北方領土対策員会で質問しました!

10月17日、北海道新聞社による世論調査の結果が示されました。アンケートに回答した道民の49%が、いわゆる北方領土の二島先行返還を否定しないという結果です。道は従来四島一括返還という方針をとってきましたが、この方針は政府も公式見解とはしていないものです。12月の日ロ首脳会談で、戦後70年、解決しなかった領土問題が具体的に動きだす可能性が見えてきました。そんな中でも、四島を行政区域に抱える道の見解、対応は旧態依然としたままです。道としての『新しいアプローチ』があるべきではないのか、道の見解を質しました。

平成28年北方領土対策特別委員会開催状況

開催年月日 平成28年11月2日(水)
質問者 北海道結志会 浅野 貴博 委員
答弁者 北方領土対策本部 局長 参事

安倍総理の根室訪問について

1.質問 : 総理の北方領土視察について

先の10月6日の委員会において、道として12月15日に予定されております日露首脳会談が実施される前に安倍総理に根室市を訪問していただいて、北方四島の視察をしていただくことを要請する考えを明らかにされておりました。ただいま報告のあった知事の中央要請の際にも、口頭で高橋知事から総理に対して改めて北方四島の視察についての要請がなされたと伺っておりますが、総理が実際に根室に訪問していただけるかどうか、見通しをご説明ください。

答弁 : 篠原局長

総理の北方領土視察についてでございますが、この度の政府要請の際に、知事から総理に返還要求運動の原点の地である根室の訪問についてご検討いただくよう要請したところでございます。引き続き、内閣府などを通じ、情報収集にあたってまいりたいというふうに考えております。

2.質問 : 総理への要望について

ぜひ、総理に根室に来ていただいて視察をいただきたいと私も願っておりますが、それが実現した際には、道としては現地でどのような場を設けて、総理にどのようなことを要望する考えでいるのか、教えてください。

答弁 : 東田参事

総理への要望についてでありますが、総理の北方領土視察が実現した場合には、その日程も踏まえ、元島民の方々の思いなども総理にお聞きいただける機会ができるようお願いしてまいりたいと考えております。

意見 : 

ぜひ、元島民の方々ももちろんですが、領土問題が進展しないことで大変疲弊をしている地元の方々の幅広い強い思いをしっかり受け止めてもらえる場を設けていただきたい。そのためには、総理の根室訪問が実現しなくては意味がありません。一分一秒を争う総理の激務の中で根室に行っていただくことは非常に大変なことかと思いますし、また、12月15日まであと1ヶ月半しかございませんので、道としての強い思いを引き続き総理の方にお伝えいただきたい、そのことをお願い申し上げます。

北方領土問題に関する道の認識等について

10月17日付北海道新聞で示された世論調査の結果について、それを踏まえて質問をしてまいりたいと思いますが、1956年の日ソ共同宣言締結から先月19日で60周年となりました。これに合わせて行われた北海道新聞社の世論調査の結果によりますと、これは道内とロシア全土で行なわれたものですが、道民とロシア国民の両者の意識の違いが浮き彫りとなっています。その他に例えば2島先行返還について道内では約半数の49%の方が是とするなどの興味深い結果も出ております。これを踏まえ、以下質問させていただきます。

3.質問 : 北海道新聞社が実施した世論調査の結果について

先月の委員会での質問に対する答弁、これまで縷々、私も質問させていただいたことに対する答弁にもありますが、道としては、生まれ育ったふるさとの一日も早い返還を切望されている元島民の方々の心情を考えると、四島一括返還を願っている旨の認識を従来示しています。一方で、今回の世論調査では、四島一括ではない返還のあり方についても、調査に回答した道民の約半数が理解を示すという結果が出ております。従来の道の認識とは相違があると私は考えるのですが、これらのことも踏まえ、今回、北海道新聞社の世論調査により示された結果に対して、道としてどのような認識を持っているのかまず伺います。

