ロシア国会で成立してしまったサケマス流し網漁業禁止法案。漁法を変えることによって操業を今後も続けられないか、道として東京に出向き、国に対して要請活動は行っていますが、この問題はロシアとの協議が求められます。ロシアとの強いパイプを持つ有力者に対しても力添えを要請すべきでないか、また道内国会議員に対しても全員にちゃんとアポを取って面会すべきではないかと、私なりの問題意識を道に質しました。
また、6月の一般質問に続き、日本海側漁業の振興につ いても質しています。
【水産林務部所管】
平成27年第3回北海道議会定例会予算特別委員会開催状況
開催年月日 平成27年9月25日(金)
質問者 北海道結志会 浅野 貴博 委員
答弁者 水産局長、国際漁業担当課長
まず冒頭、8月31日に解放となりました第十邦晃丸が拿捕されて以来、水産林務部の皆様、山崎部長、中田局長はじめ、大変なご努力をしていただき、昼夜を分かたず解放に向けての対応にあたっていただいたこと、道民の一人として感謝を申し上げたいと思います。
日頃、皆様の道政に対するご努力に敬意を表して、以下、大きく2項目にわたって質問させていただきたいと思います。
サケ・マス流し網漁業の存続について
1.質問 :
最初に、サケ・マス漁業の存続に関してでございますが、6月、ロシア国会において、流し網漁業を禁止する法案が成立してしまいました。
道東における主要漁業であった、サケ・マス流し網漁業が、今後できなくなったところでございます。
この禁止法案が、ロシア国会で成立する前から、道として、高橋知事をはじめとして、関係者の皆様が、道東の自治体関係者とともに、国への要請活動を行ってこられたと承知しております。
そこで、国のどの機関に要請をされ、また、面会をされた国会議員をはじめ、政治関係者は誰であったのか、その活動の詳細を時系列に、ご説明いただければと思います。
答弁 : 中島国際漁業担当課長
国への要請についてでありますが、道では、ロシア国内の動きを受けまして、ロシア連邦議会での流し網禁止法案の審議開始以前から、国に対し、操業の継続について、要請を行ってきたところであり、3月3日には、知事が道議会とともに、林農林水産大臣及び中川、佐藤両大臣政務官に対し、3月12日には、荒川副知事と水産林務部長が、漁業関係団体とともに、農林水産省、水産庁、外務省、道内選出の国会議員に対し要請を行ったところ。
お会いできたのは、佐藤農林水産大臣政務官、自民党の今津議員、伊達議員、伊東議員、武部議員、前田議員、堀井議員、民主党の鈴木議員、公明党の横山議員でありました。
また、6月10日及び11日には、水産局長が、根室市などの地元自治体や漁協、関係団体、さらには、水産林務委員長などとともに、農林水産省、水産庁、外務省、道内選出の国会議員に対し要請を行い、お会いできたのは、林農林水産大臣、佐藤大臣政務官、城内外務副大臣、自民党の今津議員、伊東議員、中村議員、民主党の小川議員、佐々木議員、鈴木議員、徳永議員、共産党の紙議員、畠山議員でありました。
6月15日には、知事が、根室市長とともに、安倍首相に対し、6月25日には、副知事が、農林水産省、水産庁、外務省、道内選出の国会議員に対し要請を行い、お会いできたのは、佐藤農林水産大臣政務官、民主党の鈴木議員でありました。
その後、6月29日に、ロシア水域における流し網漁業禁止法が成立しましたことから、7月2日に、副知事を始めとして、地元の自治体、漁協、関係団体、さらには、水産林務委員長などとともに、農林水産省、水産庁及び外務省、また、自民党から説明を求められたことから、自民党北海道総合振興特別委員会に対し、サケ・マス流し網漁業の禁止に伴う支援に関する要請を行ったところ。
なお、委員会開催前に、道内選出の国会議員に対し要請を行い、お会いできたのは、自民党の今津議員、伊達議員、伊東議員、武部議員、民主党の鈴木議員、公明党の横山議員でありました。
7月6日には、知事が、林農林水産大臣、佐藤大臣政務官に対し、7月10日には、現地調査のため道庁を訪問された、佐藤農林水産大臣政務官と本川水産庁長官に対し、知事が要請を行ったところであります。
2. 質問 :
