1.JR北海道の路線見直しについて
1.本道における鉄路の果たす役割に対する認識について
浅野:鈴木直道新知事が誕生して初めての議会議論でしたので、各種道政上の課題に関し、新知事がどのような基本ビジョンを持っているのかを主眼に質問を行いました。特に留萌管内でも深刻な問題となっているホタテガイの斃死については、迅速かつ漁業者の視点に立った対策を求めました。
「7」の(3)の質問に対する答弁では、来年1月実施の大学入試センター試験から、新たに名寄市が受験地に加わることとなりました。道北地域の受験生、保護者の経済的、精神的、肉体的な負担軽減に繋がることが期待できます。教育の機会均等の確保に向けて今後も取り組みます。
交通企画監:広大で地方分散型の本道におきまして、鉄道網は、道民の皆様の暮らしはもとより、観光や物流といった産業など、本道の発展を支えてきた重要な社会基盤でございます。
道といたしましては、本道の鉄道はインバウンドなど交流人口の一層の拡大や農産物などの安定的な輸送手段の確保、さらには、人やモノのスムーズな流れを作り出すネットワークの構築など、本道の着実な発展につなげていく上で、引き続き重要な役割を担っていくものと考えてございます。
2.8線区以外の線区に対する認識について
浅野:JR北海道が単独では維持困難とした13線区のうち、国、道、沿線市町村が財政支援をすることを前提に存続を目指すとされている8線区については、存続に向けての枠組みが整えられていく一方で、それ以外の5線区については何の話題にも上がっておりません。知事は5線区のうち、留萌線のように、廃線への同意がなされていない線区についてどのような認識を有しているのか伺います。また、今後、沿線自治体として存続を目指す、または新たな交通手段への転換を決断する、いずれの道を選択するにせよ、道のスタンスとしては、あくまで沿線自治体に寄り添い、その意向を最大限に尊重し、JR北海道、国との架け橋となる役割を果たすべきと考えますが、知事の認識を伺います。
知事:道では、道幹部が地域に入り、地域が必要とする様々な情報を提供しながら、将来を見据えた交通体系のあり方などについて、沿線地域の皆様とともに、検討・協議を進めてきております。
私といたしましては、今後とも、持続可能な公共交通について、活力ある地域づくりや観光振興などにも十分配慮しながら、地域が一体となって、それぞれの実情に応じた交通ネットワークの形成に向けた検討・協議を進めることが重要であると考えており、引き続き交通政策総合指針に基づき、沿線自治体はもとより、関係者の皆様方とともに、地域交通の確保に向け十分な議論を尽くしてまいります。
2.建設産業の振興について
浅野:広域分散、積雪寒冷等の他府県にない特性を持つ本道において、社会インフラの整備を進めていくことは道民の生活を守ることに直結することであり、それを担う建設産業を振興していくことは極めて重要な道政上の課題であると考えます。
1.公共事業予算の確保について
浅野:知事は夕張市長時代に、歳出総額のうち、債務負担行為と公債費を合わせた割合が4割近くにのぼるという非常に強い予算制約の下、市政運営に当たる経験を積まれ、道財政の厳しい状況についても十分に認識をされているものと考えますが、地域経済の振興、防災強化等の面から、必要な公共事業予算を確保し、拡充していくことは、本道のあらゆるピンチを克服し、チャンスに変えていく上で基礎となるものと考えます。この点に関する知事の認識並びに今後の取組について伺います。
知事:公共事業予算の確保についてでありますが、道路や河川などの公共土木施設は、道民の皆様方の安全・安心な暮らしや経済活動を支える重要な社会基盤であり、施設の整備や適切な維持管理はもとより、防災・減災対策や施設の長寿命化に向けた取組を迅速かつ計画的に進めていくことが重要であると認識をしております。
今年度の道の投資的経費は、防災・減災、国土強靱化のための緊急対策を集中的に進めるために必要な予算として、前年度に比べ18%の大幅増となる3,748億円を計上したところであります。
