道議会令和3年第一回定例議会では、予算特別委員会第三分科会に所属し、質問の機会を得ました。
3月17日に行った水産林務部への質問の様子を以下お伝えします。
ホタテガイのへい死問題への対応、中国への輸出手続きへの支援、4月から始まるクロマグロ漁第七管理期間における留萌管内への配慮、そして昨年10月に緊急対策会議を開催した密漁問題への今後の具体的な対応について質問しました。
(浅野)
一 低気圧被害について
本年の2月15日から18日にかけて発生した低気圧の被害への対応について伺います。水産林務部の総務課の方から適宜、情報提供のファックスを頂いて、適切に対応して頂いたとは承知しておりますが、道内各地で被害が生じているとも伺っております。これに対して、道としてどのように把握をしてどんな対応をしているのか伺います。
(総務課長)
水産関係の被害状況などについてでありますが、低気圧による波浪や高潮、強風により、日高や渡島、留萌など7つの振興局管内の16の市と町におきまして、漁港施設の損傷や水産加工場の床上浸水、さらには、共同利用施設や漁船の損傷などの被害が発生したところであります。道では、緊急的な対応を要する漁港の突堤の損傷について、道単独漁港維持補修事業により応急措置を行ったほか、被災した防波堤などについて復旧に向け被害調査を進めております。引き続き,市町村や漁業協同組合などと連携し、被害規模や被害額の把握に努めますとともに、漁協や漁業者に対しまして、制度資金の活用を促すなど、漁業経営の安定に向けて取り組んでまいります。
(浅野)
ただいま答弁があったように、緊急的な応急処置を取って頂き、また適切な情報提供を頂いたことはありがたいと思います。今後もいつ、このような災害が起きるか判らないので、引き続き対応をお願い申し上げます。
二 ホタテ資源について
(一)へい死等の状況について
1 現状認識について
先ほど、我が会派の渡邊議員の質問の中でも、昨年、コロナ禍により道内の主力の海外輸出水産物であるホタテも、約4割減、約186億円と中国向けが大きく減ったとの答弁がありました。留萌管内は、ホタテの稚貝を生産する一大生産基地ですが、昨年来、へい死率が高まり、生残率が著しく低下をしています。稚貝のサイズも通常よりもはるかに小さいものになる事態が生じています。道としても状況は把握されているかとも思いますが、改めて現状をどのように認識しているか伺います。
(首席普及指導員)
日本海のホタテ稚貝の状況などについてでありますが、道の水産技術普及指導所が、日本海地域の漁業者と協力して、毎年実施しているホタテ稚貝の調査によると、留萌管内の生残率は、例年8割以上となっておりますが、本年は地区によっては5割まで低下しており、後志管内は、例年9割以上の生残率が、7割までに低下しております。また、出荷を見込める3センチ以上の割合は、留萌管内では、良好な年で8割以上となっておりますが、本年は6割以下、後志管内では、例年9割のところ、5割以下となるなどへい死や成長不良が、例年に比べ多く発生しており、道では、9月から10月に行われる貝の選別作業の時期に、日本海の水温が例年より1℃から2℃高く、貝の活力が低下したことが、稚貝のへい死や成長不良の要因の一つと考えております。
なお、日本海のホタテガイ養殖業は、全道の3割を占める12億枚の稚貝を生産し、オホーツク海など道内の主要な生産地に供給する重要な役割を担っており、日本海の稚貝の生産減少は、全道のホタテガイ漁業はもとより、水産加工業などの関連産業への影響を懸念しているところです。
(浅野)
2 日本海ホタテ稚貝生産安定等連絡会議について
ただいま現状認識並びにそれに対して道としても懸念を有している答弁がありました。そこで伺うが、3月8日に日本海のホタテ稚貝に関する連絡会議が開催されていると承知していますが、そこでどのようなことが協議されたのか伺います。
(水産振興課長)
連絡会議についてでありますが、道では、日本海におけるホタテ稚貝に係る生産と漁業経営の安定化を目指し、現状や課題などの情報共有を図ることを目的に、今月8日、北海道漁業協同組合連合会や北海道信用漁業協同組合連合会などで構成する「日本海ホタテ稚貝生産安定等連絡会議」を開催したところです。会議では、道から、日本海のホタテ稚貝のへい死や成長不良などの現状を報告したことに加え、道信漁連などからは、収入が減少した場合の運転資金や融資条件の変更などの対応のほか、道に対し、ホタテ稚貝の生産が安定するよう、適切な養殖管理の指導について要望する発言などがあったところです。
