9月2日北方領土対策委員会で質問を行いました。

8月31日、一か月以上の拘束期間を経て、第十邦晃丸の皆様が無事解放されました。解放の経緯、再発防止に向けた今後の道の取り組みなどについて質しました。

また、8月28日に開催された北方領土返還要求東北・北海道国民大会における決議についても質しました。「北方四島の一括返還」の文言が使われていますが、果たしてそれが現実的に可能なのかどうか、可能ならば、道として今後何年のスパンでそれが実現すると考え ているのか等について質しました。

【総務部所管】平成27年北方領土対策特別委員会開催状況

開催年月日 平成27年9月2日(水)
質 問 者 北海道結志会 浅野 貴博 委員
答 弁 者 北方領土対策本部長、北方領土対策局長、参事

第10邦晃丸の解放について

昨日に無事解放されました、広尾漁協所属のさけ・ます流し網漁船 第十邦晃丸について伺いたいと思います。小型さけ・ます流し網漁船は知事許可であり、道の水産林務部の皆さんをはじめ、今回の拿捕の発生から、土日祝日もなく、時には昼夜を分かたず対応にあたっていただいたものと思います。その皆様の努力が実って今回無事解放となったこと、道民の一人として心から感謝申し上げたいと思います。

1. 質問 :

31日付けの「広尾漁協所属船 第十邦晃丸の解放について」という経過のペーバーをいただきまして、道としては、31日の午後6時半に水産庁から連絡があったとのことでありますけど、あらためて邦晃丸の解放が決まってから、どういう経緯で道に連絡がいったのか、その流れを教えてください。

答弁 : 中島国際漁業担当課長

解放に係る道の対応についてでありますが、道におきましては、8月31日、18時30分頃、水産庁から「本日、17時30分に、サハリン州国境警備局から在ユジノサハリンスク総領事館に対して、第十邦晃丸の乗組員全員と船体を解放する旨の通報があった。」との連絡を受け、直ちに、その旨を漁船が所属する広尾漁業協同組合へ連絡したところでございます。

その後、水産庁から、同日19時頃に、第十邦晃丸が国後島古釜布沖を出航し、根室市花咲港に入港する予定との連絡があったことから、根室振興局に対しまして、到着した乗組員の状況を確認するとともに、直ちにメディカルチェックを受けられるよう、関係先との調整について指示したところでございます。

2. 質問:

乗組員の皆さんは、既にメディカルチェックを終えられて、広尾の方にお帰りになっているかと思うんですが、健康状態に問題はないと報道されておりますけど、あらためて道として把握されているところを教えてください。

答弁 : 中島国際漁業担当課長

乗組員の健康状態についてでありますが、船長など乗組員の健康状態につきましては、これまでも、在ユジノサハリンクス日本総領事館から定期的に船長と電話連絡を取り、健康状態は問題ないことを確認していたところでございます。

しかしながら、これまで約1ヶ月半と長期間にわたり、船内での生活を余儀なくされておりましたことから、花咲港到着後、直ちに、根室市立病院におきまして、医師である根室振興局長立ち会いのもと、院長自ら、船長など乗組員全員のメディカルチェックを行った結果、全員の健康状態に問題がないことをあらためて確認したところであります。 

3. 質問:

第十邦晃丸が拿捕された間、乗組員の皆さんご本人はもちろんですけども、ご家族の方も大変な心労があったと思うんですね。ひたすら状況が見えない中で帰りを待つというのは非常に辛かったかと思うんですが、ご家族の皆さんに対して適宜情報を伝えたりだとか、そうした精神的なケアというものをどのようにされていましたでしょうか。

答弁 : 中島国際漁業担当課

地元関係者への対応についてでありますが、道といたしましては、第十邦晃丸がロシア側に拘束されて以降、一日も早い帰還を心待ちにしておられる、ご家族や関係者の皆さんの不安を払拭するために、乗組員の健康状態などについて、速やかに、漁船が所属する広尾漁業協同組合へ情報提供するなど、関係者と情報の共有を図るとともに、医薬品や食料などの物資の補給などについて、国へ働きかけてきたところでございます。

4. 質問:

無事、家族のもとに乗組員の皆さんお帰りになって、家族との再会をして時間を過ごしていただいて、心身ともに休めていただくのが何よりも今大事なんですけども、同時に今回なぜ472kgもの超過が発生してどのような経緯でロシア国境警備局に拿捕されたのか、そして、今後同じようなことが起きないためには、

