活動報告

平成29年12月8日開催 予算特別委員会各部審査(環境生活部)

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(浅野)

一 水素社会の実現について

先月末の午後1時頃、私の地元の苫前町豊浦にあるNEDOの水素製造施設が破裂するという事故が起きました。この施設は総事業費11億7千万円の、地域の再生可能エネルギーである風力から水素を製造して、地元の温泉施設等に活用するという、未来に向けた素晴らしい取組です。これは11月27日に試験が本格化したばかりのものでした。この事について、以下質問してまいります。

(一) 苫前地域における実証事業の意義などについて

苫前町において進められてきたこの事業の意義に対する道の認識と、これまで道は、どのような関与をしてきたのか、あらためて伺います。

(低炭素社会推進室参事)

苫前地域における実証事業の意義などについてでありますが、道においては、様々な再生可能エネルギーが豊富に存在する本道の優位性を活かした水素の利活用を進めるため、平成28年1月に、北海道水素社会実現戦略ビジョンを策定し、地産地消を基本とした水素サプライチェーンの構築、低炭素で安全・安心な地域づくり、環境産業の育成・振興をめざすこととしております。

本事業は、苫前地域の豊富な風力エネルギーから水素を製造し、地域で利用するサプライチェーンの構築をめざすものであり、ビジョンに示す方向性に合致した道内でも先駆的な取組であると認識しております。

道としては、実証事業を進めるための技術検討会に参加するとともに、その取組内容について、道内関係機関等への情報提供を行うなど、産学官連携により取組の推進に努めているところでございます。

(浅野)

(二)事故に対する道の対応について

この苫前町での事業は、道内初の取組であります。

今日の時点でも、事故の原因究明はなされていないと承知いたしますけれども、事故の発覚直後から道はどのような対応をしてきたのか、伺います。

(低炭素社会推進室参事)

事故後の対応についてでありますが、道では、11月30日の事故発生を受け、関係機関から被害状況など情報収集し、翌12月1日早朝から、留萌振興局の担当者が現地確認を行い、事業者から状況を聞き取りするとともに、同日夕方にも、あらためて、事故の発生状況等について説明を受けております。

道からは、その際、事故原因の究明、事業実施における安全の最優先、地域関係者への丁寧な説明を求めたところであり、現在、事業者においては、監視データの解析など原因究明を行っており、今後、事故原因や再発防止策について報告を受ける予定でございます。

また、事故の発生を踏まえ、関係部で情報共有を図るとともに、道内で同様の実証事業などに取り組む関係者に対し、あらためて、適切な安全管理について促したところでございます。

(浅野)

(三)水素社会の実現に向けた取組について

12月2日、苫前町の森利男町長と、町議会の阿部俊一議長、福士敦朗副議長はじめ超関係者が同席される中で、豊田通商、川崎重工業の担当者の方を呼ばれて、森町長から事故について厳重注意をされています。
森町長はじめ苫前町の皆さんは、今回の事故において一番恐れているのは、水素が怖いんだというイメージが広がること、その実証実験を行っている苫前町も、何かおっかない場所ではないかとイメージが損なわれること、未来に向けたクリーンエネルギーの開発という事業全体が停滞してしまうことに強い懸念を有しておられます。

ただいまご答弁頂いた佐藤参事が、いの一番に私のところに情報提供に来て下さり、適切な対応を頂いていると思います。また、こうした苫前町の抱いているような懸念と同じ懸念を抱いて頂いていると思いますけれども、今回の事故に対して、改めて、道としてどのような懸念を有しているのか、また、原因究明ならびに事業の再開、今後の安全性確保等、今後、この事業が着実に進められ、水素社会の実現が進むよう、どのように道として取り組むのか、伺います。

(環境生活部長)

水素社会の実現に向けた今後の取組などについてでございますが、水素は、その特性に応じ適切に管理することで安全に利用できるエネルギーでありますが、今回の事故により道民や事業者の方々が、水素の利活用にマイナスイメージを抱くなど、今後の取組推進への影響も懸念されるところでございます。

現在、事業者におきましては、監視データの解析や、水素の漏えいなど施設の安全確認を行っているところであり、道といたしましては、事業者に対し、事故の原因究明と今後の安全対策を進め、地域への丁寧な説明を行うよう促すこととしております。

また、道内各地で進む水素社会実現に向けた取組が、安全かつ着実に進むよう、引き続き、様々な機会を活用し、道民の皆様に、水素の特性や利点についてのご理解を深めていただくとともに、事業者におきましては、安全対策に万全を期し、地域の理解と協力を得ながら、実証事業を進めていただき、地産地消による水素サプライチェーンの構築と、その成果が全道に広がるよう、取り組んでまいります。

