決算特別委員会で建設部に質問しました。

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あらゆる業界で人材不足が指摘されていますが、最も顕著なものは技術者・技能者の不足ではないかと思います。

道としても人材育成並びに確保に努めてきていますが、今後の新たなあるべき取り組みについて提案しながら、道の対応を質しました。

他には土砂災害への対応、公共事業の事業量、予算確保に向けた道の取り組みについても質しました。

平成28年 決算特別委員会[建設部所管]開催状況

開催年月日 平成28年11月8日(火)
質問者  北海道結志会 浅野 貴博 委員
担当部課 建設政策局建設政策課、
     建設政策局建設管理課
     建設部土木局河川砂防課
     建設部総務課
     建設部建設政策局建設政策課
     建設部住宅局建築指導課

技術者・技能者の確保について

1.質問 : インフラ長寿命化計画の進捗状況について

昨年6月に、道が策定したこの計画においては、本道のインフラを大きく六つに分けて、更に細かく38施設に関して、長寿命化に向けた計画を策定することとなっていると承知いたしますが、建設部が所管される分野における進捗状況が現時点でどうなっているか確認を求めます。

答弁 : 建設政策課長 田中浩之

個別施設毎の計画策定についてでございますが、建設部におきましては、所管する施設を橋梁や河川施設、下水道や道営住宅など13のカテゴリーに分類し、既に道路の橋梁や河川の小規模な樋門・樋管のほか、下水道の終末処理場、都市公園、道営住宅の5施設について計画を策定し、これに沿った取組みを進めているところでございます。  その他の施設については、今年度に、堰や排水機場などの大規模な河川施設、平成29年度は治水ダム、30年度はトンネル、砂防設備、建設海岸の堤防・護岸、水門・の4施設、31年度は下水道の管路と中継ポンプ場の計画を策定することとし、現在、調査検討を行っているところであり、平成31年度までにすべての施設の個別施設計画を策定することとしているところでございます。

2.質問 : 人材不足の状況について

あらゆる計画に関して順調に進んでいるとのことですが、このインフラ長寿命化計画のみならず、道内各地では公共事業などの建設業務に携わる技能者並びに技術者が不足しており、その確保が極めて大きな課題となっていると伺っております。

10月25日付けの北海道建設新聞に、北海道建設業信用保証の吉田社長のインタビュー記事が載っておりますが、上半期を対象に実施した景況調査によると、経営上の問題点として「人手不足」をあげる企業が一番多かったと、次に「受注の減少」、そして三番目に「従業員の高齢化」と、人手が少ないことと担っていただいている方々が高齢化していること、これが非常に大きな問題であると指摘がなされておりますが、道内において技術者がどの程度不足しているか、また高齢化がどの程度進行しているのか、その状況について伺います。

答弁 : 建設業担当課長 谷山 剛

人材不足の状況についてでありますが、北海道労働局が公表しております職種別求人求職状況によりますと、9月現在の月間有効求人倍率は、全職業の求人倍率1.10倍に対し、「型枠大工・とび工」が最も高い7.57倍、建築・土木・測量技術者」が5.70倍となっているなど、依然として建設業に関係する職種につきましては、求人倍率が高くなっているところでございます。 また、総務省の労働力調査によりますと、道内の建設業就業者の年齢構成比は、国がデータの公表を開始しました平成11年と27年で比較いたしますと、29歳以下が約18パーセントから約10パーセントに、50歳以上が約39パーセントから約52パーセントになっており、 若年者の減少と高齢化が進んでいるところでございます。

3.質問 : 技術者等の把握について

技術者、技能者の不足状況については、そうした方々を求める企業側のニーズなどが建設投資額やそうした状況にも左右されますことから、不足状況の把握は中々難しいと思うんですが、その前段階としてまずは道内において、今答弁があった型枠大工・とび工だとか、そういう特殊技術・技能を持っている方々が道内のどの地域に何名ほどいらっしゃるのか、具体的な人数を把握することがまずは必要だと思うのですが、この点についての道の見解を伺います。

答弁 : 建設業担当課長 谷山剛

技術者等の把握についてでございますが、道では、これまで、国等のデータの活用、建設業団体との意見交換や建設企業へのアンケート調査により、建設投資の動向、建設業者や建設労働者の現状などの把握に努めてきたところでございます。

今後、道内における技術者や技能労働者に係る就業者数につきましても、可能な範囲でその把握に努めてまいりたいと考えているところでございます。

指摘 : 

技術者・技能者の人数の把握、これまで必ずしも十分になされてこなかった、把握する上で様々な課題があることは伺っておりますが、今後、可能な範囲で努めていくとの答弁をいただきましたので、着実に一歩づつ進めていただきたいと思います。

