北方領土対策員会で質問しました!

〜四島交流事業の見直しについて〜

開始してから20年以上に渡り実施され、北方領土問題が解決されない中での北方四島在住ロシア人と日本人との交流に確かな貢献をしてきた北方四島交流事業ですが、事業のマンネリ化、参加者の固定化等、課題も見えてきたところです。今後の新たな事業のあり方について道はどのような考えを持っているのか質しました。

平成28年北方領土対策特別委員会開催状況

開催年月日 平成28年6月20日(月)
質問者 北海道結志会 浅野貴博 委員
答弁者 北方領土対策本部 参事

北方四島交流事業の見直しについて

本委員会でもご報告いただきました北方四島交流事業の見直しについて、以下7点ほど伺ってまいりたいと思います。

1.質問 : 北方四島交流事業の目的について

北方四島交流事業、1991年10月14日、当時の日ソ両外相による往復書簡により、いわゆる四島交流の枠組みがつくられたと承知しております。 これは先の委員会で報告されたように、平成25年3月29日の「北方四島交流事業の見直しについて」、平成28年3月31日「北方四島交流事業の見直し結果について」の2つの見直し作業を経て、本年5月19日、「今後の北方四島交流事業の効果的な推進について」が取りまとめられて先の委員会でご報告いただいたものと承知しております。

以上を踏まえて伺いますが、外務省が発行している「われらの北方領土」2015年版39頁には、この四島交流事業の目的について「領土問題解決までの間、相互理解の増進を図り、領土問題の解決に寄与することを目的として、日本国民と継続的かつ現に諸島(歯舞群島、色丹島、国後島及び択捉島)に居住するソ連邦国民との間の旅券・査証なしによる相互訪問の枠組みがつくられました」とあります。 改めて、北方四島交流事業がスタートしたそもそもの目的は何か、説明を願います。

答弁 : 東田参事

北方四島交流事業の目的についてでありますが、平成元年当時、日本国民がソ連当局の査証、いわゆるビザの発給を受けて北方四島に入域する事例がみられたことから、政府においては、同じ年の9月の閣議了解により、北方領土問題の解決までの間、日本国民の北方領土への入域を行わないよう要請したところであります。

その後、この特例として、日ソ政府間で、領土問題の解決を含む両国間の平和条約締結問題が解決されるまでの間、相互理解の増進を図り、領土問題の解決に寄与することを目的として、四島への訪問に関する枠組みが設定されたものと承知しております。

2.質問 : 北方四島交流事業の成果について

同じく、「われらの北方領土」40頁には、このような記述があります。全文は読みませんが、「旧ソ連時代からの誤った宣伝や遠く離れているという情報の不足などから、北方四島に住んでいるロシア人の人たちは、かつて日本及び日本人に対して歪んだ認識を持っていた。しかし、四島交流事業により、これらの誤解は解消され、ロシア住民の不安ないし誤解は急速に解消されていきました」との記述がありますが、この事業が始まって20年以上経過しておりますが、道としても、このように日本人と四島在住ロシア人との間の信頼関係の構築が、この四島交流事業によりなされたと認識しているのか、改めて伺います。

答弁 : 東田参事

北方四島交流事業の成果についてでありますが、これまで、北対協と道推進委員会が実施主体として行ってきた北方四島交流事業により、相互に訪問した人数は延べ2万3千人を数え、元島民や運動関係者などの日本人と四島在住ロシア人との様々な交流を通じて、着実に相互理解が進んできているものと考えております。

3.質問 : 北方四島交流事業に関する課題について

今、東田参事仰ったような、着実な効果を出してきたと評価される一方で、北方担当大臣の島尻さんが昨年11月13日、根室に入った際に「事業のマンネリ化が課題の一つ」と述べたと。

 また、平成24年10月19日の記者会見において、高橋知事は「もう21年目のビザなし交流、ある意味ちょっと形骸化をしてきた部分もないとは言い切れない」との発言をされております。

これは世間的にも指摘をされていることですが、道としては、この事業の具体的にどのような部分がマンネリ化、形骸化したと認識しているのか、道の見解を伺います。

答弁 : 東田参事

北方四島交流事業に関する課題についてでありますが、交流事業開始から20年以上が経過し、日本人と四島在住ロシア人との間で相互理解が深まってきた反面、交流事業参加者や訪問家庭の見直し、交流プログラムの改善などといった点で指摘があったものと承知しております。

4.質問 : 参加者の固定化などについて

今お話あったように、マンネリ化、形骸化に関しては、最も指摘されているのは参加者が固定化している。そして、事業内容が毎回同じようなものになっているということであると考えます。これはいろいろな下準備をしていただいている皆様にはちょっと失礼な言い方かと思うのですが、このような事態が生じてしまった理由は何であると、道は認識していますでしょうか。

答弁 : 東田参事

参加者の固定化などの理由についてでありますが、主な理由としましては、北方四島交流事業の参加者を選定する基準が不明確であったこと、四島側の受け入れ家庭が少ないこと、四島側の住民が参加しやすいプログラムが限られることなどが考えられるところであります。

5.質問 : 交流会における話題について

只今、答弁いただいた四島側の住民が参加しやすいプログラムが限られることに関連するのですが、例えば、ビザなし交流に参加した際に毎回行われる地元の住民の皆様との交流会では、領土問題について触れるのがタブーとされて、領土問題に関する議論、意見交換がなされなくなったとの指摘もあります。このことについて道はどのような認識を持っていますでしょうか。