(浅野)

地産地消による水素サプライチェーンの取組、その成果が全道に広がるよう取り組んでいくとの答弁を頂きました。是非、苫前町の不安に寄り添う形で、今後ともご尽力頂くよう、お願いいたします。

二 災害廃棄物について

次に、道の災害廃棄物処理計画の素案について伺ってまいります。

(一)計画策定の背景等について

1 災害の定義について

まず計画で定義する「災害」はどのようなものを想定しているのか伺います。

(廃棄物担当課長)

道の災害廃棄物処理計画で対象とする災害についてでありますが、本計画では、国の災害廃棄物対策指針と同様に、地震災害及び水害、その他の自然災害を対象としているところであります。

このうち、地震災害につきましては、地震による直接被害及び津波、火災、爆発など、地震に伴って発生する被害を想定し、水害につきましては、大雨、台風、雷雨などによる多量の降雨により発生する洪水、浸水、冠水、土石流、山崩れ、崖崩れなどの被害を想定しており、また、その他の自然災害につきましては、火山などの自然災害を想定しているところでございます。

(浅野)

2 計画策定の理由について

東日本大震災の発災後に膨大な量の廃棄物が出て、それの処理に大変な苦労をされました。そのため平素から、市町村、道、国の役割分担などについて取り決めておく、そのための計画策定であると伺っております。

しかし、東日本大震災発生から既にほぼ6年9カ月となります。この間、昨年8月の台風等、北海道において非常に深刻かつ甚大な被害を発生させた自然災害も出ております。東日本大震災の教訓を汲むことを謳う計画の素案が、この時期になって出されることとなった経過についてご説明いただきたいと思います。

(廃棄物担当課長)

計画策定の経過についてでありますが、国におきましては、平成23年の東日本大震災の経験を踏まえ、「大規模災害発生時における災害廃棄物対策行動指針」を策定し、これまでに、全国8ブロックごとに災害廃棄物対策行動計画の策定を進めてきたところであります。

北海道ブロックにおきましては、環境省の地方事務所が設置いたしました「大規模災害時廃棄物対策ブロック協議会」での協議・検討を経まして、本年3月に、大規模地震を想定した対策行動計画が策定されたところでございます。
道といたしましては、この国のブロック計画を踏まえますとともに、昨年や今年、甚大な被害をもたらした台風をはじめとする風水害も対象に加えまして、今年度、災害廃棄物処理計画を策定することとしたところでございます。

(浅野)

(二) 道の役割等について

1 道による市町村への人的・技術的支援について

計画によると、災害時に発生する廃棄物のほとんどは一般廃棄物であると、その処理は一義的に市町村が担うこととされています。道は何をするのかというと、市町村に対して技術的・人的な支援を行うとのことであります。

昨年8月に連続して発生した台風により甚大な被害が生じた地域の一つである南富良野町、そこで地元自治体と道、国との連携がうまくできなかった事例がいろいろあったと聞いております。その事例の一つに、台風により発生した廃棄物のほとんどが一般廃棄物であると、しかし災害発生時には産業廃棄物処理業者も処理業務に関わることができると、法に明記されている、認められているにもかかわらず、町の担当者の方などがそうしたことを把握しておらずに、処理現場で様々な混乱が生じたと、現場で作業に当たった方から伺いました。

限られた人員で日頃行政事務をこなしていることが多い市町村の中には、災害廃棄物の処理のみを専門的な自分の分野として日常業務とすることができない、そういう事情がたくさんあると思います。南富良野町で復旧作業に当たられた方からは、廃棄物処理の事業者や町職員が、廃棄物処理に関係する法規則の解釈等にその場その場でいろいろ難儀することも多かったと、そうした場合に道の方が適切な助言をしてくれたら非常に助かったのだけれどと、そういう声を聞いたことがあります。

計画に謳われている道の人的・技術的支援というのは、まさにこうした点で地元市町村、様々な事業者を補うことを目的にしているものだと、またそうすべきだと私は考えるのですが、道が目指している人的・技術的支援、具体的にどういうものなのか、あらためて伺います。

(環境局長)

災害廃棄物処理に関し、市町村への人的・技術的支援についてでございますが、昨年の台風被害時におきましては、市町村では、被災者の救護やライフラインの復旧など人命に関わる緊急事案が輻輳し、災害廃棄物の迅速かつ効率的な処理体制の構築に支障を来した面もあったと承知しているところでございます。