4.質問 : 人材確保に向けた取組について

次に、建設業においては、やはり高齢化が進んでいると先ほどの答弁でもいただきました。

これを打開して若年層の方々の入職を増やす取組を道内各地で既に行っていただいていると思っております。

うちの地元の留萌振興局でも、先日、「よりみちの駅」というイベントがなされて、様々な技能を小さな子供達、地元の子供達に体験していただくイベントなど、地元の技能者団体、建設業界の方々と組んでイベントが行われました。

そうしたこともあると思うのですが、道として、若年者の確保のために、今後どのように取り組むのか伺います。

答弁 : 建設部長 名取哲哉

担い手の確保・育成に向けた取組についてでありますが、本道の建設業においては、技能労働者などの担い手の確保や育成が喫緊の課題となっており、道では、就業環境の改善や職業訓練といったこれまでの取組に加え、本年1月には、札幌駅前通地下歩行空間において「建設産業ふれあい展」を開催するなど、広く道民の皆様に建設業の役割や魅力のPRを行っているところでございます。
道といたしましては、こうした取組を効果的に進めるため、国、建設業団体、商工団体などで構成する「北海道建設産業担い手確保・育成推進協議会」を設置し、関係機関との情報共有などに努めるとともに、建設業団体や教育機関、市町村で構成する地域会議を開催し、地域の実情に応じた担い手対策の検討を進めているところでございます。

また、現行の支援プランに代わる新たな支援施策を来年度中に策定することとしており、ICTの活用などによる建設業の生産性向上に向けた検討を進めてまいりたいと考えております。

道といたしましては、安定的な公共事業予算の確保はもとより、今後とも、建設業団体等と連携しながら、担い手の確保・育成に努め、建設業が地域の経済や雇用を支え、安全・安心を担っていけるよう取り組んでまいたいと考えております。

指摘 : 

若年者の入職を増やすということでは、先の一般質問でも触れましたが、特に具体的な進路を決める高校生、大学生をターゲットにすることも必要になるかと思います。

そういった意味では道教委さんとの連携など、道庁内の様々な横断的な連携も必要になると思いますので、今後も検討を進めて、取組を進めていただきたいと申し上げます。

土砂災害対策について

5.質問 : 基礎調査の目標達成の見通しについて

平成12年にいわゆる土砂災害防止法が成立をし、平成26年8月に広島県で発生した大規模な土砂災害を受けて、この法律に基づいて政府は土砂災害の疑いがあるとみられる区域を設定し、各都道府県による基礎調査が現在も行われていると思います。本道においては、いわゆるイエローゾーンと言われる警戒区域とレッドゾーンと言われる特別警戒区域に指定される可能性のある区域は、両者合わせて11,923あり、現在も基礎調査が進められていると承知をしますが、平成31年度までに終えるとした、この基礎調査の目標の達成見通しについて、いかがか、まず説明いただきたいと思います。

答弁 : 砂防災害担当課長 田中 洋海

基礎調査の目標達成の見通しについてでありますが、調査の実施に当たりましては、人家の多い地域や社会福祉施設、学校、医療施設などのある地域について、連合町内会など広域的な単位で、土砂災害警戒区域等の指定に必要な調査を行っているところでございます。

道では、昨年度までに4,708箇所の調査を終え、28年度には、約1,800箇所の調査を予定しているところであり、31年度までの3カ年で、残りの約5,400箇所について計画的に進めてまいる考えでございます。 

6.質問 : 住民に対する注意喚起等について 

1カ年度に約1,800箇所、残り3カ年で5,400箇所ですから、大変な中、順調に基礎調査を進めていただいているものと受け止めます。

この土砂災害危険箇所について、平成26年に大阪府が、基礎調査を終える前の段階で、危険性のある区域を公表する取り組みを行いました。

それにより、その土地の資産価値が低下するなどのリスクはあるものの、それよりも災害発生時のリスク回避を優先して公表に踏み切ったものと承知をしますが、本道においても、基礎調査を終える前の様々な情報公開などは行っているものと思いますが、注意喚起等の対応は本道ではどのようになされているのか、改めて説明を願います。

答弁 : 砂防災害担当課長 田中 洋海

住民に対する注意喚起等についてでありますが、道では、土砂災害危険箇所については、被害が想定される区域等を道のホームページにより公表しているほか、土砂災害危険箇所図を作成し、市町村に配布することにより役場での閲覧や広報誌への掲載、町内回覧、各戸配布などを通じて情報提供しているところでございます。

このほか、土砂災害に対する啓発活動として、住民等を対象とした講演会の開催やリーフレットの配布、土砂災害パネル展の実施など、防災意識の向上に向けたさまざまな取り組みを進めてきているところでございます。

