太平洋沿岸漁業被害、太平洋クロマグロ等について質問しました。(予算特別委員会・水産林務部 2021年12月9日)

主な質問項目

一 太平洋沿岸の漁業被害について

二 太平洋クロマグロの資源管理について

三 全国漁港漁場大会について

 太平洋沿岸で発生している赤潮被害はまさに「激甚災害」であり、現在進行形の被害への対応と、中長期視点に立った対応が必要です。

 太平洋クロマグロについては、先の中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)の年次大会で大型魚の15%の増枠が実現しましたが、小型魚については見送られました。

 これらの課題に対する道の認識並びに取り組みについて質問しました。

質問と答弁

一 太平洋沿岸における漁業被害について

(浅野)

 本年の9月以降、北海道の釧路の方で発生した赤潮被害、戦後最悪と言われている80億円を超える漁業被害が確認されているこの問題について、被害の発生が確認されてから、水産林務部の方が迅速に対応し、今まで懸命に対応頂いておりますが、改めて以下数点伺います。

(一)赤潮対策等について

1 赤潮原因プランクトンの監視について

 9月に発生が確認されてから既に2ヶ月以上が経過した。11月下旬以降収束に向かっているとの話もあるが、依然として予断を許さない状況にあります。今般の赤潮に関して、9月に釧路で確認されてから現在まで、被害が発生している海域での原因プランクトンの監視はどのように行われてきたのか伺います。

(水産振興課長)

 赤潮の原因となるプランクトンの監視についてでありますが、道では、赤潮が発生した9月以降、被害を受けた日高、十勝、釧路、根室管内の各漁業協同組合毎に、週一回の頻度で沿岸域の海水を採取し、道総研水産試験場が海水に含まれる赤潮の原因プランクトンの種類と濃度を分析しており、発生状況に応じて海水を採取する調査地点を新たに設けるなど、プランクトンの監視を行っているところであります。また、モニタリングの結果は、速やかに振興局を通じ、各漁協に通知するとともに、道のホームページに掲載するなど情報の提供に努めているところであります。

2 モニタリングの全道海域への拡大について

(浅野)

 今回の赤潮はまだ原因がはっきりと確認されてないと承知します。全道の漁業者、私の地元の日本海側の漁業者からしても、いつこれが自分たちの海域に出てくるのか、その可能性あるのか非常に懸念しているところです。全道海域での調査を望む声が強く寄せられており、道としては原因プランクトンのモニタリングを全道海域で実施していると伝えているが、今後どのように実施していくのか伺います。

(水産振興課長)

 モニタリングの実施についてでありますが、プランクトンは、現時点では、日高から根室管内までの太平洋沿岸での発生に止まっていますが、道では、被害が発生していない海域も含め、全道海域での定期的な海水のモニタリングを実施し、早期に発生状況を把握することにより、漁業被害の軽減を図ることが必要と考えております。このため道としては、道総研水産試験場や漁協の協力のもと、太平洋沿岸の被害が発生している海域では週1回、さらに、被害の発生していない太平洋、日本海、オホーツク海沿岸において月1回の頻度でモニタリングを実施し、プランクトンが確認された場合などは、調査の頻度や地点を増やし監視体制を強化する考えであります。

3 赤潮等被害緊急調査事業費について

(浅野)

 現時点において、深い海域の被害が明らかになっていないと承知します。このことから、道としては、今定例会の補正予算案に約2,720万円の「赤潮等被害緊急調査事業費」を計上しており、漁場環境等の実態調査を行うとのことだが、具体的にどのような調査を行うのか伺います。

(水産振興課長)

 漁場環境等の実態調査についてでありますが、本道太平洋沿岸での漁業被害は、秋サケやウニのほか、ツブやタコにも及び、今後も被害の拡大が懸念されることから、被害が明らかになっていないツブなどが生息している深い海域の被害状況を把握する必要があります。このため道では、漁業被害を受けた日高、十勝、釧路、根室管内の各漁業協同組合毎に、ダイバーによる潜水調査が実施不可能な水深約30メートルから150メートルの漁場において、水中カメラを使用し、ツブやタコなどの生息状況を確認するとともに、海底の堆積物を採取し、分析を行うこととしております。

4 漁場環境改善緊急対策事業について

(浅野)