このため、道では、昨年の災害時におきまして、職員を現地に派遣するなどして、自ら災害状況の的確な把握に努めますとともに、市町村が行う災害廃棄物の処理の進捗状況も踏まえまして、搬入・搬出ルートの適切化や、仮置場の運営等を含め、処理方法などに係る技術的な助言に努めたところでございます。

今後とも、国や他の市町村、関係団体等と緊密な連携のもと、被災市町村における災害廃棄物の処理が円滑に進みますよう、支援を行ってまいる考えであります。

(浅野)

ただいま、処理方法などに係る技術的な助言に努めたという答弁をいただきました。たしかに、昨年の台風災害の際には、道職員のみなさんも大変なご苦労をされ、一生懸命復旧に当たっていただいたと理解をしております。

今後は、この計画ができることにより、いざ災害が発生したときではなくて、発生していない段階、平素のときから、こうなったらこうしようと、市町村職員と事業者の方々と連携を密にして、いざ何かあったときに、逆に道職員の方が現地にいなくても、地元市町村、事業者の方が的確な判断ができて、処理がすすんでいくようにすることが、計画の重要な目的の一つであると思いますので、しっかりとすすめていただきたいと思います。

2 人的支援について

計画が謳う人的支援に関して、それに必要なマンパワーはどこの部署から補うと考えていらっしゃるのか、また災害発生時にそれにあたることが想定される職員は、平時からどのような研修なり訓練を受けて、専門技術、知識を得て、経験を積むことができるようになるのか、道が想定している支援内容について具体的に説明願います。

(廃棄物担当課長)

災害発生時の対応についてでありますが、災害発生時におきましては、被害状況に応じた災害廃棄物に関する情報の収集や広域的な処理の調整など、市町村への支援要員を集中的に確保・派遣するため、環境生活部循環型社会推進課内に「災害廃棄物処理対策チーム」を設置し、庁内の関係部署等と連携して、支援要員の選定や、連絡調整等の業務にあたることとしております。
具体的には、過去に災害廃棄物の処理に関する実務経験等のある職員をリスト化し、現地への迅速な派遣ができるよう備えるほか、今後、国と連携し、道職員のほか、市町村の担当者や事業者も対象とした研修や訓練を行うなどして、災害廃棄物処理に係る人材育成にも努めてまいります。

(浅野)

3 道の財政負担について

今年の先月11月11日から12日にかけて、私の地元の留萌管内で、発達した低気圧により風速30メートルを超えるという滅多にない強風被害が生じました。6名が重軽傷を負い、北海道銀行の留萌支店の看板が吹き飛んでしまうと、誰か通行者に当たることもなかったので、たまたまけが人もなかったのですけれど、もしかしたら人命が失われたかもしれないという、深刻な被害が出ました。

また主に漁港に風によって大量の廃棄物がためられてしまい、漁業者の方が操業に苦労したと、処理も手間取ったと、陳情を受けたこともあります。その漁港にたまったごみについては、市町村が組織した衛生組合などにより処理をされまして、漁協はじめ地元漁業者の金銭的な負担は過重なものとはならずに済んだのですが、災害の規模によっては廃棄物の量も膨大なものとなり得ます。その処理に係る費用も大きく膨れ上がることも想定されます。

計画の中では、廃棄物の処理に関しては、一義的に市町村が担うと、被害が甚大になったときは、道がやることもあると書かれておりますが、道の財政的負担については、何も明確に書かれているものはないと承知します。この点について現時点で道はどのような認識を有しているのか伺います。

(廃棄物担当課長)

災害廃棄物の処理費用についてでありますが、災害廃棄物は、基本的に一般廃棄物となるため、市町村が処理責任を負うこととされておりますが、発災時には、短期間で膨大に排出されることから、国により、処理に係る補助制度が整えられているところでございます。

昨年の台風被害の際には、南富良野町や新得町など11市町で、環境省の「災害等廃棄物処理事業費補助金」を活用して災害廃棄物の処理を行ったところでございます。

道といたしましては、被災市町村に対しまして、この補助制度の活用を改めて周知いたしますとともに、速やかに、補助申請等の事務処理が図られるよう手続き等について必要な助言を行うなど、円滑な制度の活用に向けて支援してまいる考えでございます。

(浅野)