(浅野)
3 今後の対応について
会議で要望が道に対してもなされたと承知しますが、これは大きな問題であり、私ども地元の生産者はもちろん、オホーツク海側、他の地域のホタテ生産者にも影響し、ひいては全道的な経済の悪化にも繋がりかねない問題です。現状認識の答弁の中で、令和2年の海水温が平年より高かったことが要因の一つとして挙げられており、技術指導をはじめ、ホタテ稚貝のへい死防止に向け、今後の取組について伺います。
(水産基盤整備担当局長)
今後の対応についてでありますが、道では、日本海におけるホタテガイ養殖は、オホーツク海など主要な産地の生産を支える重要な役割を担っていることから、稚貝のへい死や成長不良が、例年に比べ多く発生している状況に、迅速に対応することが必要と考えております。今後、道としては、日本海のホタテ稚貝の安定生産に向け、道総研水産試験場と連携をし、水温や流速など海洋環境の情報を漁業者に発信するとともに、水産技術普及指導所が主体となり、高水温時期の作業は極力避けることや、施設の設置水深を調整する手法について指導を行うなど、ホタテガイの生産を担う漁業者が安心して漁業を営むことができるよう取り組んでまいります。
(浅野)
(二)中国への輸出について
1 輸出状況について
既に述べたようにホタテは、道の道産食品海外輸出戦略の中でも主力を占める重要品目であるが、冒頭で述べたように、対中国向けのものも大幅に低下している状況にあります。コロナ禍によって、全世界同じ状況だと思うが、コロナ禍以前と比較して、現在までホタテの対中輸出は、どの様になっているのか、どの様な推移をしているのかを伺います。
(水産食品担当課長)
中国向け輸出の状況についてでありますが、財務省の貿易統計によりますと、道内港から中国への水産物・水産加工品の輸出額は、令和元年は303億円でありましたが、感染症拡大により、昨年は速報値で186億円と、約4割の減少となっております。このうち、輸出の約8割を占めるホタテは、令和元年は251億円でありましたが、感染拡大による外出制限や都市封鎖などにより、外食需要が大きく減退した影響を受け、昨年は146億円と元年と比較して約4割減少したことが、中国向けの輸出額の減少に繋がったものと考えております。
(浅野)
2 道の対応について
今、答弁にあったように非常に厳しい状況にある対中国のホタテ輸出ですが、それに拍車をかけるような動きが最近報じられています。3月2日付の水産経済新聞等も報じていましたが、厚生労働省が日本国内の輸出関連事業者に対して、水産物輸出を中国へ続ける場合は、施設の衛生管理基準等について自主点検を行って、必要な書類を4月30日までに提出することを求めたとのこと。このような求めが厚生労働省からあった背景には、昨年行われたビデオ査察により、中国側から水産物を輸出する事業者の衛生基準などについて、何らかの指摘があったとのことです。これによりコロナ禍とまた違った要因で輸出が滞ることがあれば、輸出をされている事業者の方々が直接影響を被るのはもちろんですが、それが巡り巡って生産する浜の現場にも魚価安などを招いて影響が出ることを、私の地元でも非常に懸念しています。この経緯について道としても正確な状況把握に努めていると思いますが、どの様な認識を有しているのか伺います。その上で、事業者はじめ、浜の懸念払拭、影響回避のためにどの様に取り組むのか併せて伺います。
(水産局長)
道の対応についてでありますが、中国は道産水産物の最大の輸出先でありますが、中国向けの輸出の停滞は、水産加工関連企業はもとより、漁業経営にも影響を及ぼすおそれがあることから、道としては、施設の認定を維持しながら、輸出の継続に向けて取り組む必要があると考えております。このため、道では、水産加工会社からの要望を受け、必要な資料の再点検や確認などの指導・助言を行うための講習会を、本日までに道内2箇所で開催をし、今後、今月中に2箇所で開催することを予定しております。道としては、こうした取組に加えまして、庁内関係部や水産関係団体と密接に連携を図りながら、中国の動向などの情報収集に努めますとともに、各振興局に設置しております「水産加工関連事業者向けワンストップ相談窓口」を活用し、道産水産物の輸出を支援してまいる考えです。
(浅野)