 一方国では、1119日に閣議決定した経済対策の中で、「北海道赤潮対策緊急支援事業」が盛り込まれています。そして1126日に閣議決定した補正予算の中では、令和3年度補正予算案として「漁場環境改善緊急事業」、また「環境・生態系保全緊急対策事業」など15億円が計上されているが、そのうちの「漁場環境改善緊急対策事業」について、これにより漁業被害の防止や軽減を図るため技術開発や調査を行うとしていますが、事業の概要を伺うとともに、道としてどのように対応していく考えなのか伺います。

(水産振興課長)

 漁場環境改善緊急対策事業の概要などについてでありますが、国の補正予算案に盛り込まれたこの事業は、本道における漁業被害の軽減を図るため、道と道総研水産試験場などが共同で事業主体となり、赤潮の発生を引き起こすプランクトンを早期に把握するためのモニタリング技術の開発のほか、赤潮発生メカニズムの解明や発生を予測する手法の開発に加え、今回確認されたプランクトンが水産生物に与える影響を調査する内容となっております。道としては、事業内容の詳細について国と協議を進めるとともに、事業を有効に活用し、モニタリング技術の精度向上により赤潮の発生の早期予測に務めるなど、漁業被害の軽減につなげてまいる考えであります。

4 漁場環境改善緊急対策事業について-(再)

(浅野)

  先日、道総研が「赤潮が発生した海域から生物を移動させないことが妥当」という見解を示したとの報道がありました。現時点における道総研の見解について改めてどのようなものなのか伺うとともに、仮に移動が制限されると、今後、親ウニの不足など種苗生産への影響も懸念されると思いますが、道は、どのような認識をしているのか伺います。

(水産局長)

 ウニの種苗生産への影響などについてでありますが、釧路管内の浜中、厚岸、昆布森、釧路市漁協の各漁協では、例年、親ウニを上磯郡漁協などの種苗生産施設に提供し、放流に必要な種苗の生産を委託しておりましたが、今般、上磯郡をはじめとする渡島管内の各漁協から「親ウニの移動により赤潮の拡大が懸念される」との声を受け、釧路管内の漁協から、道に対し、試験研究機関の見解を求められたところであります。道総研中央水産試験場からは、「道東海域で発生しているプランクトンについては、生物特性が解明されておらず、影響が計り知れない現段階で、親ウニの搬出を控え、赤潮の分布範囲を人為的に拡げるリスクを避けることが妥当」との見解が示されたことから、道では振興局を通じ、釧路管内の各漁協に情報提供したところであります。

 なお、令和4年度に放流する種苗は確保されていることから、5年度以降に放流する種苗の生産に必要な親ウニの確保が課題となっており、道としては、親ウニの提供が困難となった場合を想定し、赤潮が発生していないオホーツク海などの親ウニの活用などの対策について関係漁協などと協議を進めており、引き続き、試験研究機関の協力を得ながら、今後の種苗生産と放流事業に支障が生じないよう取り組む考えであります。

5 環境・生態系保全緊急対策事業について

(浅野)

 同じく国は、「環境・生態系保全緊急対策事業」で漁場環境の回復に取り組む漁業者を支援することとしていますが、事業の概要を伺うとともに、道は、どのように取り組むのか伺います。

(水産支援担当課長)

   環境・生態系保全緊急対策事業の概要などについてでありますが、この事業は、赤潮の被害が発生した海域において、漁業者等が行うウニ殻等の除去や処分、生き残ったウニの放流など、漁場再生の活動を対象として、道や市町村、漁業関係団体で構成する「地域協議会」を経由して、漁業者や漁協などの「活動組織」に支援する仕組みとなっております。国は事業の詳細について、今後決定することとしており、道としては、漁業関係団体などと連携し、地域の漁業実態や被害状況に応じた取組に本事業が有効に活用できるよう国と協議を進め、漁場環境の回復が早期に図られるよう取り組んでまいる考えであります。

6 今後の対応について

(浅野)

 今般の赤潮被害は北海道町村会会長である白糠町の棚野町長がおっしゃるように激甚災害であり、今後しばらく被害を受けたウニなどは数年間の生産が見込めない極めて漁業経営に深刻な被害を与えているものです。被害を受けた漁場の回復や生産が回復するまでの間の漁業経営対策など長期に及ぶ対策が必要となり、我が会派の代表格質問において桐木議員が訴えていたように、中長期にわたる漁場・生産の回復、漁業者への支援に関する具体的なロードマップを示すことを示して欲しいと強く求めている声が聞かれます。道として今後、赤潮対策にどのように対応するのか伺います。

