11月第四定例会一般質問

以下の項目について、一般質問を行いました。

JR留萌線の今後や国道232号線の代替道道の整備、ホッケ等の漁業資源管理のあり方、遊漁船操業への対応、へき地診療所における医療人材の確保、苫前商業高校等の地域特例連携校の生徒確保等、留萌管内に特に関わる課題について、知事はじめ担当部長の認識並びに今後の取組について質しました。

苫前小平線については、既存の林道を活用する方法について検討をしている旨の、また医療人材の確保については、今回天売診療所に道職員の定年を定めた条例の上限を超える年齢の方が赴任して下さった事例を受け、定年の延長を含め、あらゆる方策をもって人材の確保に取り組む旨の答弁を得られました。

一 JR北海道の路線見直しについて
(一)2線区に対する認識について
(二)地元負担に対する認識について
二 ほっかいどう応援団会議について
三 災害対応について
(一)代替道道の整備について
(二)河川改修について
四 本道農業の振興について
(一)日米貿易協定への対応について
(二)酪農振興について
五 本道水産業の振興について
(一)資源管理の在り方について
(二)遊漁船の規制について
(三)秋サケ資源について
六 本道林業の振興について
(一)林業イノベーションについて
(二)HOKKAIDO WOODについて
七 本道医療の充実について
(一)医療人材の確保について
(二)フレイル外来について
八 道立高校について
(一)地域連携特例校の存続について

目次

令和元年12月3日道議会第四回定例会一般質問

一 JR北海道の路線見直しについて

浅野:JR北海道が同社単独では維持困難とした線区を公表してから3年になります。その13線区のうち8線区、いわゆる黄色線区については、存続に向けての枠組みが議論されている中で、それ以外の5線区、いわゆる赤線区については財政支援等の議論は一切なされることはないまま現在に至っております。
本年11月12日、日高線の鵡川・様似間の地元沿線の7町長は臨時会議を開き、多数決によってバス路線に転換することを容認する方針を決めました。このことを受け、赤線区と言われる5線区のうち、留萌線の深川・留萌間と根室線の新得・富良野間の2線区の今後は、より注目されるものと考えます。

(一)2線区に対する道の認識について

浅野:これら2線区については、沿線自治体ごとに様々な事情の違いはあるものの、いずれも存続を前提とした協議が行われております。道はこの度、「持続的な鉄道網の確立に向けた基本的な考え方」の素案を示し、その中の「7 地域としての協力・支援に当たっての考え方(2)本道における鉄道事業の見直しの状況」で、「いわゆる赤線区における、地域の将来を見据えた最適な交通体系の実現に向けた議論を重ねてきている」との記述があります。今後JR北海道が、日高線の動向を受け、より強くバス路線への転換等、路線廃線への同意を求めてくることが懸念されます。この点に関する道の認識を伺うとともに、道としてはあくまで沿線自治体の意向に寄り添い、決して廃線を促すようなスタンスを取ることはないものと理解しますが、確認を求めます。

総合政策部長兼交通企画監:JR北海道の事業範囲の見直しについてでございますが、JR北海道におきましては、地域における検討・協議にあたり、真摯な姿勢で丁ねいに対応していくことが、強く求められると考えてございます。

道では、これまで、道議会の皆様にご議論をいただきながら策定をいたしました交通政策総合指針に基づき、それぞれの地域ごとの実情などを踏まえ、地域の将来を見据えた鉄道ネットワークのあり方について、地元の皆様方と議論を重ねるなど、問題の解決に向けて取り組んできているところでございます。

道といたしましては、引き続き、沿線自治体はもとより、関係者の皆様とともに地域交通の確保に向け議論を尽くした上で、路線のあり方について結論を見いだしてまいります。

(二)地元負担に対する認識について

浅野:先に触れた素案の同じ項目の中に、「今後の地域の負担のあり方については、これまでの地域の負担や、道内自治体の厳しい財政状況を踏まえながら、地域関係者と協議を進めることが必要」とあります。鉄路存続に向けた道並びに市町村の財政負担については、国が今年度までの二か年度に渡りJR北海道に対して財政支援を行う中での時限的なものとしてのものであり、いわゆる黄色線区における議論についても、地方自治体の財政負担が前提条件とはなっておらず、1986年の国鉄民営化の経緯からしても、鉄路の存続に最終的な責任を負うのは国であると考えます。例えば留萌線に関し、路線を維持するため沿線自治体が財政負担を仮に負うとすれば、全体の負担は約9億円、留萌市の負担分は約6億円との見方もありますが、自治体として到底負担できるものではなく、沿線自治体の財政負担を前提とするならば、存続に向けた道筋はその時点で閉ざされてしまうと考えます。