道といたしましては、今後とも道民の安全・安心の確保はもとより、地域経済の活性化に向け、国の予算も積極的に活用しながら、北海道にとって必要な公共事業予算の確保に努めてまいります。
2.担い手の確保について
浅野:次は、担い手の確保についてです。深刻な担い手不足に見舞われている建設産業の現状を受け、週休二日制の導入等の働き方改革が進められ、本年6月には、改正品確法等の関係法制度も整えられつつあります。広域分散、積雪寒冷という自然環境にある本道においては、工事を早めに発注し、ゆとりのある工期を設定することや、週休二日制を可能とするだけの利益を事業者が得られるようにする等、発注者側の配慮が最も重要であると考えます。この点に関する知事の認識並びに今後の取組について伺います。
建設部長:はじめに、建設産業の振興に関しまして、建設産業の経営環境についてでありますが、安全・安心な地域づくりはもとより、地域の経済や雇用を支える建設産業におけます、担い手の中長期的な確保・育成のためには、事業者が適正な利益を安定的に確保することが不可欠と認識しているところであります。
このため道では、「公共工事の品質確保に関する北海道の取組方針」に基づきまして、公共工事の適切な施工や品質確保に加えまして、週休2日を考慮した工期の設定や、実施に必要な経費の計上などによりまして、適正な利益の確保が図られるよう取り組んでいるところであります。
引き続き、積雪寒冷など、本道の特性を踏まえた計画的な発注や必要な工期の確保などに取り組みまして、建設産業が適正な利益を安定的に確保し、持続的な発展が図られるよう努めてまいります。
3.災害時の代替道路の整備等について
浅野:次に、災害時の代替道路の確保について伺います。ちょうど一年前の、昨年の7月2日未明から留萌管内で数日間に渡り集中豪雨が発生し、農業被害が生じただけでなく、管内の大動脈である国道232号線が土砂崩れにより通行止めになるなどの事態が生じ、この間にも、管内の救急搬送が大きく迂回することを余儀なくされ、地域に大きな不安が広がりました。
国道231・232号線をはじめとする国道に関しては、道はまず国に強靭化策を講ずるべく要望を続けていることは承知しますが、それと同時に、いざという時の代替となる道道の整備も進める必要があると考えます。知事は、私の地元で言えば、事業着手の見通しも立っていない約9㎞の苫前小平線を含め、代替道路の整備の必要性についてどのような認識を有し、今後整備に向けてどのように取組むのか伺います。
建設部長:次に、災害時の代替道路の整備についてでありますが、災害時におきまして、地域や集落の孤立を防ぐほか、救急搬送や緊急支援物資の輸送を可能とするためには、代替道路は重要であると認識しているところであります。
このため、留萌管内においては、国道232号における事前通行規制区間の代替道路となる、苫前小平線や大椴線の整備に努めているところでありますが、苫前小平線の現道のない区間につきましては、急峻な山地や地すべり地帯でありまして、トンネルや防災施設が必要な大規模事業となることから、事業化に向けましては、ルート選定や整備効果など、より慎重な検討が必要と考えているところであります。
道といたしましては、災害時における道路交通機能の確保に向けまして、引き続き、道内の道路ネットワークの根幹を成します、国道の防災・減災対策を国に強く要望するとともに、代替道路となります道道につきましても、防災・減災の観点から、整備の必要性について検討を進めてまいる考えでございます。以上でございます。
4.本道農業の振興について
1.本道農業の目指す姿について
浅野:大規模な法人化等が進んでいる十勝などの地域もあれば、私の地元の様に、生産量は多くはないものの、果樹から水稲、畑作、畜産、酪農と、ありとあらゆる分野の農業が営まれ、良質な農産物を供給している地域もあり、本道は非常に多様性に富んでいます。
