大規模通信障害への備えをどうするか―総務委員会で質問しました―(2022年8月2日

 7月2日未明から5日にかけて、KDDIの携帯電話で、約86時間もの間、約3,915万人に影響が及ぶという過去最大規模の通信障害が発生しました。
 通常の通話が出来なくなる不便さにはまだ耐えられますが、事故や急病患者の発生に対応する119番通報や、急を要する事件に対応する110番通報への影響が懸念されます。
 危機対策を担当する総務部危機対策局と道警に、今回の事案への対応、今後の備えについて質問しました。
 総務部、道警からは主に、


・職員それぞれの私用携帯電話の種類、携帯電話以外の連絡先等、緊急時の連絡体制について本庁・振興局共に強化する。
・緊急時には固定電話や公衆電話を使用する、または道内各地の交番、発出所に駆け込む等の対応について道民に広報していく。
・日頃使用している携帯電話が使えないことを想定した災害時等の緊急対応のあり方について道民に広報していく。

等の答弁がありました。

一 7月初めに発生した通信障害の影響への対応等について

(浅野)
  (一)職員の連絡体制に係る影響について  
 5日午後の全面復旧まで約86時間の時間を要し、最大で約3,915万人のユーザーに影響が出るという過去最大規模の通信障害が発生しました。  
 道はテレワーク実施の為、今年の4月から職員一人一人に公用スマートフォンを配付しており、職員同士のやり取りをする際にそれらが用いられることもあると伺っております。その公用スマートフォンは入札によってNTTドコモのものが選定されておりまして、今回の事案発生に際して影響は受けていないと伺っておりますが、公用のものだけではなく、職員の皆様同士が、私用の携帯電話を用いて職務上のやり取りをすることもあると承知をしています。今回の通信障害事案に際し、職員同士の連絡体制にどの様な影響が生じたのかをまず伺います。
 また、道の公用スマートフォンは5年スパンの契約がなされているとも伺っておりますが、どの通信事業者であっても、今後、今回のKDDI社と同様の事案が一切発生しないという保証はありません。道は職員同士の連絡体制を万全なものとするために、今後どのような対応を取るのか、伺います。  
  (改革推進課長)  
 緊急時の連絡体制についてでありますが、道では、北海道庁業務継続計画におきまして、各部局における緊急時の連絡体制について職員の自宅の固定電話、携帯電話、携帯メールなど複数の連絡方法を把握し、整備することなどを定めているところです。
 先般発生しました、全国的な音声電話・データ通信の大規模な通信障害時においては、職員の連絡体制に大きな支障が生じたということは承知しておりませんが、特定の通信会社の携帯電話が長時間通信不能となったことを踏まえまして、これまでの緊急連絡体制について、再確認する必要があると認識したところです。
  このため、本年4月から全職員に配付しました公用スマートフォンの内線番号や私用のメールアドレスなど、複数の連絡方法に加えまして、各所属職員等の役割に応じ、私用携帯電話の通信会社についても把握するなど、各所属で整備している緊急時の連絡体制について、再確認するよう、7月19日付けで、各部・振興局に通知したところでございます。 今後とも、突発的な災害や行政危機管理などに対しまして、適切に対応できるよう、職員の間における緊急時の連絡体制の確立に努めてまいります。
 (浅野)
 今回の事案、2日3日と、土曜日日曜日を挟んだということもありまして、そもそも職員一人一人がどの社の携帯電話を私用として使っているかというのを、これまで把握する必要を感じなかったというのも、仕方がないことだと思います。今回の事案を受けて、今後複数の連絡体制を取れるように再確認を、本庁と振興局に通知をしてくれるということですので、しっかりと今後同様の事案が発生した時に、困ることのないように対応を取っていただきたいと思います。
(二)危機対策への影響について
 次に危機対策への影響について伺ってまいります。こういう携帯が使えなくなった時にやっぱり困るのは、それぞれのプライベートのやりとりが出来なくなるという不便さよりも119番や110番などの命に関わる事案が発生したときに迅速に連絡が取れなくなることだと思います。
 1 救急搬送等への影響について
  今回の通信障害事案に際し、火災や事故に対応する119番通報を受けた消防の対応をはじめとする道内の救急搬送等にどの様な影響が生じたのか、またそれに対しどのように対応したのか伺います。
(消防担当課長)
