質問のポイント
6月18日に札幌市東区の市街地にヒグマが出没し、4名が重傷を負われるという事案が発生しました。山林に近い場所ではなく市街地にヒグマが現れ人を襲うという事案は近年初めてのことと思います。
危機対策の観点から、道警並びに総務部危機対策局に対し、当時の対応と今後の取組について質問しました。道警からは「ほくとくん防犯メール」による情報提供の中にヒグマ出没事案も含めること、危機対策局からは災害情報の周知のように道民にとってわかりやすく切迫感のある方法でヒグマ出没事案についても情報提供がなされるよう、関係部局と協議する旨の答弁がありました。
今後あらゆる関係部局が一層連携し、ヒグマは市街地に出てくるものとの認識の下、道民の生命を守るべく、ハンターの育成も含め、体制整備を進めなくてはなりません。私の重大な政治課題として取り組んでまいります。
※苫前町役場の熊モニュメント。大正4年12月に、7名の命が奪われる日本史上最悪の熊害事件が発生しました。
質問のやり取り
(浅野)
一 有害鳥獣対策について
先月の18日早朝に、札幌市東区の市街地に熊が出没をして、午前11時過ぎに地元猟友会に駆除されるまでの間4名が襲われ、ケガをするという事案が発生をしました。これまでも札幌市中央区内でも熊が出没したと言われておりまして、しょっちゅう熊が出るということが報告されておりますが、市街地に現れて、人が襲われる事態に至ったのは、今回が初めてでないかと承知をします。
私の地元苫前町で、今から106年前の大正4年、日本史上最悪の有害鳥獣事件と言われている三毛別ヒグマ事件が発生しました。当時はまだ通信技術も全くない農村の中でしたから、12月9日から14日の6日間にわたり、次々に人が襲われて7名が死亡し、3名が重傷を負うという大変痛ましい事件が発生しております。当時と今は時代状況が違いますし、私ももちろん当時をリアルタイムで知る年代ではないのですが、今回の事案は私の地元でも非常に関心が高いと思われ、改めて関連著書も注目されています。
人畜への被害や農業被害等を及ぼし得る有害鳥獣対策、特にヒグマについては、「ヒグマ出没時の対応方針」が定められており、総務部危機対策局ではなく、道庁の環境生活部が中心となって、道警の皆さん、各振興局、市町村等が連携し、対応することとされています。このことを踏まえて、以下質問してまいります。
(一)道警の対応について
今回の事案のように、道民の生命に危険を及ぼし得る熊などの有害鳥獣が出没した際に、道警としてはどの様な対応を執ることになっているのか、まず伺います。
(地域部参事官兼地域企画課長)
熊等が市街地に出没した際の警察の対応についてでありますが、出没状況等を把握するとともに、危険箇所における住民等の避難・誘導、パトカー、ヘリコプターによる警戒・広報活動、報道機関やSNS等を通じた情報発信、自治体その他の関係機関との情報共有などにより、地域住民等の安全確保を最優先とした諸対策を講じることとしております。
(浅野)
(二)危機対策局の対応について
今回の有害鳥獣対策、先ほど申し上げたように、主な所管は環境生活部でありますけれども、道民の生命を脅かす重大な危機でありましたので、危機対策局としても事態を注視して様々な対応をされていたものと承知しますが、今回の事案に関して、危機対策局ではどのような対応をされていたのか伺います。
(危機対策課長)
札幌市東区で発生した、ヒグマによる人身事故についてでありますが、危機対策局では、様々な災害・事故に迅速に対応できるよう、24時間365日、職員が宿日直を行う体制をとっており、先月18日の事故発生当日も、午前6時頃、道警察からの第一報を受け、担当の環境生活部や札幌市消防、自衛隊とも情報共有を行ったところでございます。先般のヒグマの出没は、明け方から朝の通勤・通学の時間帯にかけ、住宅や商業施設が建ち並ぶ市街地で発生するという極めて異例の事態であり、大規模な人身事故につながる恐れもありましたことから、危機対策局といたしましては、関係機関の協力による救急救助活動が必要となる事態に備え、環境生活部や札幌市消防などから情報収集を行い、状況の推移を注視していたところでございます。
(浅野)
(三)関係部局との情報共有・連携について
