一般質問を行いました。(2021年6月23日)

一般質問項目

 6月23日に行った一般質問の内容をお伝えします。今回は以下の項目について質問を行いました。

質問項目

一 少子化対策について

 (一)コロナ禍による少子化の加速について       

 (二)札幌市における周産期医療の確保について               

 (三)改正育児・介護休業法について                

二 ワクチンの優先接種について                  

三 新型コロナウイルス感染症の後遺症対策について         

四 事業者支援について                      

五 コロナ禍における地域公共交通の維持確保について        

六 一次産業の振興について

(一)規制改革会議の答申に対する道の認識について          

(二)米価安定への取組について                   

(三)果樹の凍霜害について          

(四)道産日本酒の振興について                   

(五)鳥獣被害防止について                     

(六)密漁対策について                       

七 留萌管内における洋上風力の誘致について             

八 地域連携特例校について

得られた答弁

 今回の質問に対し、主に以下の答弁が得られました。

・一(三)について(改正育児・介護休業法)

 国の助成制度に関するハンドブックの作成や、男性の育児休業の取得状況を評価する道の企業認定制度の普及、また各振興局における専門家による相談窓口の設置などに加え、今回の法改正を契機に、新たに年内を目標に事業主や従業員を対象とした各地域でのセミナーのほか、関係団体とともにフォーラムを開催する。

・二について(ワクチン接種)

 道の集団接種会場における余剰ワクチンを潜在看護師や感染者が多い札幌圏の危機管理を担う警察職員に接種する。また道として、幹部職員も含め、感染症対策や危機対策関連業務に従事をする職員への接種を優先的に行うなど、必要な対応を検討する。

・三について(コロナ後遺症への対応)

 7月中を目途に、後遺症に悩む方々の相談に早期に対応できるよう、よく出現する症状や相談窓口を記載したチラシを作成・配布すると共に、道や各保健所のホームページなどにより、積極的な情報発信に努める。

・六(三)について(果樹の凍霜害への対応)

 今回の被害により、さくらんぼでの大幅な減収が見込まれるが、なしやぶどうなど多様な果樹を栽培しており、留萌振興局では、これらの品目と組み合わせた観光農園への集客や予約販売などの取組を進めている。局地的な低温が北限の果樹地帯に与える影響は大きく、道としても今後とも普及センターによる技術指導を行うと共に、来年以降の被害に備えるため、収入保険への一層の加入促進を図り、果樹農家の経営安定と体質強化に取り組んでまいる。

・六(四)について(道産日本酒の振興)

 道産日本酒コンテストの成功に向け、日本酒を使ったスイーツの紹介や海外への発信方法など、具体的な手法について早急に検討してまいる。

・六(六)について(密漁対策)

 今後施行される水産流通適正化法による罰則規定などの周知と徹底を図るほか、警察や海上保安本部との連携を一層強化し、密漁が多発する時期や海域に漁業取締船を重点的に配備するとともに、違法漁獲物の流通実態の把握と情報共有に努めながら、海上、陸上の双方から監視体制を強化する。

・七について(留萌管内における洋上風力の誘致)

 留萌地域は風況に恵まれ、高いポテンシャルを有しているが、貴重な鳥類の生息地や渡りルートに立地することによるバードストライク等の影響に留意する必要がある。洋上風力の導入には何よりも地元住民の理解が大切であり、道としては、地域におけるセミナーや意見交換会を通じ、経済効果に加えて留意が必要な事項を紹介をするなど、洋上風力発電への理解が深まるよう取り組んでまいる。

・八について(地域連携特例校)

 苫前商業高校をはじめとする地域連携特例校はコロナ禍にあって、学校をPRする機会などに制約もあることから、今後、地域が高校存続に向けて設置をしている協議会等に道教委として積極的に参画をし、入学者増につながるよう取り組んでまいる。

質問と答弁

一 少子化対策について

(一)コロナ禍による少子化の加速について

(浅野)

 本道の人口の約45%が集中する札幌市をはじめとする道央圏で、唯一の総合周産期母子医療センターを持ち、かつ道内唯一の第一種感染症指定医療機関である市立札幌病院では、早期より一般病床を感染症病床に大きく転換した中で、最大限に産科、小児科等の患者を受け入れてきたと承知していますが、急激なコロナ患者の増加により、いわゆるハイリスク妊婦の方々の受入の場が減少していたと聞いております。

