平成30年12月12日 建設委員会

北海道の川づくりビジョンについて

(一)北海道河川審議会について

1 人選について

(浅野)このビジョン、今後のスケジュールの中で北海道河川審議会により審議がなされるとのお話しをいただきましたが、この審議会の人選はどのような基準に基づいて行われたのか、まず伺います。

(河川砂防課長 金澤克人)北海道河川審議会についてでございますが、道では、河川法の規定に基づきまして、平成28年3月に制定しました条例により、知事の附属機関としまして、北海道河川審議会を設置しているところでございます。

この審議会は、道が管理する河川に関する重要事項を調査審議することなどを目的としまして、学識経験を有する12人以内の委員で組織されているところでございます。

委員の選考につきましては、河川法等の主旨に従い、水害発生や水資源の利用、河川環境などの観点から、河川工学や防災工学、農業、生物など11の専門分野の有識者から12人を選考しているところでございます。

2 建設業者の参画について

(浅野)今回示されたビジョンには、今ご報告いただいたように、新たな治水対策の考え方が盛り込まれているということであります。基本方針の中でも例えば1と2、「防災対策の推進」、「減災対策の推進」、基本方針の9、「安心・安全な川を維持する」、激しく変化してきた自然環境に合わせた防災減災の観点から新たな川づくりのビジョンを今回策定するものと理解しております。

その中で、審議会の中には素晴らしいそれぞれ専門知識を有する方が選定されたことに対して何の異議もないのですけれども、平時の河川の維持管理から、いざという時、災害が発生したときに、いの一番に現場に駆けつける役割を担う建設業界の方が、直接は選任されていないと承知をします。まだ我々の記憶に新しいのが平成28年の十勝川の連続台風の時、災害発生直後に河川の水量データの収集等にあたられていた維持管理業者の方が巻き込まれて亡くなるという大変痛ましい事態も生じております。そういうことを考えたときに、実際に河川改修川づくりの作業を担う実務を担う建設業界の方々もこの審議会に入って、ビジョンづくりの段階から参画していただくということも重要でないかと思うのですが、このことについての道の認識を伺います。

(土木局長 天野俊哉)建設業関係の意見の反映についてでございますが、「北海道の川づくりビジョン」は、治水・利水・環境の3つの視点から、北海道が目指す川づくりに対する基本的な方針を示したものであり、北海道の川づくりを推進するための指針としての役割を担うものでございます。

このため、審議会におきまして、河川の工事や維持、環境の整備などの観点からご意見をいただき、ビジョンの策定を進めているところでございます。

また、ビジョンの原案につきましては、パブリックコメントに加え、建設業協会との意見交換を含め、広く道民の皆様に意見を伺って策定を進めてまいります。

(二)産卵環境の保全と再生に向けた取組について

(浅野)パブリックコメントの中で、資料2の1の裏面の方に出ておりますけれども、漁業生産の基盤としての河川の視点、シロザケ及びカラフトマスの自然産卵環境の保全と回復の視点を加えてはどうかとの意見が出されたと、それを受けて「産卵床の保全と回復」という文言を「産卵環境の保全と再生」と修正するという対応を取ったとの報告が今なされております。近年の河川改修の結果、カラフトマス等が産卵するために必要な魚道が狭められて、これら漁業資源の減少を招いているとの指摘があると承知します。私の地元でも大変釣りが好きな方からもこうした指摘を受けたことがあるのですが、このことに対する道の認識を伺うと共に、対応方法を原案の中に今後どのように反映させて対応していくのか伺います。

(建設部長 岡田恭一)産卵環境の保全などの取組についてでありますが、道では、平成6年に「北海道の川づくり基本計画」を策定し、豊かな自然環境を保全し、再生する川づくりを進めてきているところでありますが、それまでに整備した河川の中には、魚が遡上したり、降下できない落差工などの構造物が設けられている箇所もあるところでございます。

このため、このビジョンでは、推進すべき方策として、河道の連続性を確保するため、落差工等には川の特性に応じた魚道を設けるほか、その機能を検証し、改善を図るなどの対策を示しているところであります。