今ご答弁いただいた「災害等廃棄物処理事業費補助金」、あまり知られていない面もあるかと思います。こうした事態が生じたときには、私自身も地元の人に周知する、振興局の方と連携した活動を私もしたいと思いますけれども、今後とも、最終的にはお金をどうやって工面するかという苦労も出てくるかと思いますので、適切な助言に今後も努めていただきたいと思います。

4 市町村の計画策定について

現時点で、災害廃棄物の処理等に関して、廃棄物発生量の計算方法等、詳細に定めた計画を策定しているのは千歳市のみと承知します。千歳市の計画を見ましたら、木造か木造じゃないか、鉄筋コンクリートかどうか、そうしたことに加えて、燃えるものか燃えないものか、非常にシンプルかつ詳細な数式を作って、これだけの規模の災害が起きたらこれだけのごみが発生すると、そうした目安をたてるような、非常に優れた素晴らしい計画を、千歳市は作っておられます。

道の計画は、市町村が独自に今後、処理計画を作る際の目安、参考となるものを目指すとうことでありますけれども、道としては、千歳市と同じくらいのレベルの詳細な計画が他の市町村において策定されることを今後、促していく考えなのか伺います。

(環境局長)

市町村計画の策定に向けた取組についてでございますが、災害廃棄物の処理主体となります市町村が、災害廃棄物を迅速かつ適正に処理するためには、自治体それぞれの特色に応じた処理・処分の方法や仮置場の管理・運営方法などについての具体的かつ実践的な処理計画の策定が求められるところでございます。

このため、道では、市町村に対しまして、今回策定する道計画の内容を広く周知いたしますほか、国と連携をし、市町村や関係機関等で構成する北海道ブロック協議会を通じまして、千歳市をはじめとする先行事例等の情報共有や、災害廃棄物対策に関する研修を開催するなどして、市町村の計画が地域の実情に応じてより実効性が高いものとなるよう積極的に働きかけてまいる考えであります。

(浅野)

(三) 今後の取り組みについて

1 今後のタイムスケジュールについて

道としては、今後パブコメを実施して、来年2月に案を決定して環境生活委員会に報告して、3月までの策定を目指していると承知しますが、東日本大震災から来年3月11日で7年となります。この7年となる日までの策定を目指しているのか伺います。

(廃棄物担当課長)

計画の策定スケジュールについてでありますが、この度、取りまとめました北海道災害廃棄物処理計画素案につきましては、今後、パブリックコメントを実施いたしますとともに、市町村の担当部局に対しても、その趣旨等を周知するほか、環境省の地方事務所が設置いたしますブロック協議会の場などを通じて、学識者や市町村などのご意見を伺うこととしております。

その後、いただいたご意見を踏まえまして、計画案を取りまとめ、来年2月の環境生活委員会にご報告した上で、議会議論も踏まえまして、本年度内に計画を策定する考えでございます。

(浅野)

2 平時からの備えについて

本年度内にということでしたが、それまでの間にも大規模災害が発生することは十分考え得ることだと思います。最終的に計画が作られる前であったとしても、計画の内容や過去の事例を踏まえて、適切な災害廃棄物の処理体制を構築し、平時からの備えを、計画ができあがるまでの間も、万全にしておくことが、必要だと思いますが、この点に関する道の認識並びに今後の取組について伺います。

(環境生活部長)

災害廃棄物処理計画の策定までの対応についてでございますが、予期せずに発生する災害からの早期の復旧・復興に向けまして、災害廃棄物を迅速かつ適正に処理することは極めて重要であり、道といたしましては、災害廃棄物処理計画の策定前でありましても、国の災害廃棄物対策指針や、過去の災害経験などを踏まえまして、市町村に対し、万全の体制をもって、指導・助言、支援を行う考えであります。

また、今回の計画素案の策定を機に国、市町村、民間事業者などとの情報共有を行い、広域的な処理に向けた連携体制を確認するなど、被災市町村をしっかりとバックアップする体制を強化してまいります。

(浅野)

三 アイヌ政策について

(一)民族共生象徴空間関連事業について

次にアイヌ民族政策について伺ってまいります。

まず、はじめに民族共生象徴空間関連事業について伺ってまいります。

白老町に整備されているこの空間は、国の作成したロードマップに従って、2020年の東京オリンピックに先立ち一般公開されるべく、整備が進められていると承知しております。道としても、菅官房長官が掲げた年間来場者数100万人これを目指して、様々なプロモーション事業を掲げていると承知しますが、まず、アイヌ民族の参画について伺います。