答弁 : 東田参事

北方領土に関する世論調査についてでありますが、戦後70年以上経過した今もなお問題が解決していない中で、今回の世論調査では、二島を先行して返還し、残り二島を継続協議という回答が2年前に比べると増加しているなど、北方領土問題を最も身近に感じている道民の方々の意向も、少しずつ変化していると受け止めております。

4.質問 : 要望内容について

ただ今ご答弁いただいたように、確かに道民の皆様の意思、意見、考えというのは徐々に変化してきているのだと思います。それは戦後70年経っても様々な要因によりいっこうに解決に向けて進まない領土問題に対する焦燥感などの現れだと私は受け止めております。

一方で、冒頭報告いただきました、10月31日の中央要請の際、高橋知事は安倍総理に対して、この手元にいただいた要望書にも書いてありますけども、「私たちは北方四島一括返還を目指して関係機関・団体と連携し、内外に対し確固たる意思の下に北方領土返還要求運動を展開し、政府による外交交渉を全力で支援していく考えです」と書かれております。これは、既に述べたように世論調査で必ずしも一括ではない返還も否定するものではない、四島一括返還に固執するのではない、そうした世論の道民の意思が示された中でも、また、現実的に考えて一括で四島が日本に返ってくるという、そういう形で政府間の交渉が進むことは極めて難しいと見られている中でも、四島を行政区域として抱える道としては、あくまで四島一括返還をこれからも政府に求めるということなのでしょうか。確認を求めます。

答弁 : 東田参事

政府への要請についてでありますが、この度の政府要請は、全国の北方領土返還要求運動関係者の代表が、総理や関係大臣等に国民や元島民の声を代表して、領土問題解決への熱い思いを伝えることにより、四島返還が政府や国民の一貫した意思であることを内外に明らかにするため行われたものでありまして、「北方領土返還要求北海道・東北国民大会」の大会長としての北海道知事が、本年8月26日の同大会で決議された北方四島の一括返還の実現や国内世論の高揚と結集、北方領土教育の充実などの内容を踏まえ、要請を行ったものであります。

5.質問 : 総理からの発言について

今答弁いただいたように、四島返還が政府や国民の一貫した意思であることはそのとおりだと思います。四島返還を否定する声はそうないと思います。ただ、四島一括返還の実現が政府や国民の一貫した意思ではないと私は思います。このことは後に述べますが、31日の中央要請に行かれた際、高橋知事が四島一括返還を求めることを書かれたこの要望書を安倍総理に手渡された際に、安倍総理からはどのような回答があったのか改めて伺います。

答弁 : 篠原局長

総理からの発言についてでございますが、知事から総理に要望書を手渡したところ、総理からは、「ソチにおける首脳会談では、今までの発想にとらわれない、新しいアプローチで交渉を精力的に進めていくことで一致した」といったことや、「北方四島の帰属の問題を解決し、平和条約を締結するという政府の基本方針に則り、北方領土問題の最終的な解決に向け、粘り強く取り組む決意である」といった発言がございました。

6.質問 : 道のスタンスについて

安倍総理からも四島一括返還を前提として交渉を進めますというような話はなかった。これは当然だと思います。

ここで伺いますが、先月19日の定例記者会見で高橋知事は、北方領土問題に関する道の立場について、これは読売新聞の記事を参考にさせていただいておりますが、知事はこうおっしゃっています。「4島一括返還というスタンスで交渉するよう国に要求してきた経緯があり、これが基本」、一方で、「世論調査では「歯舞群島、色丹島のことを指しているのだと思いますが、この2島先行」の割合が増えている。そうした変化も参考にしなければいけない」との発言をされております。記者会見の発言が北海道新聞社による世論調査の結果などを踏まえ、冒頭答弁にありましたように、道民の世論、意見も徐々に変化している、そういうことを踏まえての発言だと思いますが、従来の四島一括返還という道のスタンスについても見直しをするという意味ならば、10月31日の中央要請において、それでもなお高橋知事が安倍総理に対して四島一括返還という要請をされたということは、どのように整合性が取れるのかその説明を求めます。

