道立羽幌病院における医師確保をはじめ、留萌管内の医療体制をどう守るか、北海道の見解を問い質しました。
羽幌病院では、貞本院長はじめ病院スタッフのみなさん、地元自治体の羽幌町、町会議員のみなさん、町有志のみなさんのご努力により、徐々にではありますが医師の欠員は減少されつつあります。
今のところ、麻酔科や整形外科の常勤医師がおらず、緊急手術といった救急患者への対応が十分にできない状況にありますが、一刻も早い解消に向け、今後とも道として努力を重ねる旨の答弁を戴きました。もちろん、道議の私自身も関係各位と共に汗をかいて参ります。
羽幌病院の今後の位置づけについては、あくまで地域の中核医療機関としつつも、平成28年度をめどにまとめられる地域医療構想に基づき、今後検討されるとのことです。
いずれにせよ、年間約2800万円の赤字が出てしまっている羽幌病院ですが、安易な整理統合の話がされることのないよう、注視して参ります。
平成27年第2回北海道議会定例会 保健福祉委員会(前日)開催状況
開催年月日 平成27年6月15日(月)
質 問 者 : 北海道結志会 浅野 貴博 委員
答 弁 者 : 保健福祉部長 村木 一行、 道立病院室長 山中 博、 道立病院室参事 志賀 利美、 道立病院室参事 竹澤 孝夫
道立病院について
私からは、全道にあります6つの道立病院、特に私の選出地域でございます留萌管内の羽幌病院について伺ってまいりたいと存じます。
1. 質問 : 北海道内の各道立病院の役割について
まず、道内に6つある道立病院でございますけれど、まず、それぞれがどのような経緯で設立されて、その6つのがどのような役割を果たされているのか、改めて、総論について、伺います。
答弁 : 志賀参事
道立病院の役割についてでありますが、道立病院は、広域医療や、精神医療、循環器疾患や小児疾患等に対する高度・専門医療を担い、地域医療の確保を図ることを目的として、設置しているところでございます
6つの道立病院のうち、江差と羽幌は、各地域の中核医療機関として広域医療を担い、緑ヶ丘と向陽ヶ丘は、精神科病院として、圏域における救急や急性期医療の中心的役割などを担っております。
また、北見は、オホーツク第三次保健医療福祉圏における循環器疾患等に対する高度・専門医療の中心的な役割を、子ども総合医療・療育センターは、全道域を対象とした小児高度・専門医療を担っているところでございます。
2. 質問 : 道立病院の経営状況について
今、ご説明いただいた道立病院いずれも経営状況は厳しいものがあると伺ってございます。そもそも羽幌病院に関しては、今おっしゃったように、広域医療を担う病院と言うことで、人口は少ないけれども、面積の広い、病院にとっては、患者さんは集まりづらいけれども、そこに、なくてはいけない病院ということで、採算面では厳しいと思いますが、実際にどのような収支の状況にあるのか、伺いたいと思います。
答弁 : 志賀参事
羽幌病院の年間収支についてでございますが、平成26年度の実績につきましては、まず、収益が約17億3,900万円であり、費用については、約17億6,700万円となり、事業収益を事業費用が上回りますことから、純損失は、約2,800万円と見込んでいるところでございます。
3. 質問 :
年間、2,800万円の赤字が出ているという厳しいものだと思いますが、一方でこれは、すみません、事前に通告しておりませんでしたけれど、先週土曜日の道新に出ておりました、地方公営企業法ですね、全部適用を道立病院に関しても、検討するという、高橋知事も11日におっしゃったと、記事に出ておりましたが、これは、道立羽幌病院も含めて、このようなことを今後検討されていくのか、お聞かせ願いたいと思います。
答弁 : 山中室長
全部適用に関するおたずねについてでございますけれども、道立病院にあっては、一刻も早い経営の立て直しが喫緊の課題となっておりますことから、現在、評価委員会からご提言があった、地方公営企業法の全部適用については、公共性と、経済性を担う公営企業が、より、柔軟で、自律性の高い経営の実現を可能とすることが期待できる手法の一つとして考えておりますことから、いずれにいたしましても、経営形態の見直しにつきましては、早期に、成案を得る必要があると考えてございます。