1 アイヌ民族の参画について

(1) アイヌ民族の参画について

象徴空間は、北海道の約150年の歴史の中でも初めて「アイヌ文化の復興等に関するナショナルセンター」と位置付けられ、国立施設として建設されるものとなると承知しております。故に、企画検討の段階から、全ての事業に出来る限りアイヌ民族の方々の声がしっかりと反映されるべきであると考えます。象徴空間整備に向けた国または道の各種事業に関して、アイヌの方々はどのように参画できているのか、現状についてまず伺います。

(アイヌ政策推進室参事)

イランカラプテ。

アイヌの人たちの参画についてでありますが、国では、総合的かつ効果的なアイヌ政策を推進するため、内閣官房長官を座長とする「アイヌ政策推進会議」を設置し、アイヌの人たちに参画いただき、「民族共生象徴空間」や「アイヌの生活実態調査」等につきまして検討を進めるとともに、より具体的な検討を行うため、同会議の下に「政策推進作業部会」や「象徴空間整備・管理運営に関する一体的な検討体制全体会合」などを設置し、北海道アイヌ協会をはじめ、道外のアイヌ関係団体の方々にも参画をいただいているところでございます。

また、道では、アイヌ政策の今後の方向性等につきまして認識を深めるために、知事、北海道アイヌ協会、道内有識者などによる「アイヌ政策を考える懇談会」を開催するほか、昨年11月に、象徴空間の開設機運の醸成や誘客促進を図ることを目的に設置した「官民応援ネットワーク」に、北海道アイヌ協会に参画をいただいているところでございます。

さらには、開設1000日前記念カウントダウンセレモニーや、道内外における象徴空間開設のプロモーションなど様々な事業等の実施にあたっても、北海道アイヌ協会をはじめ、各地区のアイヌの人たちに参画をいただき、取組を進めているところでございます。

(浅野)

(2) 応援ネットワークへの加盟について

今ご答弁いただいたなかで触れられている、官民応援ネットワークに関してですが、多くの行政機関、各種企業、団体等が参加をして意義深い活動が行われていると承知をします。その中にアイヌ民族の当事者団体として参画しているのは、今ご答弁いただいたように北海道アイヌ協会のみとなっていると承知します。このアイヌ協会が支部制度を解体して、49ある各地区のアイヌ協会がそれぞれ独自に活動を進めることが出来るようになった今としては、道が各地区アイヌ協会にもこのネットワークでの活動の周知をすると、そして、各地区アイヌ協会としても参画できるんだよと、参画して一緒にやりませんかと呼び掛けることも非常に意義があると考えるのですけれども、この点についての道の認識を伺います。

(アイヌ政策推進室参事)

アイヌの人たちの応援ネットワークへの参画についてでありますが、道では、象徴空間がもたらす様々な効果を北海道全体に広げるため、象徴空間の開設を応援する取組にご協力いただける国や経済団体、北海道アイヌ協会をはじめ、全道各地でアイヌ文化の振興に取り組む市町村のほか、イランカラプテキャンペーンにご協力いただいている団体や企業の皆様に参画をいただきまして、昨年11月、官民応援ネットワークを起ち上げ、開設機運の醸成やアイヌ文化の発信、誘客促進などに取り組んできているところでございます。

現在、官民応援ネットワークに参画いただいているアイヌ民族の団体としては、道内の49の地区アイヌ協会が会員となっている北海道アイヌ協会と、白老町のアイヌ民族博物館となっているところでありますが、道としては、引き続き、ネットワークの設立趣旨に賛同いただける皆様には順次参画をいただきたいと考えているところでございます。

(浅野)

ネットワークの設立趣旨をまず周知をして、参画を呼びかけるということも今後力点を置いていただきたいと思います。

(3) 関係団体との連携について

次に伺いますが、菅長官が提示した「固定観念や先入観を取り払いアイヌに寄り添った先住民族政策を再構築する方針」に歩調を合わせるためにも、象徴空間整備に向けて、北海道としても、北海道アイヌ協会と連携するだけではなくて、その他49の各地区のアイヌ協会はじめ様々なアイヌ関係団体等、アイヌ民族との連携を深めて、企画の段階から機運を醸成していく、共に作っていく、そうした機運醸成に努めていくべきと考えますが、道の認識を伺います。

(アイヌ政策推進室長)

アイヌ関係団体との連携についてでありますが、道では、2020年4月の象徴空間の開設に向け、本年度から、平取町、札幌市、釧路市など、道内各地でアイヌ文化発信イベントを行うとともに、東京都や、先住民族文化を振興しますハワイ、台湾において、アイヌ古式舞踊の実演や工芸品の展示、体験事業など、アイヌ文化の発信を行い、プロモーションの強化を図ることとしているところであります。

