5月12日に開催された総務委員会で、地震津波対策について質疑を行いました。
4月21日、政府は道東沖の千島海溝・日本海溝を震源地とするマグニチュード9クラスの地震が発生した場合、どれだけの津波が起こり得るのかを示す新たな想定を公表しました。これに先んじて、道とは平成24年、太平洋沿岸の津波浸水予測図を策定しております。
私の選挙区は日本海側の留萌管内ですが、生まれ育ったのは道東の釧路市で、平成4年、6年、15年と、三度震度6の大地震を経験しています。道東は地震災害については非常に切迫性の高い地域です。
今回の国の想定と道の予測図はどのように異なるのか、それを踏まえ道は地元市町村への支援をはじめどの様な取組みを行っていくのか、また今回、異例のタイミングで留萌振興局長から危機管理監に就任された野村聡氏の思いも含め、今後の道の取組について質問しました。
道の答弁として、今年度中に新たな地震津波想定の策定に取り組むとの答弁がありました。
また野村監からは、「空振りは許されても見逃しは許されない。最悪を想定してやるべきことを迅速に進めていく」旨の力強い答弁を頂きました。
野村監は留萌振興局長として、国道232号線の強化をはじめ、地域の長年の懸案事項の解決に大変なご尽力を頂きました。新型コロナウイルス感染症が蔓延し、自然災害が発生した際の避難所の設置等についても、これまでにない新たな対応が求められます。
高橋はるみ前知事をして「何でも知っている、極めて仕事ができる異能の仕事師」と言わしめた辣腕ぶりを、野村監には新たなステージで、留萌管内のみならず全道のため、存分に振るって頂きたいと思います。
津波地震対策について
(浅野)
地震津波対策について ただいまご報告いただきました、道東沖の千島海溝 及び日高沖から北向きにかけての日本海溝を震源地とする、この度政府が4月21日発表した津波の想定に関して、以下道の取り組みなどについて伺ってまいります。
一 平成24年度の道の津波浸水予測図について
まず、平成24年度に道は、今ご報告のありましたように、国に先立ちまして、太平洋沿岸の津波浸水予測図を策定しております。今回の想定(政府の想定)と、道が先立って作った予測図とどのように異なるのか、まず伺います。
(危機対策課長)
今回の国のモデルとの違いについてでありますけれども、道では、東日本大震災の教訓を踏まえ、有識者によるワーキングループを設置し、最大クラスの津波 を想定した津波浸水予測図を平成24年6月に公表したところであります。 今回、国で示されたモデルと比較しますと、根室から渡島までの津波堆積物の調査資料から検討している 点は共通しておりますが、道のモデルでは、千島海溝沿いのみを震源域としているのに対し、国のモデルでは、千島海溝沿いと日本海溝沿いの2カ所に震源域が構築されているところであります。
津波の高さについて比較いたしますと、道東方面は、道の予測より低くなっている傾向にある一方で、えりも町から西側の地域は、高くなっている傾向にあるところでございます。
二 役場機能の維持について
(浅野)
今回、国が示した想定では、役場庁舎が浸水するとみられている市町村もいくつかあります。平成24年度の道の想定と比較した場合に、両者はどのように異なるのか伺うとともに、役場機能の維持に向けて、道として市町村に対し支援していくのか伺います。
(危機対策課長)
災害時におけます市町村業務の継続などについてで ございますが、市町村庁舎は、災害が発生した場合に 必要となる様々な対策の拠点となる施設でありますこ とから、災害時でも業務が継続できることが重要でございます。今回の国のモデルでは、浸水するとされた 市町の庁舎は24あり、平成24年度の道の津波浸水予測と比較しますと同数でありますが、今回、新たに浸水するとされたものが1庁舎、反対に浸水しなくなるとされたものが1庁舎とされたほか、浸水の高さについても変動があったところであります。
これまで、関係市町におきましては、道の浸水想定に基づきまして、庁舎の移転や代替庁舎の指定など、庁舎機能を継続するための対策に取り組んできているものと承知しておりますが、今回、新たに浸水すると された庁舎や津波の高さが大きくなるとされた庁舎については、更なる対策の検討が必要であります。
道といたしましては、庁舎移転などに必要な財源につきまして、令和2年度までとなっている緊急防災減災事業債の恒久化など引き続き、国に要望するとともに、市町村の業務継続計画などに関し、相談や助言を 行うなど支援してまいります。
(浅野)
平成24年の道の想定を受けて役場機能を新しく整えてきた市町村からすれば、それを上回る津波が来ると今 回示されたことで、更なる財政支出をしなければいけないと、大変な思いをされているところだと思います。一番の苦労は、今ご答弁いただいたように、 市町村の財源だけではまかなえない部分をどうカバー するのかという部分ですので、緊急防災減災事業債の恒久化を国に要請するとのご答弁いただきましたので、しっかり市町村の状況を踏まえて、要望を行っていただきたいと思います。