答弁 : 東田参事

交流会における話題についてでありますが、交流が始まった当初は、活発な意見交換がなされていたものの、その後、徐々に四島在住ロシア人から、領土問題については外交当局間の問題であるとして、意見交換が進まなくなったり、参加者が少なくなったりした状況となり、また、平成22年の北方四島交流代表者間協議において、四島側から領土問題に関する対話集会に難色が示されたことなどを受け、それ以降は、生活文化など相互に関心のあるテーマで、幅広く意見交換を行っているところであります。

6.質問 : 交流会のあり方について

交流会における課題についてですが、今お話いただいたようにロシア側の態度が変わってきたと、ただ、交流会において領土問題についての議論をすることについては、是非、四島在住ロシア人の方々と忌憚なき意見交換をしたい、いや、するべきだという考えが日本側にある一方で、そもそもこの四島交流事業は相互信頼の構築が目的で領土交渉をするものではないから、そのような議論はせずに、あくまで相互交流、相互理解の増進に努めるべきだとする意見もあると承知します。道としてはこの点、どちらの意見、道としては持っているのか説明を願います。

答弁 : 東田参事

交流会のあり方についてでありますが、相互の理解を深め、領土問題の解決に向けた環境整備を図るという北方四島交流事業の目的を考えると、できるだけ多くの四島在住ロシア人が交流会に参加することが重要であり、身近な生活や文化など相互に関心のあるテーマで幅広く意見交換を行う中で領土問題についても話題となることが望ましいと考えております。

7.質問 : 

交流会により多くの在住ロシア人に来てもらうことが一番なんですけど、せっかく集まってもらったならば、できれば領土問題も議題にあげたいと。しかし、最初から領土問題を議題にするといえば参加者が集まらなくなると、非常に悩ましいところだと思うんですが、できる限り多くの方々が集まっていただいた上で領土問題についても話をする、二兎追うようなことなのですけど、これを実現するには道として今後どのように取り組んでいくのかお伺いします。

答弁 : 東田参事

四島在住ロシア人との交流についてでありますが、領土問題を四島側住民と活発に意見交換することは、現状においては難しい状況にありますが、身近で相互に関心のあるテーマの交流会に、多くの四島側住民に参加していただき、相互に信頼関係を構築しながら様々な話題で意見が交わされるよう交流会を続けていくことが大切であると考えております。

8.質問 : 

ということは、多くの人に集まってもらって領土問題の話題となるのが望ましいと考えているけど、やはり話題は提起しないほうがいいと道としては考えているということでしょうか。

答弁 : 東田参事

四島側住民と交流会を行う中で領土問題の話題が発生して意見交換されるということについては望ましいものと思っております。

指摘 : 

その望ましいと道が考えている関係をどうやって作っていくかということも考えを伺っているのですが、道だけでこれはなかなかできないことだと思いますし、やはり日露両政府の四島交流事業に関する様々な協議の中で上手い解決方法を導いていただくものかと思いますので、より多くの、まず四島在住ロシア人が多くの人が交流会に参加をしてもらう、その上で自然な形で領土問題についてもタブー視しないで、お互い率直な意見交換を交わせるような環境づくりというものを、最終的には政府間の協議になると思うのですが、道が積極的な意見を日本政府にも外務省にも伝えていただきたい、そのことを指摘をしておきます。

9.質問 : 今後の北方四島交流事業について

最後に伺いますが、「われらの北方領土」19ページから20ページにかけて、このような記述があります。これはちょっと重要なことなのであえて全部読みますが、「我が国は、ロシア側が91年後半以降示してきた新たなアプローチを踏まえ、北方四島に居住するロシア国民の人権、利益及び希望は返還後も十分に尊重していくこと、また、四島の日本への帰属が確認されれば、実際の返還の時期、態様及び条件については柔軟に対応する考えであることを明示しつつ、柔軟かつ理性的な対応をとりました」との記述があります。今後、日露両政府による交渉が進んだとして、例えば段階的な四島の日本の返還について日露の合意が近年なされないとも言い切れない。今の安倍総理とプーチン大統領のお互いの政治状況を考えればそのようなダイナミックな進展が近年あるかもしれません。そのときこのような記述のとおり日本側が対応するのならば、四島においてロシア人と日本人が混住をしていくとそういう状況が近年つくられることも十分にあり得ると私は考えます。それに向けた環境整備という趣旨も、今後の交流事業に明文化せずとも想定をするとか少なくとも事業を行う側の一人の道としても、そうしたことを想定して今後の交流事業を考えていくべきだと思うのですが、先に示した見直し結果を踏まえて、今後四島交流事業を効果的に推進していくにあたり、道としてはこのような状況を想定して事業を行う考えはあるのか、最後に伺いたいと思います。

答弁 : 東田参事

今後の北方四島交流事業についてでありますが、現在の北方四島交流事業については、平成3年の日ソ両外相間の往復書簡により、領土問題解決までの間、相互理解の増進を図り、領土問題の解決に寄与することを目的として、一方の側の法的立場を害するものとみなしてはならないとの共通理解の下に行われている相互訪問の枠組みでありますことから、返還後の環境整備に関することについて本事業に盛り込むことは難しいと考えております。

指摘 : 

返還後の環境整備に関することというよりは、返還に至る過程の中でそういう状況もありえる、そういうことも想定すべきだとの私の考えでございますので、なかなか事業のあり方の中にそうしたことを明文化するのはできないとは思いますが、道の皆様としては改めて頭作りをする中で今後の四島交流事業を進めていただきたいと最後に指摘をして私の質問を終わります。