保健福祉委員会で質問しました!

来年度より国民健康保険の財政運営の責任が、従来の市町村から都道府県へと移管されます。それにより、これまでの市町村ごとの国保保険料が変わる可能性が指摘されておりますが、上がる市町村への対応、また市町村独自の健康づくり事業等への評価方法等、道の認識と今後の取り組みを質しました。

平成29年第2回北海道議会定例会 保健福祉委員会 (前日) 開催状況

開催年月日  平成29年6月19日(月)
質問者  北海道結志会   浅野 貴博 委員
答弁者  保険衛生担当局長 阪  正寛
     国保医療課長   古郡 修

北海道国民健康保険運営方針(案)について

赤字解消・削減に向けた取組について

1.質問:一般会計からの繰入について

そもそも論なんですが、今回の案では、国保の赤字の定義について「決算補填目的の法定外一般会計繰入額」と「繰上げ充用金の増加額」との合算額とするとされております。それにより、27年度では赤字市町村数は95に上り、赤字額は約113億円になるとされております。これについては、「赤字市町村は、要因分析を行った上で、赤字の解消又は削減に向けた必要な対策を整理し、目標年次等を道に報告する」とありますけれども、そもそもこれだけ多くの市町村において国保に対し法定外の一般会計からの繰入がなされてきた所以について、道はどのように分析をして、認識をされているのか伺います。

答弁:国保医療課長

一般会計からの繰入についてでありますが、市町村国保は、他の医療保険に比べて、年齢構成が高く、加入者の所得水準が低いことや、小規模な市町村では加入者数が非常に少ないといった構造的な課題があり、その財政運営は厳しい状況に置かれておりまして、多くの市町村で決算補填等を目的とした法定外の一般会計からの繰入が行われていたものと認識しております。なお、平成30年度からの新たな国民健康保険制度に向けて、このような国保の構造的な課題に対応し、国による財政支援の拡充により国保の財政基盤が強化されたところであります。

2.質問:赤字解消への対応について

先ほど、中川委員の質問の中にありましたが、まさに所得水準の低い方、また、そうした低い方、わずかな人数での加入者しかいないとか、市町村がそれぞれ、語弊があるかもしれませんけれど、無理する中で運営してきた制度を、これ以上無理はさせられないと、そういうことでの来年度からの制度変更だと私は捉えているんですが、赤字解消について、赤字が生じてきた背景には、払うべき保険料を意図的に払わない、そうした悪質なケースもあったかもしれませんが、やはり、生活が苦しいなどから払いたくてもどうしても払えない、そうした事情があったことも事実だと考えます。赤字解消は市町村がなすべきこととしても、道としてもやはり何らかの形での協力をすることが必要だと考えますが、この点についての認識を伺います。

答弁:保険衛生担当局長

赤字解消への対応についてでございますが、このたびお示しした運営方針の案におきましては、今後、市町村が赤字解消のための計画を作成することとしておりまして、計画作成に当たっては、医療費の動向や保険料率の設定、収納率等の要因分析を行った上で、赤字の解消・削減のための取組などを定めることとなります。

道としては、運営方針に基づき市町村が保険料の平準化や収納率の向上、医療費の適正化などに円滑に取り組むことができますよう、保険料の収納環境の整備や生活習慣病の重症化予防などへの効果的な支援に努めますとともに、赤字解消のための計画作成に対しましても、地域の実情に応じた助言に努めてまいります。

3.質問:激変緩和措置について

次に重複する部分もございますが、激変緩和措置について伺います。今回の案では、保険料が上がると見られている市町村への救済措置である激変緩和措置として、従来は対前年度増加率が5%を超えないようにするとしてきたものを2%として、それを超える分は都道府県繰入金、いわゆる2号交付金を活用するとされています。従来の方針よりも、より手厚い市町村への助成を行うと、支援が盛り込まれたことは非常に良いことと考えますが、激変緩和措置の中に、前述した「法定外一般会計繰入額」により本来住民が負担すべき保険料が軽減されてきた分は考慮されないと、中川委員の質問にもありましたが、考慮されないものと承知をします。法定外繰入を行い、住民が本来負担すべき保険料を抑えていた自治体のうち、来年度からの制度改正により保険料が大幅に上がると見られている市町村の中には、激変緩和措置を道が講じたとしてもより大きな負担増を強いられることになると思います。この点に対する道の認識を伺うとともに、道としてこのようなケースに対して、どのような対応を考えているのか伺います。