道として、黄色線区、赤線区いずれにしても、道並びに沿線自治体の財政負担を前提とした議論をする、また、そのスタンスで国との協議に臨むことはするべきでないと考えますが、道の認識を伺います。

知事:JR北海道に対する支援についてでありますが、JR北海道の経営自立に向けては、JRの徹底した経営努力を前提に、これまでの経緯を踏まえ、引き続き、国が中心的な役割を果たす必要があり、JRが経営自立を果たすまでの間は、安全投資をはじめとする鉄道施設等の整備に対する国からの安定的・持続的な支援が不可欠であります。

一方、JRの危機的な経営状況を踏まえますと、持続的な鉄道網の確立に向けては、地域においても、可能な限りの協力や支援を行うことが重要であると考えており、道といたしましては、地域の将来像を見据えた取組のあり方について、地域が一体となって、議論を重ねてきているところであります。

私といたしましては、これまで道議会や地域からいただいたご意見や道内市町村の厳しい財政状況も十分に踏まえるとともに、今後、さらに、道議会の皆様とのご議論や地域における意見交換を重ねながら、年度内を目途に、国への提言をまとめてまいります。

二 ほっかいどう応援団会議について

浅野:鈴木直道知事の主な公約の一つである「ほっかいどう応援団会議」のキックオフイベントが本年9月26日に東京で開催されました。応援団会議は、本道にゆかりのある方々はもちろん、本道に思いを寄せてくれている方々の力を幅広く集め、従来の個人または企業版のふるさと納税やクラウドファンディング等の寄付を募ることに加え、企業や団体との協働を進め、ボランティア等の人材を集める等、本道の新たな未来づくりに積極的に関わろうとする、いわゆる関係人口を道内外から募る取組であると理解しております。

本道は全国に先駆けて人口減少局面に入り、あらゆる分野での人材不足が深刻化しており、特に医師や看護師をはじめとする医療人材の不足、札幌市等の大都市圏とそれ以外の地方との格差が大きな問題となっております。医療人材の偏在をはじめ、様々な分野での人材不足こそが、本道が抱える根本的な課題であると考えますが、こうした切実な課題の解決に向けては、関係人口を増やす取組を進めることが効果的であり、応援団会議は非常に重要な役割を果たすものと考えます。この点に対する知事の認識を伺うとともに、このような全道的な課題に対し、応援団会議はどの様な役割を果たしていくこととなるのか伺います。

知事:ほっかいどう応援団会議についてでありますが、本道では、全国を上回るスピードで人口減少や少子高齢化が進んでおり、医療をはじめ幅広い分野において、人手不足が深刻化していると認識をしております。

こうした中、近年の経済・社会情勢の変化なども踏まえ、関係人口の創出・拡大といった視点からも暮らしや経済、人づくりといった各般の取組を推進していくことが重要であると考えております。

道といたしましては、先に立ち上げたほっかいどう応援団会議のネットワークなども十分活用しながら、個人の方々はもとより、様々な分野において資源や専門性を有する企業などと連携し、応援団会議の取組が、地域課題の解決に資するよう市町村ともスクラムを組みながら、しっかりと取り組んでまいります。

三 災害対応等について

(一)代替道道の整備について

1 名寄遠別線について

浅野:次に災害対応等に関し、災害時の代替道道の確保等について伺います。

はじめに、私の地元名寄遠別線について伺いますが、留萌管内は、国道231線、232号線が唯一の大動脈であり、その強靭化策を講ずるよう、国に要請することは当然として、道としても、いざという時の代替となる道道の整備も進める必要があることを、これまで累次に渡り、議会の中で質問してまいりました。

