道議会第4回定例会で一般質問を行いました。(2020年12月2日)

 11月25日に今年最後の道議会第4回定例会が開会しました。

 コロナ禍が厳しさを増している中、道からは835億6,176万4千円の補正予算が提示されました。主な項目は以下の通りです。

 

 〇感染防止対策協力支援金支給事業費補助金    4億4,000万円

  →札幌市が実施するすすきの地区の飲食店を対象とした協力支援金事業に対する補助

 〇感染症対策に係るシステム改修・機器整備等 17億4,048万7千円

  →道庁におけるテレワーク環境等の整備を促進

 〇教育旅行支援事業費                   4億円

  →「新北海道スタイル」に対応した道内の冬季観光施設への教育旅行の実施を支援

 〇交通事業者利用促進支援事業費              4億円

  →「新北海道スタイル」の構築に協力する交通事業者による乗り放題乗車券等の追加販売を支援

 

 今定例会でも一般質問の機会を頂き、12月2日、質問に立ちました。

 地元留萌管内の方々から頂いた声を踏まえ、地元選挙区のみならず全道的に必要と考える政策への取組を道に促すべく、以下の質問を行いました。

 

一 新型コロナウイルス感染症対策について

(一)感染者の保護について

(二)道と市町村との連携について

(三)介護事業所との情報共有等について

(四)保健所間の連携について

(五)雇用維持等に向けた取り組みについて

(六)離島支援について

二 バス事業者への支援について

三 RCEPへの認識について

四 本道農業の振興について

(一)米政策について

(二)農地の買収について

五 本道漁業の振興について

(一)漁業環境の整備について

(二)密漁対策について

六 消費者被害防止について

  

(浅野)

一 新型コロナウイルス感染症対策について

(一)感染者の保護について

 始めに新型コロナウイルス感染症対策に関し感染者の保護について質問します。本道は今、新規感染者が大幅に増える局面に入っていますが、感染された方の中には、日常の行動が感染リスクを高めることに繋がらないよう、万全の注意を払ってきたものの、何らかのきっかけで感染してしまい、周囲に迷惑をかけることになったとの強い自責の念に駆られている方や、また、人口の小さい自治体では道の公表を待たずに早々と周囲に自身の感染が知られ、言われなき誹謗中傷や差別的言動にさらされる方もいると承知をします。道としては相談窓口を設け、鈴木直道知事としてもこれまでの定例会での答弁や記者会見等の公の場面で、感染者並びにそのご家族、医療従事者に対し、いわれなき誹謗中傷、差別をすることは許されないこと、適切な手段を講じることにより、感染リスクを下げることができること等を力強く訴えてきています。現在は集中対策期間であり、極めて厳しい状況の中で医療に当たってくださっている医療従事者のことを考えれば、個々人が今後も一層、手を緩めることなく、感染防止に取り組まなくてはならないことは当然ではあります。しかし、どれだけ防止策を講じていたとしても感染してしまうリスクは誰もが持っていること、仮に感染してしまったとしてもそれは決して犯罪行為のような悪いことをした訳ではないということ、感染者を責められるべき存在ではなく、いたわられ守られるべき存在であることも明確なメッセージとして知事から道民に発していただきたいと考えます。知事の見解を伺います。

 

(知事)

 浅野議員の質問にお答えをいたします。最初に新型コロナウイルス感染症対策に関し、まず、感染者の差別等への対応についてでありますが、この感染症は誰もがかかる可能性があり、感染したこと自体、誰からも責められるものではないと考えており、これまでホームページなど様々な広報媒体によるほか、記者会見時に、道民の皆様にメッセージを発出するなどして、人権への配慮について呼びかけをおこなってきたところであります。また、基本的な感染防止対策をとって行動することで、十分に感染リスクを避けることができることなど、基礎的な知識や予防方法について、普及啓発に努めておりますほか、今般、感染が拡大する中、本感染症に関連した人権侵害防止について、啓発用のポスターを作成し、学校や市町村等に配布をしたところであります。感染された方々やそのご家族等に対する不当な差別や偏見、誹謗中傷など、心ない行為は、決して許されるものではなく、今後とも、これら偏見や差別等の防止に努めてまいります。

