〜道立病院の新たな経営形態について〜
厳しい経営状況に置かれている道立病院の経営改革の一環として、平成29年度より地方公営企業法の全部適用がなされ、事業管理者が新たにおかれることが決まっていますが、その人選など具体的な作業の進捗状況はどうなっているかを質しました。
平成28年第2回北海道議会定例会 保健福祉委員会(前日)開催状況
開催年月日 平成28年6月20日(月)
質問者 北海道結志会 浅野貴博 委員
答弁者 道立病院室長 山中博
道立病院室次長 三瓶徹
道立病院室参事 佐藤充孝
道立病院室参事 竹澤孝夫
道立病院の経営形態見直し等について
私からは、道立病院の経営見直し等について以下数点伺ってまいりたいと思います。昨年11月12日に開催された決算特別委員会において、高橋知事が、「2017年度を目指して具体的な作業に着手したい」旨述べ、道立病院の経営形態見直しに向けた決意を表明されました。事業管理者を設置することができる地方公営企業法の全部適用を行う意向を示されまして、このことと、昨年の同じ月の25日に行われた保健福祉委員会における私の質問に対する答弁を踏まえ、以下質問をしてまいりたいと思います。
地方公営企業法全部適用に向けた進捗状況について
1.質問 : 推進体制について
まず、地方公営企業法全部適用に向けた進捗状況についてですが、新しい事業管理者の人選などを行うにしても、保健福祉部の中で様々なそれに対応する専門的なチームを作らなければいけないと思うのですが、事業管理者の設置に先立った人選や組織体制などの検討を行うために、道としてどのような体制で現在作業を行っているのかまず、ご説明願います。
答弁 : 竹澤参事
道立病院の経営形態移行の準備状況についてでございますが、平成29年度から道立病院事業に地方公営企業法を全部適用するに当たりましては、事業管理者の選任をはじめ、組織体制や給与体系のあり方、職員の勤務条件や採用方法などの検討のほか、給与等の条例や企業管理規程の制定などが必要であります。
このため、本年度から道立病院室に全部適用の移行作業を担当するグループを新たに設けまして、移行準備を進めているところでございます。
2.質問 : スケジュールについて
本年度から新しいグループを設け、進めているとのことでありますが、昨年11月25日の答弁では、「管理者の処遇や人選については、他県における直近の状況を更に調査するとともに、関係者のご意見を伺うなどして検討を進めていく」、また、「地域医療構想や新たな病院事業改革プランの検討の中で、道立病院が地域で果たすべき役割など、病院事業の今後の体制のあり方について、方向性を取りまとめることが必要であり、こうした検討と並行して、管理者の設置や組織体制などの検討を進める」との答弁がなされておりました。
全部適用に向けてなすべきこれらの課題につき、どの作業をいつまでに行って整理をしていくのか、全体的なスケジュールを説明していただきたいと思います。
答弁 : 竹澤参事
今後の進め方についてでございますが、病院事業管理者の選任に向けましては、待遇面の条件などを含めて庁内調整を進めているところでございまして、医育大学等関係者の方々からご意見も伺いながら、人選を進めていくこととしております。
また、組織につきましては、現在、各病院の役割や機能などについて病院事業改革プラン改定のための外部有識者による検討会議でご意見を伺っているところであり、新たな改革プランの素案の段階で一定の方向性をお示しできるよう作業を進めてまいります。
このほか、職員の給与体系や勤務条件などについても、来年度からの移行に向け、着実に検討を進めていく考えであります。
3.質問 : 現時点での進捗状況について
ただいま答弁いただいたスケジュールの中で、現時点での進捗状況はどのようになっているのでしょうか、当初の想定と比較して順調と言えるのか、もし何か遅れていることがあれば何が課題となっているのか、それぞれ説明いただきたいと思います。
また、最終的な形を我々議会、そして道民へ説明していただけるのか、報告はいつなされるのか、道の見通しを示していただきたいと思います。
答弁 : 三瓶室次長
移行作業の進捗状況についてでございますが、来年度からの全部適用移行に向けまして、関係部局との調整を鋭意進めているところであり、現時点では、おおむね順調に進んでいるところでございます。
今後、管理者につきましては、できるだけ早期に人選を進めるとともに、組織につきましては、来年度の保健福祉部全体の組織機構の検討と合わせ、お示ししていく予定でございます。
指摘 :
大変な作業だと思いますが、皆さん検討作業を進めていただきたいと思います。
累積欠損金の解消について
4.質問 : 累積欠損金解消についての認識について
平成26年度末における6つの道立病院が抱える累積欠損金は約521億8700万円であるとされております。新たに事業管理者が設置され、新たな経営体制の下スタートを切るにしても、最初からこのような巨額の累損金を解消していくことは非常に困難なことであり、職員のモチベーションなどを考慮しても、なかなか難しいことだと思います。例えば累損金については一般会計が病院事業会計に対する長期貸付の債権放棄をすることで解消する方法もあるかと思います。これに関して、先の委員会では「累積欠損金の解消は大きな課題と考えておりますので、その扱いにつきましては、今後、新たな改革プランの策定を進める中で、プラン改定検討会議のご意見も伺いながら検討してまいる」との答弁がなされておりました。
検討会議では、今後、経営の効率化について議論される中で累損金の取扱いについても意見が出されることになると思うのですが、私どもの会派が主張する一般会計が病院事業会計に対する長期貸付の債権放棄をするという方法をもって累損金を解消することの是非について、現時点で道としてどのような認識を持っているかお示しください。
答弁 : 佐藤参事
累積欠損金についてでございますが、累積欠損金を縮減するには、地方公営企業法の規定によりまして、毎年度の利益をもって充てる、資本剰余金を取り崩す、資本金を減資する、のいずれかの方法によることとされているところであり、一般会計が病院事業会計に貸し付けた長期貸付金を債権放棄することにつきましては規定されていないところであります。
道といたしましては、病院経営において生じた累積欠損金については、自らの経営努力により解消すべきものであると考えてございますけれども、今後、プラン改定検討会議から道立病院の経営改善についてご意見を伺うこととしておりまして、さらに、他都府県における取組事例の調査も行うなど、引き続き検討を進めてまいりたいと考えております。
5.質問 : 数値目標設定について
累積欠損金解消の数値目標の設定についてでございます。これについては、何年度までにどの程度の水準まで減らすか、そういった数値目標を適切に設定することの重要性を先の委員会でも指摘させていただきました。これについては、「プラン改定に向けて設置をした検討会議から、道立病院が果たすべき役割や機能についてご意見をいただいた上で、経営効率化の取組を確実に進捗させていくことができる適切な数値目標を設定していく」との答弁がなされおりました。こうした数値目標設定に向けて、今後、道はどのような考え方をもって臨むのか最後に伺います。
答弁 : 山中室長
経営改善に向けました数値目標の設定についてでありますが、公立病院の経営改革を推進するために示されました国の新たな改革ガイドラインでは、公立病院が地域の医療提供体制の中で適切に役割を果たし、良質な医療を提供していくため、不採算医療等を担う役割を確保しつつ、一定の経費を一般会計において負担しながら、平成32年度までの経常黒字化、もしくはそれが著しく困難な場合には、黒字化を目指す時期を明らかにすることとされているところでございます。
このため、道では、現在、新たな改革プランの策定に向けまして、各道立病院の役割や機能について、検討会議からご意見をいただいている段階ではございますが、今後、経常収支比率及び医業収支比率など経営改善に必要な指標及びその目標水準などについてもご意見を伺いますほか、全国の公立病院や民間病院の状況も参考に道立病院としての適切な数値目標を設定していく考えでございます。