8月に留萌振興局で発生した新型コロナウイルスの集団感染事例を受け、今後の道の対応について質問しました。
感染された職員の方々が健康を回復されることがまず第一です。感染してしまうことは誰にでもあることで、感染することは犯罪でも何でもありません。
しかし今回の事例は、道が道民に対して要請してきた数々の自粛内容に道職員が自ら反した結果生じたものであり、道民の信頼を損なうことにつながりました。
自分たちの行為の結果生じたことの影響が、自分たちだけでなく所属組織全体に及ぶことしっかりと反省し、職務に復帰した後は、道民の信頼を取り戻すべく、ぞれぞれの職務にこれまで以上にまい進してほしいと願います。
9月7日の総務委員会での質問の内容を以下お伝え致します。
一 道職員の新型コロナウイルス感染症感染防止への取り組みについて
(浅野)
先月の23日と24日、私の地元留萌の留萌振興局の若手職員が相次いで新型コロナウイルスに感染され、クラスター感染事例として報告される事態となりました。当該職員の方々は、その前の週に深夜遅くまで5人以上で集まって飲食していたということも明らかになっております。まず前提として申し上げます。新型コロナウイルスに感染してしまうことは犯罪でもなんでもありません。感染された職員の方々の一日も早い御回復をお祈りしながら、以下質問させて頂きます。
(一)道の認識について
今回のクラスター事例というのは、不要不急の外出を控える、会食をするなら4人までとする、会食の際にはマスクを着用して大きな声で会話をしない、長時間を避けるといった、道が道民の皆様にお願いをしている様々な要請を道職員が自ら破ったことに他なりません。
本来であれば、仕事終わった後のプライベートな時間を楽しく仲間同士過ごすことは何ら責められることでもありませんし、地域の経済のためにも飲食店を活用して頂くことは本当にありがたいことです。しかし、少なくとも道が道民にお願いしているルールは守られなくてはなりません。道職員自ら道民に対する要請を破ったという重い事実は厳重に受け止めていただかなくてはいけないと私は考えます。
8月25日に宇野稔弘振興局長は保健行政の田坂禎室長と一緒に記者会見をされ、地域の皆様にお詫びをされておりましたが、留萌地域のみならず、道内の色んな方から私の下にも失望と憤りの声が届けられました。これまで道職員の方が感染された事例はありますが、振興局単位でクラスターになってしまったのは、留萌が初めてかと承知します。今回の事態をどのように受け止めているのか、まず道の認識を伺います。
(人事局長)
この度の感染事案についてでありますが、道では、飲食における感染リスクを回避するため、飲食の際には、4人以内、短時間、マスク着用などの「黙食」の実践を道民の皆様にお願いをしてきている中、道職員が「黙食」を徹底せず、感染が拡大したことは、あってはならないことと考えてございます。この事案の判明後、速やかに所属長から職員本人に対し厳しく注意・指導を行ったほか、全庁職員に対し、改めて飲食の際の「黙食」の徹底を呼びかける通知を発出したところでございます。また、先月の26日に開催されました北海道新型コロナウイルス感染症対策本部会議におきまして、職員一人ひとりが危機意識を共有し、今一度、感染リスクを回避する行動を徹底することにつきまして、知事から幹部職員に対し、改めて強く指示をしたところでございます。
(浅野)
「あってはならないこと」という、田中局長からご答弁といただきましたが、残念ながら道庁に対する道民の信頼を傷つけることに繋がってしまったと考えます。道の一員として、道民に対して示しがつく形で感染防止に取り組んでいる多くの職員の方々に対しても信頼を裏切ってしまうことに繋がったでしょうし、懸命にこの間コロナ対策に最前線で従事してくれている医療従事者の方々はどう感じたことでしょうか。
また24日は、留萌振興局主催の再生可能エネルギーに関するセミナーを予定されておりました。これは総務部主管の事務ではありませんけども、洋上風力をはじめとするゼロカーボン北海道実現に向けた今後の取り組みに留萌管内がどのような貢献ができるかを地域の皆さんで勉強する会が翌日に控えている中での今回の発生ですので、留萌地域の未来の発展に向けた最初の貴重な一歩が踏み出せなくなってしまったということに繋がりました。そのことも非常に重く受け止めていただきたいと考えています。
(二)職員の教育等について
知事部局の道庁組織、大きく分けて本庁と14の振興局から構成されていると承知しますが、それぞれ本庁と比較して各振興局は、当然ながら所属している職員の人数に大きな違いがあると承知をします。このことを踏まえて、以下質問します。