 

(浅野)

(二)道と市町村との連携について

 現在、道として、道内で新規感染者が確認された際、本人の意向を踏まえた上で、主に14振興局単位で公表を行っていますが、感染者が確認された自治体においては、関連する情報をどのように扱い、更なる感染拡大と感染者に対する差別や誹謗中傷を防ぐか、非常に難しい対応に追われていると承知をします。例えば、ある自治体の首長からは、少なくとも役場庁舎等の公の施設に勤務する者の要請が確認された場合は、名前や住所等の個人情報を明らかにすることは控えつつも、当該自治体内において感染者が確認されたこと、それに対して適切な対応を取り、更なる感染拡大防止に努めていること、感染者に対する心ない差別や誹謗中傷は避けてほしいことなど、必要最低限の情報発信をしなくてはならないと考えてはいるものの、それがどの範囲で、どのような手法によるべきか判断に苦しんでいるとのお話を伺いました。一方で、そもそも一切の情報を漏らしてはならないと考える自治体もあり、そのような自治体の住民からは、民間の医療機関や介護事業所等、人々の命に係わる現場にも直接情報が伝わらず、かえって不安が増しているのではないかとの指摘を受けたことがあります。政府としても、国と自治体との情報共有を強化する等の観点から、感染症法の改正を進める考えを示していますが、法改正を待たずとも、地域における感染拡大を防止し、感染者の名誉と尊厳を守り、誹謗中傷を防ぐ観点から、道としても市町村において、ある程度共通認識の下で、地域における感染予防や感染拡大防止のための呼びかけ等、必要な対応がとれるよう、感染者情報の公表の考え方やその方法等について、必要な助言、協力をするべきと考えますが、道の認識並びに今後の取組について伺います。

 

(知事)

 市町村との情報共有についてでありますが、感染者情報等については、国の分科会の「偏見・差別とプライバシーに関するワーキンググループ」において、これまで4度にわたり議論がなされ、その中では「居住市区町村が公表されていることで、個人の特定に繋がっている場合もある」といった意見や「クラスター対策は必要だが、感染者一人ずつの詳細情報までは不要ではないか」、「公表についてはリスクに応じて考えるべき」といった意見が出される中、今般取りまとめられた報告書において、国の基本方針は、新型コロナウイルス感染症の特性を踏まえた個人情報の取扱いを必ずしも想定しておらず、この感染症の特性を踏まえ、地方自治体が行う公表について、改めて国として考え方を示すことを検討するよう、求めたところです。こうしたことから、道としては、公表基準は全国統一のものであるべきと考えており、今後、国の検討状況も見極めつつ、市町村とも十分に協議を重ねながら、地域住民の方々に対し、この感染症をまん延させないために適切な行動などをとる上で必要な情報を伝える観点に立ち、道としての対応を整理してまいる考えであります。

 

(浅野)

(三)介護事業所との情報共有等について

 次に介護事業所との情報共有等についてです。介護事業所でクラスター感染が相次いでいることの背景に、介護事業所への情報提供が十分でないことが一因にあげられると考えます。医療・福祉関係施設でクラスターが発生した場合、医療機関は名称を公表した上で、自らホームページに感染状況等を掲載しているが、介護事業所では名称を非公表とするものが大半であり、各事業所において感染防止対策を講ずる上で、情報が明らかに不足していると言われています。道として、感染拡大防止を図る上で、クラスターが発生した介護事業所のみならず、その他の事業所に対しても、適切な情報提供を行うことが今、最も重要であると考えますが、道の認識並びに今後の取組について伺います。

 

(保健福祉部長)