詳細な説明ありがとうございました。
今月にも、高橋知事はじめ、荒川副知事が上京されて、同じように要請活動を行われていると思うんですけども、その際に、要請した機関はどこで、また、面会した国会議員をはじめ、政治関係者は誰か、詳細を教えてください。
答弁 : 中島国際漁業担当課長
9月2日の国への要請についてでありますが、道では、北海道北洋漁業対策本部において「ロシア200海里水域における流し網漁業禁止に係る対策」を取りまとめたことから、9月2日に、知事を始めとして、地元の自治体、漁協などとともに、林農林水産大臣をはじめ、中川、佐藤両大臣政務官へ、また、農林水産省、水産庁のほか、外務省、厚生労働省、国土交通省、中小企業庁へ要請したところです。
加えて、自民党や公明党から、対策について説明を求められたことから、関係者とともに、自民党の「ロシア200海里サケ・マス流し網漁禁止による根室・釧路地域緊急対策本部」や公明党の農林水産部会に要請したほか、道内選出の国会議員などに要請を行い、お会いできたのは、副知事が民主党の鈴木議員、水産林務部長が徳永議員であります。
また、民主党から説明を求められたことから、9月8日に、民主党北方対策プロジェクトチームに要請したところであります。
3. 質問 :
今月の道の皆さんによる、国への要請活動に際してですね、詳細に説明いただいた道内の国会議員をはじめ、政治関係者の方々への要請に際しては、事前に、先方にアポイントメントを取っていましたか。
取った人、取らなかった人の区別が、もしあるのであれば、その理由も併せて教えてください。
答弁 : 中島国際漁業担当課長
アポイントメントについてでありますが、9月2日の要請につきましては、サケ・マス流し網漁業禁止に伴う対策に関して、対策の主要部分を水産庁が所管していることから、農林水産大臣及び両大臣政務官のアポイントメントを取ったところです。
また、自民党と公明党からは、対策についての説明を求められたことから、農林水産省への要請後に、自民党の対策本部などへ説明を行いました。
このほか、限られた時間での要請であったことから、個別の国会議員の方々については、アポイントメントを取らなかったところです。
また、9月8日に、民主党からの要請を受けまして、北方対策プロジェクトチームに対し、説明を行ったところであります。
4. 質問 :
サケ・マス漁業の今後の操業に関しては、流し網という漁法ではなくて、代替漁法による継続を地元の方も望まれていて、これから、その距離が縮まると思うんですが、これは、ほとんどロシアとの外交交渉になって参ります。
ということは、ロシアと直接パイプのある有力な政治関係者の方への要請も、私は行うべきだったと思うんですが、今月、道の要請並びに、これまでのサケ・マス流し網漁業の存続に関しての要請においてもですね、例えば、ロシアと強力なパイプのある、プーチン大統領と直接ファーストネームで呼び合う、元総理の森喜朗さんだとか、新党大地の鈴木宗男代表だとか、そういった方々は要請先に含まれていたのか。
含まれていなかったのなら、それは何故か教えてください。
答弁 : 中島国際漁業担当課長
要請先についてでありますが、このたび道が取りまとめた対策は、漁業対策、水産加工業などの関連産業対策、雇用対策、地域振興対策の4つを柱としており、国において対策を所管する水産庁、国土交通省などの省庁のほか、道内選出の国会議員に対し要請を行ったところであり、森元総理や鈴木新党大地代表には、要請を行っておりません。
5. 質問 :
9月11日の、我が会派の代表質問に対し、高橋知事は、「地元から強い要望があった漁法転換によりサケ・マス操業を継続するためには、ロシア側との協議が必要であり、その早期実現を国に要請した」と答弁されております。
こうしたロシア側との交渉に係る物事に関しては、今、私が述べたような強いパイプを有する関係者への働きかけをすべきであり、それについては十分ではなかったと考えますが、道の認識はいかがですか。
答弁 : 中田水産局長