4. 質問 :
山中室長、質問通告無い中でのご答弁ありがとうございました。
高橋知事も、北海道新聞の記事を見る限りでは、様々な政策をやらなければいけないと、前例にとらわれず、いろんなことをやらなければいけないとおっしゃっておりますので、経営立て直しという面で、一刻も早い検討をしていただければと思います。5. 質問 : 医師数及び看護師の確保状況について
つづきまして、道立羽幌病院、非常に医師が不足している地域でもございます。全道的にそういう傾向があります。特に、自分の地元だから、強調して言うわけでは、ございませんけれども、本当に厳しい状況にございます。
これまでに、医師と看護師さんの確保、これまで、どんな状況にあるのか、改めて、お聞きしたいと思います。ここ、3年間の範囲でお願い致します。答弁 : 志賀参事
羽幌病院における、過去3カ年の医師及び看護職員の欠員状況についてでございますが、まず、医師について、各年の4月当初の状況は、平成25年が、定数14名に対し、配置数5名で、欠員9名、平成26年が、配置数7名で、欠員7名、平成27年が、配置数8名で、欠員6名となっており、徐々にではありますが、欠員を解消してきているところでございます。また、看護職員については、平成25年が、定数46名に対し、配置数40名で、欠員6名、平成26年が、配置数40名で、欠員6名、平成27年が、配置数41名で、欠員5名となっており、おおむね横ばいで推移してきている状況にございます。
6. 質問 :
欠員数は、ゼロにはなっておりませんけど、徐々に、徐々に、解消してきている、これは、道庁の皆様、地元の皆様の取組のたまものだと思っております。今後ともその努力、もちろん選出議員として私も、ともに、汗を流してまいりますけれども、是非とも、努力を続けていただければと思います。
7. 質問 : 医師・看護師確保に向けた取り組みについて
一方で、羽幌病院には、整形外科医の常勤の方がいません。地元で交通事故が起きて、緊急の外科手術をしなければいけないという時に、麻酔科医もいない中で、なかなか、対応出来ない状況が続いてございますけれども、羽幌町独自としても、地域医療を守るという、全国で確か、唯一の条例を制定されておりますし、「折り鶴」という、町の有志が集まった、地域医療を守っていく、羽幌病院の医師確保に向けた取組をする民間団体も平成23年に立ち上がっていると、道の働きかけ、各地域の働きかけ、道だけに、仕事を任せるんでは無くて、自らも動いている状況でございます。
そこで、道として、改めて、これまで、医師確保に向けて、道立羽幌病院の医師確保に向けて、どんな取組を行っていただき、その上で、どの診療科のお医者さんが確保できたのか、改めて、教えていただきたいと思います。
わたしどもも、進めていかなければいけないと思いますので、これ、質問では無く、こうした思いも地元にはあると言うことを、受け止めていただければと思います。
8. 質問 : 羽幌病院の救急患者受入状況と他院への搬送状況について
道立羽幌病院は、面積は広いが人口は少ない留萌管内の主に中部・北部の広域医療センターとして位置付けられていると承知していますが、急病患者の受入も当然行っておりますが、先ほど申し上げましたとおり、外科手術ができない状況において、そうした患者さんが地域で出た場合には、どうしても南の1時間かけて留萌市立病院に行ったりだとか、さらにはそこから1時間半かけて旭川の方に行かなければいけない、そういう状況にございます。
昨年度、羽幌病院で緊急患者を受け入れた件数と、そのうち羽幌病院以外の病院に搬送された事例、それぞれ件数を、その際にどんな対応をとられたのか詳細について教えていただければと思います。
答弁 : 竹澤参事
救急患者の受入状況などについてでございますが、平成26年度に羽幌病院が受け入れた救急患者の総数は1,422名で、このうち、患者の重篤度等に応じまして、羽幌病院から他の医療機関へ2次搬送したケースは96名であったところでございます。 また、2次搬送した96名のうち、43名を留萌市立病院に、残り53名をその他の医療機関に搬送したところでございます。
