保の取締船は全く別の地点を巡回していたと、そうしたこともあったと聞いております。

 道警と海保の今後一層の連携を密にしてほしいという声に対してどのように応えるのか、海保との連携をどのように深めていくのか、伺います。

(生活経済課長)

 海上保安庁との連携についてでありますが、効果的な取締りを行う上で海上保安庁との連携は重要であると認識しており、捜査権限を有する機関同士が、平素から取締りに重点を置いた情報交換を行うなど、今後も緊密な連携を図ってまいります。

(浅野)

3 知事部局との連携について

 知事部局でいえば、各地域の振興局はもちろんですが、本庁においては水産林務部水産局漁業管理課が漁業取締船を保有して管理しております。

 密漁対策については、こうした知事部局との連携を深めていただきたいと思うのですが、今後の更なる連携の深化についてどのように取り組むのか、伺います。

(生活経済課長)

 知事部局との連携についてでありますが、これまでも定期的な会議のほか、案件に応じて個別・具体的かつ迅速な情報交換を行ってきたところであり、今後もこうした情報交換を通じて緊密な連携を図ってまいります。

(浅野)

(五)漁業者の取組について

 すでに何度か述べましたが、私の地元でも、若い漁業者が密漁は許せないという思いから自ら自警団のような組織を集団で作って、夜ごと浜周りをして怪しい集団を自ら見つけた時に、車で付いていったり、声を掛けたりして、密漁をしづらい環境を作るという取組をしている人たちもいますが、夜ごとそういう活動をして一睡もしないで、そのまま漁に出るという取組をしている人たちもいます。

 このような漁業者自身の活動に対して、道警はどのような認識をお持ちでしょうか。また、このような活動に対して、どのような関与をしていくのか、伺います。

(生活経済課長)

 漁業者の取組についてでありますが、漁業者の方々におかれましては、深夜帯や人気のない場所で活動をしている中、110番通報という形で密漁に関する情報を警察に提供いただくなど、大変御苦労されていると認識しております。

 漁業者の方々との連携は、地域の実態を把握し、効果的な対策を行う上で、重要であると認識しておりますので、引き続き、漁業者の方々との情報交換を緊密に行いながら、安全に配意した合同パトロールや取締りを強力に推進してまいります。

(浅野)

(六)取り締まり体制の強化について

 これまで地元漁業者から寄せられた情報を基に縷々課題を指摘させていただきましたが、地元の方々も分かっていますが、道警の方の任務は密漁の取り締まりだけではなく、冒頭で申し上げたように幅広く国際テロも含めて色々な任務もあり、密漁のみに集中することは土台無理な話だと承知しているところでありますが、一方でこのような話を聞きました。

 今年5月の初めくらい、ちょうどナマコの密漁が増え始める時期に怪しき集団を見つけて、地元の警察署に通報したという事案があったそうです。地元警察署から景観に来てもらったけれども、遠目から見ている限りでは、きちっとした取り締まりをその場でしてもらえたのだろうか、ちゃんと所持品検査などをしたのだろうか、道警の皆さんに対して大変なのは分かるが、もっと取り締まりを強化してほしい、自分たちが命をかけて守って作った海産物を捕るような輩を見逃してほしくないと、このように感じた場面があったと聞かされました。

 本道において密漁が行われる時期は、地域によりけりで様々であり、違うと思いますが、主に3月くらいから秋口の10月くらいまでの8か月間と言われております。私の地元留萌管内では、ナマコ漁が始まるのは5月の連休明けくらいから8月くらいまでです。密漁の行われる時期にもそれぞれシーズンというものがあり、36524時間、密漁対策に十分な人員を配置するということは無理な話ではありますが、これらの時期、特に天気の良い凪の時や、各地域の神社の祭りや祭事等が行われ、漁が休漁になる時など、そういう時が狙われやすいとも言われています。こうした時期に、特に絞って特別対策チームを取り、密漁の取り締まりを強化してほしいという声がありますし、これまで何度も答弁いただいたように、地元の漁業者と顔の見える常に情報共有してやりとりができるような体制強化、具体的な対策強化を何とか図ってほしいという声をすごく伺います。

 これらの声を踏まえて、今後はしっかりと更に密漁対策を強化していただきたいと思いますが、今後の取組について伺います。

(生活安全部長)

 取締り体制の強化についてでありますが、道警察といたしましては、これまでも、関係機関・団体等との会議によります情報共有、通報への臨場や日頃のパトロール活動を行ってきたほか、具体的、組織的な密漁に関する情報がある場合には、警察本部や方面本部からの支援をさせるなどして、未然防止と検挙に努めてきたところであります。

 今後は、こうした活動に加え、漁業協同組合や漁業者の方々をはじめ、道や自治体等の関係機関・団体との連携をより一層強化するため、留萌地域におきましては、本年10月を目途に緊急密漁対策会議を開催するなど、より効果的な対策を策定することとしております。

(浅野)

 今、私の地元で10月目途に緊急密漁対策会議を開催すると御答弁をいただきました。

 より実効性のある体制を作っていただくのは有り難い限りですが、海のある地域は申すまでもなく、日本海側だけではなく、太平洋、オホーツク、海を抱える地域の先生方もいらっしゃるのですが、留萌の取組を皮切りに全道で密漁を強化するという認識でよろしいでしょうか、再度確認させてください。

(生活安全部長)

 そのとおりでございまして、全道でこういった形での取組を進めてまいりたいと考えております。

(浅野)

 御答弁ありがとうございます。

 何度も申し上げますが、道警の皆様方が抱えている任務は本当に多種多様で非常に大変だと思いますが、北海道の魅力を作る大きな一つの柱である水産業、漁業の振興を妨げる密漁を取り締まる体制を今後強化していただいて、漁業者の方々を守っていただきたい、地域の方を守っていただきたいとお願い申し上げ、私の質問を終わります。

留萌海上保安部の方々と意見交換をしました。

 10月5日午前、留萌海上保安部を訪ね、長崎克明部長、鈴木浩俊警備救難課長に対し、質問の内容をご報告し、今後の対応について意見交換をしました。

 留萌海上保安部にも緊急密漁対策会議の件についてはすでに連絡が入っており、開催日等の具体的な内容について協議をしているとのことです。

 海の取り締まりを担う海保と、陸の取り締まりを担う道警との連携のあり方について現場の状況をお伺いすると共に、私からは特に浜の未来を担う若手漁業者の意欲を守る為、ご協力頂きたい旨、お話をさせて頂きました。

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