事業実施にあたりましては、北海道アイヌ協会はもとより、各地区のアイヌ協会やアイヌ古式舞踊保存会などの皆様と舞踊の実演や工芸品の展示方法など、イベントの企画段階からご協力をいただいており、道といたしましては、引き続き、地区のアイヌ協会などとも連携を図りながら、象徴空間開設に向けた効果的な事業展開が図られるよう努めてまいる考えであります。

(浅野)

ぜひとも今後ともアイヌの方々の声が企画段階からイベントを作り上げる段階からより反映されるようになるよう努めていただきたいと思います。

(二)今後のアイヌ人骨・副葬品の取り扱いについて

次に今後のアイヌの人骨・副葬品の取り扱いについて伺ってまいります。

アイヌ民族の人骨が勝手に持ち出されてしまった、非常にあってはならないことが過去にありました。これに関して、これまで北海道大学や札幌医科大学を含めた全国の12大学が保管しているアイヌ民族の遺骨等に関して、国が返還・集約についてのガイドライン等の作成を終え、それに従って現在返還作業が進められているものと承知をいたします。

1 人材確保について

道内各地で実施される発掘調査等によって、今後新たな遺骨が出土する可能性は大いにあると考えられるものと思います。アイヌ民族も含め、出土する人骨が尊厳ある取り扱い・管理がなされることに対して社会的関心が高まっていること、さらに象徴空間において集約後に遺骨の適切な保管・管理を行うことが必要であること等に鑑みても、道内の関連機関・施設においてそれらの作業を適切に行える、考古学や人類学等の専門知識を有する適切な人材の確保が今後不可欠になると考えます。この点に対する道の認識並びに今後の取り組みについて伺います。

(アイヌ政策推進室参事)

専門知識を有する人材の確保についてでございますが、発掘調査により出土した物件が文化財と認定され、所有者が判明しない場合、その所有権は北海道に帰属し、道教委におきまして適切に保存活用しているところでございます。

また、地元出土文化財の主体的な保存活用を希望する市町村には、道から所有権を譲与しているところでありまして、人骨につきましても同様の取扱いとされているところでございます。

出土文化財の保存活用の主体として、地方公共団体には、人骨の尊厳ある取扱いに留意することが求められるものと認識をしており、それを担う人材の要件等につきましては、関係者の意見をよく聞いたうえで、道といたしましては、文化財を所管する道教委などと連携しながら、こうした人材が道内においても確保されるよう、努めてまいります。

(浅野)

2 今後の対応について

今後の対応について伺います。

アイヌ民族の遺骨に関して、現在白老町で整備が進められている慰霊施設には大学が保管する遺骨等が集約されることになっておりますが、今後出土することが見込まれるもの並びに副葬品の取扱いに対して、現時点で道はどのように考えているのかどのような対応をしていくのか伺います。

(アイヌ政策推進室参事)

今後出土する遺骨等についてでございますが、国では、平成25年6月に定めました「アイヌ遺骨の返還・集約に係る基本的な考え方」に基づきまして、各大学等に保管されているアイヌの遺骨につきまして、遺族等への返還が可能なものにつきましては、アイヌの人たちへの返還に努めることとし、直ちに返還できない遺骨等につきましては、国が主導して、象徴空間の慰霊施設に集約し、アイヌの人たちによる受け入れ体制が整うまでの間、適切な慰霊と管理を行うとされているところでございます。

また、国における議論を踏まえまして、北海道アイヌ協会、日本人類学会及び日本考古学協会によります今後のアイヌ遺骨等を用いた調査研究のあり方検討会が行われ、本年4月、国に対し報告書が提出をされ、今後検討すべき課題といたしまして、「今後、出土する遺骨等の取り扱いについて、日本人類学会と日本考古学協会は、アイヌの意見を踏まえつつ、文化財を監督する関係機関と連携し、そのあり方をさらに検討していく」とされているところでございます。

国では、この度の報告を受け、アイヌの人たちと研究者が合同で設置いたします委員会におきまして、さらなる検討を進めることとしておりますが、道といたしましては、文化財を所管する道教委などとも連携しながら、アイヌの人たちの意向に沿った適切な取扱いとなりますよう国に働きかけてまいります。

(浅野)