私の地元においては、現在旧開発道路の名寄遠別線の整備が進められております。一部事業の必要性等に疑念を呈する声もありますが、当該道路の経済効果は勿論、留萌管内と上川管内を結合することによる様々な効果については疑うところはなく、また厳しい自然環境の中で、道、工事関係者がこれまで着実に事業を進めてきたことは評価されるべきでありますが、改めて名寄遠別線の必要性に対する道の認識を伺うとともに、今後事業完成に向けた取り組みについて伺います。

建設部長:代替道道の整備に関し、道道な名寄遠別線についてでございますが、当該路線は、災害による孤立化の解消や国道の代替道路としての役割を果たすほか、高次医療機関へのアクセス向上や物流の効率化、さらには新たな観光ルートの創出による地域の活性化などに資する重要な路線と認識しているところでございます。

このため、道といたしましては、現在、未改良区間の整備を着実に進めており、地元からの強い要望もあることから、引き続き、国へ要望するなど、必要な予算の確保に努め、一日も早い完成に向けて事業を進めていく考えでございます。

2 未着手区間について

浅野:次に未着手区間について伺います。留萌管内では、約9kmの苫前小平線が、未だ事業着手の見通しも立っておりません。このことに対し、本年の第二回定例会では、「防災・減災の観点から、整備の必要性について検討を進めてまいる」との答弁がなされていましたが、当該区間の整備の必要性について、この間どの様な検討を積み重ね、現時点でどのような認識を有しているのか伺います。

建設部長:次に、道道苫前小平線についてでございますが、当該路線は、災害時における国道の代替道路としての役割が期待されているところでございますが、未開通区間は、急峻な山地を通過することなどから、多額な事業費が見込まれておりまして、事業化に向けた課題も多いと考えているところでございます。

このため、これまで検討を進めてまいりました、現道のない区間を結ぶ案に加え、既存の林道を活用して、国道の代替道路網を形成する様々なルートにつきまして、検討を行っているところでございますが、いずれのルートも大規模な事業となることが見込まれておりまして、事業化に向けては、慎重な検討が必要と考えているところでございます。

道といたしましては、近年、全国各地で頻発する自然災害などを踏まえまして、国土強靱化の観点から、災害時における、道路交通機能の確保が重要と認識しておりまして、引き続き、国道の防災・減災対策を国に強く要望するとともに、国道の代替道路としての道道整備のあり方につきまして、検討を進めてまいる考えでございます。以上でございます。

(二)河川の樹木伐採等について

浅野:次に河川改修等について伺います。平成28年8月に北海道を連続して台風が襲い、主に十勝地域に甚大な被害が生じたほか、私の地元苫前町でも、同月はじめに局地的な集中豪雨が発生し、古丹別川が決壊する事態が生じております。

この台風を契機に、道は河川の樹木伐採や土砂の除去に係る予算を平成29年度から増額させ、洪水対策を全面的に進めてきたものと承知します。大規模な被災から3年になる今、私の地元では、今後もこのような災害の未然防止のための事業に係る道予算が確保されることを望むと同時に、予算が減らされ、事業が減っていくことに対する懸念の声が多く聞かれます。改めてこの間の樹木の伐採等に係る予算額の推移を伺うと共に、予算確保に向けた取組も含めた、今後の道の対応について伺います。

知事:次に、河川の樹木伐採などに係る取組についてでありますが、道では、平成28年8月からの甚大な台風被害などを受け、平成29年3月に「河道内樹木伐採などの河川維持管理のあり方」を策定し、道が管理をする、約1,200河川、約7,800キロメートルを対象とする、河道内の樹木伐採や土砂の除去を計画的に実施をしているところであります。

これらに係る予算としては、被災前の平成28年度は約15億円でありましたが、大雨被害を踏まえ、平成29年度から大幅に増額をし、今年度も、約37億円を措置したところであります。

道といたしましては、今後とも、地域の声を伺いながら、道民の皆様の安全、安心な暮らしが守られるよう、効率的、効果的な河川の維持管理に取り組むとともに、国に対して、維持管理に活用できる交付金制度の創設を要望するなど、必要な予算の確保に努めてまいります。

