保健福祉委員会で質問しました!

国の自殺対策基本法が改正される見通しです。全ての都道府県、市町村に対し、それぞれ自殺対策の基本計画の策定が義務付けられ、具体的な事業実施に国が予算をつけるというものです。一時よりは減少していますが、国全体で年に2万5千人弱、北海道でも1000人強の方々が自ら命を絶つという悲劇が続いております。自殺防止は国、都道府県、市町村が一体となって取り組むべきものです。北海道のこれまでの取り組み、道内市町村が今後計画策定をする上での道の関与につき、質問しました。

平成28年第1回北海道議会定例会 保健福祉委員会(前日)開催状況

開催年月日  平成28年2月25日(木)
質問者 北海道結志会 浅野貴博 委員
答弁者 保健福祉部長 村木一行
福祉局長 坂本明彦
精神保健担当課長 加倉雅代

北海道における自殺対策について

私は北海道における自殺防止の取組、対策について、以下数点伺ってまいりたいと存じます。昨日のニュース、新聞報道でもありましたし、今日の新聞にも出ておりますが、大阪市立の高校でバスケットボール部に所属をしてしていた当時男子高校生が、顧問からの厳しい体罰、そういうのを苦にして自殺をしてしまった件につきまして、損害賠償を東京地裁が命じるという判決が出ました。これは教育の現場でのいじめ、そうした体罰はこの当委員会での議題ではないと思いますが、北海道の例ではないにしろ、これからの未来を担う若い人たちが命を落とすという事例は北海道でもゼロではないと承知してございます。

高橋知事は4期目の任期に当たりまして、「人口減少危機突破」をこれを大きく掲げて、様々な施策を打っておられますけれども、新しく生まれてくる命を守って大切にすることは極めて大事です。その一方で、今ある命が自殺することのないように対策を強化していくことも同時に必要だと考えております。日本全国でも1998年から2011年まで、14年連続で年間3万人以上の方が自ら命を絶つという事態が続いてまいりました。北海道も自殺者の割合でいえば、全国平均を上回る状況が続いていると承知をしております。

先般、これも新聞報道でありましたが、国の自殺対策基本法がまもなく改正をされて、都道府県、全ての自治体にそれぞれ個別に自殺対策の計画づくりが義務づけられると、それに対して政府が必要な交付金を出すと、今後このような大枠の制度の変更があるものと考えております。道としては、全国でも早い方だと伺っておりますが、平成20年から24年までを第一期、25年から29年度までを第二期として「北海道自殺対策行動計画」を策定していることと思います。以上、これらのことを踏まえて、以下、質問してまいりたいと思います。

1.質問 : 北海道における自殺者の状況について

まず、本道における自殺者の状況につきまして、近年の自殺者数の推移を、男女別、保健所別、年齢別、月別、職業別並びに原因・動機別の状況を踏まえて、概要を説明いただきたいと思います。

答弁 : 精神保健担当課長

北海道における自殺者の状況についてでございますが、自殺者総数につきましては、平成10年に初めて1,500人を超え、平成20年までは1,400から1,500くらいで推移してまいりましたが、それ以降は減少傾向にあり、平成26年は1,080人となっているところでございます。

この推移をいろいろな観点から分析しますと、まず男女別には、平成10年以降、男性が約7割、女性が約3割の状況が続いております。また、保健所ごとに平成19年から5年間における人口10万人当たりの自殺死亡率を比較してみますと、最も高い中標津保健所管内が37.8で、最も低い留萌保健所管内の20.3の1.9倍となっております。  次に、年齢別では、男女ともに40歳代が平成26年に増加しているほか、平成26年の年齢階級別の構成割合を全国と比較しますと、男性の10歳代、40歳代、80歳以上、女性の40歳代、60歳以上が高くなっており、月別では、その年によって異なりますが、平成26年では、3月、8月が多くなっております。また、職業別では、無職の方の割合が最も高く、約6割で推移しており、原因・動機別では、約4割が健康問題、約2割が経済・生活問題となっております。

2.質問 : 全国平均との比較について

ただいまご説明をいただいた自殺者の状況に関しまして、全国の平均と比較して、本道特有として読み取れる傾向はありますでしょうか。

また、あるとすれば、その背後にある要因はどのようなものがあるのか、道の見解を述べてください。

答弁 : 精神保健担当課長

全国と比較した道内の状況についてでございますが、自殺者数が減少傾向にあることや男女比率などについては、全国と概ね同じ状況となっておりますが、原因・動機については健康問題が最も多く、次いで経済・生活問題となっていることは全国と同じではあるものの、平成26年のデータでは、健康問題を理由とする割合が全国の50.6%に対し、本道は39.2%、経済・生活問題を理由とする割合が全国の16.2%に対し、本道では19.9%となっております。
 この原因・動機などのデータは、年齢や職業などの自殺者の状況を組み合わせた詳しい分析はなされていないことから、北海道特有のものとして断定はできませんが、平均寿命が長くなっている中で、自分や家族の病気への不安感、景気の回復が待たれる本道の経済状況、社会、家庭における人間関係の変化など、様々な要因や環境が影響しているものと推測されます。