 集団感染の発生に関する情報提供についてでございますが、新型コロナウイルス感染症が発生した場合、情報の公表につきましては、感染症等の関係法令などの下、感染拡大の防止に向けた公衆衛生上の必要性と感染者はもとより、施設等の誹謗中傷等が起こらないよう、個人情報の保護とを比較衡量するなど情報の取り扱いには、細心の注意を払って対応しているところでございます。集団感染が発生した介護施設に関する関係施設への情報提供についても、このような考え方の下、慎重に行っていく必要があると考えてございますが、今後、国の検討状況を見極めつつ、道における感染者情報の公表の取扱いを整理する際に、市町村とも十分に協議を重ねながら、介護施設の方々に対し、感染を防止するための対策を進める上で必要な情報を伝える観点に立ち、道としての対応を整理してまいります。

 

(浅野)

(四)保健所間の連携について

 次に、保健所間の連携について伺います。広域分散型の特徴を有し、特に医療資源が札幌圏をはじめ都市部に集中している本道において、自身の居住地とは異なる地域の医療機関で入院をしている、または他地域にしばらく滞在して仕事をするという例が多く、そのような中である人が感染者となった場合、または感染者の濃厚接触者であると認められた場合、各保健所間で調整が行われると承知します。爆発的な感染拡大が見られる最近の状況下では、特に都市部の保健所は多忙を極めていることが理解はできますが、感染者が地域を移動せざるを得ない状況に関し、保健所間の情報共有に遅れが見られるケースがあると伺います。この点に対する道の認識並びに今後の対応について伺います。

 

(保健福祉部長)

 保健所間の連携についてでございますが、新型コロナウイルス感染症の対策におきましては、患者や、その濃厚接触者の方の居住地や勤務先等によりまして、対策を所管する保健所が異なる場合がありますことから、道立保健所と札幌市をはじめとする4市の保健所とは、これらの情報を、迅速かつ的確に共有することにより、積極的疫学調査やPCR検査等の迅速な実施に努めているところでございます。道といたしましては、感染症のまん延防止対策には、迅速な情報共有と保健所間の連携が重要と考えており、今後も、公衆衛生医師や保健師等の専門技術職員等が、日常的に連絡を取り合うほか、必要に応じて相互の応援派遣、あと道の感染症広域支援チームを編成し派遣するなど、緊密な連携・協働体制を構築しながら、遅滞なく情報を共有するなどして、危機管理対策に万全を期してまいります。

 

(浅野)

(五)雇用維持等に向けた取組について

 コロナ禍による苦境においても従業員を解雇させずに雇用を守った事業者に対して支給される雇用調整助成金の特例措置の延長が、来年2月まで継続することが見込まれています。第三回定例会でも指摘をしましたが、留萌管内の水産加工会社の多くは、ニシンの原材料の輸入が本年激減しており、通常は年が明けてから行っていたニシンから卵を出す仕事を従業員にさせる原材料が確保できておらず、仕事量を減らすか、雇用調整助成金を活用して雇用を維持するしかないと考える事業者が多く、また留萌管内のみならず多くの水産加工会社は、サケを始めサンマ、イカ、昆布等が記録的な大不漁となっており、コロナ禍とは別の要因によっても存続の危機に立たされています。雇用維持、企業存続の瀬戸際に立たされているのは、水産加工会社のみならず他業種の多くの事業者も同様であると考えます。道内の中小企業が事業を継続し、地域経済の活力を維持・発展させるには、雇用調整助成金といった目の前の支援策はもとより、新市場への挑戦や新商品開発等への支援が重要です。私の下には、道が取り組んでいる「北海道中小企業新応援ファンド」や「中小企業競争力強化促進事業」の手続きの簡素化や採択枠の拡大等により、もっと使いやすいものにしてほしいという声が寄せられていますが、道としてこれらの声を踏まえ、今後どのように取り組むのか、どのような対応を取るのかを伺います。