四 本道農業の振興について

(一)日米貿易協定への対応について

浅野:本年9月25日に日米貿易協定が署名されました。この点に関しては我が会派の代表格質問でも取り上げられ、道としては力強い農業と活力ある農村を確立していくため、国の施策を活用しながら生産基盤の整備や多様な担い手の育成・確保、スマート農業の推進、更には都市と農村の交流人口の拡大等に努めて参るとの答弁がなされていました。

私の地元の留萌管内では、管内にある4農協を一つに合併するための検討委員会が設置され、令和3年2月の実現に向け、協議が進められております。管内一つの農協組織を目指すというのは本道初の試みであり、南北約200㎞の8市町村を包含する広域な組織となること等に関する課題も指摘されておりますが、信用事業の強化をはじめ、生産者が安心して営農できる環境整備に向けた取組が進められているところです。

道は11月19日に本道農畜産物への影響額を試算した「日米貿易交渉による北海道への影響」を公表しています。道は地域ごとのこのような未来を見据えた動きを踏まえ、本道農業が今後も将来に向けて再生産可能な産業となるよう、より一層振興に努めることが求められると考えます。

同協定では、附属書で米国側が「将来の交渉において、農産品に関する特恵的な待遇を追求する」との規定があり、来年から始まるとされている第二段階の協議において、農畜産物について更なる交渉が行われる可能性があり、現場の農業者の不安は尽きません。

道としては、今後更なる試算を行う必要性が生じる可能性を念頭に、国に対するオール北海道での要請活動を更に強化し、本道の農業生産者の声をより強く代弁し、政府の交渉を後押しするとともに、道としても万全の対応策を講じていく必要があると考えますが、今後の交渉の推移に対する現時点での道の認識並びに今後の対応について伺います。

知事:今後の日米貿易交渉への対応についてでありますが、国は、国会において、協定の附属書の規定については、「将来の交渉において、米国にそのような意図があるという認識を単に記載したもの」と答弁しているほか、今後の再協議については、「関税に関する事項は、自動車、自動車部品を想定しており、それ以外は農林水産品を含め想定していない」と答弁をしているところであり、今後とも、国の動きを注視していく必要があると認識をしております。
このような中、道としては、いかなる国際交渉にあっても、本道農業の再生産を確保し、持続的に発展していけるよう、国に対し、交渉に関する丁寧な情報提供と必要な国境措置の確保を適時適切に求めていくとともに、引き続き、生産基盤の整備や多様な担い手の育成・確保はもとより、スマート農業の推進や輸出の拡大など、生産力と競争力の強化に一層努めてまいります。

(二)酪農振興について

浅野:次に酪農振興についてです。道の試算では、道産生乳の約7割が加工向けに使われ、輸入品と競合しやすい牛乳乳製品の減少額が約149~223億円と最も多く見込まれており、今後いかにして酪農家の不安を払しょくしていくかが、大きな課題であります。

特に営農に意欲を燃やしている若手生産者の中には、大規模な設備投資を行い、これからその償還が始まる、または償還の途中である方々も多く、営農意欲を失わせないよう、道の支えが重要であります。

これから生産者団体と乳業各社との乳価交渉が行われ、また加工原料乳生産者補給金の単価も決められる時期を迎えますが、生産者にとって、再生産が可能な所得が確保されるよう、道として今後農業をどのように支え、振興していく考えでいるのか伺います。

農政部長:酪農の振興についてでありますが、日米貿易協定の合意などグローバル化が進展する中、本道酪農の一層の振興を図るためには、意欲ある生産者が再生産可能な所得を確保し、将来に希望を持って、安心して営農できる環境づくりが重要であります。

このため、道では、関係機関・団体と一体となって、畜産クラスター事業などを効果的に活用した生産性の向上や良質な自給飼料の生産拡大、酪農ヘルパーなどによる家族経営のサポート、多様な担い手の育成・確保などを積極的に推進するとともに、国に対して、必要な事業予算の確保や本道の実情に合った制度の充実、さらには、加工原料乳生産者補給金等の適切な設定を求めるなど、本道酪本道酪農が将来にわたり持続的に発展するよう取り組んでまいります。