 私の地元留萌管内をはじめ道内の各地方においても、ハイリスク妊婦の対応は最終的に札幌市をはじめとする都市部の周産期母子医療センターに頼らざるを得ない実情があり、そうでない通常の出産も札幌市での出産を望む方々がいることを鑑みても、コロナ禍を受けた札幌市の周産期医療をめぐる状況が悪化すれば、同市のみならず全道の妊娠・出産を望む方々の意向に大きく影響し、本道の少子化を一層加速させる要因になり得ると考えます。この点に対する道の認識を伺います。

(少子高齢化対策監)

 少子化対策に関し、新型コロナウィルス感染症の影響についてでございますが、昨年の妊娠届出件数や出生数が前年より減少していることから、この感染の流行が、結婚や妊娠、出産などの面にも少なからず影響を及ぼした可能性があり、今後の少子化対策を進めていく上で、憂慮すべき状況にあると認識をしております。このような中、道内の感染症患者の受入医療機関では、感染拡大時に手術の延期や外来診療の一部を休止した例もみられたものの、産科や小児科につきましては診療の維持に最大限配慮いただいたほか、特に大学病院では妊産婦に対する遠隔診療なども実施をしておりまして、本年第1四半期には、妊娠届出件数が昨年をやや上回るなど、回復の兆しも見られるところでございます。道としましては、まずは、感染症の早期収束に向けた対策を最優先とし、子どもを持つことを希望している方々の不安払拭に努めますとともに、周産期医療体制の確保やきめ細かな相談支援、医療費助成などの取組を通じて、安心して子どもを生み育てることのできる環境づくりを進めてまいります。

(二)札幌市における周産期医療の確保について

(浅野)

 6月はじめに札幌市内の一般クリニックで産後大出血を起こした方が、高次医療機関に転院搬送される際に、受入先がなかなか見つからず、かろうじて一命をとりとめたケースがあったと伺っております。元々産科については、産婦人科医が少ない事から、道内でも常に人手不足となっており、コロナ禍を受け一層厳しい状況にあると考えます。

 すでに述べたように、産科や母子医療センターについては、道央圏、特に札幌市に集中しており、ハイリスク出産はほぼ札幌市でのみ受け入れが可能である事を考えると、道と札幌市の連携が重要であると考えます。

 道は札幌市内におけるハイリスク妊婦、または陽性妊婦の受け入れ態勢の整備にこれまでも尽力してきたと承知しておりますが、現状はどの様になっているのか伺うと共に、札幌市や北大をはじめとする高次医療機関と今後どの様に連携する考えでいるのか伺います。

(保健福祉部長)

 少子化対策に関し、周産期医療体制についてでございますが、道では、これまで、三次医療圏ごとに、総合周産期母子医療センターを整備いたしまして、医育大学の支援の下、ハイリスク分娩に対応してきたところでございます。また、今般の感染症への対応に当たりましては、道や札幌市などが入院調整を行い、症状の程度に応じまして、医育大学と地域の周産期母子医療センターとの役割分担の下、感染症患者の方々の分娩にも対応してきたところでございます。道といたしましては、ハイリスクや感染を伴う分娩に対応できる体制を引き続き確保していくことが必要と考えてございまして、今後とも、産科医療機関による協議の場などを活用しまして、感染した妊婦の受入れ実績を有する医療機関の状況を医育大学や周産期母子医療センターはもとより、札幌市などとも共有をしながら、安心して出産できる体制の確保に努めてまいります。

二 ワクチンの優先接種について

(浅野)

 6月14日の総務委員会で、不審者への職務質問、泥酔者等の保護、容疑者の逮捕並びに取り調べや日常的な地域の見回り、さらには6月18日に札幌市東区で発生した熊の出没事案等の有害鳥獣対応等、相手方の素性に関わらず対面現場での職務執行が求められる警察官に対するワクチン接種の詳細が、まだ決まっていないことが明らかになりました。一方で今定例会の一般質問の中では、道が札幌市などと共同で行う大規模接種においてワクチンの余剰が生じた場合に、警察官への優先接種を行う旨の答弁が既になされています。

 道民の安全・安心を守り、危険業務に従事する役割が求められ、社会機能維持の責任を負う警察官への接種は余剰ワクチンを活用するだけでなく、何より優先されるべきと私は考えます。