日本の食料基地として安定した生産ができる農業を目指すのか、またはブランドを確立する等の方策により付加価値のある農業を目指すのか、更には大規模化の促進、家族経営等小規模農家の経営安定どちらの支援に重きを置いていくのか、知事が考える本道農業のビジョンはどのようなものなのかを伺います。
知事:本道農業の振興についてでありますが、本道の農業が、今後とも食料を安定的に供給し、地域の経済・雇用を支える基幹産業として、一層の役割を発揮していくためには、地域や営農条件の特色を活かした多様な経営が展開され、持続的に発展をしていくことが重要であります。
このため、私としては、メロンを主体とした中山間の夕張農業など、それぞれの地域や営農の特色を踏まえ、生産基盤の整備や多様な担い手の育成・確保、スマート農業の推進、さらには、6次産業化や輸出の拡大などに積極的に取り組むことにより、生産力と競争力を一層高め、生産者の皆様が夢と誇りを持って経営に取り組むことができるよう力を尽くしてまいります。
2.本年の天候状況に対する認識について
浅野:昨年は6月、7月の天候不順により、主に牧草の 収穫が大幅に遅れました。本年は5月末の記録的な高温をはじめ、例年にない少雨が続き、干ばつを懸念する声が現場から聞かれます。知事として本道農業の現状をどのように認識し、その上で生産者に対してどのような技術対策を講じていく考えでいるのか伺います。
農政部長:はじめに、本道農業の振興に関し、今年の気象と農作物の生育状況についてでありますが、今年は春以降、高温で日照時間が長く、降水量は少ない状況が続き、上川北部や留萌などで、一部の作物の生育に影響が生じているものの、道の6月15日現在の調査では道内のほとんどの地域におきまして、農作物の生育が、平年より早く進んでおり、道内各地のダムの貯水率も影響はないところであります。
気象庁の向こう3か月の予報では、降水量は平年並でありますが、7月の平均気温は平年並か低いと予想されていることから、道といたしましては、今後の気象情報に十分留意しながら、それぞれの地域や作物の生育状況に応じた適切な栽培管理が行われるよう、営農技術対策を発出するなど、農業改良普及センターを通じ、関係機関・団体とも連携しながら生産者への営農指導に万全を期してまいります。
3.担い手不足の対応について
浅野:農業の現場でも深刻化している担い手不足への対応として、ICTを活用したスマート農業の更なる促進が求められますが、平野部と比べて中山間地域では電波の不感地帯が残されております。私の地元でも、先進的な営農に意欲を燃やしながらも、電波が届かず、スマート農業の恩恵に預かれずにいる農家の方々が多く残されております。知事はこのような実情をどう認識し、今後どのように対応する考えでいるのか伺います。
農政部長:スマート農業の推進についてでありますが、本道農業の生産力や競争力を強化していくためには、農作業の省力化や効率化を図るスマート農業を全道に普及していくことが重要であります。
こうした新技術の導入に当たっては、超高速通信網など情報ネットワーク環境を整備していく必要がありますが、家が点在する散居型集落の本道の農村部にありましては、公設民営での整備が中心となっているものの、整備コストが高額となることもあり、地域によっては十分な整備が進んでいない状況にあります。
このため、道では、市町村等が行う農村地域の無線局等を含めた超高速通信網などの整備を促進するため、市町村や農業団体と連携し、本道の実情を踏まえた支援制度の創設を国に強く求めてまいります。
4.日米貿易交渉に対する認識について
浅野:すでに発効しているTPP11協定、日EU・EPA協定に加え、今後は日米物品貿易協定の交渉が始まり、本道農業は更に厳しい国際競争に晒されることになります。
知事の政治家としての強みは、首相官邸はじめ政府首脳との太く強いパイプであると言われております。必要な情報を適宜得ると共に、必要な国境措置の確保を強く政府に求める等の対応を、多くの農業者は知事に期待しているものと考えますが、知事の認識並びに政府との連携等、今後の取組について伺います。