五 本道水産業の振興について

(一)資源管理のあり方について

浅野:漁業法の改正を受け、今後資源管理が強化されると言われており、特にホッケが新たにTACの対象魚種となることが懸念されています。

ホッケについては、漁業者がこれまでも自主的な取組みを行い、着実な資源回復が見られるだけに、更なる資源管理の強化がなされるとすればどうなるのかと、漁業者の不安は大きいものがあることから、先の第二回定例会で、資源管理の強化に伴い、漁業、水産業の所得がどの程度下がり得るか、その試算並びに浜への周知を行っているのか、減産への対策について、どのように考えているのかを質問したところ、「漁業者自らが操業期間を短縮するなどの自主的な漁獲削減の取組により、回復の兆しが見られるホッケについては、漁業現場の実情に即した資源管理が可能となるよう、関係団体と一体となって国に働きかけているところであり、今後とも、こうした動きについて、漁業現場への丁寧な周知に努めるなど、適時適切に対応してまいる」旨の答弁がありました。

本道の漁業を取り巻く環境は主要魚種の不振により大変厳しい状況となっており、特に私の地元留萌地域を含む日本海海域は、漁業生産の減少が長引く中、今回の漁業法の改正に対しては、地元の漁業者から不安の声しか聞こえておらず、それを汲み上げ、国に働きかける道の役割は極めて重要であります。

また、一般にホッケは幅広い海域に生育し、他の魚種を獲る際に混獲されやすいものであると言われており、仮にこれがTACの対象魚種に追加された場合、混獲をどのように避けるのか、避けられない混獲部分をどのように扱うか等の問題が生じ、現場の漁業者が大いに混乱することも懸念されるところであります。 

先の質問から五か月ほどになりますが、今後の資源管理のあり方について、道としてこの間、国にどのような働きかけをし、漁業現場へどのような周知を行ってきているのか、今後の取組を含め伺います。

知事:ホッケの資源管理についてでありますが、ホッケ道北系群については、資源の増大を図るため、平成24年より、漁業者自らが漁獲量などの削減に取り組み、近年、回復の兆しが見られてきたことから、道では、道漁連などと連携をし、7月の施策提案をはじめとして、国に、TAC管理を前提とせず、自主的な取組を尊重するよう、重ねて申し入れるとともに、漁業関係者に対し、国の資源管理に関して周知や協議を行ってまいりました。

また、道も出席した10月の組合長会の代表者会議で、国から、漁業者の理解を得て進める旨の説明がありましたが、改めて十分な説明と理解促進を申し入れたところであります。

ホッケは多様な漁業で漁獲され、混獲も多いことから、道といたしましては、漁業者などへの丁寧な周知を行うとともに、漁業現場の実情に即した資源管理となるよう、関係団体と一体となって国に強く働きかけてまいる考えであります。

(二)遊漁船の規制について

浅野:次に遊漁船の規制について伺います。

太平洋クロマグロに関し、本道においては今の管理期間における漁獲量が大幅に制限され、ほとんど割当がない状況となっている一方で、個人のレジャー船などによるクロマグロ釣りが行われている実情に対する道の認識を、先の定例会で質問しました。

一般に、魚を獲る者は、漁業権を免許される漁業者と、知事許可を得て遊漁船の操業資格を得ている遊漁船操業者と、そうではない個人の操業者に分類できます。遊漁船操業者のうち、前者は、魚種による資源管理の状況を把握し、漁業者に迷惑をかけることのない操業を心得ている者が多い一方で、後者はそうでないものが多いと言われております。個人の遊漁船操業者によるルールを無視した操業が資源回復を阻害する要因の一因となること、また真面目にルールに従っている漁業者の意欲が削がれ、浜の活力が失なわれることが懸念されます。

更には、クロマグロに限らず他の魚種を個人の遊漁船操業者が獲り、市場を介さず個人的なつながりのある飲食店等に流すことで、魚価の低迷を招いているのではないかとの指摘もあります。
 以上指摘した様々な弊害に対し、道はどのような認識を有しているのかを伺うと共に、今後どのような対応を取る考えでいるのか質問します。

