〜 第5回北方四島自由訪問の日程変更について〜
第5回自由訪問団が入域手続きの際に現地のロシア当局者と見解の相違が生じ、日程が遅れるという事態がまた生じてしまいました。日ロ政府の取り決めがロシア国内の隅々にまで行き届いていないようです。この点は日本外務省の仕事ではありますが、道としても高橋知事がサハリンを訪問したり現地の知事と会談する際には、交流事業が円滑に行われる様要請すべきではないかと訴えました。またサケマス流し網漁業の代替漁法としてこの度試験操業が行われた曳き網漁業の結果についても質しました。
平成28年北方領土対策特別委員会開催状況
開催年月日 平成28年8月3日(水)
質問者 北海道結志会 浅野貴博 委員
答弁者 北方領土対策本部 参事
平成28年度第5回北方四島自由訪問の日程変更について
1.質問 : 第5回自由訪問に係る入域手続について
今ご報告いただきました四島交流事業の実施について以下数点伺ってまいりたいと思います。26日から29日の日程で志発島を訪問する予定であった第5回北方四島自由訪問団の日程が変更となったことは、今ご報告いただきました。7月28日付北海道新聞では、入域手続が遅れた理由として菅義偉内閣官房長官が「ロシア側から日露外交当局間で事前調整した手続と異なり、日本側としては受入困難な修正を求められた」と会見で明らかにされていると報じられているところでございます。このことを踏まえて、以下4点伺いますが、道新記事には、26日の手続の際に書類に志発島をロシア名で記入するようロシア側から要求があり、手続が中断したとあります。道としても今回手続が遅れた理由は、このとおりであると認識をしているのか伺います。
答弁 : 東田参事
第5回自由訪問に係る入域手続についてでありますが、帰港後の記者会見で外務省の職員から手続が遅れた理由については、現場で四島側から一方的に、事前に日露外交当局間で調整された手続と異なり、日本側として受入困難な手続内容の修正を求められたため、一時中断し、外交ルート及び現場で鋭意調整した結果、翌日の27日の午前に手続を再開し、入域するに至ったとの説明があったところであります。
なお、道から外務省に確認したところ、外交上のやり取りについては回答を差し控えさせていただくとのことでありました。
2.質問 : 入域手続の遅延について
外交上のやり取りについて回答をいただけなかったということは、実際に志発島をロシア名で記入するように要求があったか否かは外務省としては明らかにしていないことだと思いますが、このようなやり取り、過去、昨年も何度かあったかと承知します。本年に入っても報じられるレベルでは、地元当局が日露政府間のハイレベルできちっと決めたことを守っていない。政府の首脳間で決めたことが、地元当局に十分に伝わっていないということが、今回改めて露見されたと思うのですが、この点について道はどのように認識していますでしょうか。
答弁 : 東田参事
入域手続の遅延についてでありますが、今回の自由訪問の入域手続において、日本側にどのような受入困難な手続内容の修正が求められたのかは、明らかにされていないことから、委員ご指摘の、地元当局に伝わっていなかったかどうかも含めて遅延の原因について判断することはできませんが、平成10年に日露両政府間で合意され、長年にわたって続けられている自由訪問の枠組みに則って、円滑に実施されることが必要と考えております。
3.質問 : 四島交流の事業の円滑な実施について
道として、遅延の原因について判断することができないというのは、外交交渉当局者でないので、致し方ないかと思うのですが、今後、改めて自由訪問はじめ四島交流事業が、いざ入域手続になったときに何かと揉め事が起きて、日程が一日二日と遅れてしまう、もしくに中止となってしまう、そのようなことがないように改めて道として日本の政府、特に外務省に対してロシア側としっかり協議を行って、ロシアのハイレベルの政府のみならず、地元の当局にまでしっかりと政府間合意の趣旨をおろして、隅々まで理解するように、そういう交渉をするように、道として政府に求めることに加えて、地方政府レベルの交流の場を活かして、この問題についても提起する必要があるのではないかと私は考える次第でございます。昨年来から起きているこのような交流事業の手続を巡るトラブルが今後無きように、高橋知事はじめ道としては、サハリン州知事などとの交流などの場で、この問題についてこれまで提起はされていますでしょうか。
答弁 : 東田参事