また、調査の実施にあたりましては、土砂災害防止法の趣旨を理解していただくため、地元市町村と連携して調査範囲内の住民や施設の管理者のほか、土地の所有者などを対象として、法の概要はもとより、基礎調査の目的や実施内容などについて、周知しているところでございます。

7.質問 : 区域指定後の対応について

道としては、非常に丁寧に地元の住民の皆さんに対して、市町村と連携した情報公開、注意喚起を行っていただいているとのことですが、31年度までに基礎調査が終わった後に、実際にいざレッドゾーンだ、イエローゾーンだと指定がなされる段階になった時に、その地域の人にとっては驚きなどがあると思うんです。

区域指定後の地域や住民への対応については、今後どのように取り組んで行く考えなのか、所見を伺います。

答弁 : 砂防災害担当課長 田中 洋海

区域指定後の対応についてでありますが、市町村は、土砂災害警戒区域が新たに指定された場合には、地域防災計画において、避難場所や避難経路等を示したハザードマップの作成や区域内の社会福祉施設、学校、医療施設等に対する警戒情報の伝達等について定めることとされているところでございます。

また、道では、ハザードマップの作成に必要な基礎資料の提供のほか、土砂災害の危険性を認識してもらう出前講座や、区域内の地域住民の方々が参加する防災訓練を市町村とともに、実施しているところであり、こうした取組を通じて、今後とも、市町村への支援や連携強化を図ってまいる考えでございます。

8.質問 : 対象箇所の見直しについて

今年8月、北海道で過去最悪と言われる台風被害が発生をいたしました。地球環境が過去無いほど変わっていることは、もう皆さん、承知の通りだと思いますが、様々な状況の変化を踏まえて、現在道が基礎調査を進めているこの土砂災害危険区域に関しても、区域の選定などに漏れはないか、推定値とされた根拠は十分なのか、不断の見直しが必要であると考えますが、この点に対する道の認識並びに今後の取り組みはどの様なものか伺います。

この度の大雨災害を受けた新たな区域指定された場所と言うのはまだ実例が無いと伺っておりますが、今後、不断の見直しをして、何よりも地域住民の方々の安全を確保していくこと、それを最優先した対応をお願いしたいと思います。

答弁 : 土木局長 清水 文彦

対象箇所の見直しについてでありますが、開発行為等に伴う地形や土地利用状況の変化など新たに区域指定が必要と認められた場合は、遅滞なく、対象箇所の見直しを行っております。

また、この度の大雨災害を受けて、土砂災害が発生した箇所のうち、新たに区域指定を要する場合については、調査を実施の上、その結果を速やかに公表し、住民の方々に土砂災害の危険性を早期に認識していただくなど、市町村と連携し、警戒避難体制の充実・強化を図ってまいりたいと考えております。

公共事業予算・事業量の確保について

最後に、平成27年度決算を踏まえた今後の公共事業の予算、事業費の確保について、伺ってまいります。

不用額発生の背景について

9.質問 : 不用額発生の要因について

まず、27年度決算においては、建設部では総額2561億9262万1千円の予算現額に対しまして、30億6468万6378円の不用額が発生しております。この不用額が発生した背景にはどのような要因があるのか説明願います。

答弁 : 総務課長 板谷悟

不用額が発生した要因についてでございますが、建設部では、公共事業の執行におきまして、これまでも年間数度にわたり事業費の調整を行い、用地取得業務の不調や入札差金などに係る不用額につきまして、可能な限り他の事業箇所への振り替えなどを行って、効率的な予算の執行と事業の進捗を図っているところでございます。

しかしながら、この数度にわたる調整を行っても、なお、必要な公共用地の取得ができなかったことなどによりまして、平成27年度の決算におきましては、やむを得ず不用額が発生したところでございます。

10.質問 : 建築防災費の不用額について

個別項目について伺います。「建築防災費」という項目が決算書にありますが、平成27年度は2億8114万9千円の予算現額のうち、4割にあたる1億1087万円余りが不用額として計上されています。この事業の具体的な内容並びにこれだけの不用額が発生した背景、どのような要因があるのか説明を願います。

答弁 : 建築安全担当課長 若原匡

建築防災費の不用額についてでありますが、建築防災費は、道内における住宅や建築物の耐震化を促進する事業に要する経費であり、住宅や民間大規模建築物の所有者が行います耐震診断・耐震改修を支援する市町村に対する補助のほか、耐震化に関するセミナー開催などの普及啓発や、地震防災対策に関する調査研究などを行っているところでございます。

平成27年度決算では、不用額約1億1千百万円のうち、97%にあたる約1億8百万円が、民間大規模建築物の耐震診断・耐震改修への補助金であり、所有者の方々の意向などを市町村を通じて把握の上、予算措置したところでありますが、費用の調達や、営業への影響を考慮した改修工法の検討などに時間を要しまして、当初予定していた改修が実施されなかったことが不用額発生の主な要因であるところでございます。