水産林務部長:水産業の振興に関し、遊漁への対応についてでありますが、漁業者は、TACに基づきクロマグロの漁獲量を制限されておりますが、遊漁者は、自由に釣りができ、管理する仕組みがなく、国や道に採捕を報告する義務がないため、道といたしましては、クロマグロのTAC管理や漁業者が資源管理を進めていく上で、課題があると考えております。
 このため、遊漁船業者や遊漁者などに対しまして、クロマグロの採捕を自粛するよう、チラシの配布、ポスターの掲示、さらには、ホームページなどを通じて広く周知するとともに、道の取締船により協力を呼びかけているほか、先般、漁業団体とともに、遊漁も含めたTAC管理を国に要請したところです。
 道といたしましては、本道の漁業生産が低迷する中、漁業者は、クロマグロをはじめとして厳しい資源管理に取り組んでいることから、引き続き、遊漁者などに理解と協力を求めるなど、適切に対応してまいります。

(三)アキサケ資源について

浅野:次に秋サケ資源対策について伺います。秋サケは、長年にわたる人工ふ化放流の取組により、漁業や水産加工業など本道の地域経済を支える重要な資源になっていますが、来遊量は平成16年の6千万尾をピークに減少が続いており、一昨年の29年には、1,600万尾に満たないなど、現在の10億尾の放流体制となってから最低を記録しています。

今シーズンの来遊量については、シーズン初めの9月初旬こそ昨年を上回っていましたが、11月20日現在の秋サケ沿岸漁獲速報では、29年並みで推移しており、今後の漁獲の回復が危惧されるだけでなく、ふ化放流事業の継続自体も危ぶまれる深刻な状況となっています。

国の水産研究・教育機構では、組織体制の見直しや、ふ化放流の縮小などを検討する動きも見せており、秋サケふ化放流事業の先行きは不透明な状況になっています。

秋サケを巡り、道内各地で様々な新たな動きも見られる中で、秋サケ資源の一刻も早い回復に向けて、早急に有効な対策を講じる必要があると考えます。

道は、秋サケの来遊量の回復に向けて、どのように取り組んでいくのか、伺います。

知事:秋サケ資源対策についてでありますが、秋サケは、これまで増殖団体や漁業者の努力によって資源が造成されており、全道で漁獲されておりますが、近年、来遊数の低迷が続いておりますことから、道では、本年6月に「秋サケ資源対策協議会」を設置し、資源の減少要因や対策の検討を進めているところであります。

道といたしましては、協議会の議論を踏まえ、海洋環境の変化に対応した適期放流や改良餌料による健康な稚魚の生産、成育に適した汽水湖を活用した増殖事業を進めるほか、試験研究機関や増殖団体と一層連携し、国が行う稚魚にストレスを与えない低密度飼育試験に参加するとともに、ふ化施設の改修や疾病予防対策などに取り組み、本道を代表する重要な魚種である秋サケ資源の早期回復を図ってまいる考えであります。

六 本道林業の振興について

(一)林業イノベーションについて

浅野:次に、本道林業の振興に関し、はじめに林業イノベーションについて伺います。

本道では、トドマツやカラマツなどの人工林資源が利用期を迎え、伐採や植林などの林業生産活動が活発化しています。

「北海道森林づくり条例」に基づき策定された森林づくり基本計画では、基本理念の一つに「林業及び木材産業等の健全な発展」を掲げ、道内で産出される木材を最大限に活用し、木材・木製品の利用が道民生活に定着することを目指しており、道産木材の利用量を、令和18年度には平成26年度の約1.5倍の600万㎥まで増やす目標を立てて、各種施策を進めています。

国では、「骨太の方針2019」において、Society5.0時代にふさわしい仕組みづくりを目指し、農林水産業の活性化を図るため、林業・木材産業の成長産業化に向けて、新たな森林管理システムによる経営管理の集積や集約化を推進するほか、ICTによる木材の生産管理など、スマート林業等の「林業イノベーション」を推進する方針を示しています。

道においても、道内の森林や林業の特性を踏まえ、技術革新や新たな技術の活用を図るスマート林業などの林業イノベーションを通じて、林業・木材産業の振興を図っていく必要があると考えますが、知事の所見を伺います。