道がこれまで、道内各地の事業者に聞き取りをしたところ、6割以上の事業者が引き続き輸出の認定をしたい、受けたいとの意向を示しているとのこと。求められている事務作業等の負担も簡単なものではないと思うので、その点しっかりとサポートしていただきたいと思います。また、これは政府が対応すべき問題ですが、中国政府がどういう意図でこういうことを言ってきたのか、しっかり政府が情報把握して、政府と道との意思疎通も今後より緊密にし、事業者、浜の声を守っていただきたい。
三 クロマグロ漁について
(一)第七管理期間について
クロマグロ漁については、平成29年の第3管理期間において本道の小型魚の漁獲状況が上限111.8トンを大きく上回る769.5トンとなったこと等を受けて、全道的な漁獲制限が今日まで続いています。4月から第7管理期間が始まるわけだが、この期間における道内各地への小型魚の配分について、どのようになっているのか伺うとともに、道内漁業者に対して道はどのような説明を行っているのか伺います。
(漁業管理課長)
国から道へ配分されるクロマグロの漁獲枠のうち、30キログラム未満とされる小型魚の配分量は年113トンとされておりますが、本道では、平成29年に漁獲枠を大幅に超過したことから、今年4月からの第7管理期間においても、29年以降の配分量の合計が超過した漁獲量を下回るため、計算上の配分量は実質ゼロとなる状況が続くと考えております。また、国では、令和元年の第5管理期間以降、大型魚から小型魚への配分の振り替えや、留保枠からの追加配分を実施していることから、道では、こうした配分の考え方や国の動きなどについて、漁協や関係漁業者に周知を図るとともに、追加配分の要望を取りまとめるほか、今年も昨年と同様に、国から、大きさの判断ミスや魚種の見間違いなど、意図しない漁獲に対応するため配分された11.3トンを一括管理することとしております。
なお、今月1日に開催されました全道のクロマグロ漁業者の代表などで構成されるクロマグロTAC数量管理委員会において、国から漁獲枠が追加された場合、地域ごとの配分方法を協議し、再配分することが確認されたところです。
(浅野)
(二)公平性確保について
国からの追加的な再配分を願うところであり、以前質問の場でも述べたが、留萌管内は割り当てられた漁獲量を守って余力を残したまま、漁を終えたが、他地域が超過してしまったために、同じように一斉の漁獲制限を受けている地域です。超過してしまった地域をただ悪く言うつもりはないが、真面目に配分を守ったがそうでない地域と同じく制限を科せられていることのやるせなさにしっかり目を向け、配慮していただきたい。このような状況が今後も続けば、漁業者の意欲を守っていくことは難しく、当然、経営にも影響が出ますし、地域経済にも良くない影響が出ることが懸念されます。この点に対して道の認識を伺うとともに、第7管理期間における対応は具体的にどのようなものを考えているのか伺います。
(水産局長)
道の認識などついてでありますが、平成29年の第3管理期間以降、漁獲枠の超過により、国から道へのクロマグロの小型魚の配分が制限されていることは、漁獲枠を残して操業自粛を余儀なくされた留萌地域をはじめとする関係漁業者の経営に大きな影響を与えたものと認識をしております。このため道では、第3管理期間に漁獲枠が残っているにもかかわらず、操業を切り上げた地域に配慮するため、漁獲枠の残量などに応じて、優先的に国からの追加の漁獲枠を配分してきており、留萌地域については、第3管理期間の残量7.6トンに対し、第5管理期間に11.4トン、第6管理期間に11.8トンを配分したところです。道としては、今年の第7管理期間においても、国に対し、沖合漁業などの関係団体と調整を図りながら、小型魚の漁獲が十分に確保されるよう、強く働きかけるとともに、今後、追加の漁獲枠についは、漁が本格化する7月までに、関係者の意見を踏まえ、円滑に配分されるよう、取り進めてまいる考えです。
(浅野)
ただいま局長から「漁獲枠が残っているにも関わらず」と、留萌管内の漁業者の無念を非常に強調して頂いた答弁がありました。私どもの地域に対して、第5、第6期間の中で配慮していただいているのはわかりますが、これからも、真面目に頑張った人達に希望が失わなくてもいいような施策をとっていただきたい。