(水産林務部長)

 赤潮対策に関して今後の対応についてでありますが、本年9月、本道の太平洋沿岸において赤潮が発生して以降、ウニやサケが大量にへい死するなどの甚大な漁業被害により、漁業生産はもとより漁業者の経営に、複数年にわたり深刻な影響が及ぶことが懸念されております。

 このため道では、広範囲に及ぶ漁業被害に対応するため、甚大な被害を受けたウニなどについては、生産が回復するまでに一定の期間が必要であることから、国の事業を活用し、ウニ殻等の除去・処分や、生き残ったウニの放流など、漁場環境の回復に向けた活動に取り組む漁業者の皆様などに支援するとともに、関係団体と連携し、実質無利子の漁業振興資金やセーフティネット資金などの活用促進に努めるほか、漁業共済制度や積立ぷらすなどの経営安定対策の充実や強化に加え、複数年にわたり漁業者が支援を受けられるよう国に働きかけるなど、生産回復に向けた取組を計画的に進め、漁業者の皆様が将来にわたり安心して漁業を営むことができるよう、しっかりと取り組んでまいる考えであります。

(浅野)

只今、部長から答弁があり、国の様々な事業を活用しての支援に取り組むとのことですが、道の独自の真水の対策もしっかり検討して欲しいとの声があるので、改めて、今後の課題の一つとして道の支援についても考えていただきながら一日も早い生産回復に向けて取り組んでいただきたい。このことについては、改めて知事へ質問を伺いたいと考えているところであり、委員長の取り計らいをお願い申し上げます。

(二) 流木等による被害について

1 十勝川流域などの状況について

 次に十勝地方における流木被害等について伺います。

大雨の影響で先月来、十勝地方の太平洋側沿岸に大量の流木が漂着し、毛ガニやホッキ漁などへの影響が懸念され、さらには流木が再び海へ流入することも懸念されており、漁業への影響などについて伺います。また、流木による被害を抑制する治山事業などの対策も必要と考えるが、併せて道の見解を伺います。

(総務課長)

 流木対策についてでありますが、11月9日から10日の大雨により、十勝川河口付近の海岸に漂着した流木による漁具などへの被害は、現時点において報告されておりませんが、道では、漂着した流木が再び海に流出し、漁業被害が生じないよう北海道開発局と連携し、海岸からの撤去を行っているところであります。道では、森林や河川などからの流木の発生を抑制するため、平成28年に河川管理者である国や市町村、森林組合、漁業協同組合などが参画する「十勝地域海岸漂着物対策推進協議会」に流木検討部会を設置し、治山事業の活用により、流木を留める治山ダムの設置や渓流沿いの樹木の維持管理、土砂の崩壊を抑制する森林づくりなど、流木の発生を抑制する対策に取り組み、成果の検証を行ってきたところであります。こうした検証の結果を踏まえ、平成29年度から令和2年度までの4カ年で、十勝管内の5地区において対策を実施したところであります。

2 今回の低気圧被害の状況について

(浅野)

 今月1日にも低気圧の被害により十勝地方を中心に発生した暴風で、防風林などで多くの倒木があり、風倒木のまま放置されると、農業への影響などが懸念されると考えますが、風倒木被害の状況と今後の対応について伺います。

(水産林務部次長)

 風倒被害についてでありますが、道では11月30日からの発達した低気圧により、12月7日現在、新得町の製材工場の破損1件を確認しているほか、帯広市で約2ヘクタール、芽室町で約3.4ヘクタール、中札内村で約4.7ヘクタール、更別村で約7.4ヘクタールの、合計17.5ヘクタールの風倒被害を確認しており、主に防風林が被害を受けているところであります。防風林は、強風から農地や人家を守るなど、農業はもとより、地域の住民生活においても重要な役割を果たしていることから、道としては早急に防風林を再生し、その機能を回復させることが重要と考えており、地元市町村や森林組合などと緊密に連携し、速やかに被害の全容を把握するとともに、応急的な倒木の処理などに取り組んでいるところであります。今後は、森林所有者や農家など地元の方々の意向を丁寧に伺いながら、治山事業や森林整備事業など、被害木の搬出や被害跡地への植林に必要な予算を確保し、地域と一体となって被害森林の早期再生に取り組んでまいります。

二 太平洋クロマグロの資源管理について

(浅野)