答弁 : 東田参事

要請内容についてでありますが、70年前に北方四島を追われ、高齢化している四島それぞれの元島民の心情を考えると、四島一括返還を願ってきているところでありこうした考え方に立って要請したところであります。

再質問 : 

元島民の方々の心情を考えると、やはり一括返還だと、常々、道はおっしゃていますが、元島民の方のどれほどの方々が一括でないとだめだという考えをお持ちなのでしょうか。一括でないと領土問題、交渉してはいけない。またはそういう解決以外認めないという強硬なお考えを持っていらっしゃる方が果たして何割いらっしゃるのか。一括でなくても、一歩でも二歩でも進んでほしいというのが、偽らざる切実な心情だと思うのです。昨日の北海道新聞にも出ておりますが、千島連盟の脇理事長は、どういう解決であろうととにかく今より前進してほしい、と話されているという記事も掲載されております。高橋知事が、先月19日の記者会見でおっしゃっているように、こうした世論の変化も参考にしなければならないと。この道民世論の変化を参考にした道の対応、道民世論の変化は、今後の道の対応にどのように反映されるのでしょうか。そこを伺いたいと思います。

答弁 : 東田参事

今後の対応についてでありますが、道としては、これまで四島一括返還を願って、関係団体とともに、返還要求運動に取り組んでいるところであります。

今年5月のソチでの首脳会談では、今までの発想にとらわれない「新しいアプローチ」で交渉を精力的に進めていくとの認識が両首脳で共有されておりますが、今後、両首脳による領土交渉が進展し、政府から新たな考え方や方針が示された場合には、世論調査の結果なども参考として判断してまいる考えであります。

7.質問 : 世論の高まりについて

5月6日の首脳会談で示された「新しいアプローチ」、その具体像は今の時点では明確に示されておりません。そうしたものが明らかになって、初めて世論喚起に責任を持つ道としての新たなアプローチもそれから見えてくるということであれば、それは理解できますが、最後に伺います。

12月の首脳会談に向けて、戦後70年、解決がされなかったこの領土問題がいよいよ動き出すのではないかと強い国民の期待が今、高まっているところだと私は感じております。本道のみならず、多くの日本国民がそのことを願っているものと思います。最終的に四島が返ってくるならば、そこに至るまで様々なプロセスがあるということは、必ずしも元島民の方々含め道民、全国民が否定するものではないと私は考えます。そのような中で、道のトップがこの時期になっても、まず実現することは難しいと思われる四島一括返還、今の道民の多くが必ずしも求めていないものを総理に対してまで、この時期にまたお願いするというのは、私は政府の交渉を支援するというよりは、世論の高まりにかえって水を差してしまうのではないかと、そのような懸念を抱いているのですが、道の見解はいかがでしょうか。

答弁 : 東田参事

世論の高まりについてでありますが、政府においては、「北方領土は日本固有の領土であるという立場に立って、北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結する」という基本方針に変わりはなく、道としては、四島一括返還を願っており、政府の外交交渉を後押しできるよう、粘り強く返還要求運動を展開していくことが大切であると考えております。

意見 : 

原則ははずせないというご発言を伺いましたけども、四島返還の旗を降ろせということではありません。あくまで四島を返してもらう、そのために政府に何としても交渉してほしいと。一括返還という条件を付けるようなことを道のトップとして言うのはどうかという私の思いから質問させていただきました。

いずれにしても、新しいアプローチの具体像が見えてから、道としての新しい対応ぶりがあるとの答弁をいただきましたので、引き続き、12月に向けて、まずは総理に根室にご訪問していただいて、北方四島を視察いただける。その実現に向けて努めていただくとともに、政府の交渉を後押ししていただけるよう引き続き領対本部の皆様に努めていただくことを要請して私の質問を終わります。

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