「医療機関及び社会福祉施設等における防災に係る調査結果」が公表されました。災害の種類は多々ありますが、種類によっては施設の対応が不十分であることがわかりました。災害弱者と言われる方々に関連する施設だけに、一日も早い対応が必要です。道の認識と今後の対応を質しました。
平成29年6月 保健福祉委員会 開催状況
開催年月日 平成29年6月6日(火)
質問者 北海道結志会 浅野貴博 委員
答弁者 保健福祉部長 佐藤 敏
医務薬務担当局長 澁谷 文代
医務薬務課長 青山 雅人
施設運営指導課長 篁 俊彦
「医療機関及び社会福祉施設等における防災に係る調査結果」について
私からも、ただいま、御報告をいただいた医療機関並びに福祉施設に関する調査結果について、一括して伺ってまいりたいと思います。
まずは、全道各地の各医療機関823施設と福祉施設は8,796施設と大変多くの医療機関、福祉施設に対して調査を行い、担当者の方々大変な作業量だったと思います。大変な数の中で、今回、このような報告書をまとめていただいたことに感謝申し上げます。
1.質問:立地条件について
まず、今回の報告書で一番気になるところが、立地条件に照らした災害の備えがまだ十分でないということが浮き彫りになったことであります。津波災害警戒区域については、指定されることによってその土地への風評被害の発生など難しい課題がありますので、中々すぐに指定が進まないのは承知していますが、実際に津波が発生した際に尊い人命を守るは、全ての地域でまだ指定が完了している訳ではないとも伺っております。今後新たな地域が追加として指定された結果、今回は該当していないと答えた施設が新たに該当する施設になることも考えられる訳であります。それらに対して道として災害危険区
答弁:医務薬務課長
施設の立地条件等についてでございますが、この度の調査では、浸水想定区域や土砂災害警戒区域などにある施設につきましては、その区域指定に応じた対策の策定状況を調査しており、これら区域外の施設につきましても、施設の立地している地形等の環境や過去の災害発生状況などを踏まえた対策となっているかなどについて調査したところでございます。
今後は、こうした施設ごとの詳細な情報を指導・現況報告書において区域指定の状況を報告していたに状況の確認を行うこととしており、浸水想定区域や土砂災害警戒区域などの立地条件に対応した計画2.質問:災害対応マニュアル・非常災害対策計画の策定状況等について
また、今回の報告書、調査結果で明らかになったことの一つとして、火災や地震など私たちにとって身近な災害として定着しているものへの備えはまだしも、立地条件に応じた土砂災害などの災害に対する備えは十分でないと、まさに、昨年8月の台風で甚大な被害が及んでおり、もたらした災害への備えが十分になっていないことが明らかになった、非常に重い事実がわかったと思っております。このことに対する道の認識並びに今後の対応について伺います。
答弁:医務薬務担当局長
災害対策マニュアルなどの策定状況についてでございますが、道では、これまでも、医療機関に対しては立入検査の際に、また、社会福祉施設に対しては集団指導や実地指導の際に、災害対策マニュアルや非常災害対策計画の策定について指導してきたところでございます。
今回の調査結果では、災害対策マニュアル等の策昨年の台風被害などを踏まえますと、浸水想定区域や土砂災害警戒区域などの立地条件に対応したマニュアル等の策定は今後取り組むべき課題と考えております。
このため、道といたしましては、立入検査等を通じて、マニュアルなどの策定を促進するとともに、立地条件に応じた見直しなど、きめ細やかな指導を行ってまいります。
避難訓練の実施状況について
3.質問:医療機関における避難等訓練について
続いて、避難訓練について伺いますが、医療機関で火災、地震に対応した避難訓練というものを行っそれらに加えた立地条件に対応した訓練は11.4%と、福祉施設ではそれぞれ43.0%、31.3%と決して高くはないのですけれど、それと比較しても著しく低い割合の医療機関で、避難訓練が実施されていないという状況が浮き彫りになっております。この要因は何か、また、今後避難訓練を進めて
答弁:医務薬務課長
避難等訓練についてでございますが、医療機関につきましては、立入検査において、これまで、主として火災を想定して、消防法令に即した避難等訓練の実施の確認を行ってきましたことから、その実施率は、87.2%となっておりますが、地震を想定した訓練は15.6%と低い実施率にとどまっていることが、今回の調査で明らかになったところでございます。
地震や風水害等、立地条件による被害を想定した避難等訓練が実施されるよう立入検査において指導してまいる考えでございます。
4.質問:社会福祉施設における避難訓練について
社会福祉施設における避難訓練についても伺います。
既に述べたように、社会福祉施設の避難訓練の実施率も決して高いものとは言えませんが、この状況の是正に向け、道は今後どのように取り組むのか伺います。
地震を想定した訓練15.6%と、医療機関について先ほどご答弁いただきましたが、おそらく、これは北海道の中でも地震がこれまでたくさん起きている太平洋側等と、私の地元の留萌管内のように地震のあまり多くない地域とで、地域ごとの違いもおそらくはっきりと出てるんじゃないかと思います。
今後は、すぐには出てこないかと思うのですが、地域の災害状況の違いによる対応の違い等も考慮に入れた指導を今後心がけていただきたいと思います。
答弁:施設運営指導課長
福祉施設の避難訓練についてでございますが、本年度から、毎年施設に提出いただいております現況報告書でその実施状況を把握することといたしました。