(三)北海道アイヌ生活実態調査等について

次に、北海道アイヌ生活実態調査等について伺って参ります。11月から実施されている「北海道アイヌ生活実態調査」は、現在検討されているであろうアイヌ民族への新たな法的措置を、より現状のニーズに合ったものにする上で非常に重要なものであると考えます。しかし、平成25年に実施された前回調査において調査対象となったアイヌ民族の人数が、前回、その前の平成18年の調査より、市町村数で6つ減り、また人数も23,782名から16,786名と、7年の間に6,996名も減少しています。

1 実態調査の対象人数について

このことを踏まえて伺いますが、実態調査における調査対象となる人数の集計方法は各市町村に委ねられていて、道内でも統一はされていないと承知をします。本調査にて調査対象となる人数は、実際のアイヌ民族の人口とは一致しないと、そういう認識でよろしいのか、伺います。

(アイヌ政策推進室参事)

アイヌの人たちの生活実態調査についてでございますが、道では、道内のアイヌの人たちの生活実態を把握し、今後の施策のあり方を検討するための基礎資料を得ることを目的に調査を実施しており、地域社会でアイヌの血を受け継いでいると思われる方、また、婚姻・養子縁組等により、それらの方と同一の生計を営んでいる方で、ご自身がアイヌであることを否定していない方を調査の対象としているところでございます。

また、前回の調査におきまして、調査対象者数が減少した背景には、個人情報保護の意識が浸透する中、関係市町村が把握できない方や調査にご協力を得ることができない方が増えたことなどがあるものと考えておりまして、調査対象者数につきましては、道内におけますアイヌの人たちの全数とはなっていないところでございます。

(浅野)

2 アイヌである事を証明するための経費について

調査対象者数が、すべてのアイヌの人たちの全数とは合致していないという答弁でありましたが、「先住民族の権利に関する国連宣言」第33条にも規定されているように、誰がアイヌ民族の構成員であるかを決定する権利は、アイヌ民族の代表機関が有することとなっております。現状では北海道アイヌ協会が、アイヌ生活向上施策の申請者の方がアイヌかそうでないかを、推薦書を出す、または出さないという方策をもって決定しているものと承知をします。そして現在、北海道アイヌ協会は、公益法人として正確を期すために、アイヌの系譜を持つ事を、アイヌ名をもつ祖先が出てくる戸籍等の公的文書を用いて証明させることを条件としていると承知をしております。

しかし、人によっては、証明の際に一通750円の手数料負担がかかる改製原戸籍を五通以上も請求しなくてはいけないケースもあると伺っております。生活向上施策を受けたいと思う方々にとっては、1通750円のものを複数請求してその料金を払わなければいけない。これもなかなか大きな負担ではないかと思います。アイデンティティを証明するために北海道アイヌ協会への入会を望む方にとっても、決して小さな負担ではないのではないかと推察をいたします。
道として、アイヌ民族である事を証明するための証明書類発行にかかる手数料について、各市町村に免除を働きかける、こういったことも今後必要になってくるのではないか、重要ではないかと考えるのですが、道の認識を伺います。

(アイヌ政策推進室参事)

アイヌ民族であることを認定するための手続きについてでございますが、道では、これまで、国が主体となった総合的なアイヌ政策を、その根拠となる法律を制定した上で、北海道を含め全国的に推進するよう、北海道アイヌ協会とともに、国に強く要望してきたところでございます。

こうした中、国では、アイヌ政策の再構築に向け、立法措置を含めた総合的な検討を進めるとして、様々な立場のアイヌの人々に関する実態把握及び課題の整理を進めているところでございます。

今後、国における新たな施策の検討の中で、アイヌ民族であることを個々に認定する手続き等に関しましても検討が行われるものと承知をしており、道といたしましては、引き続き、北海道アイヌ協会などと連携しながら、アイヌの人たちの意向が反映されたものとなりますよう、国に求めてまいります。

(浅野)

(四)各地区アイヌ協会の組織強化について

次に、各地区アイヌ協会の組織強化について伺います。アイヌ政策を進めるにあたり、道は基本的にこれまで累次申し上げてきましたが、北海道アイヌ協会と連携をしていると、それを通じて各地区・地域のアイヌ協会との連携を図るという方針を執っていると承知をしますが、まず、各地区アイヌ協会の現状について伺います。

1 各地区アイヌ協会の現状について

専任の事務従事者が置かれている、そういう体制を持って協会員の声を引き上げる事等の実務作業を行うことの出来る組織は、49の各地区アイヌ協会のうちいくつあるのか、また各地域のアイヌ協会活動の拠点施設に、インターネット環境が整備されているところはいくつあるのか、こうしたことを含み、各地区アイヌ協会の事務局体制がどの程度整備されているのか、どのような現状にあるのか、道はどの程度把握しているのかまず伺います。