知事:日米貿易交渉への対応についてでありますが、グローバル化が進展する中、本道農業が、いかなる環境下においても、その再生産を確保し、持続的に発展していくことが何よりも重要であり、現在、先に発効したTPP11やEUとのEPAによる継続的な影響把握に努めているところであります。
こうした中、日米貿易交渉が、この4月から開始されましたが、私としては、的確な情報の把握に努めるとともに、交渉の進捗を見極めつつ、交渉内容の丁寧な情報提供や必要な国境措置の確保など万全な対応を、機を逸することなく国に求めてまいります。
5.全国和牛能力共進会北海道大会の誘致について
浅野:本道は、平成28年度の子牛登記頭数を見ても鹿児島県の8万9,387頭に続く6万4,769頭の実績を誇り、全国第二位の黒毛和牛の生産地です。各地における生産和牛の価値向上の一端として、昭和41年の岡山県における第一回大会を皮切りに、全国和牛能力共進会が各地持ち回りで5年に1度開催されます。直近では令和4年、鹿児島県で開催される第12回大会が控えています。本道各地の和牛振興協議会を役員または地区事務局とする北海道和牛振興協議会と、道をはじめ関係各団体、事務局として北海道酪農畜産協会が参画して構成されている「北海道和牛生産戦略会議」が連携し、令和9年に予定されている第13回大会の北海道誘致の実現に向け、現在も協議が進められているものと承知します。私の地元留萌管内では、小平町の小平牛は、枝肉の格付けの最高等級「A5」の評価がされており、仔牛は本州の有名産地で肥育され「松阪牛」や「神戸牛」として市場に出荷されている。本大会の本道への誘致は、黒毛和牛という今後更に伸びしろが期待される本道の強みを活かす大きなチャンスとなると考えるが、本大会の本道への誘致の意義について道としてどのように認識しているか伺うと共に、誘致実現に向けて今後どのように取り組むのか伺います。
農政部長:全国和牛能力共進会についてでありますが、この共進会は、全国の和牛生産者が一堂に会し、日頃の改良成果の披露や、さらなる技術の向上を目的として、5年に1度開催される、いわば和牛のオリンピックであります。
先般、生産者団体である北海道和牛振興協議会から道に対して、令和9年に行われる第13回大会の本道への誘致について協力要請があったところです。
道といたしましては、本道での開催により、北海道の和牛の生産振興と、産地としての知名度向上などの効果も期待されることから、関係機関・団体とも協議しながら、今後の対応について検討してまいります。
6.本道水産業の振興について
1.本道水産業の目指す姿について
浅野:昨年、70年ぶりに漁業法の改正がなされ、その内容は、大規模漁獲が多く、資源減少に大きな影響力を持つ沖合漁業について、更なる大規模化を進める一方、知事許可の沿岸漁業については、漁業権付与のあり方を変える等のものです。沿岸漁業は、規模では沖合漁業に及ばず、また担い手不足等の深刻な問題を抱えているものの、漁村を形成して、雇用を生み、多面的機能の発揮に大きな貢献をしており、地域経済を守る上で非常に重要な役割を果たしています。
知事として沿岸漁業の重要性についてどのような認識を有し、本道漁業、水産業のあるべき姿についてどのようなビジョンを有しているのか、更にはその周知を今後どのように行っていく考えでいるのか伺います。
知事:水産業の振興についてでありますが、長い海岸線を有する本道において、多くの漁業者が従事する沿岸漁業は良質な水産物を安定供給し、加工業など幅広い分野とともに地域を支える重要な産業であり、沿岸の多くの漁村は、国境監視や都市との交流の場など多面的機能を発揮しているところであります。
道では、北海道水産業・漁村振興条例に基づき、こうした沿岸漁業も含めた水産業の体質強化と、漁村の活力向上を図るための目指す姿を実現するため、北海道水産業・漁村振興計画として取りまとめ、関係者に周知をしており、今後とも、この計画に基づき、水産資源の維持増大や担い手の育成、漁港を中心とした安全・安心な漁村づくり等を着実に進め、水産業の振興に取り組んでまいる考えであります。