3.質問 : 自殺防止に対する道の認識について

ただ今の答弁とその前の答弁でもありましたように、北海道の男性の自殺者10代が多くなっているという傾向と、経済・生活問題を理由とする割合が全国は16.2で全道では19.9と、高い割合になっていると。自殺を選ぶ理由はそれぞれ本当にプライベートなものもありますし、ご本人でしかわからない辛さがあったかと思うんですが、こういう本道の、全国と比較しても特有と読み取れるこういう傾向を踏まえてですね、今後、道としてどのような自殺防止に対する取組を行っていくのかということを伺ってまいりたいと思いますが、第二期の行動計画、この冊子をいただきましたけれども、平成23年の北海道と全国における年齢階級別自殺の死因順位を見ても、15歳から39歳までの年齢階級に属する道民の死因の中で、その死因の理由、原因が自殺が第一位になっているんです。これは全国と同じ傾向なんですが、先ほど述べたように、15歳から19歳までの年齢階級については、全国では自殺が死因の順位が2位になってますが、北海道は1位となってるんですね。全国と比較しても、本道は若年層、結婚並びに出産に適した年齢層の方々が自殺で死亡する割合が高いと言っても間違いではないと思います。

人口減少危機突破を図る上で、さっき述べたように、子育て支援を充実させて、新しく生まれてくる命を守ることに加えて、自殺防止も同様に徹底して行いまして、今ある命、特に新しい命を育むことのできる命が失われないようにすることが等しく重要であると考えますが、このことに対する危機意識、道の見解を改めて伺います。

答弁 : 福祉局長

自殺予防に対します基本的な考え方についてでございますが、本道におきましては、近年、自殺者数の減少は見られるものの、依然として毎年1,000人以上の方が自ら尊い命を絶つという深刻な状況にあり、その背景には病気等の健康問題のほか、経済・生活問題や家庭問題、学校問題などが複雑に関係しており、個人の問題として片付けられない社会的要因があることが多く、人口減少が進行する中、若年層をはじめといたしました自殺対策は社会全体で取り組まなければならない喫緊の課題と認識しているところでございます。

このため、道といたしましては、道民に対します自殺予防に向けた普及啓発や教育活動の実施、若年層や中高年層、高齢者層など世代の特性に応じました施策や地域の特性に応じた施策を推進することが重要と考えており、その推進に当たりましては、保健・医療・福祉や教育、司法、労働等に関する機関・団体、大学、警察等が連携いたしまして、総合的な施策を展開しなければならないというふうに考えてございます。

自殺防止に対する道のこれまでの取組について

4.質問 : 第一期計画における概要について

まさに、個人の問題として片付けることができない、社会的な要因含んだ問題が自殺の問題だと思っております。

それを踏まえて道は、既に平成20年から行動計画を作って手は打ってきていただいていると思いますが、ここで第一期計画においてはどのような取組をされて、どんな成果が得られたと道は認識しているのか、ご説明願います。

答弁 : 精神保健担当課長

第一期行動計画における取組についてでございますが、この計画は平成20年度から24年度までを計画期間として、現第二期行動計画と同様に、「事前予防」、「危機対応」、「事後対応」といった段階を設定し、9つの重要施策を定め、普及啓発活動やうつ病対策、自殺予防の役割を担う人材の育成、民間団体とも連携した相談体制の充実など、総合的な自殺対策に取り組んできたところでございます。

こうした取組の結果、自殺予防やうつ病に関する道民の理解が進み、民間やボランティアが開催する交流会などの活動が広がってきたほか、自殺のサインに気づき、話を聞き、必要に応じて専門家につなぎ、見守る、いわゆる「自殺予防ゲートキーパー」が各地域で育成されるなど、身近な場所での相談支援体制の整備が進んできたことなどにより、本道における自殺者数の減少につながっているものと考えております。

5.質問 : 第二期計画における具体的な取組について

その第一期の取組を踏まえ、平成25年から第二期計画を作っておられると承知します。その第二期の行動計画では、第一期でもあった「事前予防」、「危機対応」、「事後対応」に加えて、第一期計画にはなかった「すべて」という4つ目の局面を加えて、9つの重点施策並びに36の具体的施策を定めていると承知をしております。