 救急搬送への影響などについてですが、このたびの大規模な通信障害の発生に際して、総務省消防庁からは、119番通報に影響がある可能性があるので、各消防本部においては、住民への広報など、適切に対応を行うよう通知があり、これを受け、道では、道内の各消防本部に、地域の実情に応じた周知を図るよう連絡・依頼するとともに、道のツイッターでも情報発信を行ったところでございます。
 また、通信障害の復旧後、道内消防本部に、生じた事案の確認を聞き取りにより行ったところ、固定電話や公衆電話などの代替手段を利用して通報した事案のほか、登山中の遭難者が警察や消防に通報できず、LINEの通信機能により連絡を受けた知人が救助を要請といった事案が確認されましたが、幸いにも、人命に関わるような深刻な事態に及んだ事案はなかったところでございます。
(浅野)
2 道警業務への影響について
 次に道警に伺います。
 今回の通信障害事案に際して、道民からの110番通報にどの様な影響が生じたのか、またそれに対しどのような対応をされたのか伺います。
(通信指令課長)
 110番通報への影響についてでありますが、通信障害のあった7月2日から5日までの4日間の110番通報のうちKDDI回線を使用しての件数は、1,061件であり、前週の同じ曜日の期間と比べて25.3%減少しました。
  全ての通報に占めるKDDI回線の割合も26.3%から18.2%に約8ポイント減少しております。
 一方で公衆電話、固定電話等からの110番通報は、1,873件と、前週より26.0%多くなっております。
 一部の通報者からは、友人の携帯電話や近くのコンビニエンスストアで電話を借りたといった通報が約40件確認されるなど、一定の影響が見られたところであります。
 このような状況の下、110番通報を受理した際には、短時間で速やかに事件事故概要を聞き取りながら、警察官を直ちに現場に向かわせるなど、道民の安全を最優先に対応したところであります。
(浅野)
(三)今後の対応について
 1 道警の対応について
 ただ今の答弁で、自分の携帯が使えなくて、友人の携帯電話や近くのコンビニエンスストアで電話を借りたといった通報が約40件確認され、一定の影響があったとの答弁がありましたが、道警として、今後通信障害事案が発生した際に備えて、緊急の事件事故発生時の通報について、どのように取り組んでいくのか伺います。
(地域部長)
 今後の対応についてでありますが、通信障害に備え、携帯電話がつながらない場合には、固定電話や公衆電話を利用することや周囲の人に助けを求め、通報を依頼することのほか、道内に所在する64警察署や732箇所の交番、駐在所などに駆け込むなど、あらゆる手段で通報していただくよう広報してまいります。
 道警察といたしましては、引き続き、道民の皆様の安全安心の確保に向けた取り組みを進めてまいります。
(浅野)
 携帯電話が普及してから、街中で公衆電話を見かけることも少なくなったと思いますし、公衆電話を利用したことがあるという人は、特に今の若い方々の中では本当に少ないのではないかと思います。公衆電話では緊急の電話は料金がかからないということを知らない方も多いと思います。
 あらためて今ご答弁にあった、あらゆる手段で通報するように広報していく、それにしっかり力を入れていただきたいと思います。 
2 危機対策への対応について
 最後に危機対策への対応について伺いますが、災害時など危機対策への影響が今回の通信障害事案で最も懸念されることだと思いますが、今までいただいた答弁など明らかになった影響を踏まえて、今後道として同様の事案が発生したとしてもその影響を最小限に食い止めるために、どのような取組を行うのか最後に伺います。
(危機管理監)
 通信障害発生時の対応についてでございますが、災害時に住民の皆様の安全を確保するためには、災害情報の伝達を、1つの手段に頼らず、複数の手段を組み合わせて、確実に伝達することが重要でありますが、道内では全ての市町村で、防災行政無線、広報車のほか、SNSやエリアメールなど、伝達手段の多重化が図られているところでございます。
 このたびのKDDIの大規模な通信障害の発生に際しましては、復旧作業が進められておりました7月4日及び5日において、道内の一部の地域に大雨警報などが発表されましたが、ただいま申し上げましたような複数の伝達手段の活用によりまして、住民の皆様への必要な情報の周知がなされていたものと考えているところでございます。
 災害情報の入手手段といたしましては、スマートフォンを使う人の割合が増えてきておりますことから、道といたしましては、今回のような通信障害が発生した場合に、市町村や道民の皆様に対し、情報の伝達や入手の方法に係る注意喚起を迅速に行うなどし、防災気象情報や避難情報等の確実な伝達に努めてまいります。

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