今後実施する集団指導、実地指導の際には、訓練確実に訓練が実施されるよう指導してまいります。
その他について
5.質問:自家発電装置の確保状況について
次に、続けて伺いますが、自家発電装置の確保状況について、福祉施設に関する報告書では、自家発電は25.2%に留まっております。
この状況に対する道の認識並びに是正に向けた今後の取組について伺います。
答弁:施設運営指導課長
自家発電装置についてでございますが、今回の調査では、社会福祉施設全体で25.2%、入所系でも34.8%の確保にとどまっているところでございますが、自家発電装置の導入については、種別や規模、利用者の介護度など、それぞれの施設の実情に応じ確保の必要性について検討する必要があると考えております。
こうしたことから、今後は実地指導の場を通じまして、施設の状況をお伺いしながら、適切な助言に努めていきたいと思っております。
6.質問:医療機関・社会福祉施設における事業継続計画について
先ほどの中野委員とかぶるかもしれませんが、事関、福祉施設共に策定するか否かを検討中またはすす。その理由の大きなものにノウハウ不足や情報不足が挙げられています。この状況に対する道の認識並びに是正に向けた取り組みはどうあるべきか、伺います。
答弁:医務薬務課長
事業継続計画、いわゆるBCPについてでございますが、BCPは、大規模災害等の緊急時に、施設が自ら被災することを想定し、その機能を早急に回復し、医療機関にあっては、継続的に患者の診療等に当たるため、社会福祉施設にあっては、利用される方々に、必要最低限の福祉サービスを提供し続けるため、策定するものであり、法令上の義務付けはないものの、サービスを継続する上で、大変有効であると認識しております。
今回の調査では、BCPに対する理解は、一定程度進んできているものの、ノウハウや情報が不足しそれらを踏まえ、今後、施設の関係者が集まる会議やホームページなどにおいて、先行事例を紹介するど、未策定の施設に対する事業継続計画の策定支援や情報提供を行ってまいる考えでございます。
7.質問:医療機関・社会福祉施設間の避難協定について
次に医療機関・社会福祉施設間の避難協定について伺いますが、災害時の医療機関同士または施設同士の避難協定についても、検討中または予定なしと答えたところが過半数に上っております。
その理由は、協定の相手先を探すのが大変だと、またはどんな内容にすれば良いかわからない、これもノウハウ不足といったものが挙げられておりますが、この状況に対する道の認識並びに今後の是正に向けた対応について伺います。
答弁:施設運営指導課長
施設間の避難協定についてでございますが、施設を利用される方々が、災害により避難生活を余儀なくされる場合にあっても、適切な介護・療養環境を確保していくためには、同種または類似する施設への避難や搬送について、あらかじめ施設間で協定を締結しておくことが有効と認識しております。
このため社会福祉施設に対しては、説明会を開催し、福祉施設間の協定締結を働きかけてきたところでございまして、医療機関につきましては、広域災害・救急医療情報システムを整備し、災害時の患者受け入れの調整を行っております。
いずれにいたしましても、施設間の協定締結は有効でありますことから、今後はそれぞれの施設の実情に即した、適切な助言等を行っていきます。
今後の対応について
8.質問:医療機関等における防災に係る調査について
今回の調査に応じた医療機関は、95.6%、福祉施設は89.8%と、任意の調査としては私は非常に高い率であったと思っています。
それでも、回答を寄せなかった医療機関、施設の災害に対する備えはどうなっているか、気になるところであります。今回、回答しなかった機関、施設に対してあらゆる災害への備えを万全にしていく取り組みが重要であると考えますが、道としてどのように取り組むか伺います。
答弁:医務薬務課長
医療機関等における防災に係る調査についてでご社会福祉施設で、899施設が未回答でありました現況報告書や実地指導の際に、直接聞き取りなどを行うなどして、災害対応の状況等を把握し、適切に指導してまいる考えでございます。
9.質問:道の認識並びに今後の対応について
このような調査をしていただいたことは、いざというとき迅速な避難、対応が難しい医療機関や福祉施設を利用している方々を守る、そこに働く職員さん方を守る、ということから非常に意義のあることだったと思っています。
今回、課題として示されたものをどれだけ改善に向けていけるか、進捗状況を把握することも重要だと思っております。
この点について、刻一刻と変わりゆく災害への備えなどについて、道としてどのように対応していくのか、最後に認識を伺います。
答弁:保健福祉部長
今後の対応についてでございますが、道では、これまでも、医療機関に対しては、立入検査の際に、また、社会福祉施設に対しては、集団指導や実地指導の際に、災害対策マニュアルや非常災害対策計画の策定についてそれぞれ指導してきたところでございます。
今回の調査は、昨年の台風被害を受けまして、その策定状況等について把握するため実施したものでございまして、医療機関や社会福祉施設において、立地条件に応じた計画等が策定をされ、避難訓練等が実施されるよう、より実態に即して指導助言する必要があると改めて認識したところでございます。
こうしたことから、実地指導等の機会を通して、施設の状況等をきめ細やかに把握し、避難計画等の策定などについて、必要な助言を行うなどいたしまして、施設における安全確保に万全を期してまいる考えでございます。