こうした他の医療機関へ搬送を行う場合には、羽幌病院の医師や看護師が同乗いたしまして、患者の容態の急変に備えておりますほか、搬送先の医師に直接、必要な情報を伝えるなどできる限りの対応をとってきているところでございます。
9. 質問 :
1,422名。1日にしてだいたい4人弱の急患者が出ているのかなという計算になります。そのうち、羽幌から他の病院へ搬送されたケースが96名。
そのうち、43名が市立病院で、残り53名がその他の医療機関と、非常に距離的に遠いところで同時にお医者さんも中に入っていただいてということなんですが、もしこの場で把握していたら教えていただきたいのですが、不幸にして命を落とされたケースは何件ありましたでしょうか。
答弁 : 竹澤参事
搬送中の命をなくした例についてでございますが、今手元に搬送の実績値しかございませんので、実態を調べて改めて報告させていただきたいと思います。
10. 質問 :
後ほどそれを教えていただければと思います。
11. 質問 : 他の医療機関との連携について
今ご説明いただいたようになかなか羽幌病院だけで救急患者すべてを処置できない状況にございます。ならば他の医療機関との連携が欠かせない。
そこで、例えば、旭川、上川管内では「たいせつ安心i医療ネット」と言うのでしょうか、電子カルテをネットワーク化して、患者さんの日頃の病状だとか、そうしたデータを広く医療機関で共有して、どこの病院に行っても基礎的な情報を把握できるといったネットワーク化が上川管内の方では進んでいると伺ってございます。
一方で、留萌管内、道立羽幌病院を中心とします留萌市立病院、又は遠別・天塩の国保病院、町立病院、そうしたネットワークは構築していませんし、上川圏でのそうしたネットワークにも入っていない、入っていてもデータの共有までには至っていないと伺っておりますが、今後、様々なコスト面での問題はあると思うのですが、こうしたネットワーク化を進めるべきだと。
それが地域の皆さんの安心にもつながると思うのですが、道の見解としてはいかがでしょうか。
道立羽幌病院、特に天売島、焼尻島という離島を二つ抱えている地域でもございます。
今の時期でしたら1日2便のフェリーが出るんですけれども、冬の吹雪の時は一切船が出せないという状況にございます。
迅速な情報共有によって患者さんの命を1分1秒でも救えるように体制を整えることが急務だと思いますので、必要な予算も限りがあると思いますけれども、是非それは進めていただきたい、お願いをいたします。
12. 質問 : 地元自治体などの取り組みに対する道の評価について
このような羽幌病院でございますけれども、先ほど申し上げた「折り鶴」という民間の団体、羽幌町自身、そしてこれは皆様方からすれば同じ組織内ですから、なかなか評価はしづらいかと思うのですけれども、道立羽幌病院のスタッフの皆さん、院長さんはじめ皆さんもいろんな取り組みをされております。少しでも赤字を減らしたいと、経営状況を改善したいということで、例えば、人間ドックを今年7月から新しく始めるだとか、週二回の午後の外来をもう一回再開してみるだとか、あとはなかなか地元の特にお年寄りの方からは信頼を得られてない部分もございます。不満を抱えている地元の方もいる。そういう人たちに理解を得るために「サービス向上委員会」というものをこれからまた立ち上げて、いろんなクレームを聞いたり、とにかくコミュニケーションの場を作ろうと、そうした取組をされておりますけれども、これらをしたからといって、いっぺんに赤字額が年間何十万、何百万と減っていくものではありません。
息の長い取組が求められると思いますが、一生懸命地元の皆さん頑張っておられます。
こういったことに対して道としてどのような評価をされているのか教えていただきたいと思います。
答弁 : 山中室長
中核病院としての役割についてでございますけれども、他の医療機関との機能分担を図りまして、地域に必要な診療体制を確保するとともに、地域の医療機関への医師等の派遣及び技術援助、医師等を対象とした研修会の開催、無医地区等の巡回診療を行うなどセンターとしての役割を担っていると考えております。
13. 質問 :
