平成27年 第2回北海道議会定例会、保健福祉委員会にて保健福祉について質問させて頂きました。
平成27年第2回北海道議会定例会 保健福祉委員会(最終日前日)開催状況
開催年月日 平成27年7月9日(木)
質問者 北海道結志会 浅野 貴博 委員
答弁者 保健福祉部長 村木 一行、 福祉局長 坂本 明彦、 障がい者保健福祉課長 湯谷 隆博
障害者差別解消法について
1. 質問 : 法律の認知度について
ただ今御説明いただいた中で、障がい者差別がない北海道づくりに向けて、道としても取り組んでいただいている、その取組の状況を御説明いただきましたが、資料の3ページにございます障がいや障がい者に対する道民理解の促進の取組の中で、新しい取組として、平成25年6月に制定されたいわゆる障害者差別解消法、これをわかりやすく説明したオリジナルのパンフレットを作成し、市町村、障がい福祉関係団体等に配布をいただいているという御説明をいただきました。一方で、この障害者差別解消法ですが、先日気になる報道を目にしましたので、まず、質問いたします。
4月29日配信の共同通信の記事、報道なんですけど、この障害者差別解消法を知らないとする小中学生の保護者が実に7割にも上ったと。裏返せば、3割の人しかまだこの法律の存在を知らないのだという現状が浮き彫りになってございます。これは、障がい児向けの教育事業などを行う東京のLITALICO(リタリコ)という会社による調査でわかった事実でございますけれども、道としてもこの障害者差別解消法がどれほど道民の中で認知されているか、これまで調査は行われているのか、その認知度を把握しているのか、御説明いただきたいと思います。
65%、LITALICO(リタリコ)さんが調査した結果よりは、若干、まだ認知度は高いと思いますけれど、30%と35%ですから、決して誇れる結果ではないと思います。恥ずかしながら、実はこの法律を私自身も知りませんでした。もっと広く道民に周知していくという意味では、道の職員の皆様の取組だけではなくて、私たち道議会議員の取組も求められるところでございます。私どもも努力いたしますけれども、道としても引き続き、障がいにより差別がない社会をつくる、それを目指した法律の認知、周知に向けて取組を続けていただければと思います。
答弁 : 障がい者保健福祉課長
障害者差別解消法の認知度についてでございますが、道では、法律の施行に向けまして、障がいのある方やその御家族などが生活の中で差別と感じておりますことや、差別解消のため、どのような対応を求めているかを把握するため、インターネットなどを活用いたしまして、本年3月に意識調査を実施し、1,114名の方から御回答をいただいたところでございます。
その調査項目の一つでございます障害者差別解消法の施行につきましては、「知らなかった」と回答をした方につきましては、695件、65%と高く、認知度が低い結果となってございまして、法律の周知が喫緊の課題と考えているところでございます。
2. 質問 : 法律の周知について
この障害者差別解消法の総則において、ちょっと長いので全部はしゃべりませんけれども、要するに障がいがあろうがなかろうが、個人がきちっと尊重されて、権利も守られて、その社会の実現に向けて、公共団体、行政機関、さまざまな人たちに努力を求める、そして誰もが安心して協力して暮らしていける社会をつくるという、このように総則にございます。こうした社会の実現を踏まえて、これまで道としてどんな取組をされてきたのか伺いたいと思いま
答弁 : 障がい者保健福祉課長
法律の周知に係る取組についてでございますが、道では、障がいのある方はもとより、道民の皆様への法律の周知が重要と考えておりまして、法律成立後、これまで、パンフレットの作成、配布や、市町村への説明会、また、振興局ごとに研修会を開催するなど、その周知に努めてきたところでございます。
本年度は、さらに、来年4月の障害者差別解消法の施行に向けまして、法律の趣旨につきまして幅広く周知するため、道内3か所で道民フォーラムを実施いたしますとともに、市町村や教育委員会、関係団体と連携いたしまして、地域のラジオ放送やイベント、広報誌などを活用しながら、お子さんからお年寄りまで、多くの方に御理解いただけますよう、一層の普及啓発に努めてまいります。
質問 :
ただ今、市町村への説明や振興局ごとの研修会を開催されてきたとの御説明がありましたけれども、たとえば、特にその中で、教育機関、小中学校若しくは高等学校、私立・公立を問わず、そうした教育機関に対しての積極的な周知はこれまでされてきておりますでしょうか。
それでは、教育機関に対しての周知は十分されてきたということですね。子どものうち、教育の場で、障がいを理由にした差別はいけないんだということをきちんと教えていくことが、何より重要だと思いますので、今後とも、よりその面に関して力を入れていただければと思います。
答弁 : 障がい者保健福祉課長