2.漁業法改正後の対応について
浅野:漁業法の改正を受け、今後資源管理が強化されると言われていますが、それにより本道漁業並びに水産業が具体的にどのような影響を受けるのか、特に生産額の減少等の損失の試算がきちんと行われているのか、またそのような情報は浜の現場に届いているのかといった不安の声がよく聞かれます。
今後TAC管理の影響を受けることが懸念されるホッケについては、漁業者がこれまでも自主的な取組みを行い、着実な資源回復が見られるだけに、更なる資源管理の強化がなされるとすればどうなるのかと、漁業者の不安は大きいものがあります。
道として、資源管理に伴い、漁業、水産業の所得がどの程度下がり得るか、その試算並びに浜への周知を行っているのかを伺うとともに、漁獲共済の上積み等の対策だけでは乗り切れそうにもないと言われている減産への対策について、どのように考えているのかを伺います。
水産林務部長:水産業の振興に関し、始めにホッケの資源管理についてでありますが、国は、先月、道北に回遊するホッケを対象とした資源管理のシミュレーションを公表し、今後、この案をもとに、道や漁業者などを対象とした関係者会議での意見を踏まえまして、管理手法を検討することとしております。
道といたしましては、漁業者自らが操業期間を短縮するなどの自主的な漁獲削減の取組により、ホッケ資源の回復の兆しがみられることなどから、漁業現場の実情に即した資源管理が可能となるよう、関係団体と一体となって国に働きかけているところであり、今後とも、こうした動きについて、漁業現場への丁寧な周知に努めるなど、適時適切に対応してまいります。
3.ホタテガイ斃死問題への対応について
浅野:私の地元留萌管内でもホタテガイがへい死する事例が増えており、道政執行方針で知事が言及され、101万4千円の予算を計上しているように、特に噴火湾地区の養殖ホタテガイの大量斃死が深刻な問題となっております。
道としても、海洋環境の変化、時化によるかごの振動や傾きなどが主な要因として、道総研水産試験場と連携し、これらの影響について調査を進め、打つべき手を打っていることは現場の漁業者も理解をしておりますが、自身の生活のみならず地域経済の今後に直結する深刻な課題であるだけに、道の更なる協力を望む声が強くあります。
知事は、噴火湾地区のみならず、本道におけるホタテガイ斃死の問題の深刻性をどのように捉え、またこれまでの取組に加え、今後新たにどのような取組でこの問題の解決に臨む考えでいるのか伺います。
水産林務部長:噴火湾や日本海地域におけるホタテ養殖は、重要な漁業となっている中で、近年の稚貝や出荷予定のホタテのへい死は、漁業経営のみならず、加工業などの関連産業にも影響を与えることから、早急に生産回復を図る必要があると考えております。
このため、道としては、時化の多い日本海地域では、潮の流れによる養殖篭の傾きが貝に与える影響や海水温の動向を調査するとともに、噴火湾では、海洋環境の把握や密度別の飼育試験などを行い、減少要因の究明を図るとともに、新たに養殖管理マニュアルを策定し、漁業者に改善策を指導するほか、共済への加入を促進するなど、ホタテ養殖の生産回復と漁業経営の安定に取り組んでまいります。
7.本道林業の振興について
1.今後の森林経営について
浅野:次に、本道林業の振興に関し、まず、今後の森林経営管理について伺います。
本年4月から森林経営管理法が施行され、同法の趣旨を実現させるための財源措置として、今年度から森林環境譲与税が先行して始まり、令和6年度からは森林環境税の徴収が始まることとなっております。
同法で謳う意欲と能力のある林業経営者に関し、常勤役員が置かれていることが定義とされておりますが、本道ではそのような事業者ばかりではなく、小規模な事業者が多いため、意欲と能力はあっても、森林管理にあたることができないのではないか、そのような事例がでてくることを懸念する声が聞かれます。