 また新型コロナウイルス感染症対策本部指揮室の中でまだ接種を受けていない職員、リモートで出席する各振興局の振興局長も含め、知事をはじめとする道の対策本部会議に出席し、コロナ対策の陣頭指揮を執る幹部職員へのワクチン接種も優先されることが、全道民の安全を守るために必須であると考えます。警察官、知事をはじめとする道のコロナ対策本部会議に出席する幹部職員、同指揮室に勤務する職員に対するワクチンの優先接種について道は、どのように認識し、今後どのように進めていくのか伺います。

(知事)

 職員へのワクチン接種についてでありますが、道では、これまで、国の優先接種の考え方に基づき、保健所に勤務する職員など、感染リスクの高い職員への接種を進めてきており、感染拡大の防止対策を進める中にあっても、道民の皆様の安全・安心な生活を守るために必要な行政機能を維持していかなければならないと考えているところでありまして、現在、関係する皆様からご意見などを伺いながら、道の集団接種会場における余剰ワクチンについて、潜在看護師や感染者が多い札幌圏の危機管理を担う警察職員に接種することとしているところであります。道としては、今後、道内の各市町村における接種の進捗状況や優先接種に与える影響などを見極めながら、幹部職員も含め、感染症対策や危機対策関連業務に従事をする職員への接種を優先的に行うなど、必要な対応を検討いたしますほか、各市町村において、優先度の高い方々の早期接種が進められるよう、きめ細かな助言を行うなど、市町村の取組を積極的に支援をしてまいります。

三 新型コロナウイルス感染症の後遺症対策について

(浅野)

 コロナ感染により倦怠感等が取れず、長期にわたり体調不良に悩まされ既に職場の休業制度を使い切り、あとは収入減につながる休業しか残されていないと訴える方からの相談を私は受けました。コロナ対策に直接従事する道職員の皆様は、長期にわたり大変な疲労の中、必死に対応されてきたことは理解をいたしますが、後遺症に悩む方々への具体的な支援についても着手しなくてはならない時期にきていると考えます。後遺症に悩む方々の中には、そもそもどこに相談したらよいのかわからず、職場をはじめ周囲の理解も十分に得られず、社会の中で強い孤独を感じている方もいらっしゃると思います。後遺症に悩む方々がいることを道としてもきちんと認識をし、支えていく考えでいることを道民に明確に伝えていくべきであります。

 しかし、道本庁のHPで、「コロナ後遺症」というキーワードを検索しても、直接的なメッセージは見受けられず、また各14振興局のHPを見ても、キーワード検索をしてもヒットしないところが多々あり、後遺症に悩む方々に心を寄せられるものとなっているとは言い難い状況にあります。6月16日に厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードが中間集計報告を出していることもふまえ、まずは情報発信のあり方を見直し、市町村とも連携して、後遺症に悩む方々に対し寄り添う姿勢を示し、企業をはじめ幅広く社会全般に理解を広める取り組みが求められると考えますが、道の認識並びに今後の取組について伺います。

(新型コロナウイルス感染症対策監)

 新型コロナウイルス感染症対策に関し、後遺症への取組についてでございますが、道では、新型コロナウイルス感染症に罹患された方々の中には、その療養後に、倦怠感や息苦しさなどといった、何らかの症状に悩む方がおられるものと認識しており、これまでも、療養を終えられた方に対しては、保健所から、療養後の生活上の留意点を書面でお知らせするほか、保健師等が電話等によりきめ細かな保健指導を行い、症状の訴えがある場合には、医療機関への受診を促すなど、丁寧な対応に努めているところでございます。

 こうした中、国では、調査研究として後遺障害の実態把握が進められ、今般、中間集計が報告されたところでございまして、道といたしましては、この内容も踏まえ、7月中を目途に、症状に悩まれている方々の相談に早期に対応できるよう、よく出現する症状や相談窓口を記載したチラシを作成・配布いたしますとともに、広く道民の皆様にも本感染症の基本的な理解を深めていただくよう、道や各保健所のホームページなどにより、積極的な情報発信に努めるほか、療養後の保健指導や相談に係る手引きを作成し、保健師等の専門的対応力を向上させることで、相談窓口機能の充実を図るなど、市町村や医療機関とも緊密に連携をしながら、症状に悩む方々からの相談に丁寧かつ、的確に対応してまいります。

四 事業者支援について

(浅野)

 次に事業者支援についてです。今定例会では、酒類販売事業者への支援や宿泊事業者が行う感染防止対策の強化等への支援を図る予算案が計上されています。これらの新たな取組については多とするものの、私の下には宿泊事業者といわゆる二次会の場で活用されるスナック等の飲食店への支援について要望が寄せられました。私の地元の焼尻島、天売島の離島の宿泊事業者は、ゴールデンウイーク以後も客足が大幅に減り、また離島という地域特性からコロナ禍が収まっていない中で積極的な誘客PRが出来ないというジレンマも抱えています。せめてキャンセルが発生したうちの何割かでも補填してもらえるような支援策があればという声が寄せられました。

