退職者復職(ジョブ・リターン)制度について質問しました。(2021年11月29日総務委員会)

 11月29日の総務委員会で、11月から始められた道職員の退職者復職(ジョブ・リターン)制度について質問しました。

 この制度は、看護師や助産師等、慢性的に人材が不足している知事部局の8職種、道立病院局の3職種について、過去に道職員として勤務していたものの、結婚や出産等の事情により退職した人の復職を促すものです。

 多くの応募があり、少しでも道の人材不足をカバーできる結果につながることを願いつつ、そもそも結婚や出産、育児、家族の介護が離職の理由とならないようにすることこそ重要と考えます。

 これらの点に対する道の認識を伺いました。

 

目次

一 退職者復職(ジョブ・リターン)制度について

(浅野)

 私からこの度、11月17日から申し込み受付が始まっています道が新しく始めた「退職者復職(ジョブ・リターン)制度」について、伺ってまいりたいと思います。

(一)人材不足の現状並びに道の目標について

 この復職制度では、知事部局で8職種、道立病院局で3職種の募集がかけられていると承知をしています。これらはいずれも慢性的な人材不足に見舞われている職種でありまして、現状でまずどの程度の定員不足が生じていて、道としてはこの制度の活用によって、いつまでにどの程度の人数の補充を見込んでいるのか、まず伺います。

 

(人事課長)

 ジョブ・リターン制度による人材確保についてでありますが、この度の採用選考で募集しております職種の欠員状況は、本年10月1日現在で、知事部局及び道立病院局併せまして保健師15名、看護師24名、獣医師69名など、計127名となっている状況にあります。現在、道では、コロナ対応などの業務が増加する中、採用が厳しい状況にあります保健師などの職において、関係機関等のネットワークも活用しながら、元職員として、知識や経験を持ち、即戦力となる人材を一人でも多く確保できるよう、取り組んでまいると考えてございます。

 

 (浅野)

(二)結婚、育児、介護を理由とする道職員の退職について

 このジョブ・リターン制度を受験出来る者として、結婚や育児、介護等のやむを得ない事情により退職した者とされていると承知をします。この制度によって募集がかけられている11職種を含めて、道職員の中でこれら結婚、育児、介護を理由とする「やむを得ない理由」から辞職した者は、年間どれくらいいるのでしょうか。道として把握できているものがあれば、これまでの状況について教えてください。

 

(人事課長)

 職員の退職理由についてでありますが、道では、プライバシーへの配慮や退職者本人の意向などもありまして、退職理由の詳細な確認は行ってこなかったところでございますが、働きやすい職場環境づくりを進めるためには、退職理由の正確な把握が必要であると考えまして、昨年から、退職の申出があった際に確認すべき事項を整理しまして、各所属において、できる限り詳しい理由の把握に努めているところでございます。その中で、令和2年度中に自己都合退職した職員199名のうち、結婚や出産・育児、介護が理由と認められるものは、知事部局全体で32名となっているところでございます。

 

(浅野)

(三) 結婚、育児等を理由とする退職について

 令和2年度中に、結婚、出産、育児、介護を理由として退職された方は32名と、昨年から詳しい理由の把握に努めた結果32名という数字を教えていただきましたが、年間これだけの方がこれらの理由によって退職をされているという事実に対して、道としてはどのような認識を持っていらっしゃいますでしょうか。

 

(人事課長)

 結婚や育児等を理由とする退職についてでありますが、職員から、結婚や出産、育児、介護を理由に退職したいと申出があった際は、育児短時間勤務や介護休暇などの制度の取得を促すほか、事務分掌の見直しを行うなど、仕事を続けることができますように、職場全体でサポートしているところでございますが、結果として、昨年度、退職という決断をせざるを得なかった職員が32名いましたことは、残念であると考えております。道といたしましては、こうしたやむを得ない理由から退職した方が、ジョブ・リターン制度を活用しまして、再び、職員として活躍していただけるよう期待しておりまして、今後とも、本制度を広く周知してまいりたいと考えております。

 

 (浅野)

(四)結婚、育児、介護を理由とする道職員の退職防止について

 今でこそ、男女の社会的立場の平等やジェンダーフリーということが当たり前に語られるようになりましたが、かつては特に女性は一度結婚すれば家に入るものだという風潮が我が国でも根強く残っていて、今でもそういう考えを持っている方もいらっしゃるかと思います。両親をはじめとする同居家族の介護を理由に退職せざるえない人たちも少なくなかったのだろうと思います。個人の生活の中で職業をどのように位置づけるかは、個人の人生観、価値観によるものですから、押しつけることはできませんが、本来であれば辞めたくなかったけれども、辞めざるをえない、もしくは、周りからのプレッシャーみたいなもので退職するものだと思わざるを得なかった方がいたとすれば非常に残念なことだと思っております。

 今回、ジョブ・リターン制度によって、辞めたくなかったけど、辞めざるをえなかった人がまた戻ってこられるようにすることは非常に素晴らしいと思うのですけども、そもそも辞めなくても道職員を続けられるということを職員の方に伝えて、一人でも多く退職しなくてもいい方を増やしていく、続けられるようにすることが非常に重要だと思うのですが、この制度によって有為な人材を再び復職させることと同時に、そもそもジョブ・リターン制度が今後必要なくなるような取り組みが必要になると思うが、この点についての道の認識と取り組みについて伺います。

 

(職員活躍担当課長兼人事局参事)