この点に対する道の認識並びに今後の取組について伺います。
知事:森林の経営管理の取組などについてでありますが、この度施行されました森林経営管理法は、市町村が、「森林所有者」と「意欲と能力のある林業経営者」をつなぐことにより、手入れの行き届かない森林の整備を進める仕組みであり、道といたしましては、より多くの事業者を法で定める林業経営者として育成をしていくことが重要であると認識をしております。
このため、森林組合などに対し、国の事業等を活用し、高性能林業機械の導入など、生産性の向上による経営基盤の強化を支援するとともに、組織体制の強化に向けた指導や、森林管理プランニング力を養う研修を充実させるなど、関係団体と連携をし、森林整備を担う事業者の育成に取り組み、市町村が主体となる森林の経営管理を着実に進めてまいる考えであります。
2.改正国有林野管理経営法について
浅野:本年6月5日、改正国有林野管理経営法が成立しました。これは、全国の森林の3割を占める国有林野を大規模に伐採・販売する権利「樹木採取権」を最長で50年間民間業者に与え、国有林の活用による原木供給の拡大、国産材利活用の促進等を図り、林業の成長産業化を目指すものとされています。
一方でこの改正法に対しては、樹木採取権を得た事業者に再造林の義務付けがなされておらず、いわゆるはげ山が増え、土砂災害等の自然災害を誘発することにつながりかねない等の懸念も指摘されています。
本道は全国の国有林野の4割を占めており、このような声を最も真摯に受け止めなくてはならないと考えますが、道として現時点で同改正法に対しどのような認識を有しているのか伺うと共に、今後国とどのような協議をし、さまざまな懸念を払しょくし、本道林業の活性化に努めていく考えでいるのか伺います。
水産林務部長:本道林業の振興に対し、国有林野管理経営法の改正についてでありますが、この度の法改正は、国有林で行われる伐採等の事業を、民間の林業経営者に一定期間担わせ、経営強化を図っていくことを目的としており、法に位置づけられた樹木採取権による伐採は、植栽と一体的に実施する契約により運用されますことから、道といたしましては、再造林が確保され、地域の林業経営者が実施しやすい規模で取り組まれるものと承知しております。
事業者の選定に当たっては、国から道へ協議があることなどから、道といたしましては、国との連携を一層強化し、公益的機能の確保や地域の産業振興への寄与といった改正法の趣旨や道内の実施状況について、全道の関係者に周知するなど、林業経営者の育成を通じ、本道林業の活性化が図られるよう、取り組んでまいる考えです。
8.道立高校について
1.地域連携特例校の存続について
浅野:地域連携特例校に関する配置計画において、第1学年の在籍者が2年連続して10人未満となった場合は、再編整備とするとされています。
私の地元の苫前商業高校の今年度の新入生は9名となり、仮に来年度も続いて10名未満となれば、再編整備の対象となることを受け、地元自治体関係者は強い危機感を募らせ、そうならないよう大変な努力を払っていますが、今後さらに進行するとみられる少子化の状況等に鑑み、「10人未満」や「2年連続」という基準の緩和を求める声があることは、先の定例会でも指摘したとおりであります。
苫前商業高校は、職業学科として社会に即対応し得る人材を育成していることのみならず、都市部にはない豊かな自然環境のもと、地元関係者が寮を運営し心身ともに健全で豊かな高校生活を送ることができるよう、地元関係者の多大な協力によって支えられており、まさに、佐藤教育長が先に述べられた、「豊かな人間性と健やかな体の育成」、「学びを支える家庭・地域との連携・協働」という教育行政方針に合致する環境にあります。
現行の再編基準を満たすべく、生徒確保にさらなる努力を地元関係者が払うことは当然としても、先に述べた同高の果たしている役割に鑑み、基準の緩和についても検討すべきと考えますが、道教委の認識を伺います。