それを踏まえて、「特に推進する施策の視点」として、次の5つ、「保健所単位などの地域の状況に応じた効果的な取組」、「自殺予防ゲートキーパーなどの人材養成」、「児童生徒など若年層に対する取組」、「自殺未遂者やその家族等への支援」、「自死遺族への支援」の5つを挙げておりますが、それぞれにおいて具体的にどのような取組がなされているのか説明願います。

答弁 : 精神保健担当課長

第二期計画における取組についてでございますが、この計画では当面の重点施策のうち、5つの視点に立った施策を特に集中的に取り組むこととしており、一つ目の「保健所単位など地域の状況に応じた効果的な取組」については、こころの健康相談に関する窓口の設置や、職場等を対象としたメンタルヘルスに関する健康教育などを行い、二つ目の 「自殺予防ゲートキーパーなどの人材養成」では、ゲートキーパーが必要とする知識を習得するための研修会を幅広い方々を対象に開催してきているところでございます。

また、三つ目の「児童生徒など若年者に対する取組」については、教職員、児童・生徒、保護者向けの啓発教材を作成、配付するほか、教育関係者向けのゲートキーパー養成研修や自殺対策に向けた校内研修の企画研修などを開催し、四つ目の「自殺未遂者やその家族への支援」では、自殺未遂者が自殺行為を繰り返さないよう、保健所の保健師が未遂者及びその家族に対し、個別的な関わりの中で、カウンセリングなど、必要な支援を行っているところでございます。

最後に、五つ目の「自死遺族への支援」については、自死遺族に対する個別的なケアのほか、地域における自助グループの活動の支援などに取り組んでいるところでございます。

自殺対策基本法改正を踏まえた道の今後の取組について

6.質問 : これまでの国と市町村との連携について

ここで、そもそもの話にちょっと戻らせていただきますが、国と広域自治体である道と、住民にとって最も身近な自治体である市町村と、それぞれ、国、市町村とこれまで道は、どのような連携をとって自殺防止に取り組んできたのか説明をしてください。

答弁  : 精神保健担当課長

国や市町村との連携についてでございますが、国においては、「自殺総合対策大綱」などを作成し、今後の自殺対策のあり方等についての方向性を示すとともに、自治体に対する情報提供や対策に係る財源措置がされており、道としては、計画に基づく事業を実施するに当たり、先進事例や最新の調査、研究に基づく専門的な助言、効果的な補助事業の活用方法など必要な助言を求めるほか、新たな事業の実施などについて要望してきたところでございます。また、市町村に対しては、情報共有や円滑な事業実施のため、保健所ごとに市町村を含む関係者を構成員としました自殺対策地域連絡会議を設置する中で、地域の課題や地域の実情にあった方策などを検討し、市町村への技術的助言を行うほか、専門職員を派遣するなど、市町村と連携した取組を行ってきたところでございます。

7.質問 : 現状における市町村計画について

冒頭触れました、自殺対策基本法が今通常国会で改正をされて、全ての都道府県、全ての市町村、自治体に自殺対策の計画作りが義務付けられる、これが柱とした基本法の改正がなされる見通しですが、本道における、道内の179市町村のうち、自殺対策の基本計画を定めているところというのはいくつあるんでしょうか。道として把握をしているかどうか、説明してください。

答弁 : 精神保健担当課長

市町村における計画策定状況についてでございますが、現在、国においては、「自殺対策基本法」を改正し、都道府県及び市区町村に自殺対策計画策定の義務化、地域の実態を踏まえた対策に対する交付金の創設などについて規定し、年度内の成立、4月施行を目指しているものと承知しております。

現行の「自殺対策基本法」においては、国に対して「自殺総合対策大綱」の策定、また、「大綱」の中でも、都道府県及び政令指定市だけに計画の策定を求めておりますことから、札幌市以外の市町村において、単独の自殺対策に関する計画は策定されていないところでございます。

8.質問 : 市町村の負担について

道内の札幌市を除く178市町村について、計画は作ってないにしても、それぞれ当然、自殺対策の施策には取り組んでいらっしゃるものと思いますが、ここで私はちょっと気になるんですけれども、国が自殺対策基本法を改正をして、全ての都道府県はもちろん、市町村にもそれぞれ個別に計画づくりが義務づけられると。

自殺者の原因の動機の中に、本道においては、「経済・生活」の要因がほぼ4分の1を占めて、全国平均の5分の1ですね、全国平均よりも高い比率であることをみても、政府の経済政策や世界経済の情勢の変化など、都道府県や市町村単位ではなかなか対応しきれない、そもそも何も手が打てないようなことが自殺の要因となっている部分もあると思うんです。