11.質問 : 民間大規模建築物の耐震化の促進について

各民間事業者の財政事情等によりその整備がスムーズに進められないってことは、致し方ないかなと思うところでありますが、今年は4月に熊本の大地震が発生して、またつい最近は鳥取県中部での地震が発生しております。そうしたことを考えれば住宅はじめ民間施設の耐震化を進めていくことは、まさに喫緊の課題であると考えます。民間施設の耐震化を進め、防災体制の構築を図るには、市町村を通じて、民間の方々に耐震化の重要性をより認知して頂く、または市町村、道の補助率を高めていく、そうしたことにより耐震化に取り組みやすくする環境づくりを行う。そうした施策が求められると考えるんですが、今後道としては、市町村を通じ、民間事業者のニーズ等をより的確に把握し、不用額を少なくする取り組みが求められると考えますが、これらのことに関しての道の認識並びに今後の取り組みについて所見を伺います。

答弁 : 住宅局長 平向 邦夫(建築指導課)

民間大規模建築物の耐震化の促進についてでありますが、今年に入りまして、熊本地震や鳥取県中部の地震により、建物への被害が発生しており、改めて、建築物の耐震化は、道民の方々の安全で安心した生活を確保する上で、重要かつ緊急的な課題であると認識しております。

このため、道では、市町村と連携して、民間大規模建築物の所有者の方々を対象といたしました説明会の開催や、支援制度の情報提供などを行うとともに、今年度からは、さらに所有者の方々の負担が軽減されるよう、避難所となる大規模建築物の耐震改修への補助を大幅に拡充するほか、耐震改修アドバイザーの派遣制度を設けるなど、耐震化の促進を図っているところであります。

道といたしましては、引き続き、こうした耐震化に向けた取り組みを積極的に進めますとともに、市町村との連携を一層密にし、所有者の方々の意向や改修計画などを的確に把握するなどして、効率的、効果的な予算の執行に努めてまいります。

12.質問 : 今後の取り組みについて 

予算現額の内、約四割が使い切れずに不用額となってしまった。こうしたことが、今後なきように十分につとめていただいていることは承知しておりますが、より効果的・効率的な予算執行を努めていただきたいと思います。
最後に今後の事業量の確保について伺いますが、建設業が主要な雇用の受け皿となっている地域にとっては、地域経済を支える主要産業、地域にとっては安定した公共事業の予算並びに事業量の確保は何より切実な課題であるということは申すまではないと考えます。

先に述べた技術者・技能者、人手の確保についても安定的な予算、事業量が確保さえすればそうしたことにも各事業者として投資することができる。なによりもこの予算確保が重要な問題であることまず皆様にお伝えした上で、様々な要因により発生した不用額について建設部としても各建設管理部さらにはその出張所等において不要となった予算を可能な限り他の事業に振り分けて不用額とならないような取組をしていることは承知するところであります。

また、今時期は、皆様夜遅くまで時には土日関係なく予算編成をしていただいている。その上でもやむを得ず不用額が発生してしまうことは私としては理解しているところでありますが、国並びに道においても厳しい財政事情を抱える中で、予算編成の段階でより精緻な見積もりが求められることは言うまでもありません。今後のより精緻な予算編成並びに執行、そして公共事業の予算、事業量の更なる確保に向けて、道としてどのように取り組んでいくのか最後に伺います。

答弁 : 建設部長 名取哲哉

公共事業の執行に係る今後の取り組みについてでありますが建設部におきましは、公共事業の執行の過程で、入札差金や用地取得業務の不調、民間事業者の諸事情により急遽未実施となるものなど、様々な不用額が発生しており、その都度、可能な限り他の事業箇所への振り替えなどを行い、公共事業予算の最大限の活用に努めているところでございます。

今後とも、防災・減災対策の推進やインフラ長寿命化などによる、道民の安全・安心の確保はもとより、本道の地域の活性化が図られるよう、より一層効率的な予算執行に努めるとともに、こうした、社会資本整備に必要な予算についてさまざまな機会を通じ、国に対し強く求めるなど安定的な公共事業予算の確保に取り組み、地域の安全安心や経済雇用を支えている建設業の持続的発展につなげてまいりたいと考えております。

指摘 : 

国に対し強く求めること並びに、道においても可能な限り建設業が主要な雇用の受け皿となっていること、またそれだけではなく、実際に行わなくてはいけない必要な事業が沢山あるんだということを踏まえて安定的な予算並びに事業量の確保に努めていただきたい、そのことを申し上げて質問を終わります。

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