小中学生などの教育機関に関する普及啓発についてでございますが、委員御指摘のございました小中学生に対する法律の周知も、私どもとしては重要と認識しているところでございます。
そのため、パンフレットの配布ですとか、学校、教育の場面で差別と感じられる事例の提供をいたしましたほか、教員の研修会や会議等で周知するなど、教育委員会と連携しながら、これまで普及啓発に努めてきたところでございます。
質問 :
道内3か所で道民フォーラムを実施するという答弁をいただきましたけれども、この3か所は道内のどこで、何月何日に行う予定でいるのか教えてください。
答弁 : 障がい者保健福祉課長
道民フォーラムの開催についてでございますが、多くの道民の方々に、障害者差別解消法の趣旨を理解していただくため、今月18日に札幌市、10月31日に釧路市、11月3日に旭川市の道内3か所におきまして、講演とシンポジウムを内容とした道民フォーラムを開催することとしているところでございます。
開催に当たりましては、市町村、障がい者福祉団体、北海道商工会連合会などの経済団体、小・中・高等学校などの教育機関に通知するほか、札幌駅南口などに設置しております街頭大型ビジョンの活用、ホームページ、メールマガジン登録者への周知など、広く道民の方々へ参加を呼びかけているところでございます。
質問 :
最初の札幌での開催が9日後の今月18日ということですけれど、これは、北口委員長、花崎副委員長はじめ、保健福祉委員会に所属する道議会議員だとか、幅広く道議会議員に対して、参加を求めるというお考えはありませんか。まだ、案内はいただいていないみたいなんですけれど。
道議会議員は、各地域の道民の皆さんを代表として道議会に来ているわけですから、パンフレットを渡して、「こういうのをやるから、日程があえば、よかったら来てね」とそういう形ではなくですね、最低限、委員長、副委員長に正式に道議会の保健福祉委員会を代表するお二方には、正式な案内、出席の案内を出すなりですね、そういう対応をするのが、
答弁 : 障がい者保健福祉課長
道議会議員の皆様への周知等についてでございますけれども、道といたしましては、今回のフォーラムにつきましては、なるべく多くの方に御参加いただきたいと考えているところでございますので、今後、道議会の皆様にもパンフレットを配布するなどして、フォーラムの開催の御案内をお知らせしたいと考えてございます。
質問 :
私は筋じゃないかと思いますので、ぜひ、それはきちんと御検討いただければと思います。私ももし招待いただけたら、日程やりくりして行きたいと思っていますので、お願いします。
3. 質問 : 道民からの苦情について
この障害者差別解消法、公的機関に関しては、たとえば、バリアフリーのスロープを設置するだとか、目と耳の不自由な方が困らないような音声によるガイダンスだとか、そうしたものを設置する、これは義務を課しているものと承知します。民間企業に対しては、努力義務、さまざまなことを感じているのですけれども、その一方で、道本庁、各14振興局それぞれ法の趣旨を踏まえた対応を進めていただいているところだと思います。一方で、道職員により、障がいを理由に差別を受けた、そのような苦情がこれまで道に寄せられたことはありますでしょうか。道民からの苦情については、道民相談センターという組織で受けていると承知しますけれど、これまで、そうした苦情がセンターに寄せられた事例はあるのか、明らかにしていただきたいと思います。
答弁 : 障がい者保健福祉課長
道民からの苦情についてでございますが、障がいのある方に対する差別や虐待など、権利擁護に関する相談への対応を行いますため、平成22年4月に「北海道障がい者条例」に基づきまして、14振興(局に「地域づくり委員会」を、また、平成24年)局に「地域づくり委員会」を、また、平成24年10月に障がい者保健福祉課内に「北海道障がい者権利擁護センター」を設置したところでございます。
これら「委員会」など私ども保健福祉部におきましては、これまでの間に、道職員による障がいを理由といたしました差別的な対応につきまして、道民の皆様からの苦情等は寄せられていないところでございます。
質問 :
ありがとうございます。道民の皆様から少なくとも道職員の方々から障がいを理由とした差別を受けたという苦情が寄せられていないということは、道職員の皆様のモラルが高いということだと思いますので、これは、道民の皆様に大いに知っていただきたいですし、皆様も誇りを持っていただいて、これからも頑張っていただきたいと思います。
その一方で、先ほど坂本福祉局長から御説明いただいた、この資料の3ページにあります、北海道障がい者権利擁護センターの相談等対応状況、昨年、平成26年度は86件、前年度より25件、寄せられた相談件数が増えたとのことです。虐待相談の区分別状況によれば、養護者若しくは施設従事者、使用者、さまざまな区分がされています。虐待の種別も身体的虐待から性的虐待、心理的虐待、放棄・放任、経済的虐待、さまざまな苦情が寄せられていると承知しますけれども、これらの相談を受けた後に、このセンターはそれぞれどんな細やかな対応をとられたのか、御説明願います。