今回の事案に関しては、重傷を負われる方が出たものの最悪の事態は免れました。それも市街地という銃器等の使用が著しく制限されるなかで懸命に熊を追い、駆除をしたことについて、道警の迅速な対応、有り難かったと感謝する声が札幌の方からも聞いております。東区内の小学校等では朝、それでも児童が登校するところもあった、そのような状況もありまして、課題も見られたようですが、この点については札幌市において、今後検証がなされるものと思いますが、ここで、今回の事案に関し、道警が自治体等に行った速報の状況と内容について伺いたいと思います。
(地域部参事官兼地域企画課長)
関係機関等への連絡状況についてでありますが、道警察では、本年6月18日午前3時30分頃に、札幌市東区内で熊を目撃した旨の110番通報を受理したものであります。この事案の認知を受け、報道機関に対しましては、当該通報の内容と安全確保の呼び掛けを促すとともに、札幌市東区役所に対しましては、警察の対応状況の伝達と猟友会の出動や学校等への注意喚起の要請、札幌市教委等に対しましては、熊の出没に関する情報提供と通学路の安全対策の要請、道危機対策局に対しましては、熊出没の情報提供をそれぞれ迅速に順次、実施したところであります。
(浅野)
ただ今、御答弁をいただいたように、道警さんとしては、迅速に関係部局に必要な情報を伝えていただいていたとのことであります。
(四)危機対策局における今後の対応について
このようにクマが出没した際、人命が失われるかもしれない時に、いかに迅速かつ正確に状況を地域住民に伝えるのかが、非常に重要になるものかと思います。今回は、札幌市や道警のツイッターのツイートを道としてもリツイートしているとのことでありますが、市町村の広報車や広域放送による周知に加えて、地震発生時の速報Jアラートのような携帯電話に情報が流れるような、災害発生時の周知と同様の仕組みがあったらいいのではないかというご意見を伺いました。
まさに先ほど報告案件で、新防災情報システム運用開始について、ご説明いただきましたけれども、このように避難情報、これは災害ですけれども多言語によるものだとかタイムリーな情報発信があったらより地域の方も安心して対応されると思います。隣に東区に住んでいる渡邊靖司先生もいらっしゃいますけれども、一番みなさんが困るのは今どんな状況になっているのかということをタイムリーに正確に知りたいということだと思います。そのような周知の仕組みも考えることが重要であると考えますし、今回、重大事案については、道のホームページのトップページを開いたらすぐ状況がわかるような仕組みを作るのが望ましいと思います。
道のホームページを開いてもトップは新型コロナウイルスの状況、あと災害状況などをすぐ見られるようになりますけれども、このヒグマの状況、環境生活部の中のページを追っていったら各市町村におけるクマの出没情報というページに行きついて、札幌市のページを開いてようやく状況が見えるという状況になっておりますので、道民にとって、すぐ情報が入手できるような周知のあり方を是非考えていただきたいと思います。
重ねて申し上げますが、有害鳥獣対策というのは、一義的には危機対策局ではなくて、環境生活部さんの担当だってことは、承知しておりますけれども、危機対策局として今回の事案の経験を踏まえて、今後どのように対応するのか伺いたいと思います。
(危機対策局長)
今後の対応についてでございますが、道では、ヒグマによる人身事故の発生に備え、対応方針を定めておりまして、事故発生時には、振興局が、担当職員を派遣するなどして、情報収集に努めるとともに、市町村や警察などが行う住民への注意喚起などに協力することとしているところでございます。先般の札幌市東区でのヒグマの出没は、小中学校11校が臨時休校し、丘珠空港が一時閉鎖するなど、社会的な影響も大きい事案であり、4名の重軽傷者が発生する人身事故となったことから、担当部においては、所定の対応方針に基づき、事故の発生原因等の検証を行うことで、今後の対応に活かしていくこととしているところでございます。近年、ヒグマ、エゾシカなど大型獣の市街地への出没が増える中で、危機対策局といたしましても、先般の事案の経過を踏まえまして、今後、こうした事案が発生した場合には、高い緊張感を持って、担当部と情報共有を図り、事態の進展に備えるとともに、担当部に対しまして、災害時の情報発信手段の活用に係る助言や支援を積極的に行うなど、道民の安全・安心の確保に一層努めてまいる考えでございます。
(浅野)