(アイヌ政策推進室参事)

地区アイヌ協会の現状についてでございますが、北海道アイヌ協会が、平成26年4月に公益社団法人としての認定を受ける際、各地域におきましては、それまでの協会支部という形から、地区協会という形態を取りますとともに、北海道アイヌ協会の団体会員として加入しているものと承知をしております。

また、各地区協会におきましては、一部でNPO法人としての認証を取得しているものがございますが、その多くは任意団体として活動しておりまして、その組織体制や規模などは様々であり、市町村が事務局の役割を担ったり、会長の自宅を事務局としているようなケースもあると承知をしております。

(浅野)

2 各地区アイヌ協会の強化について

さまざまな事務局体制にあると、今答弁いただきましたが、全道各地のアイヌ民族の方々の声を集約する役割を各地区アイヌ協会が充分に果たせるようにするためには、各地区協会をソフト・ハード両面で組織強化を図る必要があると考えます。道としてどのようなサポートを現時点まで行ってきているのか、そして今後どのようにこのサポートを強化・充実させていく考えなのか伺います。

(アイヌ政策推進室長)

地区アイヌ協会の強化についてでありますが、道におきましては、昭和49年度から4次にわたる「ウタリ福祉対策」と、3次にわたる「アイヌ生活向上推進方策」を策定し、生活向上施策の総合的な推進に取り組んでおりますが、アイヌの人たちの抱える様々な問題を解決していく上で、アイヌの人たちが自ら組織しました北海道アイヌ協会の役割は非常に重要と考え、これまで、その活動や組織強化を支援してきたところであります。

平成28年度を始期とします第3次推進方策におきましては、「組織活動の充実及び組織間の連携強化」を柱の一つとしまして、北海道アイヌ協会が行う、組織活動の充実・強化に資する地区協会等に対する情報提供や助言・指導、人材育成に資する各種研修事業などに対して、支援を行っているところであります。

道といたしましては、引き続き、北海道アイヌ協会への支援を通じ、各地域におけます活動の充実・強化や、情報共有、連携促進などが図られるよう、努めてまいります。

(浅野)

(五)今後のアイヌ政策について

最後に、今後のアイヌ政策について伺います。

これまで道は、格差是正を主眼とした「生活向上」と「文化振興」を柱としてアイヌ政策を推進してこられたものと承知をします。現行の政策では、昭和63年から継続して道議会でも意見書・決議書において主張されている「権利保障」の観点がまだ十分でないと考えます。

土地・資源への権利や入会(いりあい)権、漁業権そして民族自決権などの先住権は、2008年「アイヌ民族を先住民族とすることを求める国会決議」及び決議に関する内閣官房長官談話でも言及されている「先住民族の権利に関する国連宣言」においても明言されているものであります。これらの権利を確立することは、決議の文言にあるように、アイヌの人々が民族としての名誉と尊厳を保持するためにも必要な観点であると考えますが、このことに関する道の認識並びに今後の取り組みについて伺います。

(環境生活部長)

先住民族の権利に関する国連宣言等についてでございますが、平成19年9月に、国連総会において採択されました「先住民族の権利に関する国際連合宣言」は、平成20年6月の衆参両院におきまして、「アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議」が全会一致で採択される契機となったものであり、その意義は大変大きいものと認識しております。

国会決議では、「政府は、国連宣言が採択されたことを機に、同宣言における関連条項を参照しつつ、高いレベルで有識者の意見を聞きながら、アイヌ政策をさらに推進し、総合的な施策の確立に取り組むこと」とされ、これを受けまして、同年7月に内閣官房長官が設置をいたしました「アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会」におきまして、現在のアイヌ政策を推進する基本的な考え方が平成21年7月に報告書として取りまとめられたところでございます。

道といたしましては、この国連宣言や国会決議を厳粛に受け止め、アイヌの人たちの社会的・経済的地位の向上や、アイヌ文化の振興を図るため、各般の施策の推進に努めてきているところであり、今後とも、アイヌの人たちとともに、国際社会がめざす、異なる民族が共生し、文化の多様性が尊重される社会の実現に向け、積極的に取り組んでまいります。

(浅野)

ぜひとも、これまでの生活向上、文化振興に加えたアイヌ民族の、民族発展的とでも申しますか、さらなる一歩進んだ政策の推進に向けて、道としても認識を深めていただきたいと、そのことを申し上げて、質問を終わります。ありがとうございました。