1 若手職員の教育について
今朝頂いたデータによると、本庁の職員、今年度の4月1日時点では約3,600人、留萌振興局の職員は、その10分の1の360人、これだけでも規模の違いがあります。組織全体の人数が少ないということは、それだけ所属部局を横断して職員同士のつながりが密になりやすい、特に若手の方々は何部に所属していようが他の部局の職員と顔見知りになりやすく、仲良くなって仲間意識を持ちやすいという、そういう特徴があると思います。
このことは本来、何も責められることではなく、むしろ好ましいことであって、農政部にいても、総務部にいても、水産林務部にいても、所属組織を超えて他の部局の職員仲間となって、それぞれ知見をお互い深め合って切磋琢磨するという環境が地方の振興局で生まれるというのは、本当に素晴らしいことですし、皆さま方も振興局での勤務を経験されたときは、そういうご経験をされてきていると思います。そこに20代という若さゆえの未熟さが今回の事態を起こしたことにつながったと考えます。
道庁の職員である自分たちが道民にどう見られているか、「これぐらいなら大丈夫だろう」という認識からくる行動が、自分たちだけではなくて振興局、道庁全体にどのような影響を与えるのかということに、認識が至らなかったのだろうと思います。
起きてしまったことは今更取り返しがつかないですが、今後は、こういう若手職員の教育をより一層充実させてほしいと考えます。自分の行動が道民の目にどのように映るのか、若手の方々一人ひとりに強く自覚をもてる、自分のそういう教育が、これからもコロナ禍で厳しさを増している中、一層求められると考えます。留萌振興局のみならず全ての振興局において、一層求められると考えますけれども、今後どのように取り組んでいくのか伺います。
(人事課長)
若手職員に対する取組についてでありますが、道では、職員一人ひとりが、高い倫理感と責任感を持って行動することが重要であるとの認識のもと、これまで、職場研修などを通じて、公務員としての使命、責任の自覚や服務規律の確保、法令遵守の徹底などを図ってきたところでございます。また、新規採用職員の増加に伴いまして、「若手職員の早期育成」を人事施策の基本方針の柱の一つとして位置づけ、若手職員向けの研修カリキュラムを充実させるとともに、職場の身近な先輩が日常的に相談に乗り、助言する「新規採用職員サポーター制度」を導入いたしまして、指導する立場の先輩職員も含めた若手職員全体の早期育成と意識向上に努めてきたところでございます。
道といたしましては、今後とも、こうした取組を通じまして、道庁の将来を担う若手職員が、公務員倫理の意識をより一層強く持ち、道民の信頼に応えられるよう、人材育成に努めてまいる考えでございます。
(浅野)
2 幹部職員による指導について
留萌地域は、振興局でクラスターが起きる前の5月にも、留萌市役所でもクラスターが起きていまして、「一体留萌は何をやっているんだ」と言われているところであります。本庁にも多くの苦情のご意見が寄せられていると思うんですけども、今回はそれぞれの当事者の自覚が十分でなかったことが最大の要因であると思いますが、振興局長はもちろん、先輩にあたる幹部の職員の方々の日ごろの指導がどうであったかということもしっかりと検証されなければいけないと思います。
振興局長は地域における感染防止に対しても非常に危機感をもって日頃職務に当たっていただいているというのは感じております。ただ若手の職員一人一人と振興局長、副局長などの幹部が日常的に話していることも少ないでしょうし、私自身も道議として若手の職員と日頃話をすることもまずありません。
であるならば、より身近な所属部署の課長、また課長以下の1年、2年先に入所した先輩だとか、そういう身近な人が、「お互いに意識を高めていこう」、「食事するにしても道民にお願いしていることを自らしっかり守っていこう」と声を掛け合う身近な指導体制をより一層見直してほしいと思いますが、この点に関する認識をお伺いします。
(人事局長)
管理職員への対応についてでありますが職員による感染防止に向けた取組については、これまでも繰り返し、飲食時における感染リスクを回避する行動の徹底などについて周知しているところでありまして、管理職員がそうした通知等に基づきます取組の徹底や注意喚起などを部下職員に対し行ってきている中で、職員がルールを守らずに感染する事態となったことにつきましては、重く受け止めているところでございます。