関係者への協力依頼についてでありますが、サケ・マス流し網漁業の日ロ政府間協議につきましては、これまでも、水産庁及び外務省が、政府代表としてロシア政府と操業条件などの協議を行ってきており、流し網に替わる漁法につきましても、ロシア政府との協議が必要であることから、国では、ロシア側に対し、協議の申し入れを行っているところであり、道といたしましては、早期に協議が開始されるよう、水産庁や外務省などに対し、要請を行ったところであります。
6. 質問 :
実際に漁法転換によるサケ・マス漁業の継続実現に向けて、現時点での手応えは如何か教えてください。
答弁 : 中田水産局長
漁法転換の見通しについてでありますが、流し網の禁止を強く主張し、法案の提出者である、ロシアのマトビエンコ上院議長は、流し網以外の漁法による操業の可能性について言及しており、また、法案においても、流し網漁法だけを禁止していることから、道といたしましては、代替漁法による、サケ・マス漁業の継続について、国に要請しているところです。
このため、国においては、ロシア政府に対し、代替漁法について、協議を開始するよう申し入れている中、水産庁から、先般9月21日に開催された日ロ外相会談において、代替漁法の在り方に関する議論を含め、両国の実務者で協議をしていくなど、日ロの漁業分野の協力に、前向きに取り組んでいくことを双方で確認した旨、連絡を受けたところであり、道といたしましては、今後の推移に期待しているところであります。
7. 質問 :
重ねて申し上げますが、漁法転換によるサケ・マス漁業の継続実現は、日本国内で決められることではなく、ロシアとの協議をしなくてはなりません。
道としても、今からでもですね、ロシア側との強いパイプを有する政治関係者の方、必ずしも現職の国会議員ではなく、そうした方々への働きかけもすべきだと思いますが如何でしょうか。
答弁 : 中田水産局長
関係者への働きかけについてでありますが、サケ・マス流し網漁業の操業条件については、水産庁及び外務省が、政府代表としてロシア政府と協議を行ってきており、道では、代替漁法の実現に向け、引き続き、水産庁、外務省及び道内選出の国会議員など、幅広く要請していく考えであります。
指摘 :
私がこのような質問をしているのは、与野党、オール北海道、オールジャパンの体制をとって、この問題にあたらないと、サケ・マス漁業の存続は難しい、そのためには、オール北海道、オールジャパンの体制を是非とってほしい、また、道内選出の国会議員の方に対しても、できる限り事前にアポをとって、直接面会できる方には面会して、強い思いを伝えるということは、是非やっていただきたいという思いからであります。
もし、要請時間が限られているということであれば、ある程度、上京した際の時間に余裕をもってとるだとか、そのために出張旅費が嵩むとなったとしても、それに対して、道議会から文句は出ないと思います。
是非とも、オール北海道、オールジャパンの体制をとるということを道が先導してほしいと、そのことを指摘をいたしまして次の項目に移りますが、今、始終議論した、この問題に関しましては、知事の方に直接お伺いしたいと思いますので、委員長より、よろしくお取り計らいのほどお願い申し上げます。
【水産林務部所管分】
平成27年第3回北海道議会定例会〔予特質問〕開催状況
開催年月日 平成27年9月25日(金)
質問者 北海道結志会 浅野貴博 委員
答弁者 水産基盤整備担当局長、水産振興課長
日本海側漁業の振興について
8. 質問 :
二つ目の日本海漁業の振興について、伺ってまいります。
他の委員の方からも質問が出ておりますが、オホーツク側、太平洋側と比較しまして、私の地元の留萌管内を含む日本海側漁業というのは、非常厳しい状況におかれております。
もっとも差し迫った問題である、トドなどの海獣被害への対応が、何より肝要であると考えます。
特に留萌管内は、後志管内、宗谷管内に続きまして、平成26年度で、3億9千7百万円と管内別で3番目に高い被害が生じております。
アザラシによる被害については、7千6百万円と、直接・間接を含めて、管内別で最も深刻な被害が生じておる地域でございます。
直接的な海獣被害の対応として、漁業者に対する直接補償制度の創設が必要ではないかと、本年6月26日の一般質問において、私が質問させていただきました。