答弁 : 飛田水産林務部次長

事実関係の確認についてでございますが、ご承知のとおり、第十邦晃丸につきましては、9月1日19時30分頃、地元でございます十勝港に入港いたしたところでございます。

道といたしましては、船長を始めとする乗組員は、7月17日に拿捕されて以降、1ヶ月半と長きに亘りどうしたらいいのか、事実関係の調査がこれから必要になると思うんです。まずは乗組員の皆様とご家族に休んでいただいたうえでですけど、今後、そうした調査の実施に向けて道はどのようなスケジュールを考えているのか伺いたいと思います。

拘束されておりましたことから、まずは、家族の方々との再会が何よりも優先されるべきものと考えております。

今後、早急に、船長をはじめとする乗組員に対しまして、事情聴取を行い、事実関係などを明らかにしたうえで、厳正に対処してまいりたいと考えております。

また、今後、このような拿捕事件が繰り返されないよう、日ロ地先沖合漁業をはじめとする対ロ漁業に出漁する漁業者並びに漁協に対しまして指導を徹底するなど、再発の防止に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

是非、再発防止の取り組みをしていただきたいと思います。

北方領土対策本部長の根室管内訪問について

5. 質問:

続きまして、先月の当委員会で答弁いただいた中で、笠置本部長が8月5日以降、根室管内を訪問されて、地元の方と色々な意見交換をされる旨の答弁をいただいておりました。実際に、笠置本部長はどのような日程で根室管内を訪問され、どのような方々と面会をされて、どのような意見交換をされたのか、その詳細を教えてください。

答弁 : 宗万参事

本部長の根室管内訪問についてでございますが、先ほどご報告申し上げた色丹島への四島交流事業にあわせまして、先月6日、10日、11日の3日間で、根室管内1市4町や関係団体などを訪問し、地域の現状などについて意見交換を行ったところでございます。

面会の内容などにつきましては、各市町では、首長をはじめといたします幹部職員、千島連盟の理事長などの方々と面会をいたしまして、各市町の課題や取組をはじめ、北方領土問題対策協会、いわゆる「北対協」の根室市への移転、外務省職員の配置、さけ・ます流し網漁の禁止に伴います影響などにつきまして幅広く意見交換を行いました。

この中で、北対協の移転と外務省職員の配置につきましては、全般に消極的であり、さけ・ます流し網漁の禁止につきましては、根室市で深刻な影響があるなどの説明があったところでございます。

6. 質問:

訪問して交わされた意見交換の内容について、今後、道として、北方領土問題の解決に向けてどのように活かしていくお考えなのかを笠置本部長に伺います。

タイトなスケジュールの中での訪問、本当にご苦労さまでございました。

答弁 : 笠置本部長

ただいま、参事の方から申し上げた日程で、色丹島への交流事業の前後の期間を利用いたしまして、根室管内1市4町を訪問させていただきました。

市長、町長、いずれもご多忙の中、時間を割いていただきまして、限られた時間ではございますが、先ほど申し上げた地域の課題などを伺うことができたことは、大変に有意義であったと思っております。

今後とも、地元の皆様方のお話を伺いながら、より効果的な返還要求運動にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

ロシア政府首脳による北方領土訪問について

7. 質問:

ロシア政府首脳による様々な私どもにとって受け入れ難い行動が最近目立っております。

先月の委員会の時点では可能性が報じられている段階でありましたけど、実際に8月22日、メドベージェフ首相が、今回択捉島を訪問されました。

これについては、道としても遺憾であるという見解を、可能性が報じられていた段階でおっしゃっていましたが、実際に訪問がなされてしまった中で、今どのような見解を持っているのか教えてください。

答弁 : 宗万参事

メドベージェフ首相の択捉島訪問についてでございますが 今般、メドベージェフ・ロシア首相が再三にわたります日本政府の抗議を無視し、北方四島に三度目の訪問をしたことは、領土問題の解決に向け、プーチン大統領の訪日に向けた調整が進められている中での行動でございまして、元島民の方々の憤りや不安な心情を考えますと、極めて遺憾であると考えているところでございます。

道といたしましては、訪問当日、直ちに外務省にロシア政府に対する抗議の申し入れを行いますとともに、知事談話を発表したところでございます。

8. 質問:

メドベージェフ首相の択捉訪問に関連して、ロシア政府のロゴジンさんていう副首相がツイッターなどの手段だったらしいんですけど、「日本人はおとなしくハラキリすべき」などとの発言をされているとの報道もありますが、これについて道はどう考えますか。

答弁 : 宗万参事

指摘の発言についてでございますが、不愉快で腹立たしい思いでございますが、このような非建設的な発言について、いちいち反応する必要はないと考えているところでございます。

9. 質問:

私どもにとっては、受け入れ難い行動が続いているのですが、残念ながら現実的にロシアが実効支配をしている北方四島にロシアの政府首脳が訪問するということを私達が止めるのは現実的に厳しいというのは悔しいですけど、それが今の状況でございます。

こうしたロシアによる北方領土の”ロシア化”をどう食い止めていくかということを考える時に、8月5日の委員会で道は「問題解決のためには、そもそも北方四島が一日も早く返還されることが必要である」という答弁をされていますけど、「北方領土が一日も早く返還されること」をどう実現させるかというのは非常に難しいんだと思います。

ロシア政府による強硬姿勢が続いておりますけど、一日も早く四島を日本に取り戻すためには、何が必要であると道は考えていますか。

答弁 : 宗万参事

北方領土返還に係る道の取組についてでございますが、最近における北方領土に対するロシア側の様々な動きは、いずれも我が国の立場と相容れないものでございます。

道といたしましては、政府に対しまして、毅然とした態度で、領土問題の早期解決に向けた外交交渉を一層加速するよう望んでおり、そうした国の交渉を地域から後押しするためにも、先日、多くの皆さんが参加して開催いたしました北海道・東北国民大会をはじめ各地で取り組んでおります街頭啓発や署名活動などの返還要求運を粘り強く展開していくことによりまして、国民世論を高めていくことが大切であると考えております。

2015北方領土返還要求北海道・東北国民大会について

10. 質問:

今答弁にありました、北海道・東北国民大会について最後にお伺いしたいのですが、その前に一点、先ほど中司議員から質問がありましたけど、8月31日の北方領土墓参が中止となった経緯について、篠原局長からご説が明ありましたが、先ほど答弁の中であった、日本側として受け入れられない書類の提出を求められたと、具体的にどんな書類だったのかあらためて教えてください。

答弁 : 篠原北方領土対策局長

書類の関係についてでございますが、書類は従来と同じものを提出しており、その記載内容について修正を求められたということで私は伺っております。それ以上のことについては、外務省の方から説明はいただいておりません。

11. 質問:

書類の種類自体は同じで、内容がこれまでと違うものを書くように求められたということなんですね。それについて局長も同行されている中で、外務省職員の方に実際に何があったのか、当然説明を求めたと思うのですけど、これは道主催の墓参事業ですけど、主催の道職員に対してもその場で外務省職員は何も教えてくれなかったんですか。

北方領土問題、外務省だけで解決できる問題じゃなく、道の皆様、広く国民と力を合わせなきゃいけないところでして、そういう中で、現場でそういう事態が発生したことに対して、実施主体の道に対する説明がなかったことは、日本外務省に対して私は非常に残念な思いです。

道と外務省が一体となってこれから解決に向けて活動していかなければならない中でちょっと心ない対応だなと私は思いますので、それは別のルートで、どういうことがあったのか私なりに話を突き詰めていきたいと思っております。

答弁 : 篠原北方領土対策局長

内容についてでございますが、先ほど中司議員にご説明したとおり、書類内容については、一切、私ども確認したところ、お話はいただいておりません。以上でございます。

12. 質問:

最後に、北海道・東北国民大会の質問に移りたいと思うんですが、8月28日、当時ソ連軍によって北方領土が侵攻された日に、2015年度の大会が行われました。

本大会が北方領土問題解決に向けてどのような効果を発揮したと道は評価されているのかお聞かせください。

答弁 : 宗万参事

北海道・東北国民大会についてでございますが、この大会は、北海道・東北の元島民をはじめ、返還要求運動の関係機関、団体が一堂に会しまして、北方領土の早期返還実現を求める国民世論の結集を図り、国の外交交渉を支えるとともに、確固たる意思のもと、粘り強く返還要求運動を推進していくことを目的に開催されているものでございます。