 

(経済部長)

 雇用維持等に向けた今後の対応についてでありますが、コロナ禍の中、地域の経済・雇用の主要な担い手であります、本道の中小企業は、多くの業種で売上や利益が減少するなど、厳しい経営環境にあり、道では、無利子融資や経営相談などによる企業の事業継続をはじめ、新製品開発や販路拡大への支援などに取り組んでおり、支援制度の運用に当たりましては、手続の簡素化など企業が活用しやすいものとなるよう今後とも不断の見直しに努めてまいります。また、感染症が長期化し、厳しい雇用情勢が続く中、道では、企業の事業継続支援に加え、経済団体に対し雇用の維持等について繰り返し要請しているところであり、2月まで延長される雇用調整助成金の特例措置につきましても、時々の雇用情勢を踏まえ、柔軟な対応を国に求めるなど、引き続き、関係機関と連携して、道民の皆様の雇用維持に向け必要な取組を進めてまいります。

 

(浅野)

(六)離島支援について

 離島を振興する方策の一つとして、本年1020日より来年3月7日まで「どうみん割・りとうぷらす」事業が実施されていますが、この度の札幌市における警戒ステージの引き上げ等に伴う、国のGo To トラベルの札幌市の対象除外により、当該事業はどのような取扱いを受けるのか、まず伺います。離島の観光シーズンは4月から9月くらいまでであり、道事業の実施期間はシーズンオフとなっております。旅館や飲食店も休業しているところが多く、離島振興を図るのであれば、「りとう・ぷらす」の実施期間を令和3年の夏の時期までに延ばすべきと考えますが、この点に対する道の認識並びに今後の取組を伺います。

 

(観光振興監)

 離島観光についてでございますが、感染拡大の状況等を踏まえ、札幌市を発着とする旅行が国のGo To トラベル事業から一時停止されたことなどにより、「どうみん割・りとうぷらす」につきましても、事業の整合から、離島に渡航する札幌市内居住者の利用等を一時停止などしたところでございますが、離島の観光協会等からの聞き取りによりますと、その影響は少ないものと認識しているところでございます。こうした中、今年度内においては、Go To トラベルや「りとうぷらす」等の既存事業を有効に活用いただくとともに、来年度につきましては、国におけるGo To トラベル事業の動向を注視しつつ、切れ目なく離島の観光繁忙期につなげていくことを目指し、市町村等と連携を図りながら、離島観光の振興に取り組んでまいります。

 

(浅野)

二 公共交通政策について

 公共交通を担う本道のバス会社の経営が極めて困難な状況にあることは、先の定例会でも指摘したところであり、沿岸バスの本社がある羽幌町の担当者によれば、本年3月から9月までの運賃収入は、路線バスは対前年比23.8%、都市間バスは59.3%の減少となっており、現在新規感染者が爆発的に増えていることに鑑みても、これらの数字が今後更に悪化することが予想されます。バス事業者からは、地域の足を守るという使命感を果たすために、各般にわたる支援策を強く求める声が聞かれます。中でも、先の定例会でも指摘をしましたが、バス協会等に対して交付されている運輸事業振興助成交付金の原資の一部にもなっている軽油引取税について、1リットル当たり32.1円の税率のうち暫定税率分の17.1円だけでも減免する等の措置により、直接的な固定経費への補助を行ってほしいという声があります。国内の航空会社が加盟する定期航空協会は、本年11月に政府・与党に対し、来年度に航空機燃料税などの負担を1,000億円軽減するよう要請しているとのことであり、公共交通を担う方々にとって固定経費への支援が最も求められている措置であると考えます。先の定例会で道は、公租公課を含む固定経費の軽減措置を国に要望する旨の答弁をしていたが、当時よりも一層コロナ禍が厳しさを増している中、公共交通を担うバス事業者の声を道はどの様に受け止め、今後どのような対応をするのか伺います。

