『地方公営企業法の全部適用』というものがあります。これを道立病院に適用させれば、院長の上に事業管理者が置かれ、職員の採用や勤務条件の設定等、柔軟な経営が可能となります。プロ野球で言えば、院長がチームの監督なら、事業管理者はGMといったところで しょうか。6つの道立病院で累積欠損金が522億円ものぼるなか、新たな手を打つ必要があると私は考えます。
平成27年11月 保健福祉委員会 開催状況
開催年月日 平成27年11月4日(水)
質問者 北海道結志会 浅野貴博 委員
答弁者 山中 博 道立病院室長 竹澤 孝夫 道立病院室参事
「新・北海道病院事業改革プラン改定検討会議」 に係る中間報告について
1.質問 :
道立病院の地方公営企業法全部適用の是非については、既にご報告いただいたとおり、評価委員会においても、8月のうちに既に早期に全部適用の移行を検討すべきとの意見が出されておりました。
今回の中間報告でも、やはりこれをやるべしとの意見が出されております。
検討の具体的な決断の時期を聞く前に、実際に全部適用の移行を始めるとすれば、今日の時点で判断して明日から全部適用になりますというものではないと思いますが、様々な具体的な、様々な事務的手続き等を含めて実際に適用が始まるまでの準備期間として、どれくらいの時間を要するのかを、まず伺いたいと思います。
答弁 : 道立病院室参事
経営形態見直しに伴います準備についてでございますが、全部適用に移行する場合には、組織のあり方や給与体系、職員の勤務条件や採用方法などの検討のほか、給与等の条例や企業管理規程の制定など、移行に向けた準備作業が生じますため、他県の例によりますと、1年から2年程度、作業期間が必要と考えているところでございます。
2.質問
1年、2年の決して短くない時間がかかる、この地方公営企業法の全部適用について、評価委員会でも、今回のプラン改定検討会議でも、やるべしとの意見が出されたいま、道としてはどのように取り組むのか、スケジュール感を持った答弁をお願いしたいと思います。
答弁 : 道立病院室参事
経営形態見直しに関する今後の対応についてでございますが、経営形態のあり方につきましては、これまで、外部有識者から成る新・北海道病院事業改革プラン評価委員会から地方公営企業法の全部適用へ移行することについてのご提言を受け、病院事業の経営形態に関する他県調査などを実施してきたところでございます。
また、本年3月に、国から示されました「新公立病院改革ガイドライン」におきまして、新たな改革プランの策定が要請され、その中で、「経営形態の見直し」についても検討を求められておりますことから、現行プランを改定することとし、プラン改定検討会議において、ご議論をいただいてきたところでございます。
道といたしましては、今回、検討会議からいただいたご意見を踏まえながら、今後、医育大学や関係部局との調整を進め、経営形態の見直しについて、道としての考え方をとりまとめてまいりたいと考えております。
3.質問 :
その道としての考え方を、とりまとめ作業をいつまでに終えて、具体的に「全部適用するぞ」と、道としての最終的な決断をいつ下すかということを伺いたいと思うのです。
いま答弁いただいたように、国の「新公立病院改革ガイドライン」においても、地域医療構想の策定とあわせて、地域医療構想の策定と実際の適用時期との整合性を十分にとるようにとの指示があったと承知をしています。
1年、2年準備期間にかかるということを考えたときに、「道としての考えを取りまとめます」という答弁ではなくて、具体的にいついつまでに決断を下して、実際の適用に向けた作業に入るというお考えを是非示していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
答弁 : 道立病院室長
全部適用への移行についてでございますが、道としては、今後、地域医療構想の検討とともに、現行の病院事業改革プランを改定することとしております。
経営改善に向けた取組をより実効性の高いものとするためにも、平成28年度末を目指しまして、プランの改定作業を進める中で、地方公営企業法の全部適用への移行についてもあわせて検討を進めてまいります。
4.質問 :
28年度末、つまり29年3月一杯までにプランの改定作業を終えるということだと思うのです。それにあわせて検討を進めるということであれば、明言はなかなか難しいかなと思うのですが、29年の3月一杯までに、全部適用を始めるとすれば28年度、その最低でも1年前の28年3月、つまり今年度中には「全部適用をするんだ」という道としての意思を示さなければならないと思うのです。そういう理解でよろしいでしょうか。確認です。
答弁 : 道立病院室長
今後の経営形態のあり方につきましても、プラン改定の重要な視点の一つでございます。今回、意見として取りまとめていただいた見直しの方向性、またさらに検討を要するべき事項、こういうものがございます。検討会議でのご議論も十分に踏まえながら、庁内調整を進めまして、早急に道としての考え方を取りまとめたいと考えております。