 次に太平洋クロマグロについて質問します。

「中西部太平洋まぐろ類委員会」WCPFCと呼ばれる国際的な漁業管理機関で、我が国は、最大の漁業国かつ消費国として大きな責任を持ってクロマグロの資源管理に取り組んでいると承知します。国内における漁獲数量管理についても、平成27年から29年までの試行期間を経て、30年からは、30kg以上の大型魚と30kg未満の小型魚を区分した、過去に例を見ない厳格なTAC管理が適用されていることと承知します。

 TAC管理導入開始から今年で4年目となり、本道各地の浜では、私の地元、留萌管内でもそうだが、着実にクロマグロ資源量が増加しているとの実感から、TAC配分数量の増枠を求める声が多く寄せられているところです。また、漁業者が厳格な資源管理に取り組んでいる一方、個人の趣味でマグロ釣りをされているプレジャーボートなどの方々が、クロマグロを捕っている事例についても、不公平だという強い不満の声も聞かれるところです。

これらのことを踏まえて、以下、伺います。

(一)TAC数量と漁獲の推移について

 TAC制度が導入された平成30年漁期以降、本道へのクロマグロのTAC配分数量及び漁獲量、その消化率の推移について伺います。

(漁業管理課長)

 クロマグロのTAC配分数量などについてでありますが、本道へのクロマグロのTAC配分数量と漁獲量については、平成30年は、配分数量216.7トンに対し、漁獲量は81.7トンで、消化率は37.7%、令和元年は配分数量291.3トンに対し、漁獲量は195.5トン、消化率は67.1%、令和2年は配分数量433.3トンに対し、漁獲量は327.8トン、消化率は75.6%となっており、平成30年以降の配分数量、漁獲数量、消化率は増加しております。

(二)配分数量の有効活用について

(浅野)

 配分数量、漁獲数量、消化率、いずれも増加をしてきているとの答弁ですが、クロマグロの漁獲枠が非常に制限されている状況にあることから、せっかく配分されたものは十分に消化して、有効活用していくことが、非常に重要であると考えます。道のこれまでの対応について伺います。

(漁業管理課長)

 配分数量の活用についてでありますが、道では、国から配分されたクロマグロのTAC数量を、漁獲実績などに基づき、定置網漁業とそれ以外の漁法に区分し、振興局毎に配分しており、厳格な数量管理が可能となる一方で、クロマグロの来遊が少ない地域や、悪天候により出漁日数が少ない地域などでは、配分数量を十分に消化できない状況も発生しています。

このため道としては、漁獲状況の把握の徹底に努めるとともに、漁業者の要望を踏まえ、配分数量に過不足が生じないよう、振興局間で速やかに融通するなどの調整を図り、クロマグロのTAC配分数量の十分な活用に取り組んでいるところであります。

(三) 漁獲枠の増枠について

(浅野)

 冒頭申し上げたように、資源管理が功を奏して、近年、クロマグロの資源量が増加していることを受けて、日本政府としても国際会合WCPFCにおいても、3年連続、本年も含め4年連続で資源配分の増枠を求めてきたと承知します。その結果、12月7日に行われた年次会合において、大型魚が15%増枠することが正式に決定したとの報道がされています。

国際会合において漁獲枠の増枠がなされた経緯と結果について改めて伺うとともに、道はどのように受け止めているのか伺います。

(漁業管理課長)

 漁獲枠の増枠についてでありますが、近年のクロマグロ資源が、回復傾向にあることから、国はWCPFCにおいて漁獲枠の増枠などを提案しておりましたが、12月1日から開催された本年の年次会合において、小型魚の増枠は見送られたものの、大型魚については15%の増枠が認められ、令和4年は、4,882トンから5,614トンとなるほか、総枠の17%を上限に、未利用の漁獲枠を翌年へと繰り越す特例措置を3年間延長することなどが決定されたところであります。道としては、関係団体とともに、国に対しクロマグロの増枠を求めてきており、今般その一部が認められたものと考えておりますが、小型魚については増枠は見送られたことから、引き続き国に働きかけていく必要があると考えております。

(浅野)

新聞報道等で、日本政府の代表を務めた水産庁の高瀬審議官が、国際的に認められたことは一定の成果だとコメントを出したとのことで、道もそのように受け止めていると思いますが、答弁にあったように、小型魚については増枠は見送られました。私の地元でも中小零細企業的に漁業を営んでいる方からすれば、小型魚をメインに獲る方が多く、今後の重要なテーマとして、引き続き道も国に働きかけをしていただきたいと指摘します。