 スナックなどの飲食店は、道の時短要請の中では営業が出来ず、食事をメインに提供している訳ではないことからテイクアウト等への転換も困難であり、存続の危機に立たされている事業者が多くあります。こうしたスナック等の事業者に対しては、私の地元苫前町では、商工会と町が協議をし、休業中でも固定費として払わなくてはいけないカラオケ機械のリース代金へ補助するという支援策も実施されております。行政の光が未だ十分に充てられていない様々な業種の事業者に対する支援策として、道は今後どのような取り組みを考えているのかを伺います。

(知事)

 中小・小規模企業の皆様への支援についてでありますが、感染症の長期化に伴い、中小・小規模企業の皆様の経営環境はさらに厳しい状況になっているものと認識をしております。このため道では、国の月次支援金の活用促進はもとより、月次支援金の対象とならない全道の事業者の皆様に対し特別支援金を支給をするほか、本定例会に宿泊事業者や飲食店等の感染対策への補助などを提案をしたところでございます。道としては、引き続き、商工会・商工会議所など関係機関の方々と連携をし、こうした支援策の活用を促しますほか、経営相談や専門家の派遣を通じ、事業者の皆様が抱えるさまざまな課題にきめ細かに対応いたしますとともに、今後の感染症の状況も慎重に判断をしながら地域における消費を喚起するなど、道内のさまざまな事業者の皆様の経営継続に向け、全力で取り組んでまいります。

五 コロナ禍における地域公共交通の維持確保について

(浅野)

 先日発表された令和2年国勢調査速報によると、本道の人口は、この5年間で、これまでの調査結果の中で最多の152千人の減少となりました。こうした人口減少の大きな波の中で、地域におけるバス事業者などの公共交通の利用者は、年々減少し続けて来ており、コロナ禍がそれに拍車をかけ、交通事業者は、いまだかつて経験したことのない危機的な経営状況に直面しています。このような地域のバス事業者のおかれている現状について道はどのように認識をしているのか、まず伺います。また、この度の補正予算案の中で、タクシーや乗合バスへの支援策として、「地域公共交通事業者臨時支援事業」の予算が提案されております。バス事業者からは、具体的な支援策が講じられることに対し、感謝の気持ちが聞かれるものの、予算成立後はこの支援策が早期に実施されること、さらには、昨年度と同様の路線維持に向けた概算払などをはじめとする切れ目のない対応を求める声も聞かれます。道としてコロナ禍が長引く中、バス路線の維持に向け、今後どのような取り組みを行うのか伺います。

(交通企画監)

 地域交通の確保についてでありますが、地域住民にとって最も身近な交通手段である乗合バスは、道民の暮らしや経済を守るエッセンシャルサービスとして、最低限の事業継続を行う社会的責務を負っておりますが、新型コロナウイルスの全国的な感染の再拡大が懸念された本年3月及び4月の輸送実績は、コロナ禍前の2019年比で見ますと、3月は20.6%、4月は23.2%の減少となっているなど、バス事業者の経営環境は引き続き厳しい状況にあると認識しております。こうした中、国は本年4月に、人流が減少することにより、経済活動への影響が生じる交通事業者などに対し、都道府県が地域の実情に応じた支援の取組を着実に実施できるよう、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金において特別枠を創設したところであります。このため、道では、バス事業者の方々が安定的に事業を継続できるよう、当該交付金を活用し、臨時的に支援を行うとともに、生活バス路線の維持・確保のために必要な予算の確保などについて国に要請を行うなど、関係自治体とも連携した取組を進めてまいります。

六 一次産業の振興について

(一)規制改革会議の答申に対する道の認識について

(浅野)

 6月1日、政府の規制改革推進会議が菅義偉総理に対して答申を提出し、その中で農協や漁協が、農家や漁業者に対して不公正な行為がないように指導する等の内容が盛り込まれています。この答申に対して、私の地元の農協、漁協関係者からは、農協等の行為のうち共同購入、共同販売等については、独占禁止法の適用が除外されていること、何より農協、漁協いずれも農業者、漁業者が必要性を感じ、自ら組織した団体であり、誰かから強制されて加入しているものではないことから、組織が生産者の自由を抑制しているとの見方はおかしいとの声が寄せられております。道としてこの度の規制改革推進会議が答申で触れた農協、漁協に関する考えに対しどのような認識を有しているのかを伺います。

