保健福祉委員会で質問しました!

2014年、十勝管内足寄町の温泉施設で男性客が意識不明となる事故が起きました。現在も道警による調査が続いているものの、施設における硫化水素濃度が環境省が設定した基準をはるかに超えるものだったことが指摘されています。最も問題なのは、監督許可権限を持つ道が、道内の温泉施設に対して過去25年、濃度検査をしていなかったことです。風評被害を防ぐことを第一に、道として何をなすべきか質しました。

平成28年11月 保健福祉委員会 開催状況

開催年月日  平成28年11月1日(火)
質問者  北海道結志会   浅野 貴博 委員
答弁者  保健福祉部長   村木 一行
     保険衛生担当局長 阪 正寛
     食品衛生課長   八木 健太

温泉施設における硫化水素濃度問題に対する道の対応について

一昨年10月に、十勝管内足寄町の施設で、男性客が浴槽内で転倒して、今なお意識が戻らない重体となるという事案が発生しております。

過去の経緯について

1.質問 : 事故の経緯について

この事故の原因など一連の経緯に関して、道としてどの様な認識を持っているのかまず伺います。

答弁 : 食品衛生課長

一連の経緯に関する認識についてでありますが、平成26年10月に発生した事案につきましては、硫化水素中毒の疑いとされており、現在、入浴との因果関係が確定していないところです。

環境省が平成18年に告示した基準につきましては、温泉事業者が硫化水素の自主的な管理を行う上での目安として示されたものでありますけれども、事案発生以前に道が行った当該施設への立入調査において、基準の適合性に関する指導の記録が確認できなかったことや事案発生後に基準を超える硫化水素が検出されていることなどを合わせて考えますと、事業者の自主管理に対するチェック機能が必ずしも十分とは言い切れないと考えられるところであります。

2.質問 : 事故発生以前の道の調査について

現在も道警による捜査が継続しているということで、そういう意味では入浴との因果関係は確定していないという認識を示されましたが、いずれにしても、本来ならチェックすべき点で多々不作為があった、チェック機能が十分ではなかったのはそのとおりだと思います。それで伺いますが、足寄町でこのような事故が発生する2014年以前に、道としても道内の温泉施設に対して硫化水素の濃度に関して調査を行ってきていると思いますが、それはどのようなものだったのか改めて伺います。

答弁 : 食品衛生課長

事案発生以前の調査についてでありますが、道では、温泉の硫化水素濃度の把握につきまして、昭和50年と平成元年に、硫黄泉利用施設の硫化水素濃度を全道一斉に測定し、実態把握を行っております。

その後におきましては、平成26年10月から12月にかけて行った一斉点検まで、全道的な調査は行っていないところでございます。

再質問 : 

昭和50年と平成元年の間に14年間、平成元年から平成26年までに25年間のブランクがあるわけですが、このように全道的な定期調査を道が行ってこなかった理由は何でしょうか。

答弁 : 食品衛生課長

硫化水素濃度の定期的な調査についてでありますが、国の基準は、法の規定に基づかない温泉事業者が遵守すべき自主管理の基準であることから、道の監視指導要領には行政による硫化水素の定期的な測定に関する規定を設けず、保健所では硫化水素濃度の測定を行っていなかったものであります。

3.質問 : 調査結果について

定期的な調査は行ってはいなかったものの、何度か調査は行っていると、そのことを踏まえて伺いますが、その都度、基準を超えた施設はそれぞれの調査の際、どれだけあったのか、また、そのような施設にどのような対応をしてきたのか、実際に基準を超えていた施設の是正はこれまでなされてきているのか、その辺りを伺います。

答弁 : 食品衛生課長

硫化水素濃度が基準を超えた施設についてでありますが、道内の温泉の硫化水素濃度の調査につきましては、昭和50年と平成元年の2回実施しておりますが、昭和50年の調査では、131施設を対象に行い、また、平成元年の調査では、対象となった137施設のうち5施設が基準を超過しておりました。

いずれの調査におきましても、基準を超過した施設に対しましては、硫化水素濃度の測定や換気設備等の改善について指導を行っております。

なお、そうした指導後の施設改善状況につきましては、詳細な資料が残されておらず、確認できないところでございます。

指摘 : 

調査を行うことはもちろん大事ですが、今ご答弁あったように平成元年の調査で発見された137施設のうちの5施設が基準を超過していた。では、この5施設が平成元年の調査以降いつまでに基準に収まるように是正されたのか、詳細な資料が残されていなく、そもそも、確認すら出来ないというのは非常に大きな問題だと思います。「たら、れば」の話ですが、調査の都度、是正の指導を行い、実際に是正がちゃんとなされてきたのかどうか、確認ができるような体制がとられていれば、今回の足寄町での事案はもしかしたら防げたかもしれない。そうした点から、今後の大きな教訓、反省材料として、詳細な資料が残されていなく、確認すらできないということを非常に重く受け止めていただきたいと、指摘をいたしたいと思います。