(四)クロマグロの遊漁について

 漁業者が真面目に枠を守っている中で、個人の趣味でプレジャーボートなどでクロマグロを捕っている人がいることに対して、強い憤り、不満の声を私も伺っている。漁業者同様に規制する必要があるのではないかということについて、201912月に一般質問で伺った際に、「遊漁船業者や遊漁者などに対して、クロマグロの採捕を自粛するよう、チラシの配布、ポスターの掲示、さらには、ホームページなどを通じて広く周知をする、それとともに、道の取締船により協力を呼びかけているほか、先般、漁業団体とともに、遊漁も含めたTAC管理を国に要請した」との答弁がありました。

 資源管理を徹底していくためには、漁業者だけでなく遊漁をされている方への対応も必要と考えるが、これまで国や道はどのような取組を行ってきたのか、また今後どのように対応をするのか伺います。

(サケマス・内水面担当課長)

 遊漁への対応についてでありますが、平成30年から、クロマグロがTAC管理の対象魚種となり、漁獲量が制限された一方、遊漁者による採捕は、報告義務が規定されておらず、数量を管理する仕組みがなかったことから、道では、資源管理に支障が生じないよう、遊漁者に対し、採捕を自粛するよう協力を求めるとともに、国に対し、採捕を制限する仕組みを構築するよう要請してきたところであります。こうした中、漁業法に基づき設置されている広域漁業調整委員会では、国の方針により、遊漁者に対し、本年6月以降の小型魚の採捕禁止と大型魚の採捕量の報告を義務付けたことに加え、8月21日以降、大型魚の採捕を禁止したところであります。

 道では、こうした規制内容の遵守を図るため、ホームページなどを通じて、広く遊漁者に周知するとともに、水産庁とその出先機関であります北海道漁業調整事務所と連携しながら、現地における巡回指導を行っているところであり、今後も、遊漁者に対する周知や指導を徹底してまいる考えであります。

(五) 今後の対応について

(浅野)

 第3管理期間において私の地元留萌管内は、与えられた枠を残していたものの、他地域が大幅に超過し、次の管理期間以降、一律で制限されるという扱いを受けていることに対し、非常に不満を持っている方が多くいらっしゃいます。一方、超過してしまった道南の漁業者の方も、やむを得ず網に入ってきたものを獲ってしまったという事情もあり、先般の新聞報道では、網に入ったクロマグロを放流する際に、他の魚も出て行ってしまう、そういうことを繰り返しているうちに、南かやべ漁協では約2億5千万程度の被害が生じているとの新聞報道もされています。

 今後、漁獲枠の増枠が実現したとして、それに伴い本道に配分される漁獲枠の増枠が期待されるところですが、漁業者が納得できる漁獲枠の配分や有効活用、また遊漁に対する規制などを踏まえ、道として今後どのようにクロマグロの資源管理を進めていくのか伺います。

(水産局長)

 今後の対応についてでありますが、国では、このたびのWCPFCの決定を受け、今後、都道府県に対し、増枠分を含めた令和4年のクロマグロのTAC数量を配分するとともに、クロマグロの遊漁の採捕を禁止する措置が令和4年5月末日までとなっていることから、その後の対応に向けて検討を行っているものと承知しております。

道としては、漁業者の意見を十分に反映するため、全道のクロマグロ漁業の代表者などが参画するクロマグロTAC数量管理委員会において、地域毎の配分や融通が、公平で円滑に行われるよう協議し、配分量の有効活用に努めるとともに、小型魚を含めたさらなる増枠や、遊漁による採捕の規制について、引き続き国に要請するなど、クロマグロ資源の適切な管理を推進し、漁業経営の安定に向けて取り組む考えであります。

三 全国漁港漁場大会について

(浅野)

 最後に、全国漁港漁場大会について伺います。

本道の水産業は、主要魚種である秋サケやイカ、サンマなどが想定を超える不振が続いています。それに加えコロナ禍での外食需要の低迷による価格低下、また本年9月以降の、冒頭質問で触れた赤潮被害など、非常に漁業を取り巻く環境は厳しいものがある。この様な中、漁業の生産活動を維持し、活力のある漁村地域の発展を図っていくためには、漁業生産の回復と安定に加え、地先資源の増大を図る漁場施設の整備、漁業者が安全に生産活動を営める漁港の整備を着実に進めていく必要があると考えます。