(知事)

 規制改革推進会議の答申についてでありますが、この度の答申で農林水産分野では、農協改革の着実な推進や、牛乳や乳製品の生産流通に関する規制改革などの15項目が盛り込まれ、特に、農協等の改革については、組合員との対話を通じて、自己改革に継続的に取り組むことに加え、組合員の所得向上に向けた経済事業の強化などを求めていると承知をしております。一方、本道の農協や漁協は、生産者の方々が自主的に設立をした協同組織として、牛乳の集出荷や生産物の販売事業などを通じた組合員の所得向上をはじめ、金融サービスの提供や生活店舗の運営など、地域の生活を支える重要な役割を果たしてきたと認識をしています。道としては、農協や漁協が引き続き、生産資材価格の引下げや農林水産物の販売力強化などの自己改革を進め、組合経営の持続性を確保していくことが必要であると考えておりまして、組合員のために最大の奉仕をするという、協同組合としての機能が一層発揮されるよう、適切に対処をしてまいります。

(二)米価安定への取組について

(浅野)

 主食用米の過剰在庫などを背景に、本道において飼料用米への作付転換を自主的に行うことを決定し、5月15日現在、目標を上回る4,760ヘクタールの作付転換が実現していると伺っております。しかし本道においては、前年比約7万トン増となる約274,000トンの在庫が本年4月時点で計上されています。コロナ禍の収束時期が見通せない中、今後米価は安定するのか、例年8月に生産者に対して支払われる概算金はどのようになるのか、現場は大きな不安に駆られています。道は、これらの声に対してどの様な認識を有しているのかをまず伺います。

 また、作付転換の先に、生産者が再生産可能となる米価が本当に確保されるためには、道が今年度から新しく始めた「ご炊こうチャレンジ」に加え、例えば千葉市における「千産千消運動」のように、道内の小中学校の学校給食で道内産米をもっと活用し、子どもたちに道内産米の美味しさを体感させることによって中長期にわたる需要をつくっていく取り組みも重要だという声があります。道として道産米の需要拡大、米価安定にどの様に取り組むのか伺います。

(知事)

 北海道米の需要拡大などについてでありますが、全国的に主食用米の需給が緩和する中、本道では、主食用米から飼料用米への作付転換に取り組み、全国で必要とされる前年比5パーセント減を達成する見込みでありますが、現段階の全国的な達成進度は5割程度にとどまり、北海道米も在庫量の増加や、価格の下落が見られる中で、今後の出来秋に関する生産者の皆様の不安も認識をしております。このため、道では、作付転換のみならず消費拡大にも積極的に取り組むことが重要であると考えており、今後、農業団体や道内のスーパー等と協力をし、テレビCMや店頭での北海道米プロモーション、外食向け業務用米の需要拡大の取組を実施いたしますほか、農協と学校給食センターの連携によるごはんの食べ比べや、農協青年部による小学生向け食育講座などの取組を促進をし、子ども達に向けた北海道米のPRなども通じて、消費拡大の取組を強化をし、北海道米の需給と価格の安定を図ってまいります。

(三)果樹の凍霜害について

(浅野)

 留萌管内は我が国最北限の果樹生産地帯であり、教育や観光業ともリンクさせた果樹生産は本道に大きな付加価値を生み出しています。その留萌管内増毛町において4月25日夜から26日早朝にかけ、気温がマイナス1.9℃まで下がり、さくらんぼ並びにリンゴの花芽への被害が生じました。生産者のみならず、地域経済に影響が及ぶことを危惧する声があり、私も現地を視察させていただきました。留萌振興局は様々な支援策を考案してくれていますが、道として今回の被害状況をどのように認識し、今後どの様な支援を行っていく考えでいるのか伺います。

(農政部長)

 果樹の低温被害についてでありますが、増毛町では、4月26日未明に強い寒気が流れ込んで氷点下となり、さくらんぼやりんごの花芽に低温被害が発生したことから、普及センターでは、直ちにJAや役場と連携して、花の間引きの中止や、積極的に授粉を行うことなどの技術指導を行ったところです。今回の被害により、さくらんぼでの大幅な減収が見込まれるものの、地域では、なしやぶどうなど多様な果樹を栽培していることから留萌振興局では、これらの品目と組み合わせた、観光農園への集客や予約販売などの取組を進めているところです。こうした局地的な低温が、北限の果樹地帯に与える影響は大きいと認識しており、道といたしましては、今後とも、普及センターによる技術指導を行うとともに、来年以降の被害に備えるため、自然災害による収入の減少などを広く補償する収入保険への一層の加入促進を図り、果樹農家の経営安定と体質強化に取り組んでまいります。