 職員の両立支援の取組などについてでございますが、道では、職員がライフステージの変化に柔軟に対応し、高い意欲をもって、最大限に能力を発揮しながら働き続けることができる職場づくりが重要と考えており、これまで特定事業主行動計画等に基づき、仕事と家庭の両立やキャリアなどに関する相談体制の整備、育児、介護など、職員の家庭環境等を勘案した人事上の配慮のほか、育児休業制度の利用促進や復帰時の支援、テレワークなどの勤務形態の弾力化や長時間勤務の是正など、働きやすい職場環境づくりに取り組んできたところでございます。また、男性職員の育児参加を一層促進するため、若手職員を対象としたセミナーの開催や、管理職員が対象となる男性職員と面談し育児参加をマネジメントする取組など男性職員の積極的な子育て参加を促し、子育てに理解のある職場づくりに向けた取組も推進してきたところでございます。道といたしましては、職員の意見も聴きながら、ワークライフバランスの確立を図り、全ての職員が安心して長く働くことができる職場環境を目指し、引き続き、取り組んでまいる考えでございます。

 

(浅野)

 重ねて申しあげますが、結婚、育児、介護を理由として、本人も皆さんもご家族も納得の上で退職される方に対して異議を唱えるものではないのですけども、できれば続けたかったけれども、続けられずに退職せざるを得なかった方に対しては、ご答弁いただいたような対応をもって、一人でも少なくなるような取組を今後もしていただきたいと思っております。

 

(五)受験資格について

 次に伺いますが、この制度の受験資格についてです。受験資格に、結婚や育児、介護等のやむを得ない事情により退職した者と定められていると承知をしますけれども、ここで言う「等」に含まれる理由はどのようなものを道として想定しているのか伺います。例えば、当時の職場の人間関係に悩んだことなど、様々な事情があると思うんですけれども、この点に関して、道の認識を伺います。

 

(人事課長)

 ジョブ・リターン制度の受験資格についてでありますが、これまで、道を退職された職員の中には、結婚や出産・育児、介護のほか、本人の傷病ですとか、職場での人間関係を起因とするものなど、様々な理由で仕事を続けることが難しい状況となり、やむを得ず退職された職員がいたものと認識しております。このため、今回の採用選考にあたっては、面接の中で、元職員の退職理由を確認するとともに、現在の家庭の状況や本人の健康状態など職員として再度働くことができる環境にあるかを個別に確認した上で、適切に判断してまいりたいと考えております。

 

 (浅野)

(六)働きやすい職場づくりについて

 今、職場での人間関係など、様々な理由でとご答弁いただきましたが、江差、紋別の道立看護学校で講師による生徒に対するパワハラがあったことが認定されています。これに関連してお聞きしたいのですが、このことに対して、道は関係した講師の勤務地を檜山振興局に変更したということでありますが、パワハラに関係した者の特定並びに処分を明確に行うことをもって解決としなくては、この度の復職制度で、例えば講師、道立看護学校の講師も募集職種に含まれていると承知しますけれども、こういった問題にきちっとけりを、けじめを付けない限り、講師を募っても有為な人材が集まらないのではないか、私は危惧しております。また看護学校の講師以外の他の職種に関しても、先ほど答弁あったように、様々な人間関係、中にはパワハラのようなことに悩んだ方もいたかもしれません。

 そうした悩んだ末、退職を選択した者がいたならば、道として、この職場の人間関係、特に理不尽なパワハラ問題に対して、厳格に対応して、働きやすい職場環境づくりに最大限努力する姿勢を示していかなくては、この度の素晴らしいジョブ・リターン制度を創設しても、なかなか人材集まらないのではないのかなと、私は考えております。道として、看護学校におけるパワハラ問題に対する今後の対応も含め、今、働いている道職員が離職をしなくてもよくなり、またこの制度によって有為な人材を復職させることを進める上で、どのようにして働きやすい職場づくりに取り組んでいくのか伺います。

 

(人事局長)

 働きやすい職場づくりについてでございますが、この度のジョブ・リターン制度を創設することにより、やむを得ない理由で一度退職を余儀なくされた職員が道に復帰できる道筋をつくることは、人材の確保はもとより、今後、道職員を目指す方々に対して、ライフステージに応じた多様な働き方ができる魅力ある職場環境であることの発信にもつながるものと考えております。道といたしましては、本制度により復帰した職員が、円滑に職場内でのコミュニケーションを図りながら、即戦力として道庁全体の組織力向上に貢献していただけるよう、受入体制の整備など、引き続き、風通しの良い、働きやすい職場環境づくりを進めてまいる考えでございます。なお、江差高等看護学院におきましては、看護の道を目指す学生の皆様が安心して学べる場となるよう、第三者調査委員会のご指摘、ご提言の内容を踏まえ、職場環境の改善など、学院運営の適正化を速やかに進めることとしております。

 

(浅野)

(七) 江差高等看護学院の教員への対応について

 最後に一点、伺います。今、江差高等看護学院については、第三者委員会のご指摘、提言を踏まえて、学校運営の適正化を進めるという答弁でしたが、今回の配置転換をもって、この問題が最終的に解決したということではないと、あくまで経過措置だと受け止めているんですけど、その点、間違いないでしょうか。

 

(人事局長)

 江差高等看護学院の教員への対応についてでございますが、この度の、一部の教員の勤務地変更につきましては、ハラスメントを受けた学生の皆様の心情に配慮し、処分の決定を待つことなく、当面の措置として、学生との接触がない学院外での勤務としたものであり、第三者調査委員会のご指摘、ご提言の内容を踏まえ、学院運営の適正化に向けた取組みを速やかに進めることとしてございます。

 

(浅野)

 当面の措置という確認が取れましたので、この問題も、人事局として、しっかり有為な人材を道庁に集めるためにも、しっかり、その立場で対応していただきたいと思います。以上で質問を終わります。

 

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