一 北方領土関係情報セミナーの実施について ただいま、ご報告いただいた根室でのセミナーについて、以下伺ってまいります。
(一)根室で実施されたセミナーについて
1 セミナーの意義について
今、ご報告いただいたとおり、144名の参加を得て、北方領土問題の原点の地である根室市でセミナーが開催されたとのことです。これについて各報道を見れば、様々な意見が出たとのことでありますが、このセミナーが実施されたことでどのような意義があったと道は認識しているのか、まず伺います。 (共同経済活動担当課長 山田哲史) セミナーの意義についてでございますが、今回のセミナーにおきましては、外務省から「共同経済活動が平和条約の締結に向けた重要な一歩となり得ること」、あるいは「政府間で交渉し、平和条約問題に関する立場を害さずに、条約締結も含め、法的基盤の執行を計画するということ」などの共同経済活動の意義について説明があったところです。 また、質疑応答におきましては、参加者からの定期航路の問題などにつきまして、外務省としても、そうした問題意識を持っているなどの説明があったところでございます。 こうして、外交交渉に携わる外務省職員のお話を地域の方々が直接聴くなどして、理解を深めるとともに、地元の生の声を外務省の方に直接聴いていただいたことは、有意義であったと受け止めているところでございます。 (浅野)
2 参加者の人数について
144名が参加したとのことでありますが、この人数は道の目標どおりであったのか伺います。 (山田課長) 参加者の人数についてでございますが、セミナーの実施に当たりましては、当初100名程度の参加者を予定していたところでありますが、地元の行政機関、経済団体や元島民の団体など、皆様の周知協力をいただいたこともあって、根室・釧路管内等の元島民や、経済関係者、住民の方々など予定の100名を大幅に上回る144名の出席がございまして、特に隣接地域としての、共同経済活動への関心の高さを改めて認識したところでございます。 (浅野)
3 アンケート結果について
また報告によりますと、参加者の約7割の方々が共同経済活動の意義等に関する国の説明に対して理解を示したとのアンケート結果が出ているとのことでありますが、この割合に対する道の認識を伺います。 (山田課長) アンケート結果についてでございますが、国からの共同経済活動の意義等に係る説明に対しまして、2割弱の方から「理解が深まった」、また5割強の方から「概ね理解ができた」と回答がございまして、7割の理解が得られたところです。 また、道からの北方領土問題に対する関わりへの説明に対しましては、2割弱の方から「理解が深まった」、6割の方から「概ね理解できた」と回答がございまして、合わせて8割の理解が得られたところでございます。 隣接地域におきましては、領土問題への関心がそもそも高い中、今回のセミナーを通じまして、更に理解を深めていただいたことは有意義であったと考えているところでございます。 (浅野) アンケート結果を見ましても、7割の方が理解されたことで意義深かったかと思いますが、揚げ足を取るつもりではないのですけれども、「少し理解ができた」という方、「あまり理解ができなかった」という方も一定程度いらっしゃる訳で、北方領土問題原点の地の根室でも理解ができなかったという方がいらっしゃるということは、一つの課題として今後受け止めていただきたいと思います。
(二)今後他地域で実施されるセミナーについて
1 今後のセミナーについて
今後、根室でのセミナーを皮切りに、道としては、来年1月中旬を目途にまず道北地域、2月上旬を目途に道央地域、6月から8月にかけてオホーツク地域、十勝地域、道南地域で同様のセミナーを実施する予定でいると伺っておりますが、どの様な意図をもって、このような実施地域、実施時期を想定しているものなのか、説明を求めます。 (北方領土対策局長 平塚利晃) 今後のセミナーの開催についてでございますが、北方領土問題への関心を高めていくことと併せまして、共同経済活動の意義などを効果的に発信する観点から、今後のセミナーにつきましては、元島民等の人口に占める割合が少ない道北地域及び道央地域において、1月中旬以降に開催する予定としております。 