(四)道産日本酒の振興について

 1 現状認識について

(浅野)

 業務用の消費が多い本道の日本酒出荷量は、コロナ禍が始まってから減少幅が道外と比較して大きく推移しています。道として本道における日本酒出荷量の減少並びにそれによる地域経済への影響をどのように認識しているのかをまず伺います。

(農政部長)

 道産日本酒の出荷量の減少についてですが、道産日本酒は、吟醸酒や純米酒などの比較的高価な特定名称酒の割合が高く、土産物需要などで道外からの観光客などに好まれる一方、道内で消費される日本酒のうち、道内産はわずか2割程度にとどまっており、道民からの需要拡大が課題となっております。このため、道産日本酒の出荷量は、コロナ禍による人流の減少に大きく影響され、昨年4月の緊急事態宣言発出時には、前年比4割まで落ち込み、その後回復基調となったものの、再度の緊急事態宣言により、現在でも一昨年の6~7割にとどまるなど飲食店や観光業とともに、その影響を強く受けていると認識しております。また、近年の道産酒米の品質向上が評価され、道内外の酒造メーカーからの需要が伸び、酒米作付面積も順調に増加してきましたが、本年は昨年に比べ、3割以上の削減を余儀なくされたところであり、生産現場への影響も懸念しているところです。

2 道産日本酒のコンテスト企画について

(浅野)

 コロナ禍において苦境に立たされている道産日本酒、道産酒米の振興のため、道は仮称でありますが「HOKKAIDO SAKE AWARDS2021」を実施する考えでおり、道産日本酒が消費者により親しまれるものとし、出荷量を増やすための取組として、多くの酒造メーカーが期待しているものと考えます。一方でこの大会に対しては次のような意見を伺いました。

・ 認知度向上、消費拡大に繋げるには、一般消費者も参加できるようにするべきである。

・ 道外のメーカーであっても道産酒米を使用しているならば参加できるとする方法は、道産日本酒の振興に直接に繋がらないのではないか。

・ 今大会を契機に、かつての米チェンのように、道産日本酒がより多くの道民に消費されるようにする「酒チェン」のような取組を始めるべきではないか。

・ 日本最北端酒蔵である私の地元、増毛町の国稀酒造が留萌市内の菓子店ルモンドとコラボし、酒粕を利用したチーズケーキを開発し、大変な好評を得ている。このように日本酒から派生するスイーツなどの食材も併せて紹介することで、さらなる経済効果が見込まれるのではないか。

・ 多くの道内酒造メーカーが海外の輸出に力を入れていることを受け、大会の様子を外国語で発信するのはどうだろうか。

 これらの意見を道はどの様に受け止め、大会の成功並びに道産日本酒、道産酒米の振興を図る考えでいるのか伺います。

(知事)

 道産日本酒コンテストについてでありますが、道では、昨年7月、酒米生産者や酒蔵、流通関係者などの方々で構成をする「北海道日本酒懇談会」を新たに立ち上げ、道産酒米や日本酒の現状と課題、今後の方向性についての意見交換を進めてきた中、この度、認知度向上やコロナ禍での需要喚起などを目的に、一般消費者の方々を対象とした道産日本酒コンテストを実施することとなりました。コンテストの成功に向けましては、関係者の皆様のご意見を十分に反映させることが重要であると考えておりますことから、日本酒を使ったスイーツの紹介や海外への発信方法など、具体的な手法について、早急に検討してまいる考えであります。道としては、道内で消費される日本酒のうち、道内産はわずか2割程度にとどまっておりますことから、まずは道民の皆様にこのコンテストを契機に、道産日本酒の魅力や美味しさを知っていただき、今後とも優先的に選択をしてもらうよう努めますとともに、コンテストの内容を積極的に内外に発信することにより、道産日本酒の振興を図ってまいる考えであります。

(五)鳥獣被害防止について

1 エゾシカの捕獲人材育成について

(浅野)

 鳥獣被害防止に関し、エゾシカ捕獲技術研修について伺います。今定例会で2,800万円の予算案をもって「捕獲従事者育成等事業費」が提示されています。道はハンターの育成数やエゾシカの推定生息数等について、具体的にどのような数値目標を設定し、この事業によりその達成を目指しているのか、まず伺います。