今年の10月に漁港や漁場の整備促進や、事業予算の確保を全国に訴える「全国漁港漁場大会」が函館で開催される予定でありましたが、コロナ過の拡大により昨年に引き続き中止となりました。このことについて、以下、数点伺います。

(一)大会の概要と本道での開催状況について

  全国漁港漁場大会は、農林水産省や各都道府県の漁業関係者など、多くの方々が参加する、水産業において大変重要な大会であると認識していますが、本大会の概要と本道でのこれまでの開催について伺います。

(漁港漁村課長)

 全国漁港漁場大会の概要などについてでありますが、全国漁港漁場大会は、水産業や漁村の重要性を広く認識し、漁港・漁場整備の推進と漁村地域の振興を図ることを目的として公益社団法人全国漁港漁場協会が主催する大会であり、全国から漁業関係者や自治体が参加し、漁港・漁場の計画的な整備などに関する国への提言などが採択されております。本道では、昭和29年、41年、平成6年の計3回、いずれも札幌市で開催されており、来年は、27年ぶりに4回目の大会の開催が決定されております。

(二)大会中止の経緯と来年の予定について

(浅野)

  今年の本大会は、全国で開催される予定であったため複数の全国行事と同様に、コロナの感染拡大防止のため中止になったものと推察をされますが、本大会中止の経緯と来年の予定について改めて伺います。

(漁港漁村課長)

  大会が中止となった経緯などについてでありますが、大会を主催する全国漁港漁場協会では、新型コロナウイルス感染防止の観点から、参加人数の大幅な削減や歓迎レセプションを中止するなど、開催に向けて検討を行ってきましたが、全国的に感染が拡大し、収束が見通せない状況にあったことから、参加者の安全性が確保できないと判断し、今年の9月3日に、開催の中止を決定しました。その後、10月21日に開催した協会の理事会において、次回大会は、令和4年10月19日に、函館市で開催することを決定したところであります。

(三)道の対応について

(浅野)

 来年の10月19日に開催決定したと答弁を頂きましたが、その時期も今のような落ち着いた状況で開催できればと私も願っています。来年の大会を充実したものにするためには、運営体制をしっかり整え、計画的に準備を進めていく必要があると考えます。そこで、大会の開催に向けた道の今後の取り組みについて伺います。

(漁港漁村課長)

 開催に向けた準備についてでありますが、道ではこれまで、北海道漁港漁場協会や函館市などで構成する第71回全国漁港漁場大会北海道開催実行委員会に参画し、本年予定していた大会の開催準備を進めてきたところでありますが、来年の大会開催に向け、関係者と連携を図りながら、新型コロナ感染防止対策を講じた運営実施計画の策定に協力するとともに、大会を後援し、関係機関との調整を行うなど、大会の円滑な開催に向け計画的に準備を進める考えであります。

(四)来年の大会における取組について

(浅野)

   本大会では、全国で最大の水産物供給基地である本道から、全国へ漁港・漁場・漁村の整備促進を訴えることで、大変大きな効果が期待できるものと考えます。また同時に、函館市で全国漁港漁場大会を開催することで、全国から訪れる多くの参加者に対して、本道の水産業や漁村の魅力をPRする絶好の機会であるとも考えますが、来年、函館市で行う予定の大会についてどのような考え方で開催に臨むのか、道の考えを最後に伺います。

(水産基盤整備担当局長)

  来年の大会における取組についてでありますが、函館市で開催される大会には、前回の広島での大会と同様に、全国の漁業関係者や自治体などから1,000人を超える参加者が見込まれており、大会のメイン会場となる函館アリーナにおいて、漁港・漁場整備の推進と漁村地域の発展に向けた提言の採択や地元水産物のブランド化や漁港を活用した賑わいづくりなど全国各地の先導的な取組の事例発表が予定されております。また、大会に合わせ実施を予定している歓迎レセプションや近隣の漁港などの視察、地元の食材や文化の紹介などを通じて、漁港や漁場整備の重要性はもとより、本道の水産業の魅力や食と観光を広くアピールし、参加者の心に残る、実りのある大会となるよう取り組んでまいる考えであります。

(浅野)

 答弁頂いたように、実りのある魅力的な北海道の水産物、食と観光もPRする大会となることをご期待申し上げて、私の質問を終わります。

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