 

(知事)

 生活バス路線の確保についてでありますが、道内の乗合バス事業者の方々は、地域住民にとって最も身近な公共交通機関として、新型コロナウイルスの感染症対策に努めつつ、運行を継続しておりますが、未だ先行きが見通せない感染症の拡大による交通需要の減少は、バス事業者の事業運営に大きな影響を与えており、その経営環境は、より一層厳しさを増しております。このため、道では、バス事業者の方々から寄せられた切実な声を踏まえ、公租公課を含む固定経費の軽減措置などについて、国へ働きかけを行うとともに、補助金の概算払の実施や、生活バス路線の維持に向けた関係自治体との調整に取り組むほか、割引乗車券等の販売支援を実施するなど交通需要の喚起に努めてきたところであります。道といたしましては、地域の暮らしを支える重要な交通機関として、バス事業者の方々が安定的に事業を継続できるよう、引き続き、国に要請を行っていくとともに、輸送量の減少に伴い、補助要件を満たすことが困難となる生活バス路線に対し運行経費の一部に支援を行うなど、路線の維持・確保に向けて取り組んでまいります。

 

(浅野)

三 RCEPへの認識について

 本年1115日、日本と中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、ASEAN諸国の計15カ国は、自由貿易圏構想「地域的包括的経済連携(RCEP)」を正式に合意し、協定に署名がなされました。人口減少が進む我が国にとって、経済発展著しいASEAN諸国をはじめRCEP加盟国に農水産物や工業製品の輸出が促進され、海外のマーケットにアクセスしやすい環境が整えられることは歓迎すべきでありますが、一方で、私の地元留萌管内の漁業者からは、タコなどの、地域の主要漁獲物の加盟国から日本への輸出についても、同様に将来的に関税が撤廃されることに対する懸念があります。道として、今後RCEPが本道にとってどのような影響があると認識しているのか、正負双方の影響を本道発展に今後どのように結び付けていくビジョンを描いているのか伺います。

 

(知事)

 RCEP(アールセップ)協定についてでありますが、RCEPは、我が国の貿易総額の約5割を占める国々が参加するほか、対日貿易額が第1位の中国、第3位の韓国が含まれる初めての経済連携協定であり、本道経済の将来にも大きく関わる重要なものであると認識しております。本協定では、本道農業にとって影響の大きい重要5品目の関税が維持されるとともに、TPPや日EUEPAと比べても、農林水産品の関税撤廃率が大幅に抑えられた一方で、本道の輸出主力品目のほたて貝については、中国向けの輸出が段階的に関税撤廃となるほか、通関の迅速化をはじめ輸出促進に資する環境が整備されるなど、本道にとっても、総じて「守り」と「攻め」の両面から一定の評価ができる合意内容であると考えております。道としては、RCEPを含む経済連携協定の本道への影響の把握に努め、必要に応じ、国に対し所要の対策を求めていくとともに、農林水産業の経営体質の改善や道産品の輸出拡大に着実に取り組むなど、本道産業の国際競争力の一層の強化を図ってまいる考えであります。

  

(浅野)

四 本道農業の振興について

(一)米政策について

 令和2年産米に関し、コメを出荷する農家に対する農協の仮払金であり、卸売価格の目安となる「概算金」をホクレンが6年ぶりに引き下げたことについては、先の定例会でも指摘しました。令和3年においては、全国で米の生産量を約36万トン減らさなくてはならないとされていますが、ある農協関係者によると、このまま米価が下落していけば、通常翌年8月に生産農家に対して販売を委託しているホクレンから支払われる追加払い金が支払われなくなる可能性があり、更には概算金の返還すら求められる事態が生じるのではないかとの強い懸念を抱いている方がいます。JAグループ北海道は政府に対し、「コロナ影響分の市場隔離」などの主に4点に渡る要請を行ってきましたが、1126日、農水省が示した「今後の米政策における課題への対応方向(案)」では、これら要請項目には一切触れられておらず、そもそもコロナ禍により失われた米の需要量についても、JAグループ北海道が36万トン程度と想定していることに対し、政府・農水省は10万トン程度としていることからしても、米の状況に対する認識が本道関係者と政府では乖離していると考えます。道として、本道における米価の趨勢並びにこのような生産現場の懸念に対しどのような認識を有しているのかを伺うと共に、米の消費拡大に向け、どのような取り組みを進めるのか伺います。