(環境生活部長)

 鳥獣被害の防止に関しまして、捕獲人材の育成などについてでございますが、道ではこれまで、高齢化などによる狩猟免許の取得者の減少に歯止めをかける対策として、取得をサポートする出前教室を開催するとともに、試験の実施回数を増やすなどの取組を推進し、その確保に努めてきたところであります。一方、近年は国有林での死亡事故に伴う銃による猟の規制や少雪によるシカの行動変化の影響などにより、捕獲数が減少しており、道のエゾシカ管理計画で設定する目標に向けては、捕獲数の一層の上積みが必要であることから、ハンターの確保や捕獲技術の向上など、対策の強化が喫緊の課題と認識をしております。このため、道では、この度の国の事業を活用して、エゾシカの行動をより詳細に把握し、効率的な捕獲対策を講じるとともに、経験の浅いハンターを対象に、銃を使用する猟に同行する実践的な研修を行うなど、捕獲人材の育成を図りながら、引き続き、適正な個体数管理に取り組んでまいる考えでございます。

2 エゾシカの処理について

(浅野)

 また、私の地元でハンターをされている方からは、捕獲数の増加を目指すのであれば、エゾシカの出没時間帯を把握する捜索技術や回収及び運搬、処理の向上を図ることがより重要であるとの意見を伺いました。道内各市町村が運営する処理場によっては、処理場所在地在住以外のいわゆる域外ハンターが処理場所在地内で捕獲したエゾシカの残滓を受け入れるところと、受け入れないところがあり、また受け入れるにせよ平日限定である。このように対応がまちまちであり、域外ハンターが残滓処理に困ることが多々あるとの指摘があります。今定例会で提示されている育成等事業に加え、道は市町村と連携し、回収及び運搬、処理に関するハンターの利便性を向上することが重要であると考えますが、道の認識並びに今後の取組について伺います。

(環境生活部長)

 捕獲したエゾシカの処理についてでありますが、鳥獣被害対策を進める上で、捕獲した個体の回収、利用拡大、処理は、捕獲数の急増に伴い全国的な課題となっており、それぞれの過程の担い手となる人材や食肉処理施設、廃棄物処理施設などの役割は大変重要であるものと認識しております。道ではこれまで、各地域におけるエゾシカの捕獲実態に応じ、振興局ごとの連絡協議会において、各地のシカ肉処理施設や市町村等の廃棄物処理施設に関する情報の提供に努めてきたところでありますが、今後は、協議会において捕獲を担うハンターの方々にとって、各地域の受入体制が、利便性の高いものとなるよう働きかけるとともに、よりきめ細やかな情報を共有し、その情報が様々なルートから入手できるよう、市町村との更なる連携の強化に取り組んでまいります。

(六)密漁対策について

(浅野)

 昨年12月に制定された特定水産動植物等の国内流通の適正化等に関する法律により、正規でないものは売買が認められなくなる制度がつくられたが、この法が施行されるのは早くとも来年末と言われている。本年4月、改正漁業法で設けられた流通行為への罰則が適用され、密漁されたものと知りながら暴力団員からナマコを購入した函館市内の会社役員が逮捕される事案が全国で初めて発生し、改正漁業法による抑止効果が今後高まることが期待される。道として、流通適正化法が施行される前の「駆け込みの密漁」を抑制するためにも、改正漁業法による流通段階への罰則規定をさらに周知し、漁獲、流通双方から強く密漁を牽制するべきと考えるが、道の認識並びに今後の取組について伺います。

(水産林務部長)

 密漁の防止に向けた取組などについてでありますが、昨年12月の改正漁業法の施行により、ナマコなど特定水産物の不法な採捕や、保管・流通に対する罰金の上限が3千万円に引き上げられましたが、その後も、道内では、組織的な密漁が発生していることから、密漁はもとより、違法に採捕された漁獲物の流通を防止する対策を併せて強化することが必要であります。このため、道としては、今後施行される水産流通適正化法により、特定水産物の流通を担う企業の届出が義務付けられることも含め、全道各地の密漁防止対策協議会の場などを活用し、法制度や罰則規定などの周知と徹底を図るほか、警察や海上保安本部との連携を一層強化し、密漁が多発する時期や海域に漁業取締船を重点的に配備するとともに、違法漁獲物の流通実態の把握と情報共有に努めながら、海上、陸上の双方から監視体制を強化し、効率的な取締につなげるなど、密漁の未然防止に取り組む考えであります。