自殺対策は国や都道府県、市町村そういう自治体を超えた地域のつながりだとか、そうしたものを全て動員して、皆の責任として取り組むべきことであると思うんですが、今回このような法改正が今後年度内になされたとして、市町村に過重な負担と責任が課されて、効果的な自殺対策がなかなかとれなくなるようなことがなければと考えるんですが、この点につき道はどのように考えているのか説明してください。

答弁 : 精神保健担当課長

市町村における対応についてでございますが、道では現在、保健所において市町村における必要な情報提供やゲートキーパーなどの人材育成のための技術的支援に努めてまいっているところですが、この度の自殺対策基本法改正においては、地域の実態を踏まえた対策を実施する場合の交付金の創設が予定されておりますことから、国に対し道内における地域事情を丁寧に説明し、必要な財源などの措置を求めるとともに、市町村に対しては、この交付金を活用した補助制度により地域の実情に応じた取組に対し財政支援を行ってまいる考えでございます。

また、広域的で専門性の高い取組などについては、道と市町村の適切な役割分担のもと、道において実施するなど、市町村負担や責任が過度とならないよう配慮してまいりたいと考えております。

9.質問 : 市町村計画策定に当たっての連携について

市町村の負担が過重とならないように配慮いただけるとのことですが、それでもそれぞれ個別に計画を作っていくのはなかなか大変なことだと思うんです。

広域自治体である道として、今後法改正がなされた際には、それぞれの市町村の基本計画作りについて様々な助言など、適切な関与をすべきだと思うんですが、道の見解を述べてください。

答弁 : 福祉局長

市町村計画策定に向けました支援についてでございますが、実効性のある自殺対策を推進していくに当たりましては、道と市町村が連携して一体となった施策の推進が求められますことから、道といたしましては、市町村が計画を策定するに当たり、保健所ごとに設置しております自殺対策地域連絡会議などを活用いたしまして、地域の課題や地域の実情にあった方策などを検討いたしますとともに、道計画の趣旨、内容などにつきまして改めて説明いたしますほか、必要な情報提供や助言を行うなど、積極的な市町村支援に努めてまいりたいと考えております。

10.質問 : 道計画と市町村計画の整合性などについて

それでは最後にお伺いします。このような適切な関与を今後続けていただけるとのことですが、今年度の道における自殺対策、これも事前に資料いただきましたけど、平成26年度補正予算によって創設された「地域自殺対策強化交付金」を活用して、大きく分けて「相談対応」、「人材養成」、「普及啓発」、「ハイリスク者・自死遺族支援」、「市町村への支援」と、5つの取組がなされていると承知をします。

法改正なされたとして、各市町村がそれぞれ基本計画を策定した後に、各市町村の取組と今の道の各種施策との整合性をしっかり図っていくことが大事だと思うんです。

また、その整合性を今後どのようにとっていくのか、さらに来年度以降、明日からの定例会で具体的な予算の審議もなされていくと思いますが、道として今後さらに、何か新しい取組を行う考えがあるのか、最後に道の見解を伺います。

答弁 : 保健福祉部長

自殺対策の今後の取組についてでございますが、道における自殺対策は、本道の実態を踏まえて策定いたしました現行の「第二期北海道自殺対策行動計画」に基づきまして、各種の施策を展開しているところでございまして、市町村が自殺対策計画を策定をされる場合には、改めて道計画の趣旨や現行施策等について説明いたしまして、理解を深めていただくこととしております。

また、市町村がそれぞれの地域ニーズに沿って計画を策定する際には、道と市町村のそれぞれの取組の整合性が図られますよう、道も積極的に関わることといたしまして、実施段階におきましても道と市町村が適切な役割分担を行うことによりまして、効率的で効果的な取組を行うことができるものと考えております。

道といたしましては、引き続き若年層への取組を重点的に推進をいたしますとともに、広域的かつ専門性のある取組として、道立保健所を中心とした医療機関、消防機関、相談支援機関等による自殺未遂者の支援に向けた連携体制を新たに構築いたしまして、医療従事者への対応力向上のための研修会を開催をいたしますなど、何ごとにも代え難い大切な「いのち」を守るために、総合的で効果的な自殺対策施策に取り組んでいく考えでございます。

指摘 : 

ありがとうございます。道としては特に、傾向としても現れているように、若年層の方々の自殺が割合として多いということをしっかり踏まえて、冒頭述べたような大阪の高校生が自殺をしてしまったような、これは保健福祉部というよりも、教育の部門の問題にもなるのかと思いますが、部をまたいだ、総合的な、全道を挙げた取組を今後もしていただきたいと思います。ありがとうございました。

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