 

(知事)

 北海道米の消費拡大などについてでありますが、今年産米の需給状況は、人口減少などによる需要量の減少に加えて、感染症の影響による消費の落ち込みなどにより、在庫が増加し、全国の平均価格は前年同月比で4%程度下落し、北海道米についても、「ゆめぴりか」は2%程度上昇している一方、「ななつぼし」などは値を下げ、生産者の皆様からは、今後の米の販売に対し不安の声が上がっており、私も懸念しているところであります。こうした厳しい販売環境の中、道では、道内のスーパー、コンビニなどと協力し、店頭での北海道米プロモーションを実施するとともに、全国に向け、農業団体の皆さまと連携し、テレビCMや物産展を開催しております。また、米卸業者の外食事業者への販売拡大について、国の事業の活用を促しているほか、私自身もSNSなどを通じて、北海道米をPRしているところであり、引き続き、関係団体の皆さまと一体となって、様々な機会を捉えて、北海道米の消費拡大に取り組んでまいる考えであります。

 

(浅野)

(二)農地の買収について

  道は、この度示した「第6期北海道農業・農村振興推進計画の素案」では、優良農地の確保並びに遊休農地の解消について言及がなされています。遊休農地を解消するプレーヤーに外国資本を道は想定しているのかをまず伺います。1030日、北海道酪農協会副会長であり、旭川市の農業委員会会長を務めている鈴木剛氏の要請を受け、東国幹、安住太伸両道議とともに旭川市の遊休農地を視察しました。鈴木氏によりますと、当該農地を売却したい意向を持つ地主から非農地とすることの要請を受けてはいるものの、その売却先が外国法人であると思われることから、旭川市の農業委員会としては農地としての地目を何とか保っているとのことであります。道内には他にも同様の事情を抱えている地域があるのではないかと考えます。北海道酪農協会としても、日本の農地や山林・原野の保全は国民の食料・水といった命と直結する重要な課題であり、外国人並びに外国資本による取得や保有に対して規制措置を講ずるべきであるとの要望を、我が会派にも行っています。グローバル化が進んだ現代において、外資並びに外国人材の活用をすべて規制することは適切ではありませんが、国民、道民の生命に直結するものについては規制が必要であるとの考えには私も同じるところであります。道として、このような本道における外国企業による農地買収の状況はどの様になっているのかを把握しているのか否か、伺うとともに、外資による農地の買収について道はどの様な認識を持ち、今後どのように対応していく考えでいるのかを伺います。

 

(農政部長)

 本道の農業振興に関する、外国法人等による農地の取得についてでございますが、道の調べでは、昨年12月末現在、道内18市町村で、12の外国法人及び12人の外国人が、合計約970ヘクタールの農地を所有しておりますが、農業委員会を通じて、いずれの農地も、適切に利用されていることを確認しており、道南、道央でのワイナリーや、胆振・日高地域での軽種馬生産など、地域の活性化事例が見られているところであります。農地法では、適正に農地として利用され、地域農業の発展に寄与するものであれば、外国法人等であっても農地の権利を取得することに制限を設けていないことから、外国法人等が遊休農地の取得者になり得るものと考えます。道といたしましては、現在国において進められている安全保障等の観点からの、農地を含む土地利用・管理等の在り方に関する検討の動きなどを注視しつつ、今後とも外国法人等による農地取得の動向を把握しながら、遊休農地の適切な利用に向け、農業委員会に助言するなど、我が国の食料供給の礎となる本道の優良農地が確保され、農業者の皆様が安心して営農を続けられるよう、遊休農地対策などに取り組んでまいります。