また、今回質問では聞きませんが、クロマグロに関しては、漁獲制限を受けている漁業者の横目で、一般の遊漁船等に乗っている方が、個人の趣味として次々とクロマグロを釣っていることに対して、何らかの規制を強化して欲しいという声もあります。このことについても、今後の重大なテーマの一つとしてご留意いただきたいと思います。
四 密漁対策について
魚価の低迷、コロナ禍で本当に漁業は大変な思いにあるが、それに追い打ちをかけるのが密漁であると考えます。これに関しては、昨年、私から総務委員会の方で道警に取組を質問したところ、10月28日に、留萌管内の地元羽幌町で留萌管内の緊急密漁対策会議を開催していただいた。その後、道内の海のある地域でも同様の会議が行われており、コロナ禍の状況に対応した形で会議が行われてきていると承知します。
(一)密漁対策会議について
この羽幌での会議には私も出席をしましたが、道警と地元漁業者が率直な意見交換をして、漁業者としてのつらさと、道警としても全てできるわけではなく、地域の皆さんの協力が必要だという、本当にお互い腹を割った話し合いができたものと私は感じています。この会議には留萌振興局の産業振興部長をはじめ、担当者の方々も出席しており、状況を把握されていると思うが、道としてこの会議の意義をどのように評価しているのか伺うとともに、その後、各地道内でも同様の密漁対策会議が開かれたと承知しているが、それぞれどのような意義があったのか、道の認識を伺います。
(指導取締担当課長)
密漁対策会議についてでありますが、留萌管内密漁防止対策会議では、組織的な密漁の実態を踏えた取締機関との合同パトロールなど、具体的な対策の検討が進められたと承知しておりまして、道としては、今後の密漁を防止する対策の強化に繋がるものまと認識しております。また、留萌管内を含む道内10地域において、漁協や市町村などで構成する密漁防止対策協議会が組織され、関係機関と連携した会議の中で、密漁防止パレードの実施や啓発看板の設置など、地域の実情に応じた対策について検討しているほか、特に、ナマコや秋サケなど組織的で悪質・巧妙な密漁を防止するため、対策会議で海上保安部や道警察などとの連携を確認するとともに、合同パトロールを実施し、密漁を抑止するなど、一定の成果が上がっているものと考えております。
(浅野)
(二)関係機関との連携について
この10月28日の羽幌での会議の後に、11月18日から12月7日までを期限として、密漁現場等に関する書面での意見交換会が開催されました。その取りまとめた資料をいただきましたが、様々な意見が出されています。例えば、密漁者の侵入防止をどうするか、通報や情報共有の強化をどのように図るか、市町村ほか出席した方々から意見が出されました。そのことを踏まえて、以下伺います。
1 密漁者の侵入防止について
漁協、市町村等の自治体、取締機関のいずれも、密漁現場となり得る海岸への車の侵入を防止する柵の設置、これは有効だとの意見が出ました。これを踏まえ、密漁防止に資する柵の設置を実際に早急に進めていただきたいと考えるのですが、この道の取組は今後具体的にどの様に進めるか伺います。
(指導取締担当課長)
密漁者の侵入防止についてでありますが、道では、夜間に潜水器やゴムボートなどを使用した暴力団関係者などによる密漁が、見張り役を立てて悪質巧妙に行われていることなどから、漁港や海岸の波打ち際への侵入防止柵の設置は、有効な取組であると考えております。道としては、密漁が行われやすい場所を特定し、重点的に取締を行っている一方、密漁防止柵について、地域の要望や、漁港等の施設の利用者や管理者との調整を踏まえ、留萌管内密漁防止対策協議会において、検討が進められているところです。
(浅野)
通常、密漁が多く始まる時期を迎える前に具体的な措置をしっかりとっていただきたいと思います。
2 通報や情報共有等の強化について
密漁は深夜未明にかけて行われることが多く、この時間帯に道路を通行していることが多い運送事業者の皆様方に怪しげな車両等を見つけた時には通報していただく等の情報提供を要請することが有効であり、例えばトラック協会等と関連団体との連携を深めるべきだとの意見もありました。また、自治体住民により幅広く周知を行い、町全体で密漁を監視する、見守りを強化することも重要との意見もありました。これらの意見を踏まえて、道はこれまでにどのような取組をしてきているのか伺います。
(指導取締担当課長)