今の中核医療機関の定義で言いますと、今の羽幌病院はその機能を十分に果たせていない状況にあるのが偽らざる現状だと思います。しかし一方で、中核医療機関としての位置付けを変えるということも、一足飛びになかなかできない状況にもあるものと思います。これから関連質問がちょっと続くのですが、前提として、これからも羽幌病院を中核医療機関としての位置付けを道として変えずに、それにふさわしい医療機関として役割を果たせるように医師確保にこれからも努めていくという道の見解で間違いないでしょうか。まず確認をしたいと思います。
答弁 : 村木部長
羽幌病院の今後の役割も含めた位置付けでございますけれども、先ほども申し上げましたように、羽幌病院については、中核的な病院といたしまして、今後とも地域の他のセンター病院との連携などを図りまして、地域の医療提供体制の充実を図っていかなければならないと考えております。
14. 質問 : 羽幌病院の今後の位置づけ並びに役割について
今後とも中核医療機関としての位置付けのもとで、医師確保に尽力していただけるとのことですが、その一方で、皆さんのご努力していただいている中でも、なかなか病院は十分な医師が確保できていない状況にあります。例えば、道立羽幌病院には4階60床の病床があるのですが、まるまる空いている状況にございます。これをどう活用していくか。例えば、療養型のスペースとして使うのがいいのではないかとか、民間の福祉機関に貸し出すという方法もあるのではないかとか、いろんなアイデアが出ているのでありますけれども、それらをどう活用していくかということも、先ほど説明のありましたように、28年度を目処にまとめられる地域医療構想。それらができた中で、21、2次医療圏内の一つである留萌管内も今後どうするのか。そうしたビジョンができた上での今後の検討課題になるんだろうと思います。その中でも、何度も申し上げているように、面積は広いんですけど、隣近所まで数キロあるだとか、そうした特に道北の中でも、留萌管内の特殊な事情に鑑みて医療構想をまとめられた後ほども、地域の医療を守っていくんだというスタンスのもとで、留萌市立病院、天塩町立国保病院、遠別町立国保病院、そうした公の病院と連携して、本当の意味での中核医療機関として羽幌病院が地域の信頼を得て、地域の命を守っていける医療機関としての位置付けがされなければならないと、私は地元の人々の声を聞いて痛感しておるのですが、改めて道の見解を伺いたいと思います。
地元の関係者が協議する場を設けるとのことですが、具体的にどんな方々が入るのかだとか、そういう構想は固まっていないじゃないかと思います。
いずれにしても、地元の方々の意向を踏まえた上で、道としての全体のビジョンの中で、先ほども申し上げましたけれども、地域の方々がその地域を、ふるさとを出て行かなくても安心して暮らしていけるんだという、留萌に限った話ではありませんけれども、全道どこに住んでいても、大都会に出て行かないと生きていけないのだという医療体制にならないように医療構想を取りまとめた後の検討が、地域に配慮した検討がなされることを願いまして、私自身もそれに向けて頑張っていかなければならないと思いますけれども、その点を要請いたしまして、質問を終えたいと思います。
答弁 : 村木部長
羽幌病院の今後のあり方についてでございますけれども、羽幌病院は留萌圏域におけます中核医療機関といたしまして、地域の医療機関や他の地域センター病院等と連携をしながら、2次医療機能の確保に努めているところでございまして、今後ともその機能を十分果たせるよう医療提供体制の充実を図らなければならないものと考えております。
一方、道では、人口減少や高齢化の進展によります医療ニーズの変化を踏まえまして、各地域においてバランスのとれた医療を提供をしていくため、今年度から、2次医療圏を単位といたしまして、市町村、医療機関、関係者に医療の将来像を議論をしていただき、地域医療構想として取りまとめていく予定でございます。
留萌圏域におきましても、将来の医療需要や必要病床数などにつきまして、地元の関係者が協議をいたします場を設けることとなりますが、道といたしましては、羽幌病院の今後のあり方につきまして、こうした協議でのご意見も参考にしながら、道立病院として担っていくべき機能、周辺医療機関との連携などについて、検討をしてまいりたいと考えております。