指摘 :
なかなか時期は仰れないと思うのですが、残された時間というのは2年ということであれば、既にそれは過ぎているわけですから、早急に道立病院の経営改善に資すると思われるものについて、検討するのではなくて、やるんだという判断を是非下して、一歩でも早く、一日でも早く前に進めていただければと思います。
5.質問 :
最後に伺いますが、今回の提言の中では、全部適用に移行するにしても、先ほどご報告いただいたとおり、4点についてあわせて改革をしていかなければならない。
経営形態を変更しただけでは収支改善は実現困難として、トップダウン型の経営を行うだとか、人材確保を進めるだとか、様々な意見もあわせて出されております。
道として全部適用移行を実現させるにしても、同時にこれらの改革を進めていかねばならない。このことについての道の対応、見解を最後に伺って、私の質問を終えます。
答弁 : 道立病院室長
経営形態の見直しに向けた対応についてでございますが、総務省がとりまとめた経営形態の見直しに関する調査結果によれば、平成21年度から平成25年度までの5年間に地方公営企業法の全部適用に移行した112病院の平均では、経常収支比率、医業収支比率はいずれも改善が図られているものの、その一部にはその効果が発揮できていない病院も見られるところでございます。
こうした状況を踏まえまして、検討会議では、全部適用へ移行する場合でも、その効果を高めるためには、管理者の配置によるトップダウン型の経営改革と責任の明確化、人材確保策の一層の強化、柔軟で効率的な組織運営、継続して経営改革に取り組む体制の充実の4点につきまして、更なる検討が必要とのご意見をいただいたものと考えております。
今後、経営形態の見直しに係る考え方のとりまとめに向けては、検討会議からのご意見を十分に尊重していく考えでございます。
TPP協定交渉大筋合意に伴う北海道の影響 「中間取りまとめ」について
6.質問 :
今回の大筋合意はあくまで「大筋」であって、先ほどおっしゃったように、最終的な協定文書の内容が示されていない中で、本当に実際のところはどうなんだろうというのは、まだ分からないところが多々あると思うんです。今、政府が出しているものが95%か99%か分かりませんけど、残り5%、1%が出て、100%のものが出てきた時に、特段の影響がないとされているものが、もしかしたら、影響が見込まれるかもしれないという認識に変えざるを得ないことがあるかも分からないんですね。そこで、指摘であり、質疑でもあるんですけれども、今後、我が国含め、交渉参加国での批准に向けた議論を受けてですね、大筋合意、最終協定文書が出された時に、何らかの今出ている情報ではない、新しい情報が出るかもしれません。そうした時に道としては、今は「特段の影響はない。」との認識ではいらっしゃいますけれども、例えば今回のTPP合意を足掛かりに、米国等の個別国から我が国の医療分野について、何らかの解放等が求められる事態も想定ができるわけであります。道ではなく国が対応するものでありますけれども、今後決して、TPP交渉が大筋合意となったとしても、特段の影響はないとしても、未来は変わるかもしれないという、そうした認識についてですね、引き続き、十分な警戒感を持って、注視をして頂いてですね、道民生活、特に保健福祉分野について、影響が出ないように、万全の情報収集を行い、そして私ども議員に対しても、情報開示を行って頂き、道としての万全の対応をしていただきたいと思うのですが、この一点のみ私からも伺っておきたいと思います。
答弁 : 保健福祉部次長
今後の見通し等に係る認識についてでございますが、このたび、道内への影響把握については、国が合意内容の説明を順次行っている途上であることや未だ協定書として、その内容が示されていないことを踏まえ、中間的にとりまとめとさせていただいたところでございます。
今後、TPP協定の国会承認に向け、協定の内容や文言に関する法的・技術的な確認を経て各国が署名を行った後に、関連法案とともに国会に提出し、審議が行われるものと承知しております。
こうしたことから、道といたしましては、今後も引き続き、関係団体とも連携しながら、国の動向を注視し、詳細な情報の把握に努めてまいります。
また、議会にも必要の都度、情報を報告してまいりたいと考えております。
指摘 :
中間取りまとめの文言を読むだけだと、TPPに日本が入ったとしても、保健福祉分野に関しては何も影響がないんだな、大丈夫だなと安心をしたいところなんですけれど、決してそれはまだまだできないという状況でございますので、今御答弁頂いたように、随時私達にも道として得た情報を開示して頂いて、こういう場で議論させて頂ければと思いますので、今後ともお願いいたします。