最後答弁の中で、災害時の情報発信にかかる助言や支援を担当部に対して積極的に行うとのことでしたので、私が申し上げたような形で、様々手法はあると思いますけど、道民がすぐ迅速に正確な情報を得やすい体制作りを危機対策局としてもしっかり話し合っていただきたいと思います。
(五)防犯メールの活用等について
ツイッターで道警のアカウント「北海道警察防犯情報発信室」がありまして、各種犯罪の情報を発信しておりますが、この事案に関しても改めて私も見たのですけれども、6月18日午前6時41分に【クマの出没#東署】と題する投稿をして、注意喚起を行うとともに、同日午後1時41分には熊が駆除され、解決したことを正確に伝える情報発信をされています。非常にこれ重要な取組をされたと私は認識をしています。
情報発信ツールとしては、このほかにも日頃から犯罪から身を守るために必要な情報、例えば「子供被害情報」、「犯罪発生・防犯対策情報」及び「お知らせ情報」、希望者のパソコン、携帯などにメールで配信するサービスである「ほくとくん防犯メール」を活用して、道民を犯罪から守るための取組をされていると承知をしておりますが、今回のような市街地に、山の中とかではなくて、市街地に熊が出没した、そういう時もこの情報発信ツールとして有効に活用できるのではないかと考えます。このシステムの活用状況並びに道警としてこの防犯メールの活用などを促すべく、どのように啓発を行ってきているのか伺うとともに、登録についても今後も啓発すべきと考えますが、認識を伺います。
(生活安全部参事官兼生活安全企画課長)
ほくとくん防犯メールの活用状況等についてでありますが、道警察では、子供に対する声掛けなどの前兆事案や犯罪の発生を認知した際、タイムリーに情報発信を行い、地域住民に対する注意喚起や防犯意識の向上を図っているところであります。利用登録者数は、本年5月末現在で約6万1,000人となっており、地域安全情報の配信件数は、年間約3,700件となっております。また、より多くの道民の方々に、これらの情報をお伝えできるよう、教育機関との連携による全道の新入学児童保護者への紹介、自治体や報道機関、事業者等の各種広報媒体を通じた広報など、様々な機会を通じて、利用者登録の促進を図っているところであります。道警察といたしましては、引き続き、道民の皆様が自らの安全を守るための自主的な行動により、熊の出没を含む、被害等の未然防止を図っていただけるよう、関係機関・団体等と連携し、登録拡充に向けた啓発を積極的に推進するとともに、必要に応じ、タイムリーな情報発信に努めてまいります。
(浅野)
(六)今後の取組について
今回のような未曾有の事態を契機に、道民の防犯体制を強化する観点から、情報発信のあり方を含め、今後も起こり得る市街地における熊の出没を始めとする道民の生命を脅威にさらす有害鳥獣への対応をどのように強化していくのか、最後に道警の取組を伺います。
(地域部長)
今後の取組についてでありますが、熊等が出没した場合に住民の安全を確保するためには、熊の出没状況を速やかに把握し、現場における警戒や付近住民に対する広報、避難誘導の措置を的確に行うことはもとより、自治体等と連携した対応をとるための関係機関との情報共有、さらには住民の皆様が自らの安全を守る行動をとれるよう、報道機関やSNS、防犯メール等を通じたタイムリーな情報発信が重要であります。道警察といたしましては、熊等が出没した場合において、こうした対応が迅速的確に行われるよう、引き続き、職員に対する教育に取り組むとともに、自治体を始め、関係機関との連携について改めて確認を行うなど、道民の皆様の安全を最優先とした取組を進めてまいります。
(浅野)
私の地元の猟友会の方が、このようなことを言っておりました。「市街地に熊が出てきて人が襲われる事案というのは、残念ながら、ハンターが高齢化して、人手も少なくなっているなか、もちろん、こういうことも避けられないだろう。」それが、6月18日にこのような事案が起きてしまったということであります。ハンターを増やしていく、育成していくということはすぐにはできませんが、SNSなどを駆使して情報を伝えて避難がすぐにできるようにすることは、すぐにでも対応できることと思いますので、ただ今、御答弁をいただいたように対応をしっかりと行っていただきたいと思います。
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