答弁 : 障がい者保健福祉課長
権利擁護センターにおけます対応についてでございますが、昨年度の相談・照会86件の内訳といたしまして、虐待相談が18件、その他の相談が68件となっているところでございます。
虐待相談18件につきましては、それぞれ障害者虐待防止法に基づきまして、養護者虐待及び従事者虐待は市町村へ通報、使用者虐待につきましては北海道労働局へ報告を行ったところでございます。
このうち、虐待の事実が確認されたものは2件ありまして、内訳といたしましては、養護者虐待1件につきましては、市町村が世帯分離により被虐待者の安全の確保を図ったほか、従事者虐待1件につきましては、振興局が事業所に対し文書指導を行い、その後、改善が図られたことを確認したところでございます。
なお、その他の相談68件の主なものにつきましては、医療機関等での対応に対する不満ですとか、市町村の行政サービスに関する苦情であり、これらが相談の多くを占めているところでございます。
質問 :
今の御説明でしたら、実際の虐待相談は18件あったけれども、それらにセンターがきめ細やかに対応して、実情を探っていけば、実際に虐待として認められたのは2件のみだったということですよね。
それは本当に、いろいろなお互いのやりとりの中での誤解などによるものが、一方にとっては虐待と受け止めたりとか、一方にとっては虐待でなかったりというものがあると思うのですが、くれぐれも今後とも虐待が見過ごされることのないように、引き続き当たっていただきたいと思います。理想を言えば虐待もこういう差別も常にゼロであると、そういう状況を目指してですね、関係機関の皆様に努力をお願いしたいと思います。
4. 質問 : 職員の対応について
続きまして、あと2点ほど伺いたいのですが、先ほど申し上げましたように、道職員によって障がいを理由とした差別を受けたという、そういう苦情はこれまで寄せられなかったということで、道職員の皆様は、非常にこの点に関して素晴らしい姿勢で日々職務に当たられているのだと思います。今後とも、北海道において、障がいを理由とした差別がない北海道をつくるためには、道職員の皆様に、やはり模範となっていただくことが必要だと思うのですけれども、今後とも差別がないように、北海道において、そういう社会づくりに向けて、道としてどのような取組をされていくのか、そのお考えを聞かせてください。
答弁 : 福祉局長
職員等への対応についてでございますが、道では、平成22年に「北海道障がい者条例」を施行し、国に先んじて障がいのある方の権利擁護に取り組んできており、職員が、障がいのある方々に対しまして、不当な差別的な扱いを行わないことや合理的な配慮を行うなど、法律施行時に、適切に対応することができますよう、昨年度から職員対応要領の作成に着手しているところでございます。
現在、庁内の関係部からなるワーキンググループにおきまして、対応要領に記載いたします差別の事例でありますとか、職員に対する周知方法、また研修の方法などにつきまして検討を行っており、今後は、障がい当事者団体でありますとか、「北海道障がい者施策推進審議会 権利擁護部会」の御意見も伺いながら、より良い対応要領となるよう取り組んでまいります。
質問 :
昨年度から、職員対応要領の作成をしていただいていると。これがなるべく早期に完成をして、より障がいを理由とした差別を行わない、モラルの高い道職員という姿勢が、全道各地に広まってくような体制づくりを進めていただきたいと思います。
5. 質問 : 今後の取組について
それらを踏まえて最後に伺いますが、障がいを理由とした差別のない北海道づくりに向けて、道として、これまでのことも踏まえて、今後改めてどんな取組をするのか、最後に伺って私の質問の終えたいと思います。
答弁 : 保健福祉部長
障がいのある方に対する差別解消の取組についてでございますが、道におきましては、来年4月からの障害者差別解消法の円滑な施行に向けまして、広く道民の皆様方に対しまして、マスメディアの活用や、フォーラムを開催するなどいたしまして、法律の一層の周知に取り組むほか、道職員が障がいのある方に適切に対応できるための対応要領の作成、さらには、法律に示されております、地域における差別に関する相談や紛争防止、解決のための体制の整備に向けた検討などを進めております。
今後とも、これらの差別の解消に向けた環境の整備とともに、北海道障がい者条例を含めた啓発活動を積極的に行い、障がいのある方の尊厳が尊重され、差別や虐待を受けることのない暮らしやすい地域づくりに向けて、市町村や関係機関との連携を図り、道民の皆様の御理解もいただきながら、全力で取り組んでまいる考えでございます。