答弁:国保医療課長

激変緩和措置についてでありますが、道といたしましては、法定外繰入の解消に伴う保険料の上昇については、繰入を行っていない市町村との公平性の観点から、交付金による激変緩和措置の対象にはしないこととしております。

現在までの納付金仮算定結果によると、法定外の繰入を行っている市町村のうち、制度移行により保険料水準が上昇すると見込まれる市町村もあり、このような市町村では、法定外繰入の解消とともに保険料が増加することへの対応が必要となります。

このため、このような市町村で加入者の急激な負担増とならないよう、今後の赤字解消計画の策定にに係る協議を行ってまいります。

納付金の算定について

4.質問:納付金算定について

続きまして、納付金の算定について伺います。納付金の算定に関して医療費水準反映係数αが設定されていますが、それについて資料の4-1の4ページには「保険料の激変緩和及び市町村の医療費適正化の取組を促す観点から、制度施行時はα=0.5を基本とした後に、激変緩和措置の終了時期にαを0とすることを目指すとする」とされています。市町村により医療費適正化の取組を促す観点に立つのなら、激変緩和措置後もαを0とすべきではないと考えますし、実際に市町村で保健事業等の事務を担当している方からは、「αは0にしない方が良い」と、「我々の取組がより生かされる」という意見を伺ったこともありますが、この点に関する道の認識を伺います。

答弁:国保医療課長

医療費水準反映係数の設定についてでありますが、運営方針の案では、制度施行当初は、保険料の激変緩和と市町村の医療費適正化の取組を促す観点から、納付金算定において市町村ごとに一人当たりの医療費水準を一定程度反映することとしております。

医療費水準の納付金への反映は、特に小規模市町村においてはわずかな人数の高額医療費の発生が納付金の増加につながることから、小規模市町村が多いという本道の状況を踏まえ、納付金算定において医療費水準の差を反映しないといった、保険料水準の統一を目指す必要があると考えているところであります。

一方で、道といたしましては、市町村の医療費適正化の取組を促す観点から、国の保険者努力支援制度を活用するとともに、道の調整交付金による支援の充実についても検討してまいります。

5.質問:医療費水準の納付金算定への反映について

ただ今ご説明いただきましたが、αの設定については、案の中にも「基本的に3年ごとの運営方針の見直しの中で検討する」とされています。これはαを0としない見直しがなされる可能性があるということでしょうか。伺います。

答弁:国保医療課長

保健事業に関する認識についてでありますが、全国的に生活習慣病が増えておりまして、本道においても、医療費に占める生活習慣病の割合が高くなっております。

このため、特定健康診査や特定保健指導などの保健事業の実施により、住民が自らの健康状態を把握し、糖尿病やがんなどの生活習慣病の予防、あるいは重症化や合併症への進行の防止を図り、将来にわたって健康な状態を維持することは、市町村の医療費の減少につながるものと認識しております。

再質問:医療費水準の納付金算定への反映について

最後に伺いますが、今の答弁では医療費水準を、反映係数αを0にすることは、市町村との協議を経て運営方針の案に盛り込んだとされておりますが、激変緩和措置終了後も見直しを行う旨の答弁もいただいております。医療費水準の適正を図る上では、各市町村による保健事業のそれぞれの取組が大きな効果を持つことを鑑みるならば、やはり、激変緩和措置終了後も各市町村の医療費水準を成果指標として残すなどの方策も検討すべきと考えますが、このことに対する認識を最後に伺います。

答弁:保険衛生担当局長

医療費水準の取扱いなどについてでございますが、運営方針の案では、1章を設けまして、具体的には第6章として、医療費の適正化の取組を設けており、市町村での健康づくりなどの取組を継続していくことが重要と考えております。

また、医療費水準は、各市町村ごとの数値が明らかになるとともに、全国との比較が簡単にできるようになります。このため、道としては、今後、国保制度の運営について市町村と協議する中で、健康づくりはもとより、医療費水準の活用についても検討していこうと考えております。

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