 

現時点での危険性について

4.質問 : 事故発生後の調査について

一昨年の事故が発生してから今日に至るまで、道としては全道的な温泉施設に対する調査を行っていると承知をしています。その調査はどれだけの頻度で行われてきたのか、またその結果、基準値を超える硫化水素濃度を記録した施設の数はどう推移してきたのか、その詳細をご説明ください。

答弁 : 食品衛生課長

事案発生後の調査についてでありますが、道では、平成26年10月の事案発生後に、硫黄泉を利用する施設を対象に一斉点検を行っており、当時硫黄泉を利用していた道立保健所管内の97施設のうち9施設が基準を超過していることを確認したところです。

これらの施設に対しましては、保健所が年2回以上の立入調査を行い、浴室内の換気の徹底などの指導を行っております。

その結果、平成28年9月末現在において基準に適合していないのは3施設でありましたが、このうち1施設につきましては、10月26日から施設内の温泉の利用を自粛しているところでございます。

5.質問 : 現時点で基準値を超える3施設の測定値について

足寄町での事案が発生してから2年が経つ現時点でも、今なお3施設が基準値を超えていると、そのうちの一つは先月の26日に営業を自粛されているとのことですが、それらの施設は国が定めている基準をどの程度超過しているのでしょうか。その点を伺います。

答弁 : 食品衛生課長

3施設の測定値についてでありますが、硫化水素濃度の具体的な数値につきましては、環境省の基準が、温泉事業者が硫化水素の自主的な管理を行う上で目安となるものであり、この基準に適合していないことが法違反となるものではないこと、また、濃度の基準超過が直ちに健康被害につながるものではないこと、公表により風評被害が発生するおそれもあることなどから、これまで発表しておりませんが、一方で、道内各地の温泉に対する信頼性を確保する観点から、事業者の了解が得られれば、公表してまいる考えであります。

再質問 : 

確かに今、私たちが気をつけるべきことは、風評被害を発生させないようにすること、非常に重要な観点だと思います。例えばその3施設、今なお基準値に収まるように必死の努力をされていると思いますけれども、基準を超える水準が例えば、ものすごい数値なのか、基準値をほんのちょっと超えるだけなのか、それによって利用客の方々の安全性確保が非常に難しくなってくると思うのです。今なお、基準値を超えている3施設のうち、営業している2施設、これらは足寄町で発生したような事案が起きるほどのものすごく基準値を超過している数値を記録しているのではないかと懸念されるのですが、道としてその辺りはきちんと把握されているのでしょうか。

答弁 : 食品衛生課長

3施設の測定値についてでありますが、環境省の資料によりますと、個人差はありますが、硫化水素濃度が100から300ppmで、8時間から48時間の連続ばく露を受けることにより気管支炎、肺炎などにより生命の危険があるとされております。環境省が平成18年に示した基準においては、浴室内の濃度が10から20ppmとされているところであります。

当該施設においては、現在、事業者が浴室内の換気の徹底や入浴に当たっての注意喚起などにより、国の基準を踏まえて、入浴者等の健康被害が発生することのない入浴環境となるよう管理しており、道としてもその状況を確認しているところであります。

6.質問 : 3施設の営業状況等について

具体的な数値は明らかにできないというのは私も理解できます。その基準を超える程度が入浴者の皆さんに健康被害が発生することのない範囲で収まっていることを道としてもきちんと把握されているということなので、この点はまあよしといたしますが、改めて伺います。この3施設での入浴客の受け入れ等、通常業務を行っている2施設について、入浴客並びに従業員の皆さんなどの健康被害、安全に本当に問題ないのか、再度伺いたいと思います。

答弁 : 食品衛生課長

3施設の現状についてでありますが、硫化水素濃度の基準超過が直ちに健康被害につながるものではありませんが、当該3施設では、道の指導を受け、硫化水素濃度の測定や浴室内の換気の徹底、入浴に当たっての注意喚起などに努め、入浴者や従業員の安全確保に十分留意し、営業を続けているところであり、このうち1施設につきましては10月26日から施設内の温泉の利用を自粛しているところでございます。

7.質問 : 3施設に対する道の働きかけについて

それでは、現時点でも基準値を超えている3施設の状況が早期に是正をされて、住民の利用客の皆さんの安全が確保されるように、道としてどのような働きかけを行っているのか説明を願います。

答弁 : 食品衛生課長

施設に対する指導についてでありますが、道では、硫化水素による事故を未然に防止する観点から、基準に適合しない3施設に対しまして、保健所が年2回以上の立入調査を行っており、事業者に、浴室内の換気の徹底や入浴者への利用上の注意喚起、硫化水素濃度の測定、設備構造の改善を指導しているところであります。