教育長:はじめに、高校配置の考え方についてでありますが、中学校卒業者数の減少が続く中、「これからの高校づくりに関する指針」は、昨年3月に北海道教育推進会議や地域別懇談会で意見を伺うなどして、策定されたものであり、高校配置は、本指針に基づき、対応していく必要があると考えておりますが、地元の高校存続に向けた様々な取組については、道教委としても積極的に関わり、地元と一体となって魅力ある高校づくりに努めてまいります。
2.生徒確保への市町村の取組について
浅野:私の地元の遠別農業高校では、昨年度26名、今年度も21名の入学者があり、定数40を下回ったものの、生徒の確保並びに今後の増員に、地元町長をはじめ地元関係者は確かな手応えを感じております。
その流れの中で、町はじめ地元関係者は新たな学生寮の建設を検討してきましたが、地財法の取り決め等、様々な要因により断念することを余儀なくされ、大きく落胆したことは先の定例会で述べたとおりであります。
同校をはじめ、生徒数を増やすには寮の増設といったハード面での整備が欠かせない事情を抱える高校を持ち、かつ生徒増に向けて取り組む意欲を十分に有している市町村に対しては、それぞれの独自の努力を支援するのみならず、予算措置を含めた道教委自身の取組も求められると考えますが、道教委の認識を伺います。
教育長:次に、生徒確保への取組についてでありますが、職業学科は、地域における学科の配置状況や、中学校卒業者の進路動向等を勘案して配置を検討しており、その中で、農業科や水産科を設置する学校等においては、地域の実情や、想定される入学希望者の出身地域等を考慮しながら、自宅からの通学が困難な生徒のための寮を設置するなど、教育環境の整備に努めてきたところであり、中学校卒業者数の減少が続く中、その規模の拡大は、難しいものと考えているところであります。
道教委といたしましては、地域を支え、地域の産業を担う人材を育成するための高校として、まずは地元の中学生から選ばれる学校であることが重要であると考えており、今後も、地域の方々とともに、学校の在り方を考え、魅力ある高校づくりに取り組んでまいります。
3.センター試験受験地の拡大について
浅野:最後に、主に国公立大学の受験の第一段階として毎年1月に実施される大学入学者選抜大学入試センター試験について伺います。
昨年の第一定例会予算特別委員会でも指摘をしましたが、本道においてセンター試験が実施される地域は、札幌市をはじめ道央圏に著しく偏在しており、受験できる地域が振興局管内にないのは、私の地元留萌、檜山、根室、日高の4管内であります。
平成29年度の道内各地の大学進学率を見ても、これら4管内のみ30パーセントを切っており、30年度を見ても、これら4管内が下位4位を占めております。
受験生の心理的、肉体的な負担、また保護者の経済的負担の大きさが、大学進学を阻害する要因の一つとなっている可能性が考えられることから、センター試験受験地の拡大に取り組むべきと質問したところ、「試験の会場の拡充等について、国に働きかけてまいる」との答弁がありました。
道民の教育を受ける機会の平等を図る上でも、受験地の拡大に今後しっかり取り組むべきと考えますが、道教委の認識を伺うとともに、現在までの取組並びに今後の取組について伺います。
教育長:大学入試センター試験についてでありますが、この試験会場については、独立行政法人大学入試センターが各地域の出願者数等を踏まえ決定しているものでありますが、道教委では、受験に係る時間的・経済的な負担等の軽減のため、高等学校長協会やPTA連合会などの意見も伺いながら、試験会場の拡充について国に要望してきたところであり、来年1月に実施される令和2年度試験においては、新たに、名寄市立大学が会場となる予定と承知しております。
今後とも、広域分散型の地域特性を有する本道において、平等な受験機会の確保のため、試験会場の拡充について、国に働きかけてまいります。