七 留萌管内における洋上風力の誘致について

(浅野)

 政府は2050年までに二酸化炭素排出量をゼロにするという目標を掲げ、洋上風力による発電量についても全国の3分の1を本道で行う考えを持ており、ゼロカーボン北海道実現の切り札として洋上風力をとらえているものと承知します。留萌管内においても留萌振興局が中心となり、洋上風力をはじめ再生可能エネルギー振興における留萌管内のポテンシャルについて幅広く周知するセミナーを開催すべく準備を進めてくれていることもあり、洋上風力への関心が高まっていると感じています。既に一定の準備段階に進んでいる檜山沖区域等に加え、留萌管内でも洋上風力誘致の機運が高まり、誘致が実現すれば、北海道そして日本全体における地球温暖化対策に貢献する大きな流れをつくることができるものであり、道としても市町村と共に積極的に誘致実現に向けて動くべきと考えます。

 一方で、この管内は漁業が基幹産業であり、また管内の離島の天売島は世界有数の海鳥繁殖地であり、ウミガラスなど絶滅危惧種となっている海鳥も生息し、管内沿岸が採餌海域となっていることから、洋上風力誘致にあたっては特に海鳥や自然環境への影響を懸念する声があります。道として、留萌管内に洋上風力を誘致することの課題にどの様なものがあると認識しているのか伺うとともに、またその解決並びに地域における理解促進をどのように図り、誘致実現に繋げていくのか伺います。

(知事)

 道では、昨年度実施いたしました調査において、道内各海域の優位性や留意事項を整理したところであり、留萌地域を含む道北日本海側は、風況に恵まれ、高いポテンシャルを有しておりますが、貴重な鳥類の生息地や渡りルートに立地することによるバードストライク等の影響に留意する必要があるとしているところであります。洋上風力の導入に当たっては、何よりも地元住民の皆様のご理解が大切であり、道としては、国と連携をしながら、事業実施を検討する関係事業者の方々に対し、さまざまな機会を通じて、地元理解に資する環境アセスメントの手続など、配慮事項について周知を図りますとともに、地域におけるセミナーや意見交換会を開催をし、期待される経済効果に加え、誘致にあたって留意が必要な事項や対応事例を紹介をするなど、洋上風力発電への理解が深まるよう、取り組んでまいります。

八 地域連携特例校について

(浅野)

 道教委では、全道で25ある地域連携特例校に関する再編基準について、第1学年の在籍者が2年連続して10名未満となった場合は再編整備することとなっております。私の地元の苫前商業高校の今年度の新入生は7名でありました。昨年来、苫前町は、留萌教育局、道教委との連携の下、生徒確保に努めてきておりますが、コロナ禍により各地域に直接出向き、中学校に直接足を運び、担当者と対面で会い、自校の取組や魅力について説明する機会をほぼ全て失ったことが、入学者減少につながったと考えられます。他地域に出向く活動をいつ実施できるかは現時点ではまだ見通しが立たない状況にある中、苫前商業高校を含め道内計4つの存続の瀬戸際に立たされている地域連携特例校に対し、道教委はどのように協力をする考えでいるのか伺います。

 また感染症の蔓延という誰もが予見できなかった事態に鑑み、コロナ禍が収束するまでの間、せめて来年度に向けては、冒頭述べた再編基準について特段の配慮をしてほしいという強い声が私の下に寄せられておりますが、道教委としてはどのような認識を有しているのか伺います。

(教育長)

 地域連携特例校の取扱いなどについてでありますが、道教委では、地理的状況から他校への通学が困難であり、地元からの進学率が高い第1学年1学級の高校については、地域連携特例校として存続を図っております。その教育活動の維持充実には、一定の生徒数は必要と考えており、生徒数の増加が見込まれない場合には再編整備を進めることとし、また、留保した場合であっても、2年連続10人未満となった場合は再編整備を進めることとしております。これまでも、地域の方々の御意見などを丁寧に伺うため、毎年地域別検討協議会を開催をし、高校配置計画の策定に役立てているところでありますが、この間コロナ禍にあって、学校をPRする機会などに制約もあることから、今後、地域が高校存続に向けて設置をしている協議会等に道教委として積極的に参画をし、入学者増につながる、地域と一体となった高校魅力化の方策等について情報交換を深めながら実施するなどして、地域とともに生徒に選択される魅力ある高校づくりに努めてまいります。

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