先月28日の今年度の大会には、約600人が参加し、ふるさと北方領土の返還を切に願う元島民の方々の声をお聞きし、戦後70年を迎えた今年、参加者全員が北方領土の早期返還への思いを共有し、今後とも返還要求運動を強力に展開していく決意を新たにすることができたと考えております。

13. 質問:

本年は札幌市のみならず道内各地でこうした活動がされていたと思うんです。私の地元の留萌管内でも、留萌振興局から街頭行進の案内をいただいたところだったんですが、こうした全道各地で一斉に行動を起こすというのは本年度初めての取組なんでしょうか。

答弁 : 宗万参事

委員お問い合わせについてでございますが、今年は戦後70年という年、また残念ながら北方領土が未だ返還されない70年という年で、委員のご指摘にもありましたとおり、今年は特に全道で行動しようということで実施したものでございます。

14. 質問:

14振興局ごとの行動だったと思うんですけど、どこの振興局がそれぞれがどんな活動・行動をしたのか、ざっと教えてください。

全道各地一斉に行動を起こすということに意義があったと思うんですが、街頭行進が全てではないにしても、出来る限り多くの地元の方々が集まって目に見える形で一斉に行動を起こすというのを、それこそ全道各地で行うということが、来年以降、同じ取組をされるのであれば、そういう形になるのが望ましいのかなと私は感じています。

いずれにしても戦後70年という節目の年に、新たな取組を道としてされたことは、私は評価すべきではないかと思っております。

答弁 : 宗万参事

全道の各振興局等における取組についてでございますが、委員の皆様等にもご出席いただきました石狩・道央地域における啓発街頭行進、こういった啓発のための行進につきましては、渡島総合振興局、浅野委員の地元の留萌振興局、釧路総合振興局において実施いたしました。

また、そのほかの総合振興局・振興局におきましては、人が多く集まりますJRの駅前、大型ショッピングセンター、道の駅などで北方領土の早期返還を訴える街頭啓発とあわせて署名活動を行いましたほか、例えば宗谷総合振興局ではFM放送によるPR、他の振興局では広報車による啓発活動、そういったものに取り組んだところでございます。

15. 質問:

続きまして、国民大会の大会決議についてですが、その中に「北方四島の一括返還の実現に向けて、毅然たる姿勢で外交交渉に臨むこと」という文言があります。

何度もこの委員会で述べてきましたが、北方四島の一括返還の実現を求めるというのは、日本政府の領土交渉に係る公式見解とは異なるんじゃないかと思っているのですけど、あらためて道の見解をお示しください。 

答弁 : 宗万参事

大会決議についてでございますが、北方領土の返還を巡っては、様々なご意見がございますが、「四島一括返還」につきましては、「『北方四島の帰属の問題を解決してロシアとの間で平和条約を締結する。』という政府の基本方針を踏まえまして、北方四島の返還を願う強い思いを表明したものであると認識している。」との考えが国において示されているところでございます。

今回の大会決議には、道内及び東北地区の皆さんの一日も早い返還を願う強い思いが込められているものと認識をしております。

国の外交交渉を地域から後押していく、国民が一丸となって返還要求運動を盛り上げていくということであれば、およそ実現が無理と思われることを訴えるよりは、最終的に四つ返してもらう、そうした現実的な返還のことをですね、道としても訴えるべきだと考えております。このことについては今後も委員会等で発言して参りたいと思います。

16. 質問:

北方墓参がこれまでにない内容の記載を求められて中止せざるを得なくなった、またロシアの首相、政府首脳が次々と四島に訪問して行く、また新たなロシア政府による開発計画が立てられて巨額の予算がつけられている。

実際にインフラ整備も進められている、北方四島のロシア化は一層進んでいるところですけど、その中で「北方四島の一括返還」、つまり歯舞・色丹・国後・択捉、この四島がいっぺんに日本に返ってくる、これは果たして実現可能なんでしょうか。

可能ならば、今後何年の中でどういう経過をたどっていけば四島が一括して返ってくると道は考えているのか、その認識を最後に伺いたいと思います。

答弁 : 宗万参事

一括返還への道筋についてでございますが、北方領土問題は、日露政府間の外交交渉で解決されるものであり、道といたしまして、その時期などについてお答えすることはできませんが、国の外交交渉を地域から後押しするため、国民一丸となって粘り強く返還要求運動を展開していくことが大切であると考えております。

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