四島交流事業の円滑な実施についてでありますが、昨年、北方墓参の入域手続をめぐるトラブルがあったことから、知事、副知事が中心となって、外務省をはじめ、駐日ロシア大使館などに対し、四島交流事業の円滑な実施について要請を行ってきたところであり、本年2月にユジノサハリンスクで開催された代表者間協議においても、道や関係団体からサハリン州政府などに四島交流事業の円滑な実施を強く求めたところであります。
4.質問 : 今後の対応について
また9月でしたか。高橋知事がサハリン、ウラジオストクでしたか。ロシアの方に行かれるとも伺っておりますが、今後も今回の受けたような事態を受けて高橋知事、道として、交流事業の円滑な実施についてサハリン州はじめロシア側に提起をする考えはあるのか最後に伺います。
答弁 : 東田参事
今後の対応についてでありますが、今回、結果的に志発島への入域が適ったとは言え、手続に大幅な時間を要したことによって、元島民の方々をはじめ関係者から今後の四島交流事業の実施について不安視する声も上がっており、道としては、国に対し、交流事業の円滑かつ確実な実施について引き続き要請してまいるとともに、代表者間協議においてサハリン州政府などに対し、日露両政府が合意した枠組みに沿った実施について強く求めてまいる考えであります。
【水産林務部所管】
開催年月日 平成28年8月3日(水)
質問者 北海道結志会 浅野貴博 委員
答弁者 国際漁業担当課長
サケマス流し網漁業の代替漁法の試験操業について
昨年来、当委員会でも取り上げられました、サケマス流し網漁業がロシアの中で禁止とされて、その代替漁業について伺ってまいります。
ロシア200カイリにおけるサケマス流し網漁業の代替漁法として、今回、日ロ政府間で妥結された、サケマス曳き網漁業の試験操業が先月13日から26日まで行われました。
先日、ご報告いただきましたが、道からの報告によると、漁獲量は4.42トンで、割り当てされた68.88トンの約6%という極めて小さな漁獲量で終わったという結果になってしまいました。このことを踏まえ、以下3点お伺いします。
1.質問 : 試験操業の結果について
今回、初めて実施された流し網漁業に代わる代替漁法の試験操業の結果について、道としてどのように受け止めているのか伺います。
答弁 : 中島国際漁業担当課長
試験操業の結果についてでありますが、水産庁によりますと、国から委託を受けた国立研究開発法人「水産研究・教育機構」と一般社団法人「海洋水産システム協会」が海洋調査船1隻と漁獲物運搬船1隻を用船し、7月13日から26日までの内の9日間、ロシア水域で曳き網漁法により試験的な操業を実施いたしました。
その結果、漁獲量は4.42トン、漁獲割当量の68.88トンを大きく下回りまして、道といたしましては、漁業者の期待に反し、厳しい結果と受けとめているところであります。
2.質問 : 試験操業の課題について
そもそも、流し網漁業が禁止とされて、その被害額が200億円にも相当するのではないかと、地元根室市をはじめ、地元の皆様が危惧されていたところでございますが、今回、はじめての試験操業でしたが、割当の6パーセントという厳しい結果に終わってしまいました。
この代替漁法として期待された試験操業がこのような結果に終わってしまったことについて、浮き彫りとなった課題は一体何であるか、道としての認識を示してください。
答弁 : 中島国際漁業担当課長
試験操業の課題についてでありますが、今後、国では、今回の試験操業の結果に基づき、曳き網による代替漁法の評価や経済性の検証を詳細に行うこととしておりまして、道といたしましては、国の検証結果を踏まえ、関係団体などのご意見を伺いながら対応を検討してまいる考えであります。
3.質問 : 今後の対応について
あくまで国が主体で行ったものですから、検証なども国が行う、それを受けての道の対応になるかと思いますが、しっかりと情報をキャッチしていただくことを前提として、最後に伺いますが、今回、このような厳しい結果に終わりました。今後、検証が行われて、道としての課題もしっかりと明確にしていただいた上で、流し網漁業の代替漁法として曳き網漁業を今後どのように行っていくのか、また別の新たな代替漁法についても検討をしていくのかどうか、今後の道の取組について最後に伺います。
答弁 : 中島国際漁業担当課長
道としての今後の取組についてでありますが、先ほど、お答えいたしましたとおり、国では、ロシア水域における代替漁法について、調査結果の分析・評価を行った上で、今後の対応を検討することとしておりまして、道といたしましては、流し網漁業者の試験操業への参画や漁法の見直しなど、関係者の意向が十分反映されるよう国に働きかけてまいる考えであります。