これらの施設では、施設の改善に努めているところであり、保健所では、専門家の協力を得ながら早期に改善が図られるよう、事業者に対し、助言指導を行っているところであります。

8.質問 : 風評被害への配慮に対する道の認識等について

各施設の努力と保健所の皆さんの懸命な助言指導の結果、早期の是正が図られるのが一番いいのですが、それまでの間、色々な報道もなされておりますけれども、その施設並びにその施設がある市町村、そうしたところに対して、必要以上の懸念が抱かれて、風評被害が発生するようなことはなんとしても避けなくてはいけないと思います。この点に対する道の認識並びに風評被害発生防止に向けた取組について説明を願います。

答弁 : 食品衛生課長

風評被害に対する配慮についてでありますが、環境省の基準に適合しないことが法違反となるものではないことなどから、道としては、当該施設に対する影響を考慮し、施設名等の公表は控えてきたところであります。

一方で、道内各地の温泉への影響につきましても考慮しなければならないことから、事業者の理解を得た上で、施設の改善状況などについても合わせて公表することにより、風評被害が生じないよう配慮してまいる考えであります。

意見 : 

各施設がどれほど努力をして、どれほど改善が進んでいるかという点をあわせて公表することは非常に重要なことだと思いますので、今後しっかりと配慮を願いたいと思います。

 

今後の取組について

9.質問 : 硫化水素濃度調査について

平成14年8月30日に一部改正された道の「温泉監視指導要領」には、足寄町での事案が発生する以前も、また、事案が発生してから現在に至るまでも硫化水素濃度調査については規定が設けられておりません。事案が発生してからも改正がなされずに今日まで来た理由は一体何でしょうか。また今後も要領の中に濃度調査の規定を設ける考えはないのか、道の認識を示してください。

答弁 : 保険衛生担当局長

硫化水素濃度の調査に関する規定についてでありますが、道では、源泉や温泉利用施設の立入調査で確認する内容を温泉監視指導要領で定め、監視指導業務を行っております。

この要領では、温泉法上必要な許可の有無や温泉分析書の掲示の状況などに関して確認することとしておりますが、硫化水素の管理に関する基準が温泉事業者の自主的な管理を基本としておりますことから、硫化水素濃度の測定については規定しておりません。

今後は、硫化水素による事故防止に向けた取組として、事業者の管理状況を点検する観点から年内を目途に硫化水素濃度の測定に関する規定を新たに要領に盛り込み、監視指導を強化していこうと考えております。

意見 : 

年内を目途に要領に新たに盛り込むとのご答弁いただきました。年内と申しましても、今日から11月になりましたし、あと2か月、非常に時間的に厳しいかと思いますが、同じような事案の発生を防ぐためにも、しっかりとした指導体制確立に向けて取り組んでいただきたいと思います。

10.質問 : 今後の取組について

北海道は各地に温泉施設があり、それが観光客を呼び込む上で大きな魅力の一つとなっていることは言うまでもありませんし、観光面のみならず、医療の問題、リハビリの面からも温泉施設は非常に重要な役割を果たしております。足寄町での事案と同様のことが起きないように、日頃からのチェック体制をしっかりしたものを構築することが大切だと考えますが、道として他県の取組を踏まえて、今後定期的な調査をルール化して行っていく考えはあるか最後に伺います。

答弁 : 保健福祉部長

再発防止のための取組についてでありますが、北海道を訪れる国内外の皆様に安心して道内の温泉施設を利用していただくためには、利用者の皆様方の安全と衛生の確保が不可欠でございます。
 道では、今後の硫化水素による事故防止に向けた取組といたしまして、施設の監視の頻度や硫化水素濃度の測定に関する規定、記録の保管について、他県における取組も参考としながら、新たに温泉監視指導要領に盛り込むことで、硫化水素濃度の定期的な調査を行っていく考えでございます。

また、先日、関係団体に対しまして、国の基準に適合した施設運営について、事業者の取組を求めたところでございまして、今後とも、関係団体と連携をしながら、温泉施設の硫化水素対策を進めることによりまして、道内の貴重な観光資源であります温泉の信頼性とともに利用者の皆様方の安全と衛生確保に万全を期してまいる考えでございます。

意見 : 

定期的な調査を行っていく意向は示していただきましたが、どれくらいの頻度のものが定期的な調査と言えるのかというのは、非常に重要なところだと思います。25年間行っていなかった、四半世紀に一度の調査がとても定期的とは言えない訳でありますから、例えば、群馬県では年に3回、大分県では、ほぼ年に1回調査をしていると、今日の北海道新聞にもでています。北海道もこれらの県に負けず劣らず、温泉、硫黄泉が多い地域でございますので、しっかりとした定期的な体制を取っていただいて、再発防止を目指し、北海道全体に風評被害がでるようなことがないように、しっかり取組をしていただきたいと思います。