知事:次に、林業イノベーションの展開についてでありますが、道では、ICTなどの新たな技術を積極的に活用し、林業・木材産業の生産性の向上や作業の省力化を図るため、道総研等と連携し、ドローン等を活用した効率的な森林調査や、ウェアラブル端末による作業員の体調把握などに取り組むほか、ICT等を活用した林業機械による森林づくりが展開されるよう、来年1月、林業の先進地であるフィンランドの学校と覚書を締結し、北森カレッジでの教育プログラムの構築を進めてまいる考えであります。

また、成長が早いクリーンラーチ等の優良苗木の増産のほか、施工性に優れたCLTや耐火性の高い木材製品の利用を促し、都市部を中心に中高層建築物等の木造化に取り組むなど、産官学が一体となって、豊かな森林資源を最大限に活かす北海道らしい林業イノベーションを確立し、林業・木材産業の成長産業化を一層進めてまいります。

(二)HOKKAIDO WOODについて

浅野:次に、HOKKAIDO WOODブランドの取組について伺います。

本道では、本道ならではの多様な樹種を活用した建築材や家具など、様々な用途への製品利用が拡がっています。

しかし、人口減少が全国を上回るスピードで進んでいる本道では、中長期的に見て木材需要の大幅な増加は見込まれないことから、今後とも林業・木材産業の活性化を図っていくためには、道内はもとより、国内や海外に向けて効果的なPRを行うことで、道産木材製品の認知度を上げ、新たな需要を生み出していく必要があります。

現在、道では、木材関係団体などと連携して、道産木製品の新たなブランド化に向けた「HOKKAIDO WOOD」の取組を展開しており、北海道の木製品として発信することで、首都圏や海外等での販路拡大を目指していると聞いています。

道は、道産木製品のブランド化や販路拡大に向けて、今後、どのように取り組んでいくのか、所見を伺います。

知事:最後に、道産木製品のブランド化についてでありますが、道内の林業・木材産業が将来にわたり発展をしていくためには、道産木材や木製品の販路拡大に向けて、認知度を向上させるブランド化の取組を進めることが重要であります。

このため、道といたしましては、木材関係企業などと連携をし、豊富な森林資源や国内最大の森林認証面積を有するといった強み、イメージ戦略としての自然豊かな北海道の魅力などを活かしながら、建築材や家具などを「HOKKAIDO WOOD」としてブランド化し、木をモチーフとしたロゴマークやタペストリーなどを作成したところであります。

これらを前面に打ち出し、今月には東京の展示会でのPRのほか、購買力が高く、安定的に木材輸出が見込める台湾において台北市の建材展への出展や台中市に設置をしたカフェでの展示など、国内外で官民が連携したプロモーション活動を展開することにより、道産木製品の販路拡大を積極的に進めてまいります。

七 本道医療の充実について

(一)医療人材の確保について

浅野:広域分散化が著しい本道においては、特に二次医療圏ごとの医師をはじめとする医療人材の偏在が著しく、地方において如何に医療人材を確保していくかが長年の課題となっております。道職員の定年を定めた条例では、第3条において医師の定年について、年齢は65歳として、その中でも特に人材が集まりづらい、道内8つのへき地の診療所に勤務する者は70歳となっております。看護師については60歳となっているものと承知します。

この度私の地元の羽幌町天売島の天売診療所に、滋賀県で長く医師を務めて来た方が赴任されることとなりました。当該医師が、本年夏に個人的な旅行で島を訪問された際、島の自然の美しさや島民の方々との温かい交流を経て、島への勤務に関心を持ってくれたことが赴任のきっかけとなったものですが、当該医師は70代半ばで、道条例が定める定年を超えているとして、当初道の担当部局は本人の申し入れを断らざるを得なかったと伺っております。

その後臨時職員として勤務して頂く環境が整えられたことと、担当部局の熱心な再三に渡る要請の結果、ご本人が了承し、本年12月2日から勤務する運びとなりました。実は当該医師の他にも、71歳の方も同様に島の勤務に関心を持って下さっていたという例もあります。

本道の中でも、特にへき地の診療所等、若手を含めて医療人材を確保することが困難な例があることを鑑みる時、道職員として医療人材の確保を進める上で、定年を延長することが一つの有効な手段となり得るものと考えますが、医療人材の確保を推進する立場から、この点に対する見解を伺います。