それに対して、山崎部長からですね「引き続き、漁業団体と連携して、国に対して、漁具や漁獲物の被害、休漁による所得の減少に対する、漁業者への直接的な補償制度の創設を粘り強く求める」という答弁をいだいておりますが、直接的な補償制度の創設に向け、これまで、道は、具体的に、どの漁業団体と、どのような連携をして、国のどの機関、政治関係者に対して、要請を行ってきたのか説明を求めます。
答弁 : 冨髙水産振興課長
国への要請についてでありますが、道では、これまで日本海の漁業振興を図るため、北海道漁連をはじめ、日本海沿岸の19の漁協で組織された「北海道日本海沿岸漁業振興会議」と連携し、具体的な海獣被害対策の検討を行ってきたところでございます。
そうした中、平成25年1月に、水産局長が日本海漁業振興会議、市長会や町村会などとともに、農林水産省及び環境省の政務三役をはじめ、道内選出の国会議員や水産庁に対し、食害や漁具被害等への補償制度の創設を要請したところでございます。
また、26年2月には、日本海漁業振興会議が札幌市で開催した「日本海トド漁業被害対策緊急集会」に、知事や水産林務部長、道議会議員、農林水産大臣政務官、道内選出の国会議員や水産庁が出席し、この中で各地の組合長や町村長が、拡大するトド被害による漁業経営への深刻な影響など、浜の切実な実情を訴えたほか、駆除頭数の拡大や強化刺し網の開発、さらには、被害補償を含めた抜本的な対策を求めたところでございます。
さらに、道では、北海道漁業協同組合長会から漁業被害への補償制度が必要との要請を受け、平成24年度から国に対し、漁具の破損や漁獲物被害に対する補償制度の創設を要請してきたところであり、直近では、本年7月に、水産林務部長が水産林務委員会の正副委員長とともに、農林水産省の政務三役をはじめ、衆参両院の農林水産委員長、道内選出の国会議員や水産庁に対し、提案・要望を行ったところでございます。
9. 質問 :
そのような要望活動を重ねていただいている中で、漁業者への直接的な補償制度の実現に関しての今のところの手応え如何でしょうか。
答弁 : 山口水産基盤整備担当局長
補償制度に対する国の反応についてでありますが、道は、これまで、関係団体と連携し、海獣被害に対する直接的な補償を要請してまいりましたが、国におきましては、トドに苦しめられている漁業者の厳しい状況は理解しつつも、海獣を含めサルやシカなどの野生鳥獣は、本来、人間と共存していく自然環境の一部という考えを基本としており、現時点では、被害防止対策を充実させることにより、海獣被害の対応を優先することとしているところでございます。
10. 質問
トドもアザラシも生き物ですので、人間と共存していくという理念に反対するものではないのですが、かと言って、我々生きて行かなければなりません。
現実に生じている被害に対して、防止しきれない部分に対しては、どうしても補償というものを直接的な補償というものを、今後求められると思うのですが、国として中々腰を上げていただけない状況の中で、道として、国ではなく、道として、漁業者に対して直接的な補償制度を創設する考えはありませんでしょうか。
答弁 : 山口水産基盤整備担当局長
道による直接補償についてでありますが、トドは、国際自然保護連合により準絶滅危惧に指定され、国際的に保護すべき動物とされております。
国内における捕獲につきましては、水産庁が定めた「トド管理基本方針」に基づき、毎年の捕獲頭数の枠が示されていることなどから、道としましては、トドによる漁業被害に対する補償は、トドの管理を行っている国において対処すべきものと考えておりまして、今後も、引き続き、漁業団体などと連携し、国に対して補償制度の創設を粘り強く要請してまいりたいと考えております。
指摘 :
道としても、厳しい財政状況の中、色んな対策をしていただいているのは承知しております。
是非とも、今後とも国に対して補償制度の創設、引き続き直接的な補償制度の創設を粘り強く訴えていただき、喫緊な課題である海獣被害対策に力を入れていただきたいと、そのことを指摘いたしまして質問を終えます。