また、来年3月には、ロシア大統領選挙が予定され、5月には日露首脳会談の開催が見込まれることも踏まえまして、6月以降、オホーツク、十勝、道南の各地域で開催することを見込んでおりますが、今回実施した根室においては、継続的な開催を求める声もございますので、外交日程などを踏まえながら、今後柔軟に対応してまいりたいというふうに考えております。 (浅野) ご答弁ありましたように、継続的な開催を求める声があると伺いました。これから他地域でもセミナーを行うに当たり、一回行ってそれで終わりというふうには、当然ならないと思います。 予算の制約などもあるかと思いますが、できる限り定期的に、この共同経済活動の意義を発信していく、説明をしていく、またそれぞれの地域で共同経済活動に対する疑問や要望など幅広く聞き取る場面というのも、是非検討いただきたい。各地域の振興局が単位になるかもわかりませんけれども、そうした仕組みを今後も検討していただきたいと思います。
2 セミナー開催に当たっての目標について
今回の最初のセミナーは領土問題原点の地である根室市で開催されました。共同経済活動の意義や現状について道民の理解を深めるとともに、北方領土に係る現状を幅広く周知することがこのセミナーの目的であると承知しておりますけれども、海の先に島が見える根室市をはじめ道東地域と、そうでない地域の間には、領土問題に対する理解度やそもそもの関心に差があるというのが現状ではないかと考えます。 根室市では144名の参加者があり、説明に対する理解度は7割であったとのことでありますけれども、他地域で同様のセミナーを今後行った際に、道として各地域でどれほどの参加者を集めて、また領土問題、共同経済活動に対してどの程度の理解を得ていただくことを目指しているのか、現時点での道の目標について伺います。 (平塚局長) 今後のセミナーの目標についてでございますが、今回のセミナーにつきましては、北方領土問題に関心の高い隣接地域での開催であり、予定を超える参加者の出席やアンケート結果においても一定の評価をいただいたところでございます。 今後開催するそれぞれの圏域におきましても、今回のセミナーと遜色のないものとなりますよう、国と連携の上、進めてまいりたいというふうに考えております。 (浅野) 北方領土問題原点の地である根室でのセミナーと遜色のないものとなるようにと、高い目標を述べていただきました。そうなると事前の告知の段階で、より丁寧な説明なども必要になってくるかと思います。十分にお考えいただいているかと思いますが、その辺りもしっかりと考えた上で、今後のセミナーの実施に向けていただきたいと思います。
3 道の認識について
今後、共同経済活動の意義について、他地域でのセミナーを実施するに当たり、難しい問題かと思うのですが、共同経済活動の意義として、四島の開発に直接関わる、つまり四島に関連したビジネスを展開できるということが挙げられるのだろうと思います。必ずしも日常的に領土問題が意識されることが多いとは言えない地域においては、この問題への関心を高めるための方策として、共同経済活動実施によりビジネスチャンスが広がる可能性を伝えていくことが有効であると考えますが、一方で、共同経済活動はあくまで根室管内をベースにすべきだという意見があることも承知しております。 道内各地の様々な事情、領土問題や共同経済活動に対する認識の違いを考慮した上で、今後道内各地でセミナーを実施していくに当たり、どのような考えで臨んでいくのか、認識を伺います。 (北方領土対策本部長 中野祐介) 今後のセミナー開催に当たっての各地域の事情の違いの考慮についてでございますけれども、今後、開催予定の他圏域におきましては、根室・釧路圏域と比べまして、領土問題への関心や認識について、違いがあると想定しているところでございます。 今後のセミナーの内容につきましても、共同経済活動そのものに大きな比重を置きました根室での開催と比べまして、他圏域におきましては、領土問題や外交交渉に係る歴史的経緯など、広範な説明が必要とも考えているところでございます。 こうした工夫を行いながら、共同経済活動の意義や領土問題への理解が深まるよう、今後のセミナーの充実に努めてまいりたいと考えております。]]>