三 道津波浸水想定の策定について
次に伺いますが、先ほどの報告で、道としても、国のものとは別に有識者によるワーキンググループを設置をして、津波浸水想定の設定を検討するとの報告をいただきました。日本海沿岸の津波浸水想定は、国が断層モデルを公表してから約2年半かかっていると承知をします。先ほどの報告では、今作業中だと。早期に設定するとのことではありましたけれども、冒頭、ご報告いただいたように、太平洋沿岸津波というのは非常に切迫性が高い。過去私も、選挙区は日本海側の留萌ですが、釧路の生まれで、平成4年と平成6年と平成15年の震度6の地震を経験してございます。過去に確かに最も巨大地震が起きている。切迫性が高い。新型コロナウイルスの対策などもありますので、非常に皆様、いつもの時よりも忙しい思いをされていると 思いますが、具体的にいつまでに設定する考えでいる のか伺いたいと思います。
(危機対策局長)
津波浸水想定の設定についてでありますが、地震や津波に対する市町村の災害対策においては、地域住民の速やかな避難が大きな課題でありまして、市町村が作成するハザードマップや津波避難計画は極めて重要でございます。そうしたハザードマップ等の作成には、 道の津波浸水想定が必要となりますが、太平洋沿岸につきましては、国において、巨大地震の発生が切迫している可能性が高いと評価されていることから、早期に設定する必要があると認識しております。
道においては、4月30日に有識者によるワーキンググループを設置したところでありまして、その中での議論を速やかに進め、令和2年度内の設定を目途に取り組んでまいります。
四 今年度の地震対策について
(浅野)
令和2年度以内に想定を設定するとのご答弁を頂きました。他にも、減災目標の策定に取り組むとのことであります。
まだ記憶に新しい地震災害に、2年前9月の胆振東部大地震があります。今回、国が想定を公表した通り日本海溝・千島海溝についても巨大地震の可能性が非常に切迫しており、地震津波対策は待ったなしの状況であると考えます。
そこで、最後に、この度、危機管理監に就任された野村監に聞きたいのですが、つい最近まで、私の地元の留萌振興局の振興局長として地域振興のために大変なご尽力を頂きました。わずか1年も満たない中で、異動というのは極めて異例でありますが、これは前教育長が急逝されるという異例の事態を受けての人事異動だと承知します。それだけでなく、新型コロナウイルスもあり、平時の危機管理とは異なる、これまでにないような状況を踏まえて、自然災害に備えていかなければならないという非常に困難な状況に対応し得る人物として、野村危機管理監が選ばれたのだと考えます。
私を含め、留萌管内の市町村長の主な方々は、今回の人事に寂しく感じている反面、全道的な危機に対応して頂ける人物として野村前振興局長が選ばれたということに、留萌管内として非常に誇りに思っています。そこで、日本海側だけでなく、全道を背負うという危機管理監として今後大きな期待を背負うお立場として、今後の思いも含めて、切迫性が極めて高い千島海溝・日本海溝側の地震に対してどのように道として取り組んでいくのか、野村危機管理監のご答弁をお願いし、私の質問を終わります。
(危機管理監)
今年度の地震津波対策についてでございますが、今回の国の公表を受け、道では、津波浸水想定設定後に、減災目標を策定することとしております。早期に策定できますよう、今後進める国の減災目標の検討にあわせ、今年度、道地震専門委員会の減災ワーキンググループにおいて、被害手法の検討にも着手する考えでございます。また、委員ご指摘のとおり、国の千島海溝沿いの地震活動の長期評価では、超巨大地震の発生が切迫している可能性が高いとされていることから、道では、地震・津波対策は喫緊の課題であるとこのように認識してございます。
こうした地震や津波から道民の命を守るため、道では、市町村や自衛隊など関係機関が連携した実践的な防災訓練に取り組みますほか、自助、共助の意識の醸成に向け、市町村などが行う研修や防災教育へ支援を行うなど、地震や津波災害への対応能力の強化を図りますとともに、ハード・ソフト両面からの総合的な対策に必要な財政 措置について、国に対し引き続き要望するなど、全力を挙げて取り組んでまいる決意でございます。危機管理の原則でございます、疑わしいときは行動する。また、最悪の事態を想定して行動する。空振りは許されるが、見逃しは許されない。
こうした決意を新たにしながら全力で取り組んでまいりたいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。
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