保健福祉部長:道職員医師などの確保についてでありますが、北海道職員等の定年等に関する条例により、採用困難職種である道立診療所の医師は、その定年年齢が70歳までとされており、道では、これまでも、こうした定年制度の活用や、給与等の処遇改善を進めるなどして、医師をはじめとする採用困難職種の確保に努めてきたところであります。この度の天売診療所においては、採用候補者が74歳であったことから、本人の了承の下、臨時的任用としたところであり、定年のあり方に関する検討も含め、今後とも、あらゆる手段を講じながら、保健医療福祉施策の推進に必要な人材の確保に努めてまいります。

(二)フレイル外来について

浅野:次にフレイル外来について伺います。昨年11月より、健康状態と要介護状態の中間に位置する「フレイル」状態にある患者さんを早期に治療し、健康寿命を延ばすとともに介護費用等社会保障費の抑制等を図るための取組であるフレイル外来が道立羽幌病院で始められ、今年度まで30名を超える方々が受診されていると承知をします。

医師と同様に住民の健康増進に大きな役割を果たしている歯科医師の分野でも、口腔機能の衰えからくる「オーラルフレイル」という状態に着目し、口腔医療の分野から健康寿命を延ばす取組が行われています。自らの口で食事を摂れるか否かが、健康であるか否かの最初の別れ道になると言われており、歯科医師は人々が健康で文化的な生活を送る上で極めて大きな役割を果たされています。羽幌病院におけるフレイル外来においても、オーラルフレイルの観点を取り込むことで、より効果的に地域住民の健康増進を図ることが可能になると考えますが、道立病院局の認識並びに今後の取組について伺います。

病院事業管理者:本道医療の充実に関し、羽幌病院におけるフレイルへの取組についてでありますが、主に高齢期において、口腔機能の衰えから食欲低下や食事バランス等の悪化が見られる、いわゆるオーラルフレイルは、栄養状態悪化や運動・認知機能の低下などの前段階であるとも考えられており、少しでも健康な状態を長く維持していただく介護予防の観点からも、口腔機能の向上に取り組むことが重要であると認識しているところであります。

このため、羽幌病院では、フレイル外来において、オーラルフレイルの評価も行い、口腔機能の衰えが疑われる患者を近隣歯科医療機関へ紹介するとともに、歯科医療機関からも、身体機能の低下が疑われる患者を紹介していただいているところであります。

道立病院局としては、今後とも、こうした歯科医療機関等との連携を深めるとともに、ホームページや広報誌などを通じ、フレイル外来の周知を図るなどして、地域住民の健康増進に努めてまいります。

八 道立高校について

浅野:「これからの高校づくりに関する指針」においては、地域連携特例校に関する再編基準について、第1学年の在籍者が2年連続して10人未満となった場合は、再編整備することとされています。私の地元の苫前商業高校の今年度の新入生は9名となり、来年度も続いて10名未満となれば再編整備の対象となることを受け、地元自治体関係者は非常に強い危機感を抱いております。

今年度の生徒募集が始まる来年1月まで残りわずかとなりました。地元関係者は生徒確保に向けて最大限の努力を払っていますが、苫前商業高校は道立高校であり、生徒確保には町の努力だけでは限界があり、道教委によるより強力な力添えが最終的には必要だとの声が強くあります。この苫前商業高校の他にも、全道で23ある地域連携特例校のうち、蘭越、南茅部の二校も同じ状況にあると承知しますが、現在、再編整備の瀬戸際に立たされている地域連携特例校に対し、残り僅かな期間、生徒確保に向けてどのように取組むのか、道教委の認識を伺います。

教育長:地域連携特例校への対応についてでありますが、「これからの高校づくりに関する指針」においては、中学校卒業者数の減少が一層進む中、地域創生などの観点から、地域連携特例校などの小規模校について、教育機能の維持向上に向けた地域の取組や効果を勘案した上で、再編基準を1学年10人未満に緩和したところであります。

道教委においては、高校の魅力化や入学者の確保などに向け、各地域において、学校や自治体の関係者、商工会などが参画するワークショップに担当職員を派遣し、協議を重ねてきたところであり、今後とも、地域と一体となった教育活動の充実や広報活動の工夫など、中学生や保護者にしっかりと届く、地元高校の魅力づくりやその発信に努めてまいります。

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