羽幌町天売島の常勤医師が不在となっております。医師の確保が難しいへき地の道立診療所では、他の道職員と比較して募集年齢の上限が高く設定されていますが、これを更に上げることが、医師の確保を図る一つの方策となり得るのではないかとの質問を行いました(写真は天売診療所です)。
北海道職員等の定年等に関する条例について
超高齢化社会を迎え、「人生百年時代」とも言われる時代となりました。その中で、国家・地方の公務員の皆様方、民間の企業においても、定年を延ばす議論が今後進んでくると思われます。道職員の定年については、「北海道職員等の定年等に関する条例」で定められていると承知します。このことを踏まえ、以下伺ってまいります。
(一)見直しに対する認識について
道職員の定年について、その見直しの必要性について、現時点で総務部としてどのような認識を有しているのかまず伺います。
1.見直しに対する認識について
浅野:道職員の定年について、その見直しの必要性について、現時点で総務部としてどのような認識を有しているのかまず伺います。
人事局長:見直しの必要についてでございますが、公務員の定年につきましては、段階的に引き上げる方向で検討することが閣議決定されており、地方公務員につきましても、現在、総務省におきまして、検討が進められるものと認識してございます。
定年の引上げは、新規採用への影響や、若手人材の登用機会といった組織活力の維持など様々な課題があることから、道といたしましては、今後とも国の動向を注視しながら、適切に対応してまいる考えでございます。
2.医師の定年について
浅野:条例では、第3条において医師の定年について、年齢は65歳と定められております。その中でも診療所に勤務する者は70歳とされています。これは、全道的な課題となっております医師の確保に関して、特に道内に8つある道立診療所、いわゆるへき地という、なかなか若手の医師の方が行きたがらないとされている厳しい地域に道立の診療所が8つあります。そこでの医師確保は、特に困難であると、そのことを想定して定年を70歳と延ばしているものと認識しているのですが、このことについての説明を求めます。
人事課長:道における医師の定年についてでございますが、職員の定年につきましては、地方公務員法により「国の職員につき定められている定年を基準として条例で定める」と規定されておりまして、その職務と責任に特殊性がある場合や、欠員の補充が困難であることにより国の基準によることが実情にそぐわない場合は、国や他県との均衡を失しないという条件はあるものの、この基準によらない年齢を定めることができることとされております。
道では、診療所の医師につきまして、離島やへき地など地域的な事情もあり、65歳定年では適任者を確保することが難しいことから、国の基準を上回る70歳での定年としているところでございます。
3.離島における急病患者への対応について
浅野:厳しい状況を考慮して、定年を引き上げていただいて、その中で診療所の医師の確保に道として当たっていただいているとのことですが、私の地元の天売島にも道立診療所がございます。そこでは今年4月から常勤医がいない状態が続いておりまして、5月の初めに急病患者が発生した際、お医者さんがいないものですから、看護師の方と消防職員の方が心肺蘇生を試みていただいたのですが、間に合わなく、ドクターヘリを要請する間もなく、命を落とすという痛ましい事例が発生しております。
離島において常勤医がいないということが、島民、地域の安心安全に極めて重い影響を及ぼすということが、改めて今回、浮き彫りとなりました。天売島はじめ離島で急病患者が発生した際には、総務部危機対策局が中心となって、防災ヘリなどを飛ばしていただいて急病患者搬送に当たっていただくケースがこれまであったと思うのですが、今、天売島において常勤医がいない状況に対して、危機対策局としてどのように認識をして対応していただいているのか、伺います。
防災航空室長:離島における救急活動についてでありますが、道では、傷病者を道内の離島から搬送する必要がある場合、道の防災航空隊が消防防災ヘリにより対応しているほか、道が対応できない場合につきましては、道との協定等に基づき、道警察や札幌市消防をはじめ、関係機関と連携し対応しております。
なお、こうした離島における救急活動事案は、平成28年から30年までの3年間において49件、そのうち道のヘリによる対応は、19件となっており、道としては、今後とも、関係機関との連携・協力について充実・強化を図り、離島における救急活動に取り組んでまいりたいと考えております。
4.医師の定年の延長について
浅野:天売診療所の医師確保についてなんですけども、先週の11日に地元羽幌町議会の方々と道の保健福祉部地域医療課の方に伺いました。医師確保は道の地域医療課が中心となって、現在もありとあらゆる手を尽くしていただいているものと、大変な御努力をいただいているものと承知をしております。
その中で出た話なのですが、常勤医の募集をするに当たって、医師の定年を延長することも一つの有効な手段となり得るのではないかとの意見がでました。例えば先ほど、冒頭に申し上げたように、人生100年と言われている中で、お医者さんの中でも70歳を越えて75歳、80歳近くなっても、まだまだ現役で頑張りたいと、心身共に充実されている方も多いと思います。70歳という入り口のところで、離島に行って、最後、診療所の勤務医師として頑張ってみたいけども、自分はもう年が70歳以上だから応募資格がないなというところで、もしかしたら、やってみたいけれどももう自分に資格はないという、そういう医師確保の芽を摘んでしまっている可能性があるとも考えられるのですけれども、このことについて、総務部としてどのような認識を持っているか伺います。
職員監:今後の取組、認識についてでありますが、道では、診療所医師の定年につきましては、地域的事情や他県の例も踏まえまして、国を上回る70歳を定年としております。
さらに、定年時に特殊事情がある場合には、延長について、人事委員会と協議するなど対応しているところでございます。
道といたしましては、今後とも、国における定年の引上げの検討状況を注視するなど、関係部とも連携を図りながら、適切に対処してまいる考えでございます。
再質問. 今後の取組について
浅野:確かに、条例の第4条には、様々な事情を考慮して引き延ばすことができるとなっていると教えていただきました。
先ほども申し上げたように、入り口の時点で、本当はやりたいけども、もう70歳を超えてしまっているから自分は応募資格がないのかなと思っている方がいるかもしれない。仮に入り口を広げていただいたとしても、すぐに常勤医の確保につながるとは断言できるものではないのですけれども、今、職員監がおっしゃったように、これから国の動向を注視しながら、定年延長の議論も考えていくとのことだったのですが、入り口の時点での、入ってからの延長ではなく、入る前のところで広げることが、常勤医の確保につながるのではないかと、その認識をもって議論していただきたいと思うのですが、そのことを最後に伺います。
職員監:ただいま、委員の御指摘のとおりですね、道民の皆さんが住み慣れた地域で安心して暮らすということは、本当に大事なことで、そのための地域医療を確保するというのは極めて重要であると私も認識しているところでありまして、道としては、今後とも国の定年の引き上げの検討状況を注視するなど、関係部ともしっかりと連携を図りながら、対応をして、まいりたいと考えております。
浅野:ありがとうございます。先ほども申し上げましたが、保健福祉部地域医療課の方々が中心になって、医師確保に当たっていただいているのは十二分に私ども理解しております。その一つ、一助として、定年延長、入り口を広げるということも、地元から要望があるということも、また、御認識をいただいて今後の議論を進めていただきたいと思います。
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