 

(浅野)

五 本道漁業の振興について

(一)漁業環境の整備について

 道産食品の海外輸出戦略の主力を担うホタテに関し、留萌管内は本道において稚貝生産の中心的役割を果たしており、当地区からオホーツク海、道東地域に稚貝の出荷が行われている。11月9日未明、苫前町の漁港で火災が発生し、ホタテ漁師5名が使用していた作業場が全焼するという事態が起き、今後の作業がいつ再開できるか、見通しが立っていない状況にある。当地区からは宗谷、猿払、枝幸、雄武、野付、根室の各漁協に稚貝の出荷が行われており、これらの地域に影響が出ないよう、地元の苫前町、北るもい漁協はじめ関係者は懸命な対応に当たっているところ。当地区における火災発生の原因については調査中であるが、施設が老朽化していたことは以前より指摘をされており、管内には他にも小平町臼谷地区の様に、作業場の老朽化が著しく、地震が発生した時のリスクに対し地元漁業者は大変な懸念を日々抱いている。コロナ禍により魚価が低迷する等の甚大な影響が本道漁業にも及んでいるが、漁業者の多くは本道の基幹産業を守るべく、厳しい状況の中でも経営に意欲を燃やしている。その意欲を守るためにも、漁業者が日々作業にあたる漁港の作業場を含め、漁業環境の整備を進めていく必要があると考えるが、道の認識並びに今後の取組について伺う。

 

(水産林務部長)

 留萌管内のホタテガイ養殖業は、全道の3割を占める10億枚の稚貝を生産し、オホーツクをはじめ道内の主要な生産地に供給する重要な役割を担っており、今般苫前町で発生した火災への対応も含め、漁業者が積雪や強風など厳しい気象条件の下で 稚貝の生産を円滑に進めるための環境の整備に取り組むことが必要と考えております。

 このため、道としては、市町村や漁業団体との連携のもと、漁業者の意向を把握しながら、国の補助事業や漁業近代化資金などの制度資金を活用し、漁業者が共同で利用する作業施設の整備や、稚貝を採取する漁具の購入などに引き続き支援を行い、就労環境の改善や生産性の向上を図るなど、漁業者が将来にわたり、安心して漁業を営むことができるよう取り組んでまいります。

 

(浅野)

(二)密漁対策について

 1 取締機関との連携等について

 1028日、留萌管内で令和2年度密漁防止対策会議が開催され、取締機関である海上保安部や道警と地元漁業者が今後一層連携を取り、情報を共有していくことなどが確認され、同じ趣旨の対策会議が今後道内各地でも随時開催されていく予定と伺っています。この会議においては、道が管轄している漁業取締船について、密漁が特に横行する時期に効果的に派遣し、道警や海上保安部と連携した対応を取ってほしい旨の要望がなされました。道としてこれらの声を踏まえ、漁業取締船を活用した対応を含め、密漁対策を今後どのように強化していく考えか伺います。

 

(知事)

 日本海、太平洋、オホーツク海の3つの海に囲まれ、ロシア水域にも隣接する本道では、沿岸や沖合において、多種・多様な漁業が行われており、道では、4隻の漁業取締船を本道の周辺海域に配備し、海上保安部や道警察などの取締機関との連携を図りながら、漁業秩序の維持と水産資源の適切な管理に努めているところです。 道としては、沿岸域での密漁事案にも対応できるよう、老朽化している漁業取締船「北王丸」を新たに建造し、高性能な監視カメラを装備するとともに、密漁が多発する海域に取締船を重点的かつ機動的に配備するほか、取締機関との合同パトロールの実施や、漁業協同組合が行う広域的な監視が可能な漁場監視レーダーの導入への支援など、密漁防止対策の強化に取り組んでまいる考えです。