密漁防止対策協議会は、道や関係団体などに対し、密漁啓発パレードの実施をはじめ、漁協や市町村などが設置している監視カメラや広域的な漁場を管理するレーダーの整備など、密漁防止への協力や支援の要請を行っているところです。道としては、こうした協力要請などを踏まえ、漁業者が種苗放流を行うウニやナマコなどの密漁を防止するため、協議会と連携し、海水浴客などへの注意喚起を図るほか、密漁防止対策に必要な施設や資機材の整備に支援するとともに、道の広報紙や新聞広告、街頭の大型ビジョンなどを活用し、密漁者や不審者を発見した際には、警察署や海上保安部などに通報するよう、道民に広く呼びかけているところです。
(浅野)
3 現場の環境について
密漁現場となり得る場所というのは、私も地元を走っていて思うが、やはり草が生い茂っていて見通しが悪いところが多いです。人が行き来する場所ではなく、こまめに草刈りを行う環境にない場所が狙われてしまう。草刈りをこまめに行なって、見通しを良くするだけでも密漁がやりづらくなり、効果があるのではないかとの意見が出ています。こうした意見を踏まえ、今後、道はどの様な取組を行うのか伺います。
(指導取締担当課長)
協議会の意見への対応についてでありますが、ゴムボートなどを使用する組織的な密漁は、海岸や漁港、河川など、ボートや酸素ボンベなどの揚げ降ろしに適した場所で行われることが多いため、道では、漁業取締船の監視レーダーや夜間でも対応可能なカメラなどを活用し、洋上からの監視を行うとともに、陸上においても巡回パトロールを実施するなど、海上と陸上の双方から取締を行っております。また、密漁防止対策協議会が取りまとめたドローンなどの最新技術の活用や監視するうえで有効とされる草刈りなど、効果的な取締方法について、支援や協力に向けた検討を行う考えです。
(浅野)
今、ドローンを活用するということを検討していただいているとの答弁がありました。他に、増毛町では海中にセンサーを埋め込んで、通常聞かれない音が聞こえた場合に漁協から警察に通報がなされるシステムを沖電気工業という会社が作っているものを用いた実証実験を行っている例もあります。様々なことを検討し、何とか密漁を防いでいただきたいと思います。
(三) 今後の取組について
密漁は、コロナ禍で魚価が安くなり、経営が本当に厳しい思いをしている漁業者にとって、根本からやる気を削がれる大変な重大で卑劣な行為です。水産林務部も取締機関、市町村などとも連携し、これまでも取り組みを行ってきており、来年度さらにまた取り組みを強化して頂けると思います。何とか漁業者、特に若手の方々の意欲を守っていただきたい。私の地元でも、若い漁業者が夜通しずっと不審車を自分でチェックし、時には危険な思いをしながら、自分達が一生懸命育てたナマコがみすみす取られるようなことだけは許せないとの思いで対応したという話を聞きました。監視を終えてそのまま寝ないで漁に出るという生活を繰り返している時期もあったとも聞いている。そのような無理がいつまでも続くわけではなく、そんな危険なことを漁業者にさせるわけにはいかないのは当然であります。行政の力をもって、密漁防止に取り組んでいただきたいと思うのですが、最後に、今後、密漁防止に向けてどのように取り組むのか佐藤部長の見解を伺います。
(水産林務部長)
密漁防止に向けた今後の取組などについてでありますが、近年、留萌管内をはじめ日本海地域では、潜水器やゴムボートを使用した組織的な密漁が横行しているため、道では、海上保安部や警察と合同で夜間パトロールを行うなど、密漁防止に取り組んでいるところでありますが、依然として密漁が後を絶たないことから、より効果的な対策が必要と考えております。また、ナマコなどの特定水産物の密漁に対し、このたびの改正漁業法の施行により、罰金の上限が3千万円に引き上げられたことや、昨年12月に制定をされた、特定水産動植物等の国内流通の適正化等に関する法律の制定は、生産者が明らかになり、正規な漁獲物との識別が可能となるため、密漁の防止につながるものと考えております。道としては、今後とも、法制度の改正の趣旨について広く周知を図るほか、高性能な監視カメラを装備する漁業取締船北王丸を建造するとともに、密漁が多発する地域での取締船を重点的な配備や、監視機器の整備などに支援を行うなど、密漁が行われにくい環境づくりに向け、密漁防止対策協議会など関係機関と連携ししっかりと取り組んでまいる考えです。
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