さらに、豊かな自然環境を保全するため、川づくりのフォローアップといたしまして、事業実施後のモニタリングと評価を行いまして、必要に応じて計画の見直しを行うとともに、魚道等も含め適切な維持管理に努めてまいります。

二 災害時の建設会社との連携等について

(浅野)災害時における建設会社との連携等について、建設部の皆様の認識を伺ってまいりたいと思います。9月6日に北海道胆振東部地震がおきて、ブラックアウトが発生した。その際にも道内各地の建設会社の方々が果たされた役割、非常に大きかったと承知をします。特に、後ほど伺ってまいりますが、各地域の電源確保、私の地元、留萌管内も北部のほうは酪農が盛んな地域でして、搾乳ができない酪農家を救うために農協が各振興局を通じて建設会社が持っている発電機を借り上げて、それを酪農家個々で回して、なんとか一日一回搾乳をした。そういうこともありました。

そのことで以下伺ってまいります。

(一) 建設会社との連携について

日頃、道として建設会社と災害が発生したときにどのような役割を果たしていただくのか、災害対応に関する対応の取り決めなどについて、建設業協会とどのような日頃から協議を行っているのか伺います。

(維持管理防災課長 木原俊哉)建設業協会などとの連携についてでございますが、道では、災害が発生し、またはそのおそれがある場合に備え、一般社団法人北海道建設業協会と「災害時における応急対策業務に関する協定書」を締結しているところでございます。

その協定におきましては、緊急人命救助に伴う障害物等の除去、道路や河川施設の損壊に伴う安全確保や、緊急パトロールなどの業務を定めており、協力体制が円滑に行われるよう適時必要な訓練を実施するとともに、情報連絡網及び協力実施体制を整備し、相互に情報を共有するなど、必要な取組を進めているところでございます。

また、測量設計業協会や、コンクリートブロック協会などの関連団体についても、個別に防災に関する協定を締結しているところでございます。

(二)ブラックアウト発生後の状況について

(浅野)冒頭申し上げたように、ブラックアウトに際して、私の地元天塩町でも自家発電機を建設会社から借りて農家で回してなんとかしのいだという事例がありました。こうしたことは、北海道の他の地域でも同様の事例は見られたと思うのですが、建設部としてどのような事例を把握されているのか伺います。

(建設政策課長 白石俊哉)発動発電機の貸し出しについてでありますが、北海道胆振東部地震発生後、離島を除く道内全域で停電が続いたため、多くの道民は、テレビなどからの情報を得ることが出来ず、携帯電話やスマートフォンが、重要な通信手段及び情報入手手段となっていましたことから、充電環境を確保することが課題でありました。
 このため、建設部では地震当日、北海道建設業協会に対し、「災害時における応急対策業務に関する協定書」に基づく業務として、発動発電機を市町村に配備し、スマートフォンなどの充電に役立てるよう依頼したところでございます。
 その後、協会に配備状況などについて聞き取りを行ったところ、発動発電機を酪農家などに貸し出している事例が確認されました。

(三)協定等の有無について

そのような事例がのちに確認されたとのことですが、電源確保について酪農家または農協等の農業団体と、地域の建設会社がいざという時に、そうした事態を想定して、日頃から実際にそのような事態が起きた時の電源の借り貸し等の対応について、なんらかの取り決めを定めた協定など、そうしたものをしている事例はあったかどうか、建設部として把握しているものを教えて下さい。

(建設政策課長 白石俊哉)災害時における協定についてでありますが、先ほど答弁申し上げたとおり、北海道と北海道建設業協会との間では、「災害時における応急対策業務に関する協定書」を締結しておりますが、酪農家や農協等の農業団体と建設業団体が、電源の確保等に関する協定を締結している事例につきましては、建設部としては把握しておりません。

(四)協力会社への対応について

(浅野)農業団体との連携となると建設部さんよりは農政部さんのマターになるかと思うのですが、今回のこのブラックアウトに対する建設会社の酪農家さんへの対応については、例えば私の地元の天塩町の天塩町農協佐藤博幸組合長は、のちに、10月下旬にですけれども、協力していただいた会社を回って感謝状を贈呈して、きちっとした形で謝意を伝えているんです。道としては、今回、ブラックアウトの際に協力してくれた建設会社に対してどのような対応を今日までしているのか伺います。