 

(浅野)

2 漁港の管理等について

 現行犯でなければ密漁者を逮捕することが難しい現状に鑑み、地元漁業者の中には「そもそも密漁者が行うような夜間の潜水を禁止する、または夜間の潜水を許可制にすることにより、密漁の未然防止並びに逮捕に繋げることができるのではないか。」という根強い意見があります。また、道管理漁港に関し、「北海道漁港管理条例」について、漁港内の水域における遊泳や潜水を原則禁止し、違反した者には罰則が適用される等の措置が講じられることが盛り込まれた改正が平成28年度になされていると承知しますが、地元漁業者との協議の上、漁港管理条例に抵触する範囲を広げるなど、密漁防止を一層強化してほしいとの声もあります。

 夜間の潜水を禁止することについては、過去我が会派の先輩議員を初め多くの関係者によって様々な議論がなされ、純粋に夜間の潜水を楽しむ個人も含め、全ての人間に対し、一律に規制をかけることの難しさについて指摘がなされていると承知しますが、道としてこれら現場の声を受け、密漁防止に向け、今後どのように対応する考えか伺います。

 

(水産林務部長)

 本道では、近年、増養殖等の取組が漁港内で行われており、漁業に携わっていない方が引き起こす事故や漁具の損傷などを防ぐほか、海面で夜間、潜水器を使用した組織的で悪質・巧妙な密漁を防止する必要があります。こうした中、学識経験者などで構成する「密漁対策検討会議」において、夜間ダイビングの禁止措置については、法令や条例による一律の規制は難しいこと、密漁の罰則強化については、抑止効果が期待でき漁業法の改正が必要といった検討結果が示されたところです。また、平成28年に改正した漁港管理条例において、漁船以外の船舶による岸壁など漁港施設の使用制限や漁港内での遊泳、潜水の禁止を規定したところです。道としては、漁港の安全確保と利用秩序の維持を図るため、今後とも、危険箇所への侵入防止柵の設置に加え、漁協等による啓発看板や監視カメラの設置に支援するとともに、関係機関と連携し、夜間の取締を強化するなど、漁業者が安心して安全に漁業を営むことができるよう取り組む考えです。

 

(浅野)

六 消費者被害防止について

 最後に、消費者被害防止の取組について伺います。国民生活センターが公表している「消費生活年報2020」によると、全国の消費生活センターなどに寄せられた昨年度の相談件数は約93万5千件に上っており、前年度からは減少しているものの、70歳以上の割合が24.5%を占め、20歳未満についても増加に転じるなど、高齢者や若者への被害防止対策が課題となっています。巧妙化する勧誘の手口や、インターネット上に仕掛けられる罠など、誰もが被害に遭う危険性が潜む日常において、危険の察知や対応など、特に、高齢者や若者向けに分かり易い対策を講じる必要があると考えますが、消費者被害の防止に向けて、道はどのように取り組んでいく考えなのか、伺います。

 

(環境生活部長)

 消費者被害防止の取組についてでございますが、近年、情報通信技術の発展や取引の高度化・複雑化等により、特に高齢者や若者の消費者被害が深刻化する状況にあります。このため道では、悪質商法の事例や対応方法などをわかりやすく紹介した啓発資材の作成・配布、セミナーや講座の開催などにより、消費者への啓発や情報提供を行っておりますほか、成年年齢の引下げを見据え、授業等で活用していただけるよう、高校生向け消費者教育教材を各高校に配付をいたしております。今後は、こうした取組に加え、若年層の関心を高めるための消費生活関連情報の発信方法や、被害防止に向けた効果的な啓発のあり方を検討するとともに、地域の見守りネットワークを活用した高齢者等へのきめ細やかな情報提供を行うなど、様々な主体と連携をしながら、さらなる消費者被害の防止に取り組んでまいります。

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