こうした事案の再発防止に向けましては、職員一人ひとりが責任を自覚し、各職場において一体感をもって対策が徹底されることが必要であり、そのためにも、これまで以上に庁内のタテ・ヨコのコミュニケーションを密にし、情報の共有化を図っていくなど、管理職員の担う役割は、極めて重要となりますことから、今後とも、様々な機会を通じ、管理職員としての意識の醸成が図られるよう取り組んでまいります。
(浅野)
(三)今後の取り組みについて
若手職員の自立や今あったようなタテ・ヨコのコミュニケーションを図っていく、そんな取り組みは振興局だけではなく道庁全体で行っていただかなくてはいけないというのは言うまでもありませんし、コロナ禍に限らず全ての道行政を進めていただく上で必要な措置だと思います。
今年の4月28日に、留萌市内に事業所を置く17の介護事業所が連携をして、コロナ禍を乗り越えるために情報共有し、協力をしていこうという目的の下、「るもい介護事業所コロナ対策連絡協議会」という組織が発足しました。私も発足に至るまでに事務局の一人として関わったのですけれど、その協議会からは、例えば留萌振興局はじめ地域の振興局の職員が本庁と行き来をする際、公務で出張などする際は、行った先、また戻ってくるときに自主的に抗原検査やPCR検査をして、陰性を確認し、十二分に気をつけた上で、職務に復帰して欲しいという提言をしたことがあります。今回、残念ながらクラスターが起きてしまいましたので、こうした民間の様々な団体からの提言というものについても今一度検討すべきと思います。
また、日本政府としても、鈴木知事としても、道民の皆様に、このお盆の間の帰省は是非とも控えて欲しいとお願いをしていました。どうしてもそれをしないと生活の根幹、命に関わるという用事以外の不要不急の外出についてはしないでほしいという要請がなされてきましたが、道職員自身がお盆の期間など休暇中に不要不急の外出をしていないかどうか、それも今一度チェックをして見直しをする必要があると思います。特にお盆の期間中、まん延防止等重点措置の区域となっていたところとの出入りなどはなかったかどうか、個人の行動一つ一つチェックをして縛るということまでは出来ないかもしれませんが、道が要請していることを職員が破っていた事例はなかったかどうかというのをしっかり見直していただきたいと思います。
これらのことも踏まえて、道職員の感染防止の取り組みを今後どのように強化して、本道の感染拡大防止を図り、道民からの信頼回復に努めていくのか、最後に伺います。
(職員監)
今後の取組についてでありますが、今回の事案につきましては、本道において感染拡大が続き、広く道民の皆様に大変厳しいお願いをしている中で、職員がルールを遵守せず起こした集団感染事例であり、極めて遺憾なことであります。道といたしましては、二度とこのような事案が生じないよう、職員の感染防止への取組を強化するためにも、ただ今委員からご指摘もありましたように、地域の皆様からのご意見などにも真摯に耳を傾けながら職員個々の体調管理の徹底や不要不急の外出や移動を控えることなど、職員それぞれの自主的な感染防止行動の確実な実践に向け、改めて強い自覚を促すよう、今後ともあらゆる機会を通じまして、周知徹底に努めてまいります。
また、感染防止対策の徹底はもとより、若手職員をはじめとする職員のコンプライアンスの徹底のほか、コロナ禍にあっても風通しの良い職場環境づくりに努めるなど、再発防止に向けて取り組んでまいります。
(浅野)
今、職員監から自主的な職員個人の取り組みを徹底する、強化するという答弁がありましたが、道職員は自主的にしっかり取り組んでくれているのだろう、道民にお願いしている以上、道職員一人ひとりが率先して黙食のルールなどを守っているのだろうという信頼のもとで今回が起きたということ、改めて強くご指摘を申し上げたいと思います。
その上で最後に申し上げます。冒頭申し上げたように、コロナに感染してしまうということは犯罪行為ではありませんし、何よりも今、感染してしまった職員の方々の健康が守られることが大事だと思います。ご本人たちもまだ20代と若い方々です。私も含めこの場にいる皆さん誰もが完全無欠な人間ではなくて、職務上でも私生活でも様々失敗をして誰かに迷惑をかけてきているものだと思います。この後、ご本人たちの健康が回復をして、今後何らかの処分が下されることになると思います。処分が下されて本人達が十分反省をした後は、それぞれの持ち場で仕事に邁進することによって道民に恩返しをしていく、道民に対して失われた信頼を取り返していくというチャンスを与えて下さい。今回の失敗を踏まえて、より良い道職員になれるよう、道としても指導していただきたいと最後に申し上げて質問を終わります。
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