(建設政策局長 岸純太郎)協力会社への対応についてでございますが、道はこれまで、平成28年8月や今年7月の大雨災害時などにおいて甚大な被害を受けた公共土木施設の機能確保や応急復旧等に多大な貢献をされた建設会社などに対し、感謝状を贈呈してきたところでございます。

また、今回の発動発電機の配備に関しては、ご対応いただいた北海道建設業協会に対し感謝の意を伝えているほか、今後、地方の建設業協会との意見交換会の場などにおいて謝辞を述べたいと考えてございます。

(浅野)実際に対応してくださった会社もあれば、事前に準備はしたけど早めに電気が復旧して、対応しなくてすんだ会社、様々あると思いますが、いずれにしても日頃の建設会社としての業務以外に災害対応に備えて下さった方々にあますところなく、道としても謝意を伝えていただきたいと、そのことをお願い申し上げたいと思います。

(五)協定策定に向けた道の取組について

(浅野)この建設会社による酪農家の電源確保に関して、先週の7日の予算特別委員会で、農政部に私、質問させていただきました。農政部からは、「農協等と地域の建設会社などが連携して必要な発電機などの機材を有効活用していくことも、重要な方策のひとつと考えられることから、地域ごとの非常時における対応策の検討に当たっては、そうした視点も加えてなされるよう振興局を通じ、周知してまいる」との答弁がありました。

今回のような震災発生時における酪農家の電源確保はもちろんですが、いざという時にスムーズに応急対策などに対応できるように、道が橋渡し役となって、建設会社と農業団体もそうですが各団体との協定がつくられ、日頃からの備えが整えられる環境をつくることが極めて重要だと考えるのですが、道の認識並びに今後の対応について伺います。

(維持管理防災課長 木原俊哉)建設会社と各業界との連携についてでございますが、道では、この度の地震発生後、「災害時における応急対策業務に関する協定書」に基づき、建設業協会に対して、公共土木施設の損壊に伴う緊急応急業務などに加えて、市町村への発動発電機の配備についても要請を行ったところでございます。
 この度の震災を踏まえまして、災害時の円滑かつ迅速な対応を行ううえで、建設会社と各業界との連携は重要と考えていることから、今後、建設業協会との意見交換会の場を活用し、非常事態への円滑な対応について情報共有を図るなど、連携に向けた環境づくりに努めてまいりたいと考えております。  

(六)入札における協力会社の評価のあり方について

(浅野)非常事態の円滑な対応について、情報共有を図っていくと災害時の建設会社が果たされる役割が非常に重要だと建設部としても認識されていることだと思いますが、言うまでもなく建設会社の方々に、そして、役割を担っていただくには中小企業も含めた各企業の経営が、しっかりと中長期の視点に立って安定していくことだと思うんです。

会社がしっかりしないと、災害の対応にもなかなか手が回らない、こうした会社は人材不足も含め非常に公共事業予算が、今後どのように安定的に確保されるか見通しも立たない中で、経営が厳しいところが多いと思うんですが、これまでの地域の中小のそうした災害協定における対応などといった地域の守り手である建設企業の評価の点について、道の認識を最後に伺います。

(建設業担当局長 高橋利明)企業の評価についてでございますが、本道の建設企業は、社会資本整備や災害対応などを通じまして地域の発展や安全・安心を担い、特に災害時には発災直後から道路啓開や瓦礫撤去といった緊急応急業務に当たるなど地域の守り手として欠くことの出来ない重要な役割を果たしてございまして、地域の建設企業の継続的な経営が可能となる取組が必要と考えているところでございます。

このため道では、競争入札参加資格審査におきまして、防災協定や災害時の対応などを評価しておりますほか、総合評価落札方式の入札におきましては、「災害協定の締結」に加え、緊急時の応急措置の実績についても評価できることとしてございまして、道といたしましては、今後とも地域の守り手でございます建設企業を適切に評価してまいります。

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